何をやってもうまくいかない時と言うのは、確かにあるものさ。
ただ怖いのは、それがいつ終わるのか。終わる時が来るのかどうかと言うのは、誰にもわからないと言うことなんですけどね。
ははははは。
先日、発表されました。
モクモクれんさんの『光が死んだ夏』のアニメ化決定のニュースですが、本作品に関しては2022年にボイス入りコミックPVが制作されています。
4本も。
何故4本も制作されたのか。
答えは『PVでヒカルとよしきのCVがすべて違うから』です。
なんとまぁ贅沢な。ってかこの時点で多分、アニメ化は決まってたんだろうなぁ。そんなことを感じさせるくらいの力の入れようなのですが。
『せっかくアニメ化も発表されたことだし、改めてこの4種類のPV視聴してみよう』と思ったのが、本日の記事を書くに至った経緯です。
それぞれのPV、それぞれのCV、そしてその組み合わせから受けた印象なんかを、いつも通り好き勝手に語っております。
当たり前ですが各PVに対して、またCV担当の声優さんやその組み合わせについて優劣をつけるつもりは全くございません。
そのように感じられた場合は、ひとえに私の語彙力、表現力不足によるものです。あらかじめ謝罪しておきます。ごめんなさい(土下座)
あと私は原作は読んでいません。なのでその辺りでの解釈違い、勘違いがあるかもしれません。そちらもあらかじめ謝罪しておきます。ごめんなさい(土下座)
PVは作品紹介サイトからご覧いただけます。
どうぞ。
視聴順は、こちらのサイトでも掲載されている順番で視聴しました。
まずはそれぞれのPVを2~3回聞いての感想。そしてヒカルとよしき、それぞれのいくつかの台詞を抜粋して、それぞれのCVさんの演技から受けた印象も書いています。
ではでは、早速まいりましょう。
・根岸耀太朗さんと大野友敬さんのPV
・・・ヒカルを演じられている根岸さんのお芝居の、その生っぽい感じがとても印象的です。『キソキソアイスってなんなん?』の『なんなん?』の言い方とか、聞いてて『ぞわっ』としました。感情の質感、それが手に取るように伝わってくるような演技で、だからこそ後半のヒカルの絶望みたいなもの。前半の明るさとの落差みたいなのもすごく伝わってきました。
なんだろ。読者もその正体がわからないのであろうヒカル。その正体不明な感じ。不気味さもありつつ、だけどその見た目はヒカルであることの悲しみみたいなもの。それが根岸さんの演技とめちゃくちゃマッチしているなぁ、と思いました。
対するよしき役の大野さんのお芝居も絶妙。よしきの葛藤が大げさすぎない、でも確かにその苦しみが伝わってくるお芝居で表現されていて切なかったです。
おふたりのお芝居の質感が全く異なっているのに(あくまで私個人の意見です)、それがかっちりとかみ合っているのも不思議だし面白い。
・・・一言、発した瞬間の下野さんのDTボイスの破壊力のでかさに、もはや笑うしかありませんでした。『さすが』としか言いようのない、このちょっとしたあざとさすら感じさせる可愛い系ボイスよ。『手ぇ入れてみる?』の言い方とかも、何考えてるかわかんないのに、仄かなあざとさが垣間見えたのが最高。
だからこそよしきへの心情が吐露されている台詞での、その可愛い声のトーンがぐっ、と下がった時の破壊力もでかい。ラストのシーンでのよしきの名前の呼び方とか、台詞の言い方とかも、もうそれまでの落差も相まってずるいの一言でした。
それに対してのよしき役の松岡禎丞さんの、どこまでもどこまでも暗い、良い意味で暗さを感じさせるお声の対比が実に鮮やかなのが印象的。そして声が良い。イケボだ。よしきがどんどん、自らのその暗さに囚われていっている感を強く感じました。溜めて、溜めて、溜めこんでからの爆発力が救いようないほどにとんでもないよしきって感じ。
・KENNさんと前野智昭さんのPV
・・・こちらも一言、発した瞬間のヒカルとしてのKENNのお声、演技に底抜けの明るさ、可愛らしさを感じました。『ザ・少年!』って感じの明るさ、可愛らしさで思わずにんまりです。お声自体は華やかなのに、それがしっかり少年の、田舎の純朴な少年のそれとして聞こえてくるのが素晴らしいなぁ、と。
『手ぇ入れてみる?』の言い方が、なんだろ。この言葉を口にした時のヒカルの感情、それを一切、伺わせないような感じがあってめちゃくちゃ面白かったです。あとよしきに『好きか?』と聞かれて『好きや』と答えるシーンの演技が、マジでBLのそれ。
前野さんのよしきは、前野さんのお声のイメージ的にもっとお兄さんっぽいのかな、と思っていたのですが。そんなことはなくて、彼の抱えている苦悩、葛藤、心のぐらつきが実に少年らしく、よしきとして表現されていたのが印象的です。さすがだよなぁ。
・・・何なんでしょうね。榎木さんのお芝居って『生っぽい!』と断言するには、何か違うような気がして。でもアニメ的な、オーバー気味なお芝居でもなくて。唯一無二のお芝居って言うか、なんかよくわかんないんですけど、とにもかくにもなんかもう『ですよね』と思わされるしかなかったCV榎木さんのヒカルでした。
『好きや。めっちゃ好き』のあの芝居とか、声のトーンの暗さとか。ほんとに何なんでしょうね。わけわからんお芝居されますよね、榎木さん。役の芯をこれ以上、ないと言うほどに表現される芝居なのに、それを掴ませない芝居って言うか。
CV内山さんのよしきは『共犯者』って言葉を強く感じました。内山さんのお声の、あの暗さ。ひやりとした感触。それも相まってか絶望感しかなかったです。お先真っ暗。イエーイ!みたいな。『お前、俺のこと好きか?』の台詞も、これ、もう、何なんだろう。何なんだろう。
で、ここからはヒカルとよしき。それぞれの台詞をいくつか抜粋して、CVさんごとに受けた印象なんかを書いていきます。
まずはヒカルのこの台詞。
・『好きや。めっちゃ好き』
・・・根岸さんと下野さんの言い方からは、割と共通した印象を受けました。純粋に『好き』と言う気持ちを素直に答えている、口にしていると言う印象。ストレートな感情表現と言うか。テストで言えば『100点満点!』みたいな答え方だなぁ、と。その純粋さ、照れも感じさせる健気さがただただ胸を打つと言うか。
そしてそれを上回る純粋さと素直さ。更に言えば『好きで好きで仕方がなくてもはや気が狂いそう』と言う切実さを感じたのがKENNさんの言い方。このままよしきに飛びついたとしても何の不思議もないくらいの切羽詰まった感、最高。
榎木さんのヒカルの言い方からは、気持ちの純粋さ、素直さを感じる一方で、そのきっぱりとした、潔い言い方。そして『めっちゃ好き』の『き』の語尾に帯びている仄かな暗さが、逆に何かしらの含み、感情の湿気みたいなものを感じさせて面白かったです。
個人的に好きなのはKENNさんの演技。もはやよしきに対しての感情と自らの命が直結しているような切実感が漂ってきていて最高オブ最高。
視聴していていちばん面白かったのは榎木さんの演技。
それからもうひとつ。この台詞も。
・『よしき。よしき。一人にさせたない』
・・・雨の中。冷え切った体。低下していく意識。その弱弱しさをいちばんに感じたのはKENNさんの演技でした。『一人にさせたない』と口にしていながらも、その実『俺は一人になりたくない。よしきと一緒にいたい』と言う切実な思いが伝わってきたのも、私としては最高でした。
榎木さんの『よしき。よしき』の言い方も最高だった。2度目のそれが、ものすごくすがるような言い方だったのが最高にエモし。
根岸さんの演技にはいちばん『本当によしきを。『よしきを』一人にさせたくない』と言う思いを感じました。自分のことは全然、頭にない。ただただ『よしきを』思っている感じと言うか。
下野さんの演技には『もしかしたら、この思いを抱いた時には、既に死んでいたんじゃないかな』と言う感じ。『言葉』が先に来ていて、感情と言うか体としての機能は動いていなかったんじゃないか。そんな不思議な印象を受けました。
お次はよしきですね。よしきの台詞、ひとつめはこちら。
・『変なこと聞いてもええか?お前やっぱ光ちゃうやろ』
・・・『光でないことはわかっている。その上で聞いている』と言うのは皆さんの演技から共通して感じました。
その上でそれを確認してしまうことへの恐れ。それを最も感じたのは前野さんの演技だったなぁ。『ちゃうやろ』の語尾が微かに揺らいでいるように聞こえたのが、最高に切なかったです。
大野さんと松岡さんの演技からは『目の前の光ではないヒカルに対しての疑心。それを抱き続けていることへの疲弊感。よしきのくたびれてしまった感情』みたいなものが感じられたように思います。
内山さんの演技は、『変なこと聞いてもええか?』がためらいがちで、いっそよしきに対しての気遣い、優しさすら感じさせておいてからの『お前やっぱ光ちゃうやろ』の言い方。その落差がめちゃくちゃ印象に残っています。わずかにですが怒りの感情が伝わってきたように感じられたのもエモい。
そしてもうひとつの台詞はこちら。
・『分かるやろ。このまま一緒に居ったらあかんって』
・・・大野さんと前野さんのよしきの言い方には『分かってる。でもだからどうすればいいんだよ!俺は光と一緒にいたいし、でも目の前のヒカルは、光の姿をした光じゃない存在だし!』と言う戸惑い、絶望、やり場のない怒りみたいなものを強く感じました。ほんと『やり場のない』と言う言葉がぴったりくるような演技だったなぁ、と。このまま『考えるのやーめた』とか言い出してもおかしくないような、絶望、諦念と紙一重の葛藤と言うか。はい。
内山さんの演技は絶望感、怒りが深すぎるあまり『ならばいっそ、俺がそっち側に行くしかないだろ』と言うような感じがあったのがたまらん。『毒を喰らわば皿まで』と言う言葉が頭をちらついたくらいだよ!
唯一、松岡さんの演技からは、よしきが誰よりもよしき自身にそう言い聞かせている。納得できない自分をどうにか納得させようとしている。その感じが強くあるように思えて切なかったです。個人的にはいちばん好き。
以上4本、たっぷりと堪能させていただいた上で。
・根岸さんと大野さんペア・・・ヒカルとよしき。この2人の年齢に声がいちばんマッチしている。そして閉鎖的な田舎で育ってきた純朴な少年。その2人のフレッシュさ、初々しさも個人的にはここのペアに最も強く感じました。
・下野さんと松岡さんペア・・・ヒカルの明とよしきの暗。その対比をいちばんに感じたのはこのペアでした。おふたりの声の質感、その違いが実に鮮明と言うか。キャラの違いから浮き彫りになる様々な事象。それを浮き上がらせてくるペアだな、と。
・KENNさんと前野さんペア・・・いちばんBL色を強く感じたのはこちらのペアでした。KENNさんの演技の健気さと前野さんの演技の滲み出る繊細さのバランスが最高。BLとして2人の関係、物語に悶えたいのならば、ここのペアは強いぞ、と。
・榎木さんと内山さんペア・・・薄い皮に覆われて存在している不穏さ。暴力性。この作品が内包しているそうした魅力、そしていつ、爆発するとも知れぬそうした存在をいちばんに感じさせたのはこのペアでした。何が起きるかわからない魅力がある。
結論。どのペアも最高でした。どのペアもアニメに出演されて欲しい。
はい。以上、つらつらと語ってまいりましたが。
いやぁ、面白いですね!
YouTubeで公開されている動画。その概要を見ると『それぞれの解釈によって』と言う言葉が登場しています。
と言うことはこれ、演技としては完全に声優さんの解釈にお任せされた感じなのかしら?
動画公開は2022年。コロナ禍の影響もあった頃だから、収録は分散だったのかなぁ。だとしたら先に収録された方の演技を聞いて、それを受けてもう一人の方が演技を作られたと言う推測もできるわけで。
その辺りはまったく知りませんが(それはそうでしょうね)、4種類のPV。同じシーン、同じ台詞を、異なる声優さんの演技で視聴できると言うのは、考えてみれば本当に贅沢な話です。
そして見事に4種類、異なる印象を受けたのは、改めてにはなりますが本当に『面白い!』の一言。
もっと他の作品でもこう言うの、やって下さい!
アニメに関してはどうなんでしょうね。このPVの組み合わせから1組、選ばれるのか。それとも改めて新規の方々が演じられるのか。
と言うかこのPVの組み合わせもシャッフルしたら、それはそれでまた新たな魅力が爆誕しそうなのも面白い。
いずれにしても続報を待ちたいところ。もう間もなく原作コミックの最新刊が発売されるとのことで、もしかしたらその帯辺りで新たな情報が発表されたりしないかな。
そんな期待に胸膨らませている私でございます。
・・・!
そうか!
アニメもこのペアで4パターン、制作しましょう!
しちゃいましょう!(そんな無茶な!)
ではでは。本日の記事はここまでです。
読んで下さりありがとうございました。