tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

買ったBL紹介していくよ!~『この手を離さないで』と『愛だ、恋だの処方箋』

昨日に引き続き、BL漫画の感想をお送りします。

さて、今回、感想をお送りする作品は2作品。

この2作品の感想をまとめてお送りしよう。そう思い至ったのは、この2作品には共通項があるからです。

どちらか片方の作品だけでも知っていらっしゃる方がおられましたら『もしかして』と思われるかもしれませんね。特に『この手を離さないで』は阿座上洋平さんと小林千晃さんご出演でドラマCD化もされているので、ご存知の方も多いかもしれないですね。

 

この2作品に共通しているのは『オメガバース作品』であると言うことです。

 

オメガバース作品のどこに魅力を感じるか。何を面白いと思うか。

この点は当然のことながら人によって様々だと思いますが、私は以下のような点を魅力に感じています。

・『どうせあいつがおれのことを好きだと言ったのも、おれがオメガであいつがアルファだからだよ!』『あいつがおれのことを抱いたのも、おれが発情して、そのフェロモンに惹かれたからだよ!』と言う、この設定ならではの、主にはオメガのどうしようもない切ない感情があるから。社会的地位の低さも手伝っての、どうしようもない自己肯定の低さ。苦しいそれ。

その切ない感情、もはや諦念にも近いような感情を、どう自分の中でかみ砕いて、納得させて、落とし込んでいくのか。オメガが受け入れていくのか。

そこに非常に物語としての面白み、読み応え、見応えがあると思うから。またそこに、確かなキャラクターの成長、変化を感じられるから。

 

・『オメガは発情期があって、アルファを発情させるフェロモンを発する』と言う設定上、端的に言えば『おまえじゃなくてもいい』『おれじゃなくてもいい』がオメガバース作品においては通用すると思います。

にもかかわらず最終的には、アルファがオメガの項を噛むことで両者の間には『番』と言う、パートナー契約が結ばれます。まぁ、それを描いていない、そこまでには至らないオメガバース作品も多々あるのですが。

限られた物語の尺(ページ数)の中で、『おまえじゃなくてもいい』『おれじゃなくてもいい』から『おまえがいい』『おれじゃなきゃだめなんだな』になるキャラクターの心情。そこにいかに説得性を持たせられるか。自然にちゃんと納得させられるか。

私を納得させられるか(偉そう(土下座))。そこがめちゃくちゃ個人的にはスリリングかつ、読んでいて楽しいから。

 

他にもいろいろあるのですが、端的にまとめるとこの2つが、私がオメガバース作品に感じる、オメガバース作品だからこそ感じる魅力として挙げられます。

 

そんなこんなで、そんな私が読んだ2つのオメガバース作品の感想をお送りしていきたい思います。

 

まずは咲本崎さんの『この手を離さないで』です。

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とある問題を起こしてアルファのエリート校から一般校に転校してきた晴斗と、何故か彼に対して1人だけあたりが強い生徒会長の雅。正反対の性格、境遇の2人は、やがて少しずつその距離を縮めていくのだが、と言うお話です。

表紙絵、茶髪の方が攻めの晴斗。黒髪の方が受けの雅です。

『あなたはオメガです』と判断され、突き付けられ。その時からそれを受け入れるしかない人の心。『あいつはオメガ』と言う周囲からの視線、気持ちに耐えていくしかない人の心。それがまして10代の、何にもなくても多感で繊細で、過剰な心にとっては、どれほどのものなのだろうか、と。

そう言うのを必死に努力して、カバーできるところは全部、その努力でカバーして。それでカバーできない部分は、その心を押し殺すことで。強がりで押し殺すことで、綱渡りのようにそれをしのいできた雅の姿が、とにかくやるせない。

それこそもう読んでいて『しんどい。辛い』と言う思いにも駆られるのですが、だからこそ、晴斗に出会ってから。少しずつ、そこに亀裂が入っていく。そして少しずつ、そうした強がりも、気持ちを抑え付け殺すために載せていた重石も剥がれ落ちていくような変化が、まぁ可愛いこと。

 

一方の晴斗です。闇を抱えた光属性攻め。こいつ(愛を込めての『こいつ』呼ばわりです)に関しては、勿論『アルファだから』と言う部分もあると思うんですよ。そこは否定はできないと思う。思うんだけど、それでも何てかもう、そう言う部分を抜きにしても『こいつはこう言うやつなんだろうなぁ』と。

『本当にまっすぐで、温かくて。誰かの力になれることが心底、嬉しい。誰かに求められることが心底、嬉しい。自分の『何か』を、必要としている『誰か』に与えられることが心底、嬉しい。そう言う少年なんだろうな』と。

そう言うのが彼の言動、表情の端々から感じられて。その上でそうした彼の人間性みたいなのものは、『アルファだから』と言う部分から来る、たとえば他者からの視線であったり。あるいは社会的な地位の高さであったり。そこから来る、彼自身も気が付いていないであろう、無意識の安堵感のようなものによって守られ、維持されているんだろうなぁ、と私は感じました。

それでもやっぱり過去の出来事。それによって恐らくは『アルファ云々関係なく、1人の人間として、もっとしっかりしなきゃダメだ』と気が付いた、気が付けたあたり、やっぱり彼は『そう言う人』なんだと思う。

 

オメガであるが故に、心を殺すような生き方を選んできた、選んでしまった、選ばざるを得なかった雅。もしかしたらアルファであるが故に、その健やかな、まっすぐな、温かな人間性を成長させ、守り続けることができたのかもしれない晴斗。

雅の殺してきた心に、晴斗の不器用だけどまっすぐなやさしさ。温かさ。そう言うのが染み入っていたんだろうなぁ。

その2人が惹かれ合うのも、そして結ばれるのも、もうオメガバース云々抜きにして、そりゃ自然だよな、と納得感しかなく。

 

あとこの2人。ラストには『番』になるんですが、そこが個人的にはめちゃくちゃ『青春!』と言うか『10代!』って気がしました。

『いいの?早くない?もう少しお互いのこと、知ってからでも遅くはないよ!』と出会って3日で結婚したカップルを心配する親戚のおばさんみたいな心境(笑)

まぁ、その前に晴斗からプロポーズ、『番になって』宣言もあるわけで。

雅の今までのことを思ったら、それを断れるはずもないわけで。

 

『番』になった後。自分がオメガとして生まれたのが運命なら、晴斗に出会ったのも運命だと信じたい。そんな雅の心情が語られています。

ここでの『運命』と言う言葉の響きが、私にはほんと、何て言うんだろ。

10代の少年の、その未熟さ。性急さ。そしてオメガである少年の、それまでの孤独。押し殺してきた心の痛み。そう言うものを詰めに詰め込んだ響きのように思えて。

『かつてこれほどまでに、か弱くも眩い煌めきを放つような『運命』と言う言葉を見たことがあっただろうか。否、ない(即答)』と胸を揺さぶられたのでした。

 

『番』になったからこその苦しみ。相手との距離がより近くなり、その関係もより密接になったからこその苦しみ。辛さと言うのも、この先、きっとこの2人には出てくるのだろうなぁ。そう言う意味では『番』は『終わり』じゃなくて『始まり』なんですよ。

とは言え、結婚のピークは、する前のわくわくと、してからしばらくの間だけにあるきらきら。『番』となった2人に対してそんな性悪なことを思った私ですが、作品紹介にある『未熟で、痛くて、壊れそうな‐青春の日々』と言う宣伝文句は、十分すぎるほどに感じられました。

個人的にBUMP OF CHICKENの『embrace』を送りたい。歌詞が、歌詞が!

 

はい。てなことでお次の感想はこちら。

www.dlsite.com

表紙の眼鏡に惹かれて購入しました。眼鏡が薬剤師で受けの桐矢凛人。表紙じゃ顔が見えないもう1人が攻めの佐藤志郎です。

佐藤は今、話題のバンドグループのメンバーです。このバンドが所属する芸能事務所からの依頼を受け、桐矢はアルファである佐藤の抑制剤を処方することに。しかし初対面であるにもかかわらず、そしてベータであるにもかかわらず、佐藤と対面した瞬間、桐矢は欲情してしまい、と言うお話です。

 

始まって10ページくらいでいきなりの濡れ場です!えっちです!いけません!

ここでのポイントは、抱いた佐藤はベータである桐矢をオメガだと思い込んでいること。そして桐矢に強烈に惹きつけられたことにより、既に桐矢を『運命の相手』だと信じて疑っていないことです。

『体からで順序は逆になってしまったが』と苦笑しつつ、桐矢とのデートを夢想する佐藤。ちょろい。アルファとは思えないくらいのちょろさ。

 

てなことでこちらは先に紹介した作品とは異なり、いわゆる『体から始まった恋』を描いた作品です。少しネタバレにはなりますが、この後、再会した佐藤を前に桐矢はフェロモンを出してしまい、また抱かれます。

開始30ページの間に2回も濡れ場があります!えっちです!いけません!(もういい)

そこで明らかになるのは、ベータだと診断され、本人もそうだと思い込んでいた桐矢の性別はオメガ。突然変異によるそれだと言うことです。

 

最初からそうだと思い込んでいた佐藤にとっては、まさに願ったり叶ったりです。

しかし桐矢本人は、そう言うわけにはいきません。ずっとベータだと思い込んでいた。アルファの佐藤に、ベータである自分が犯された。そんな、決してあり得ないとは言い切れない出来事が起きてしまっただけだと思い込んでいた。

それなのに自分はオメガだった。自分がそれを知らなかったせいで、のこのことフェロモンをまき散らしていたせいで、佐藤に自分を抱かせてしまった。

更に桐矢は、『運命の相手』、その存在によって不幸になった人を目の当たりにしてきたと言う過去もあります。

だからなおのこと、自分が『運命の相手』だと断言されることに対しての葛藤があった。

この両者の圧倒的なすれ違い。『運命の相手』と言う言葉に対しての解釈の違い。熱量の違い。その差をどう埋めていくのか。そこをどう解消していくのかと言うのが、本作の読みどころではあるのですが。

 

まぁ、そこは佐藤の猛アプローチ、プラス、佐藤が所属しているバンドメンバーが桐矢に喧嘩をふっかけたことを契機にして、最終的にはくっつくんですけど(ネタバレ)。

まぁ、それ自体は良いんだ。多分、いろいろと考え過ぎちゃうタイプの桐矢みたいな人には、考えていないことはないんだけど、それより先に体が動く、純粋直情型の佐藤みたいな人間がぴったりだと思うんだ。

だからこの2人、お似合いだとは思うんだ。思うんだけど。

 

なんか、なんかよくわかんなかった。わかんなかったって言うか、わかるんですけど。

多分『そんな『運命』と言う言葉に苦しめられなくていい』『そんなに堅苦しく考えなくていい』と言う思い。

その頑なさ、堅苦しさに囚われていた桐矢を、佐藤のいい意味でのがさつな情熱、がさつな繊細さみたいなものがすくいあげた、と言う感じで、そこはエモかった。エモかったんですけど。

 

佐藤が桐矢のことを好きだと言うのはわかる。最初からそうだったから。理由もくそもないんでしょう。佐藤にとって桐矢は、初めて抱いた瞬間から『運命の相手』だった。

ただ桐矢はそうではなかったわけです。最初からそもそもとして『運命の相手』と言う言葉、それ自体に葛藤を抱えていた。佐藤に対しても、拒絶の姿勢を見せていた。

でもそれでも、作中、佐藤の猛アプローチに少しずつ、心が揺らいでいく桐矢の姿も描かれてはいるんですよ。ええ。

だからこそ、なんです。

 

先程も書いた通り、佐藤のバンドメンバーが桐矢に喧嘩をふっかけにくる。その前には、発情期の影響で体調を崩した桐矢を、佐藤が抱くと言うシーンが挟まれています。

そこで佐藤は自分の思い、欲望のままに桐矢を抱くのですが・・・。

最初、読んだ時はそんなに気にならなかったんですけど。何回が読み返している内に、『突然変異でオメガになった自分を、こんな抱き方した男のこと、そのまま好きでいられるか?以前のままの気持ちを抱き続けられることできるか?』って気持ちがひしひしとこみあげてきまして。

 

その結果、なんだろうなぁ。桐谷にとって佐藤って何なんだろう。

気持ちよけりゃいいのか。それでいいのか。

そんな思いすらこみあげてきたと言う。

あれ?私、読み方、間違えてる?

 

そんな具合なので最終的には結ばれる2人を見ても『うん。幸せそうで何より』と言うおめでたい感情は抱けたのですが。

『なんか釈然としないけど』と言う虚無顔を浮かべたくなるような感情があったのも事実です。

 

まぁ、でも、先程も書いた通り。

互いが互いにないものを相手に見出し、そこに惹かれた。

そう言うことで良いんだと思うよ!(自分に言い聞かせる)

『運命』と言う言葉に恐れおののいていた人間が、それから逃げ回った挙句、『運命でも何でもない。自分と相手だけの普通の恋』を手に入れた。

そんなお話だと、私は感じました。そう言う受け入れ方だと、しっくりくる。

 

絵は綺麗だし、濡れ場は擬音の多さが個人的には少し気にはなりましたが、激しいです。お話も、なんだか散々、文句付けたような感想になってしまって申し訳ないのですが(土下座)、それでも限られたページの中で、桐矢と佐藤。その2人の感情の変化が最大限、描かれていたように思います。なので読み応えはある作品です。

 

ってか、そうか。

佐藤に出会ったことが桐矢の突然変異の引き金的な見方もできるのか。

そうするとまたこれ『運命の相手』と言う言葉の、その意味合いも変わってくる。

あー・・・ってか、私が知らないだけで、そう言う設定が設定としてあるのかしら?

教えて!有識者の方!

 

ちなみに本作品はドラマCD化はされていません。ただし漫画の続編も決定されているので、もしかしたらもしかしてと言う可能性もあるんじゃなかろうか。

私ですか?

桐矢は『眼鏡!インテリ!勉強ができると言う意味で頭が良い!』『でも肝心なところでポンコツ!』ってところが、最高にCV伊東健人さんだと思いました。

異論は認めます。すまぬ。

佐藤は、イメージ的にCV小野友樹さんを感じました。でも小野さんが出演されているBLCDを聞いたことがないので、こちらも異論は認めます。

 

何にせよ圧倒的に聞いたBLCD数が少なすぎるのよ!あはははは。

 

いずれにしろ、オメガバースの世界、奥が深いな・・・。

 

ではでは。本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!