tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

1日遅れての読書感想文~『准教授・高槻彰良の推察10 帰る家は何処に』

昨日、開始10分前にシャニちゃんの6thライブの配信チケット、購入したにもかかわらず。何故か開始予定時刻17時30分なっても、視聴ページに移動できず。入れず。

何度、試しても『チケット購入』の画面が出てくると言う無慈悲っぷりに『何故!?』焦った私。原因がわかるまでに15分の時間を要し、その分、ライブ参戦には遅刻してしまいました。ちくしょう!

 

でもいい。見たいものは、と言うか、見たかった、期待していた以上のものは見られたからいい。

咲耶、かっこいいよ、咲耶。そして可愛いよ、咲耶

あとDJ愛依様タイム、最高でございました。

 

さて。チケットを購入したにもかかわらず視聴ページに入れなかった、その理由は何故でしょうか。

誰も興味はないことは承知していますが、答えは、忘れてなければ今度の休みの時にでも。

最近、自分の行動に、本当に年齢を感じます。怖い。

 

はーい、今日から5連勤よ~。ぼちぼちやりましょうね~。

木曜までは天気悪いらしい。災害につながるようなそれは断固拒否だけど『今日はもう、買い物やめておこう』と思うくらいの天気の悪さだとありがたい。ふひひ。

 

そんな具合で昨日、21日が休みだったので読書感想文を本日、お送りいたします。

4月は30日で終わりなので、4月の読書感想文は本日がラストですね。

 

今回、感想をお送りするのはもう10作目になるのですか!長い付き合いになっています。澤村御影さんによる『准教授・高槻彰良』シリーズの最新作『帰る家は何処に』でございます。

『准教授・高槻彰良』シリーズ作品に関しては、今の今まで散々、語ってきています。またドラマ化もされていますし、伊東健人さんと内山昂輝さんご出演で、コミック版の販促動画も公開されているので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

 

幼い頃のある出来事をきっかけに『他人の嘘がわかってしまう』と言う能力を得た主人公の深町。その能力故、他人とは深くかかわらないよう、孤独に生きてきた彼は、入学した大学で准教授、高槻に出会います。

ひょんなことがきっかけで高槻と親交を持つことになった深町は、高槻もまた、幼い頃に謎の出来事に遭遇していたことを知ります。

数々の怪異現象、その謎を解明していく中で、深町と高槻は変化していき、また己の過去に向き合う気持ちを固めていく、と言うお話です。

 

深町、高槻をはじめとする魅力的なキャラクターが登場する、キャラクター小説としての魅力は勿論のこと。怪異の存在がありき、の設定の中で紡がれていく物語は、どこか不思議で、ぞわっ、とするような面白さを味わわせてくれます。ですがその一方で、怪異とは無関係だったと言う事件も登場し、そこで繰り広げられる謎解きの妙も楽しいのも、この作品の魅力かと思います。その中にある人間模様、様々な思いの交錯も読みごたえがたっぷりなのです。

それを通して、特に深町君。孤独であった、また自分に『自分は孤独でなくてはならない』と言い聞かせているかのような生き方をしていた深町君の変化、成長が描かれているのも、とてもエモい。

 

てなことで、本日は中編が2作品。ショートストーリーが2作品、収録されています。

それでは早速、中編2作品のあらすじと感想へと参りましょう。

 

・『ミナシの家』

・・・高槻のゼミ発表のテーマに選ばれたのは、怪異『ひきこさん』。その存在を思わせるような女の影を、事故物件で見かけた。そんな相談を持ち掛けられた深町と高槻は早速、その謎を解明することにするのだが、と言うお話です。

 

物語の前半。深町君が難波君たちと共に、とある書物のことで盛り上がっていたり。あるいはゼミでの発表シーン、そこで繰り広げられている内容だったり。

その内容って、ほんと、ものすっごい酷な言い方をすると、一銭も生み出さないような内容なんですよ。就職に、仕事に役に立つ、生きる内容かと聞かれれば、絶対にそんな内容じゃない。何せ怪異現象に関する内容ですからね。そりゃそうだ。

でも、学問の、学ぶことの豊かさって、こう言うことなんだよなぁ、と。私は、そうしたシーンの描写にひしひしと感じたのです。

お金に、仕事に直結することだけが大事なんじゃない。学問、学ぶ、考える、人と意見を交わすことの豊かさは、そう言うこととは別の次元であってしかるべき。

楽しそうに、そして真剣に、怪異現象を学び、考察し、意見を交わし、そこから様々な考察を見出している深町君たちの姿は、かつて、私もそんな一員であった時間が確かにあったにもかかわらず、めちゃくちゃ羨ましく見えたのでありました。

 

雨の日。自分の姿を目撃した子供を肉塊になるまで引きずり回すと言うひきこさん。その怪異現象を思わせる謎に挑むことになった深町と高槻ですが・・・この内容が、そしてその謎の舞台になっている事故物件で起きた事件が、なかなかに怖かったです。

ってか『事故物件』と言う言葉も、昨今ではなかなか耳にすることが多くなった言葉ですよね。このシリーズが刊行された当初は、この言葉、今ほど広くは知られていなかったような気もするのですが。

 

その怪異の裏側にあった真実には、やっぱりこのシリーズらしい、その出来事に関わっている人の思い。それが存在していて。

勿論、怪異現象はある。言葉では、常識では説明できない出来事もある。ただ、その出来事を『ありまま』受け止めるには、人間はあまりにも向いていない。その心、心が動いて生み出される感情があるがために、向いていない。でも向いていないことこそ、人間の人間たるゆえん、人間らしさと呼ばれる部分なんだろうなぁ、とも思ったりして。

 

私も一瞬、高槻先生同様『もしかして・・・この子が・・・』と言う思いも抱いて、ひやり、としたものを感じたのですが。

でもそんなことはなく。彼はずっと後悔、苦しみ、葛藤、罪の意識。そうしたものを胸に抱き続け、同時に恐れてきていた。そこもめちゃくちゃ共感しかなかったです。

しんどかっただろうなぁ。

でも、物語の終盤に明かされた真実。彼がずっと、その思いを向け続けてきていたのであろう人の今。そこには、とてもほっとしました。

良かったなぁ。

 

『ひきこさん』の存在を通して浮かび上がってきたのは、それを生み出し、それを見出してしまう人間の思い。何かしらの後ろめたさであったり、罪悪感であったり。そう言うものなのかもしれない。

そしてそれは『ひきこさん』だけに限らず、怪異現象、都市伝説全般に言えることなのかもしれない。だとしたら人間って、どれだけの後ろめたさ、罪悪感、葛藤を抱えながら生きているんだろうなぁ、と。でもやっぱり、それが、それこそが人間であり、人間の生きる世界、社会なんだろうなぁ、と。

少し、切ない気持ちにもなったお話でありました。

 

・『消える少年』

・・・夏休み、深町は自分と同じ経験をし、自分と同じ能力を持つ遠山の事務所でバイトをすることになった。慣れない毎日に苦戦しながらも、その合間に高槻の研究室に足を向けた深町だったが、そこにフリーライターの飯沼が現れる。

深町にとって、飯沼はあまり良い印象のある人物ではなかった。そんな人物が何の用でここに訪れたのか。訝しむ深町、高槻を前に、飯沼は行方不明の男子高校生が遺体で発見された事件の話を切り出します。猟奇的なその事件は、高槻の過去にも深く関係している気配があり、と言うお話です。

 

『おおっ!やっと、やっと高槻先生の過去に何があったのか、それが少しでも明らかにされるのかっ!』とわくわくした私なのですが。

ふふ。この私のわくわくが叶ったのかどうかは、ぜひともご自身の目で、作品を読んで確かめて下さい。

 

物語全体の感想としては・・・めちゃくちゃ切なかったです。飯沼、私もあんまり良いイメージは持っていない、何と言うか『いかにもっ!』って感じのするキャラクターで。そう言う意味では好きだったんだけど、でもやっぱり『人のこと追い回して、人の秘密を暴いて食う飯はうまいかぁぁぁぁ!』って感じがして好きじゃなかったんです。

でも、この作品で少しだけ、そのイメージが変わったと言うか。

人のこと追い回して、秘密を暴いて飯を食ってる人。それは確かにそうで、でも、やっぱりそこには、飯沼なりに思いがあるのも事実であり。

何より、塔矢くん。遺体となって発見されてしまった男子高校生ですが、塔矢くんは、多分『そんな』飯沼だったからこそ、自分の気持ち、本心の、たとえ一部分であっても明かしたのだろうし、秘密につながるような鍵を託したのだと思う。

そう思うと、なんか、語弊ある言い方ですけれど。

どんな人でも、きっと、誰かの支えになる、なり得る存在なんだろうなぁ、と。

そんな思いもこみあげてきて。

 

だからこそ、最後の最後ですがる手を、心を委ねる先を、塔矢くんが見誤ってしまったこと。飯沼自身も後悔しているように、飯沼がもう少し、塔矢くんに踏み込んでいかなかったことが、ただただ悔やまれてならない。

でもやっぱり、飯沼が踏み込んできたら、その瞬間、塔矢くんはきっと距離を取ろうとしていただろうと言う気もして、より一層、切なさがこみあげてくると言うか。

うぅ。辛い。

 

飯沼と塔矢くん。そして歪んだ愛情。高槻の過去との関係。高槻と母親との関係。それらがこの物語の中心であるのは言うまでもないことなのですが。

個人的には遠山さん、深町君と同じく、他人の嘘がわかってしまう能力を持っている男性です。この遠山さんの建築事務所でアルバイトに励む様子、そのシーンも、ものすごく胸が熱くなりました。

 

高槻先生と出会うまでは、人と関わることを極力、避けてきていた深町君。けれど高槻先生と出会って、それが変わった。

仕事って、どんな仕事であれ、多かれ少なかれ他人と関わることが必要なものじゃないですか。個人的にはもう、仕事そのものよりも、そのことに感じるストレスの方が大きいくらいに、それはなかなか難しいことであって。

アルバイトを始めた深町君も、当然、そこに苦戦するんです。でも、少しずつ、悪戦苦闘しながらも、頑張るんです。

たぶん、大丈夫だ。とりあえずやれることを頑張ってやってみよう。

そんな深町君のモノローグが、もうシリーズを読み続けてきて、彼の変化、成長を追いかけてきた身としては『深町君・・・大きくなって(涙)』の一言なのです。

そしてまた『あぁ、そうか。深町君も、大きく変わるきっかけと出会えた『大学』と言う世界から、より大きな『社会』と言う世界に羽ばたいていくんだな』と言う、何かしら感慨にも近いような感情もこみあげてきて。

 

あれ・・・私・・・いつの間に深町君のお母さんになったんだろうか?

 

でも、ほんと、その通りなんですよね。

深町君ももうすぐ、大学を卒業する。

大学の、その次の世界へと、その一歩を踏み出す時が近づいてきている。

 

その深町君の戸惑いに対して、同じ能力を持った人生の先輩である遠山さんがかけた言葉が、またこれ、素敵なんだよなぁ~。

『貪欲』と言う言葉のチョイスが、本当に素敵だし、遠山さんも心底、深町君のことを思っている、気にかけているんだなぁ、と言うのが伝わってきて。

ちなみに私の中での遠山さんのCVは竹内良太さんです。

 

あと、その言葉も素敵なんですけど。

それに答えた深町君の言葉。

『学問は面白いって思えたから』と言う言葉が・・・もうね。

ほんとによ(涙)

 

かくして大学からの卒業。そしてそれはもしかしたら、高槻先生との別れ、今のように頻繁に会うことは叶わなくなる。そんなことも意味しているのかもしれませんが。

それに対して本作品のラストでは、深町君がひとつの決断を下しています。

 

個人的にはその決断。以前の深町君なら絶対に選ばなかった、考えもしなかったような欲張り、贅沢セット、遠山さんの言葉を借りるなら『貪欲』そのままのように思えて。

でもだからこそそんな決断を自分で下せた深町君が、色んな意味で羨ましく思えたのでした。

高槻先生も、そりゃ、嬉しかっただろうなぁ~(にやにや)

 

その決断は、深町君自身も思っている通り。

高槻先生との約束、そんな意味合いも持っています。

 

高槻先生が過去と向き合い。その謎が明らかになった時。

唯一無二の高槻彰良と言う人間が『向こう側』の世界に連れ去られてしまいそうになった時。

どうか、この約束が、大きな力となってくれますように。

この約束が、高槻先生を、深町君や佐々倉さんたちがいる『こちら側』の世界に留める、その力になってくれますように。

 

はい。そしてショートストーリー2作品は、1つは高槻先生の母親の視点で綴られている物語です。

とても辛く哀しい物語なのですが・・・この母親の美しさ、あるいは儚さ故に、どこか狂ったオルゴールの音色を思わせるような。こちらを幻惑するような美しさがあるような。そんな色合いがある作品になっているのが、またこれ何とも。

そしてもう1作品は、飯沼と塔矢くんの出会いと別れ。それをもう少し掘り下げたお話となっています。

これもまた、悲しい。ぎゅっ、と胸が締め付けられるようなお話なのですが、それでも、飯沼のキャラクターもあるのかな?あるいは、塔矢くんの妹の存在、それも大きいのでしょう。

悲しく、切ないお話ながらも、最後には塔矢くんの穏やかな笑み。それが見えてくるようなお話だったな、と私は感じました。

 

はい。てなことで本日は『准教授・高槻彰良の推察』のシリーズ新刊『帰る家は何処に』の感想をお送りいたしました。

そうかぁ。短編集を含めたらもっと多いわけですが、とりあえず本編と言う形で言うと10作目になるのか。

そうだなぁ~・・・でも、そろっと、そろーっと、高槻先生の過去に深く切り込むような。その謎の一端が明かされるようなお話が読みたい気は少ししちゃいます。

 

毎回、なんだかんだ言いつつも、深町君と高槻先生、離れないから。

ここらでがっつり、離してやるのもいいんじゃないでしょうか!(鬼か)

新刊、楽しみにしております!

 

ではでは。本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました。