tsuzuketainekosanの日記

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小野塚カホリさん作品を語ろう~個人的に好きな2作品をご紹介

ついぞ10月は、一度もBL関連の記事をお送りしませんでしたね。

ただ『いつか・・・いつか・・・』の思いで書き溜めていた記事がストックとしてあったので、新規の記事が全然、書けていない今こそ、それを解放しようかと思います。

 

『いつか記事にしたいもんだ』と思いつつ、何せ紹介する作品が古い作品と言うこともあって『とは言うものの、記憶がおぼろげなのだよ。記事にできるほどの記憶は残っていなくて、とにもかくにも『好き!』と言う感想しか書けそうにないのだよ』とやきもきしていたのですが。

 

時代の進歩、万歳!

こんなサイトを見つけました。

www.mangaz.com

一瞬、見つけた時は『これは違法サイトなのでは?』とびくびくしましたが、調べてみたらしっかりと漫画家さんや出版社さん、権利者の方々に許諾を得たうえで漫画を無料で公開しているサイトと言うことで。

(なんか利用法によって違法アップサイトを応援するようなことにもなってしまう云々、と言う注意書きも見たのですが、その辺りは私にはわかりません。が、少なくも多くの作品は先に書いたように、権利者の方々の許諾を得て、正式な形で公開されているもののようです。なので『普通 』に利用していれば問題はない・・・はず)

 

ここで本日の主役である小野塚カホリさんの作品も多数、無料で読むことができたので、今回、無事、記事を書くことができました。

なので皆さんも、もし良かったらこちらのサイトで、今回、紹介した作品を読まれてみて下さい。

 

ただし無料サイトの宿命ですね。

広告がめっちゃ邪魔してきますけど(笑)

 

てなことで小野塚カホリさんです。多分、私が初めて読んだ、購入したBL漫画はこの方の作品だと思います。

ja.wikipedia.org

主な作品が1990年代ラスト~2000年代初頭に発表されているので、そうだな。やっぱり私が高校~大学生の時にくらいに読んでいた、その記憶とも合致していますね。

 

『人間』と言う言葉で始めてしまうと主語が大きくないか、とも思うのですが。

それでも人間、往々にして『初めて触れた作品にその後の趣味嗜好性癖を決定づけられる』と言うのはあることだと思います。

元々、その原因、理由は思い出せませんが『この手の作品、作風』が大好物だったと言うのはあるのかもしれません。が、それでも初めて触れたのが小野塚さんのBL漫画だったと言うのは、間違いなく、その後の私のBL漫画に求めるもの、その方向性を決定づけたと大声で言えます。

 

小野塚さんの絵に関しては、先に貼り付けたウィキペディアでも紹介されています。

また絵心が壊滅的。小学生の頃、『リンゴを描く』と言う図工の授業中、真剣にそれを描いていたにもかかわらず『真剣にやりなさい』と教師に怒られて以来、絵を描くことは人生から放棄した私に、絵について語らせようとすることが間違いだ!(自己完結)

調べてみたらいくらでも出てくると思うので、気になる方は調べて下さい。

 

それでも語るとするならば『白と黒』『目力が強い』『唇がどうしようもなくセクシー』『昨今のBL漫画ではちょっと見かけないような絵柄』『儚さと強さが同居している絵』だと思います。

 

一方、お話の方の特徴は、と語り出そうとして途中まで書いたのですが。

『これはいかん、長くなりそうだ。先に好きな作品を紹介しつつ、その中で語っていった方が絶対に良さそうだ』と気が付いたのでそうします!

 

ちなみにBLお約束、絡みのシーンに関しては、短編と言うことあって割とあっさりめです。ただだからこそ『必要なことだけが濃縮されている』感が強いな、と改めて感じました。

 

まずはこちらの作品。

・『花』

・・・言い忘れてました。小野塚さんの初期の作品の多くは短編集です。本作には表題作である『花』、それから『夏が来れば思い出す』『泣き男』『キャラコリ デュ ネギュス』の4作品が収録されています。

 

『夏が来れば思い出す』と『花』は小野塚さんの作品の特徴、それを煮詰めたような作品だと、読み返してみて改めて感じました。なのでまずは、とりあえず、この2作品、あるいはどちらかでも読んでみて下さい。それで合う、合わないがある程度、判断できるかと思います。

『夏が来れば思い出す』は漫画化としてデビューが決まった青年と、その青年がアシスタントを務めていた漫画家の男性のお話。そして『花』の舞台は戦時下。軍人一家の暴君と、その家で住み込みで働いている男性の孫で、異国の血を引いた青年のお話です。

 

小野塚さんの作品、作風、物語の特徴としてまず挙げたいのが『生と死』です。そしてそれによってもたらされる『永遠の別れ』、更には『残された者の宙ぶらりんの感情』が挙げられるかと思います。

 

やることをやったからと言って(言い方)、わかり合えているとは、気持ちが通じているとは限らない。こんなことはBLのみならず、ありとあらゆる恋愛ジャンルにおいてはお約束みたいなものだと思います。

小野塚さんの作品もそうです。

やることはやった。でも、どうなんだろうな。気持ちは、どうなんだろうな。自分の中の、相手に対するこの思いは何なんだろうな。そして相手の、自分に対する思いはどうなんだろうな。

そんな戸惑いにも似た感情が、短編でありながらそこかしこに零れて溢れて転がっている。

 

でも登場人物たちは『生きる側』と『死ぬ側』に永遠に分断されるのです。本当に、さらり、と分断されてしまうんです。つまり登場人物たちは死んでしまうのです。それこそ、私たちが生きているこの世界に溢れている『死』のように。

ごく普通に。当たり前のようにして。さらり、と。

だからつまり、その戸惑いの感情に対しての答えを知る、相手に対して問い、言葉で、態度で、行為でそれに答えてもらうと言う機会が、永遠に失われるわけなのです。

そのあまりに残酷な宙ぶらりんの感情が、めちゃくちゃ切ない。切ないんですけど同時、めちゃくちゃ温かく感じられる。泣きたいけど、でも優しく微笑みたくなるような感情に駆られると言うか。

 

この言葉に形容しがたい読後感こそ、また小野塚さんの作品の大きな特徴だと思います。

『やることはやった。でもその時もわからなかったし、今もわからない。その答えを、あるいはその答えのヒントになるかもしれない何かを、相手から得る機会は永遠に失われてしまった』と言う絶望と。

『それでも、彼とのことは、自分の心と体、生きているこの心と体が記憶している。そして自分はこれからも、この心と体を抱えて生きていく』と言う切ない希望のようなもの。あるいは、それもまた絶望なのかもしれないのですが。

 

とにもかくにも相反するようなそのふたつが、淡く溶け合うようにして共存しているような読後感の作品が多くて。

そこが私としては、なんか『人が日々を生き続けるとは、もしかしたらこう言うことなのかもしれないなぁ』と言う生々しさを感じさせるようで、めちゃくちゃ好きなのです。そしてめちゃくちゃ心を揺さぶられるのです。

 

言葉にできない、わからない、もしかしたら永遠にわからないかもしれない気持ちを抱えながら、それを確かに記憶している心と体で生きていく。

『どうあがいても言語化できない感情』の描写が秀逸なんだよなぁ。うん。

漫画だから『絵』が、その役割を果たしているのは勿論なのですが『小説』を思わせるような、文字での語り。そちらも大きな役割を果たしていて、なんか『漫画を読んでいるんだけれど、小説を読んでいるような』気持ちにさせられるんだよなぁ。

 

自分でも何を言っているのかよくわからなくなってきたので(いつものこと)、最後に『キャラコリ デュ ネギュス』の佐々木が私のどストライクだったことをお伝えしておきます。このお話も好き。小野塚さんだからこその『甘々』って感じがします。

 

そしてもう1作品はこちら。

・『LOGOS』

・・・読んだことのある小野塚さんのBL作品の中でいちばん好き。そして今までに読んできたBL作品の中でもベスト5に入るくらいに好きな作品。好きってか、なんかもう、私の心に、記憶に鮮明に焼き付いて離れない作品です。

『らしゃあめん』『ココナッツアイス』『ソレは至極当然のコト』『LOGOS』『REAL』の4作品が収録されています。もう全部好き。本当に好き。

先の作品の紹介の中で書いた小野塚さん作品の特徴。いわば『小野塚作品のエッセンス』みたいなものが凝縮された『特濃・小野塚カホリ』を堪能できる1冊。

 

なんだろ。なんかもう、どの作品も絶望的なんです。

なんて言うのかな。恋なんかを知ってしまったばっかりに。愛なんかを知ってしまったばっかりに。セックスなんかをしてしまったばっかりに。自分の体と心に、相手のことを記憶として刻み付けてしまったばっかりに。

そう嘆きたくなるくらいの絶望しかない。

 

でも同時、だからこそ、その絶望すらも愛おしくて愛おしくてたまらない。

あるいはその絶望しか、もはや自分が縋り付けるものはない。

その絶望と共にでしか、もう生きていくことはできない。

そんな、それこそまた絶望的な、だけどそれを希望として受け止めている、受け止めるよりほかない状況に取り残された登場人物の姿が、とにかく胸を穿つ。

切ないなんて言葉では足りないくらいに、胸を穿つんです。

 

だからこの『LOGOS』に関しては、割と私は本気で『凶器だ。この1冊は凶器だ』と思っています。何かの致死量が、多分、オーバーしてる。

 

で、その中でも特に、特に私が好きなのが、初めて読んだ時から20数年以上の時を経て今なお、鮮烈に記憶に焼き付いているのが表題作である『LOGOS』です。

父親を殺した少年と、その幼なじみの短い逃避行を描いた、40ページ弱のお話です。

 

なんてことないお話なんです。14歳の少年たちの逃避行。BL。作者は小野塚カホリさんと来たら、この展開は、むしろ想像に難くないんです。

あとお話的にもツッコミポイントが多い言うか。

話の内容的にも『具体的に作品名を挙げろと言われたら困るけど。でも、まぁ、どこかで見た、聞いた、読んだことがあるようなお話ではあるよね』って感じだと思います。

 

でもやっぱり、今、改めて読み返してみてもだめだ。

残された少年の思い。モノローグとして綴られているそれが、鋭く胸に突き刺さってきて、涙がぶわっ、です。体が大きく震えました。

この感情の名前を、初めてこの作品を読み終えた当時も、そして今も、私は知らない。

 

ちなみに私が初めてチェ・ゲバラの存在を知ったのはこの作品がきっかけでした。

更に言えば寺山修司尾崎翠の存在を知ったのも、小野塚さんの別の作品がきっかけだったように記憶しています。

 

この記事を書くにあたって、先程、紹介したサイトで公開されている小野塚さんの作品を全部、読み返してみたのですが。

改めて強く感じたのが『二度と取り返しのつかない恋であり、愛であり、時間であり、何か』の存在でした。

取り返しがつかない。二度と、それ以前に戻ることもできない。不可逆。

楔のように人生に、心に、体に打ち込まれてしまってどうしようもない。

にもかかわらず、生きている限り生きることは続いていく。

 

その残酷さと絶望が胸に穿たれ、なのにそれでも、微かな温かさと尊さに胸が揺さぶられる。

『生きていくとはそう言うことなんだろうなぁ』と思わされたと言う感想は、多分、さっきも書いたはず(おっふ)

 

で。えー『LOGOS』と『セルロイドパラダイス』それから『花』『僕は天使ぢゃないよ。』の4作品が1つにまとめられたドラマCDが『少年四景~小野塚カホリ作品集』として2003年に発売されています。

2003年当時もそんなことは露知らず、知っていたとしても声優さんのことなんか全く詳しくなかったので、多分、何を思うこともなかったと思うのですが。

 

それから20年の月日が流れた現在。立派な声優さんオタクに成長した私。

改めて、それぞれの作品に出演されていたキャストさんも調べてみました。

是非是非、作品を読まれる際、脳内アフレコしながら読まれてみて下さい。

 

・『LOGOS』・・・橘が成田剣さん。縹が岸尾だいすけさん。縹が岸尾さんと言うのは、めちゃくちゃしっくり来た。縹の少年性と、そこからの無理矢理の脱却を余儀なくされた痛みと言うか、絶望と言うかの演技が、すごいしっくり来る。成田さんの橘も『あぁ~』って感じ。かっこいい。

 

・『セルロイドパラダイス』・・・これか。これで私は寺山修司を初めて知ったのか。こちらは男が堀内賢雄さん。この男に振り回される主人公、アツは神谷浩史さんです。ここもぴったりだなぁ。男の色気、『大人』の色気が凄そう。

 

・『花』・・・透が森川智之さん。旭が櫻井孝宏さん。ぁあ、っ(絶句)。ぴったりすぎないか?旭が櫻井さんっての、一瞬『?』って感じがするんだけど、でも次の瞬間には『!』ってなるし、森川さんが透ってのも、もう解釈が一致過ぎる。

 

・『僕は天使ぢゃないよ。』・・・関が三木眞一郎さん。ポチが緑川光さん。このCVを知ってから作品を読み返したら、冒頭の関の台詞がまんま三木さんボイスで聞こえてきて『ふふっ』ってなりました。ポチが緑川さんってのが、この作品の本質を表しているとしか思えない。

 

はい。以上です。

ってか今、再びこの作品がドラマCD化されたなら、と考えるのも楽しそうですね。

楽しそうですね(捗る妄想)

 

そんな具合で本日は、ある意味、私のBL嗜好を決定づけたと言っても過言ではない小野塚カホリさんの作品を、たった2作品ではありますがご紹介いたしました。

よろしければ読まれたことが無い皆さんも、ちょろっとでもいいので、せめて『LOGOS』だけでもいいので読まれてみて下さい。お願いします(ぺこぺこ)

 

ではでは。本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!