tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

1が付く日の読書感想文~『超短編!大どんでん返し Special』

『先輩はおとこのこ』のCVが発表されましたね。

昨日、発表の特番を見ていたのですが、やったね!

ボイス入りPV見て一発で梅田修一朗さんは当てられたぞ、やったぞ!やったぞ!

その他、最近の記事でお名前に触れていた関根明良さん、内田雄馬さんも発表されました。もともと楽しみにしていた作品でしたが、更に放送が楽しみになりました!

梅田さんも主役が続くなぁ。

 

2月最初の読書感想文です。

本日、感想をお送りするのは小学館から刊行された『超短編!大どんでん返し Special』でございます。

こちらは以前、だいぶ前になるかと思うのですが、感想をお送りした『超短編!大どんでん返し』、その第2弾となる作品です。

 

ただし第2弾言ってもどちらから読んで頂いても何の問題もありません。

『1話4分。あなたは34回、だまされる』と言う帯の惹句からもお分かり頂けるかと思いますが、こちらの作品。端的に言いますと。

・全34名の作家さんによる、ジャンル不問の短編集。

・1作品、大体4ページ。

・『ラストに大どんでん返しが待ち受けている』と言うのが共通テーマ。

こんな感じの短編集となっています。

 

なので『あんまり長い作品は苦手』『読書自体が苦手』と言う方にもおすすめできる作品です。文庫なので手にも取りやすい!

 

ただし、です。

これは前作の感想にも書いたのですが。

『大どんでん返し!』か否かは、なかなかどうして、作品ごとに印象が違ってきているのが、この作品の面白いところであり、かつ難しいところでもあるのですが。

 

なんだろ。短編ってものすごく、作家さん、小説家と言う作家さんの技量みたいなもの。それが問われる形態だと思うのです。

本作品でもそれをしみじみと感じたのですが・・・まぁ、そんな堅苦しいことは抜きにして。

単純、全34名もの作家さんの、実に個性あふれる作品を読めるのは、ただただ楽しいの一言でした。

 

てなことで。

せっかくなので全作品の感想をちょろっとずつではありますが、お送りしていきます!

タイトルよりも作家さんのお名前を挙げていった方が、もしかしたら記事を読んで下さる方にもわかりやすいかと思ったので。

収録されている作品、その作者さん順に感想をお送りしていきます。

ではでは、スタート!

 

森見登美彦さん・・・私も大好きな『蜘蛛の糸』をモチーフに描かれた作品。どんでん返しと言うよりも、皮肉が効いたラストと言うか。それ故にいろいろと考えを巡らせたくなるような、そんな作品だったなぁ。本編と同じ終わりの文章が、また本編とは違った色合いで胸に響いてくるのもうまいぁ、と。

 

・阿津川辰海さん・・・ファンタジックな雰囲気漂う前半から一転。後半の怒涛の展開。そのブラックさ。わずか4ページの作品で、これだけのものを詰め込み描き切った技はさすがの一言。ぷかぷか、空に浮かぶ雲を見る目が変わりそうな、インパクト大な作品でもありました。

 

一穂ミチさん・・・文字で表現する小説だからこその作品だと感じました。だから最後、最初に登場したのと同じ言葉が再度、登場した時の『成程な』と、にんまりしたくなる感覚と言ったら!小説だからこその作品だけど、でも、最初と最後に登場するこの言葉をどう声で表現するか。それを見てみたいと言う意味では、音声化しても面白い作品だろうなぁ。

 

・浅倉秋成さん・・・これもアイディア勝ちと言うか。『成程。うまい!』とにんまりさせられた作品です。すべてが語られていなくても、登場人物たちがやり取りするメールの内容。それだけで『どんな行為がなされたのか』が想像できるのがうまい。そしてそれがわかってから改めて読み返すと、背筋にぞぞっ、とした怖気が走るのもたまらない。

 

・乗代雄介さん・・・探偵が本を開いて、そこから・・・のシーンは、その光景が目に浮かぶようで『うほほ』でした。タイトルがうまい。こちらも読み始めと4ページ後の印象ががらりと変わった作品で楽しかったです。

 

竹本健治さん・・・読者の思い込みを利用したどんでん返し作品のひとつ。『ですよね、だろうね』と読み進めていってからの、ラストの『×××じゃなかったんかーい!ってか×××だったとはね!』の意外性には驚き通り越して笑っちゃいました。

 

・藤崎翔さん・・・ネタバレになっちゃうから書かないけど、いわゆるアレですね。アレ。はい。なんだろ。『これは藤崎さんの実体験なのかしら』と思ってしまいましたが、果たして。いずれにしてもこの作品に収録される作品。そのアイディアを考えるだけでも、ほんと、各作家さんは苦心されたことだろうなぁ。

 

・野崎まどさん・・・『なんなんだろう。この作品は。なんなんだろう』そんな虚無感にも似た思いにとらわれかけた作品です。ただ作者が野崎さんと言うことで。『『正解するカド』の脚本を手掛けられた野崎さんだ』と思えば、なんかこの虚無感もいっそ慣れ親しんだ感があって愛おしい。

 

・小川哲さん・・・ハードボイルドを思わせる、引き締まった、緊張感ある作品の、その締めくくりは・・・まさかのダジャレ?あれ?違う?ってかこの作品の前に挟まれていた挿絵が、まさか意味を持っていたとは。先の野崎さんの作品に続いての仕掛け。こう言うのが好きな方は好きだと思う。

 

・織守きょうやさん・・・うまい。『俺』にとってはただただホラーでしかない作品。でも『女』『彼女』、そして真実を明かされた読者にとっては何でもない作品。『成程、そう言うことだったのね』とにやり、としちゃう作品。大どんでん返しではないけれど、そこに正々堂々と挑んだ感が実に清々しい作品で面白かったです。

 

芦花公園さん・・・ホラー小説で活躍されている作者さんらしい作品。臨場感あふれる視点で進む、その軽い語り口が一層、物語、状況の恐ろしさを際立たせているように感じました。最後の語りも『笑』がついているけど、多分、『笑』どころじゃないと思うよ(笑)

 

・伊吹亜門さん・・・ある男の独白、それが思いもしていなかった方向に転がっていくのが面白かったですし、でも最後には『本当にそうなの!本当に、本当に偶然なの!?』と言う疑念が胸に渦巻いていくのも最高でした。その疑念を胸に抱えたまま、読者は取り残されると言う。本当に偶然!?あなたのこと信じてもいいの!?

 

・森晶麿さん・・・美しいすずらん。そこに隠された人々の思い。それがひやり、とした質感で胸に迫ってくる作品。いわゆる裏花言葉と言うやつですね。すずらんが毒を持つことも、その花言葉も知らなかった私には、新たな知識を得ることができた作品でもあります。

 

・澤村伊智さん・・・こちらも実に、数多くのホラー作品、ホラーとミステリーが融合した作品を生み出された澤村先生らしい作品だなぁ、とにんまり。2部構成で明かされる真実。そして最後にぞわり、とさせられるのも、さすがとしか言いようがない。『ねぇ、何で?』に、さぁ、『同級生』たちはどう答えるのか。おお、怖。

 

・結城真一郎さん・・・こちらも『うまい!』と思わされた作品のひとつです。冷静に考えたらわかりそうなものだし、何と言うか騙しのテクとしては珍しくはない。でも4ページの短編で、それをやってのけたのが素晴らしい。そしてこちらも、真実が明かされてから読み返すと、印象が全く変わるのが面白い。

 

柚月裕子さん・・・実社会でも万が一の際に役立ちそうな方法だな。そんなことを思いました。無下な内容の契約。そこにされたサインの謎をめぐるやり取りのお話。ラスト1ページで二転三転していくお話の流れにはハラハラ、ドキドキ。

 

真梨幸子さん・・・女性同士のドロドロ。それを織り交ぜたイヤミスで名高い真梨さんの、実にその個性が炸裂している作品ではなかったでしょうか。最後の一文が、念を押すようなそれで。念を押すようなそれだからこそ、その可能性が暗に現実のものになっている。そう言われているような気がして、ただただ怖い。

 

・谷津矢車さん・・・時代物です。前半と後半で見える光景ががらりと変わる。語る男、その、耳には聞こえてこないはずの語り口調の変化。それを実感させられるお話。ミステリー的な騙し、どんでん返しも味わえた、見事な作品だと、私は思いました、何より最後に明かされた『何故』の真相。そして自らの話を聞いた人物に対しての仕打ち。その非道っぷり、残虐っぷり、虚無さ加減が最高の一言。

 

・横関大さん・・・タイトル通りのお話で、その中。1人だけ明らかに様子がおかしい『僕』にそわそわさせられる作品です。果たして『僕』は何者なのか。それは当然、ラストで明かされるのですが・・・成程。なんかコロナ禍のことも思い出させるような、そんな作品だったなぁ。

 

・直島翔さん・・・こちらも若干の虚無感を抱かずにはいられなかった作品です。うーん。誠に失礼ながら、最初から勝負を諦めている感すら抱いたのは私だけでしょうか。なんか。なんかもう少し、こー、なんとかならんかったかなぁ。

 

・蝉谷めぐ実さん・・・蝉谷さんらしい、実にリズミカルな文体が読んでいて楽しい。登場人物たちが活き活きと、嬉々として食事に興じるシーンも、実に美味しそう・・・と思っていたら。ラストに明かされた登場人物、その職場、そして料理の正体には『やられた』の一言。アイディア、構成力、描写力が短編とは思えないほどの濃さ。

 

綾崎隼さん・・・こちらも面白かったです。アイディア勝負と言うか。『そうきたか』と最後には驚かされました。読み手の思い込みを利用した、意外性の溢れた作品。ってか、このサイン会だったら私も開催できるじゃん!どなたか来て下さるかしら。想像したらわくわくしちゃう!

 

・七尾与史さん・・・これも面白かったです。ラーメンをめぐる親子のやり取り。限られたページの中でなされるその中に滲む微かな違和感。そして衝撃の展開。後、驚きの真相。短編だからこそ小気味よく進んでいくそれは読みやすかったし。でも最後の父親の言葉には『おまえがそれを言うか!』と思わずツッコみたくなるような味わいもあって。絶対に二度と三丁目の交差点は渡るんじゃないぞ、ミチ!

 

・伊与原新さん・・・AIの存在。それが急速に身近になりつつある今、読むと『将来的にはこんな光景が見られてもおかしくないんじゃないかなぁ』と思わされた作品でした。てか事実、データの保存容量とか。それを活用させる行為とかは、どうあがいても人間よりAIの方が優秀だもんなぁ。まさしく近未来をのぞき見したような作品です。

 

・新川帆立さん・・・怖い。怖い怖い怖い怖い。色んな意味でいちばん怖かった作品。ぞわぞわってした作品。怖い。だけどなんだろ。美しさも感じさせる作品と言うか。そう感じられるのが、また『うまいっ!』と唸らされると言うか。あぁ、罪深き焼きそばよ・・・。『私』が食べた焼きそばを食べてみたい。その美味で存分に心を満たされたい・・・そう思ったのは、私だけではあるまい。

 

・紺野天龍さん・・・筋肉に振り切った作品です。なんだろ。ジャンル的には褒め言葉として『バカミス』と呼んでいいのかもしれない。筋肉は最強。筋肉はすべてを可能にする。果たして主人公の運命やいかに!・・・いや、冷静に考えて。無理でしょ(笑)

 

・京橋史織さん・・・この作品もどんでん返しに挑戦していた感を受けた作品でした。なんだろ。短編って終わり方、物語の終い方が非常に難しい。それ故に腕の見せ所でもあると思うのですが。この作品のラストは『その後』への想像が膨らむばかりで、そこも印象深かったです。タイトルも、そのまんまなんだけどうまい!

 

北山猛邦さん・・・これも終わり方が実に印象的。文字で読んでも、その視覚的インパクトのでかさがひしひしと伝わってくるような終わり方。また映り込んだ女の、その表情がありありと想像できてしまうのもたまりませんでした。おおっ、怖。なんだろ。犯罪者の執念と被害者の怨念。その対決を描いた作品ではないかなぁ。

 

・佐川恭一さん・・・むしろこれくらい突き抜けてくれた方が、虚無感も抱かずに済むので読んでいる側としてはありがたいのですが。はい。最後、店のドアから弾丸のごとくの勢いで飛び出していった薄桃色のナニ。それが想像できてしまった時点で私の負けです(笑)

 

万城目学さん・・・直木賞受賞おめでとうございます。これも介護ロボやAIと言った題材が登場する作品。故にやはり、将来的にはあり得そうな作品だなぁ、と思いましたが・・・ラストの一言に、にやり、です。人間の心は、気持ちは、そうそう簡単には変わらない、変えられないものですよ。

 

加藤シゲアキさん・・・読み終えて『?』となって改めて読み直してみて『そう言うことか!』と驚きを味わいました。小説における語り手の視点。それをうまく利用した作品で、まさしく『ぐるり』と世界が回転するような感覚を味わえる作品だと思います。また空の上と言う、解放感溢れる場所での、このラストだからこその悲壮感も一層、感じられると言うか。うーん、うまい!

 

・桃野雑派さん・・・身代金受け渡しの現場での一幕を描いた作品。『そうきたか』からのラストの、その人物の解放感たるや。晴れ晴れとしたその表情が目に浮かんでくるようでした。計画としてはずさんだけれど、確かに。彼女が『そうした』と言うわけではないから、彼女の真意がバレることはないか。

 

・宮島未奈さん・・・好き。なんだろ。『隠微』って言葉がぴったりな作品だと思いました。主人公しか知らないこと。その夫しかしらないこと。そして主人公の同級生である作家しか知らないこと。それらが絡み合って、何とも言えない暗い空気が、これだけの短編で醸し出されているのがうまいなぁ。どうなんでしょうね。ふふ。同級生ちゃんは何のつもりで、この作品を送り付けてきたんでしょうね。ふふ。

 

・麻生競馬場さん・・・ある意味、この作品のラストを飾るにふさわしいような、実に派手派手しい作品。都会で生きるって大変だ・・・。しかしその悲壮感も吹き飛ばすような、凄まじい怒声、歓声が聞こえてくるような、そして実に力強いラストにはいろんな意味で熱くなるような思いもした、そんな作品でした。

 

はい。以上、収録されている34作品の感想をお送りいたしました。

まぁ、うん。正直に言えば『大どんでん返しっ!』と言うような作品はなかったかな。これはでも、4ページと言う短編である以上は仕方ないかと。

 

ただその中でも『少しでも驚かせよう!』と言う作者さんの気持ち、気概、気合が炸裂しているのが感じられる作品も多々あって、それが嬉しかったです。

一方で『・・・うん・・・』としか言いようがない作品があったのも、短編集ならではだと言うことができるでしょう。

34作品、34名の作家さんの作品に触れることができるので、新たな作家さんとの出会いにもうってつけの作品かもしれませんね。

ぜひぜひ、皆様も読まれてみて下さい。

 

ではでは。本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!