tsuzuketainekosanの日記

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月村了衛さん直木賞ノミネート記念!~『機龍警察』を皆、読むんだ!その1

はい。タイトル通りです。来る7月19日に受賞作が発表される第169回直木賞に、月村了衛さんが『香港警察東京分室』でノミネートされました。

いやっはあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

 

ってもすいません。

私、この『香港警察東京分室』はまだ読めてません。

本当にすいません(土下座)

 

いや、とは言え。

何が嬉しいかって。

そりゃ最も嬉しいのは受賞されること、それであるのは言うまでもないことなんです。

ただですね。こうやってノミネートされたことでも、やっぱりそのお名前がたくさんの方に知られるわけじゃないですか。

直木賞ノミネート作品かぁ。ちょっと読んでみようかなぁ』って思われる方も増えそうじゃないですか。いや、勝手な推測ですけど(笑)

それが私としては本当に嬉しいのですよ。

 

で、そう言う方に声を大にして伝えたいのがですね。

『頼むから!『機龍警察』シリーズを読んでくれ!頼むから!』と言うことなんです。

ええ。

 

でもしかしだがしかし。

月村さん、当たり前ですが『機龍警察』シリーズ以外にもたくさんの作品を発表されていて、どの作品も本当に面白いんです。ええ。

もう『読書の楽しみ!読書の醍醐味!』を存分に味わわせてくれる、そんな作品ばかりなのですよ。はい。

 

なので本日は、私が読んだ月村さんの作品の中から一部をご紹介。そして最後に、この直木賞ノミネートを機に、もっとこのシリーズの面白さが世に知られて欲しい。もっとこのシリーズの虜になってしまう方が増えて欲しいと言う願いを込めて『機龍警察』について、ちょろっと語っていこうかな、と思っております。

本当は1回で終了させる予定でしたが語り始めたら文字数が1万オーバーしたので(おっふ)、今回は2回にわけることにいたしました。

 

てなことで、まずは私がこれまで読んできた月村さんの作品の中から、いくつかの作品をご紹介していきます。

 

・『土獏の花』『ガンルージュ』『槐』『影の中の影』

・・・何故、この4作品をまとめたかと言いますと。非常に乱暴な言い方にはなってしまうかとは思いますが、この4作品、お話の流れ的には似通っているからです。

主人公とその敵がいる。その敵に立ち向かえるのは自分たちしかいない。権力も信じることはできない。大切な人を、自分たちの信じる正しいを守り通すために、主人公たちが力を合わせて敵に立ち向かっていく。

そう言う流れのある作品なんです、こちらの4作品。

 

その流れの中で権力の闇であったり、敵と戦う人間、1人1人の熱いドラマなどが描かれている。そしてまた手に汗握るアクションシーンも満載で、まさしく『活劇!』と表現するにふさわしい、そんな作品なのです。

で、個人的にはこうした要素がもっと濃厚に、凝縮され、叩きつけるように描かれているのが『機龍警察』シリーズだと思うのです。

 

ただ『機龍警察』シリーズ、言うてページ数がなかなかのものなんです。単行本で500ページオーバーとかザラなんです。素敵。なので『いや・・・いくら面白いからと言われても、単行本500ページオーバーは、最初のチャレンジには重いよ』と思われる方もいらっしゃることでしょう。

 

そう言う方にこそ、是非とも、初めての月村作品として、この4作品をおすすめしたいのです。いずれの作品も文庫化されていて、購入しやすい。で、ページ数も300ページちょい。お話の筋としても非常にわかりやすく、しかし月村さんの作品、その魅力、醍醐味、個性がぎゅぎゅっと込められている。

なので月村さんの作品が初めての方でも読みやすく、それでいて月村さんの作品、その魅力を感じていただけるのではないかな。

 

しつこいようですがお話の筋がわかりやすい。一見すると政治の話やら複雑な国際情勢の話やらが関係して『難しそう』となるんですが、大丈夫。この4作品に関してはそれらが『主人公側VS敵対勢力』と言う、実にわかりやすい設定に組み込まれているので、本当に話の筋も内容も明瞭なんです。

で、そうしたお話が2時間のスペシャルドラマや映画にしたらぴったりのような。そんなテンポ、流れで進んでいきます。

月村先生の文章は、シーン、シーン、心の動きであったり体の動きであったり。そうした描写が本当に頭の中で容易に描けるような、そんな感じで進んでいきます。また作家先生としては当然なのですが(しかし事実として、これができていらっしゃらない作家先生も多いのよ!)、変な日本語が出てこない、文章として読むのが苦痛になるようなそれでない、と言うのも私としては大変にありがたい。

 

なので普段、本をあまり読まないと言う方でも、この4作品は読みやすい作品なのではないかな、とも私は思っています。2時間ドラマ、2時間の映画を見ているような感覚で読み進めていける、そんな4作品なのです。

 

・『黒警』『黒涙』

・・・ある出来事から死んだように生きている警察官と中国黒社会の男が義兄弟の契りを結ぶ。この文章を読んだだけでうっかり胸を高鳴らせてしまった方には、こちらのシリーズもおすすめしたい。ってかシリーズ続編はどうなったんだろうか。

 

警視庁組織犯罪対策部の沢渡。そして滝本組の幹部である波多野。2人はかつて、組織から追われていた中国人女性を見殺しにし、その深いトラウマを今も抱えていた。

そんな2人の前に現れたのが中国黒社会の新興勢力に属する沈と言う男。とある秘密を抱えているが故、中国黒社会の大組織に狙われているカンボジア女性をかくまって欲しい。

沈からそんな依頼を受けた沢渡と波多野は、やがて中国黒社会と国家権力の癒着をかぎ取るのだが、と言うお話です。

 

あーん、もうこうしてあらすじを書いているだけでもわくわくが止まりませんのよ。『中国黒社会』『国家権力』『癒着』と言う単語に、私と同じようにわくわくしたあなたは、間違いなく『機龍警察』にもハマる素質がありますよ!

 

『ダークな味わいの』と本作品の紹介文にもあるとおり、非常に暗い雰囲気で進んでいく作品です。ただその暗さが沢渡や波多野、そして沢渡と義兄弟の契りを交わすことになる沈。3人の男たちの生き様、思いからくる隠微な色気とでも言うのでしょうか。そうしたものに彩られているのが、またこれ最高なんです。

あと沢渡と波多野。沢渡と沈。作中で変化していくこの関係性。その裏側にある沢渡の本音。鬱屈とした思いを抱えながら、胸の中、燻るものも無視しながら、ただただ惰性のように警官として生きてきた沢渡のその思いもたまらんのですわ・・・なんだこのツンデレ・・・。でも胸の中にいろいろな思いはあれど、結局は組織に囚われてしまっている、組織の中で死んでるように生きていると言う沢渡の姿には、共感できる人も多いんじゃないかなぁ。

暗く、陰鬱な雰囲気に彩られた物語でありながら、その中に蠢く色気。そして本性を刺激されてしまった人間の痛快さ。それらがあり、あるんだけど、やっぱりどこまでも陰鬱な雰囲気のままで話が進んでいくってのがたまらない。

深い深い底に沈められたかのような重さを伴って進んでいく、暗く、黒い男たちの物語。そうしたものが大好物な方は、こちらもおすすめです。

 

ってかもうBLです。違うけどBL。読了当時の私の感想文を見てみたけど、まともな感想ではあったけれど、ところどころに『沢渡×沈』だの『いや違う、沈×沢渡だ』と言った単語が飛び足してきているのがその証拠です!

あとほんと、このシリーズ、続編はどうなったのかしら!

 

・『東京輪舞』『欺す衆生

・・・それぞれ別作品です。『東京輪舞』は警察から公安へと異動し、時代を賑わす様々な出来事に関係してくことになる男の姿を描いた物語。『欺す衆生』は詐欺で巨額の富と地位を築き上げていく男たちの姿を描いた物語です。

この2作品で描かれている出来事はいずれも実際の社会で起きた出来事。またはそれをモデルとした出来事です。なのでその出来事をリアルタイムで知っている方は勿論のこと、私のように『なーんとなくニュースとかで聞いたことがある程度だなぁ』と言う方でも、非常に生々しさを感じて、ある種、自分も主人公たちと同じようにその出来事が起きた時代にタイムスリップしたかのような、そんな感触を持って読み進めていける作品だと思います。

 

そして、これも別にこの2作品に限った話ではないのですが。個人的にはこの2作品。主人公、あるいはその関係者たちを通して『人生』と言うもの。その圧倒的な存在、そのままならなさ。ただの1度きりであるそれ、と言うものが突き付けられるような描かれているのが、非常に印象的なのです。

『東京輪舞』では様々な出来事に関わることになる主人公が描かれているのですが当然そこにもまた様々な権力、人物の思惑が複雑に絡み合っており、主人公の信じる『正義』はいとも簡単に打ち破られていきます。それでも『正義』を信じ、青臭く熱く、時に絶望、諦念を突き付けられながらも駆け抜けていったその主人公は、しかし物語の最終章、数年ぶりに1人の女性の姿を目にし、そこで自らの人生を振り返るような思いを胸に抱くんです。

それが読んでいて私はめちゃくちゃ辛かったし、やるせなかったし切なかった。

どう生きようと時間は流れていき、人は老い、いつかは死ぬ。正解も不正解もわからぬまま、気が付いた時には、流れ去った時間の積み重ねだけがそこにある。

その苦々しさ、懐かしさ、後悔、愛おしさ。そうしたものがぶわっ、とここでこみあげてきて、しかし同時。そうして生きた、生き切った人間の姿こそ、どんなそれであれ、孤独で美しいものなのではないか。それこそがその人の人生の集大成なのではないか。そんな思いにも駆られて、もう言葉が出てこなかったんですよね。はい。

ちなみにこの作品は『警察大河ミステリー』なる言葉で紹介されています。昭和、平成と言う時代の、その激動を物語に落とし込んだ、まさしく一大巨編だと思います。

 

で『欺す衆生』も最後でそうしたことを突き付けてくるんです。ただし『東京輪舞』とは全く違う展開と言うか、切れ味で。それこそ、苦々しさや懐かしさ、後悔や愛おしさ、そうしたものの一切を断絶するかのような。鋭すぎる切れ味でもって一切の何もかもを断ち切るかのようなラストで。

しかしそれもまた、とある出来事から詐欺に手を染めることになった主人公の、その人生の集大成。様々な人たちの怨嗟の声と、血と暴力に彩られながら、それらをも自らの血肉として、ひたすらに騙し、ひたすらに上へ、上へと手を伸ばしていった、そうせざるを得ないような状況にまで自らを追い込んでいった主人公の生きてきた時間。人間性のすべてを暗い方へ、暗い方へと捧げていった男の、その集大成なのだと思うと、もうただただ笑うしか、嗤うしかないと言う。私にはいっそ痛快にすら感じられました。

『東京輪舞』が昭和、平成を賑わせた事件を物語る作品とするならば、この『欺す衆生』は昭和、平成の詐欺。その歴史を物語る作品だと思います。

人を欺くことで時代の寵児へと昇りつめていく主人公たちの姿、あるいは欺かれることで墜ちていく人の姿。令和の時代になってなお、それは鮮明に存在し続けていると言うのが、またこれなんとも。

 

月村作品で描かれている登場人物って、本当に人間臭いんです。人間としての存在感、その厚みも薄っぺらさも、見事に表現されていて描かれている。

だからポジティブな方向性でも、ネガティブな方向性でもめちゃくちゃどの登場人物も魅力的。そしてそんな登場人物だらけなもんだから、とにかくその関係性も濃厚で読み応えしかない。その濃厚な関係性によって物語がぐいぐいと進んでいき、そうすることでその関係性にも変化が訪れていく。

だから面白い。とにかく面白い。読み応えしかない。

 

『東京輪舞』は文庫版で600ページオーバー、『欺す衆生』には750ページオーバーではありますが、そんな分厚さも感じさせないほどの面白さ。ページを開いたが最後、物語への没入度が半端ない作品、そして満足感。

『機龍警察』シリーズに足を踏み入れる前に、ちょっと重めの月村作品にチャレンジしてみたいわ、と言う方には特におすすめです。

勿論、極上の人間ドラマ×警察小説、人間ドラマ×経済×犯罪小説を読んでみたい、と言う方にもぴったりですわよ!

 

はい。

てなことでつらつらと、ほんの一部ではありますが個人的おススメの月村作品を書いてまいりました。

ja.wikipedia.org

こちらは月村さんのウィキペディアのページです。

経歴や、これまで発表された作品なども掲載されていますので、ぜひぜひご覧になってください!

 

そして次回、その2ではいよいよ『機龍警察』シリーズについて、貧弱な語彙力と表現力を振り絞って、熱く、熱く語っていきたいと思います。

よろしければ引き続き、お付き合い下さいませ。

 

ほんと!

面白いから!

読んで!

『機龍警察』シリーズ!

皆、読んで!

 

ではでは。本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!