毎クール、アニメが続々と始まって視聴する作品が決まって、それを録画予約する時の『どうか他作品と時間が被りませんように』と言うドキドキ感が好きです。
そしてそれと同じくらい、1クール、視聴し終えた作品の録画予約を様々な感情をもって消去していく時間も、とても好きです。
今期に関しては『いやぁ1クール、本当に楽しませてくれてありがとう!2期も期待しちゃってるよ!』と言う気持ち、純粋なその気持ちだけなのが本当に嬉しい。
てなことで2023年春アニメ感想記事、その2です。
本日はこちらの作品からどうぞ。
・『江戸前エルフ』
・・・個人的大豊作の春アニメの中でも、圧倒的ダークホース作品でした。1話視聴する前は『ま、とりあえず1話だけ。今期は他にも視聴したい作品があるし。でも、ま、とりあえず1話だけでも』と言う軽い気持ちだったのですが。
その1話がめちゃくちゃ面白かった。面白かったし良かった。そしてそれが見事に全12話、続いていた、本当に素晴らしく素敵な作品でした。
この作品の何が素敵かって、最初から最後までとりたてて派手な出来事、大きな出来事、ドラマティックな出来事が起きているわけではないんですよ。
『私の生きる、この毎日。私の生きる、この世界』それこそがドラマであり、それこそが物語だと言わんばかりに、徹底的に登場人物たちのにぎやかで、楽しくて。いろいろ大変で、うまくいかないことも面倒くさいこともたくさんたくさんあるけれど、それでもそうやって続いていく毎日、日常。それを最初から最後まで、地に足着いた演出で描き切っていた。その徹底っぷり、最初から最後まで一貫していたそれが、私は本当に素晴らしいなぁ、と感じたのです。
原作漫画、私は読んだことないのですが。それでもこの完成度の高さ、物語の描写の仕方、アニメとしての表現の仕方と言うのは、アニメ制作陣が本当に原作漫画を読み込んで、しっかりその魅力を把握して。それを殺さず、同時に誇張することなくアニメで表現すること。それに対して最大限の工夫をされた、その結果だと思います。お見事。
またそうした日常が描かれているからこそ、長い月日を生きているエルダと、どうあがいてもエルダのように長くは生きられない小糸ちゃんをはじめとする人間の姿。
その対比が鮮やかであり、エルダと小糸ちゃんたちが楽しそうに過ごしているのを見れば見るほどに、切ないような思いが込み上げてくる。だけど決して湿っぽいような、押しつけがましいお涙頂戴にはならない。楽しいからこその寂しさ、切なさであり、寂しい、切ないからこその楽しさと言ったものがいい塩梅、バランスで描かれていたのも本当に心地良かったです。
最終回、Aパート。『あぁ、今も昔も。この街に住む人は、ずっとずっと、こうして街の平和を、大切な人の平和を、毎日の平穏を願い願われ生き続けてきたんだろうなぁ』と、やはり胸がきゅっ、となるような思いでいっぱいになり。
だけど最後の最後をBパートのような。『いつもの』エルダ、小糸、小柚子ちゃんの物語、何でもない、でもとびきりに幸せで、幸せだからこそ切ない、かけがえのない日常で締めくくったのも、実にこの作品らしいじゃないですか!
作画も非常に美しく、各キャラを演じられていた声優さんの演技も、見てて本当に楽しかった!全話通してクオリティの高い作品でした。2期、待ってるよ!
・『魔法使いの嫁 SEASON2』
・・・続きは10月、秋クールと言うことで。いや、なんかめちゃくちゃ気になる、それも色々と気になるそんな終わり方ではなかったですか。ただその『気になる』が、勿論、不穏さを感じさせる部分もあることにはあるのですが。
それよりも登場人物たちの関係性。不器用ながらに、だけど1歩ずつ、歩を進めていくように進展していく彼ら、彼女らの関係性の変化と言うのが、もう気になり過ぎるし、見ててもどかしさ、切なさ、なんなら胸がきゅんきゅんするような感覚もあってたまりません。
ミハイルとアリスの関係とか、なんかもう個人的には悶えて悶えて悶え狂いそうな勢いなのですが。たまらんくないですか?なんかもう、なんかもう、なんか、もう(卒倒)
何はともあれ続きが楽しみです。はい。
てなことで学院に舞台が移った、そこで今まで以上にたくさんの人たちと出会うことになったチセ。だからこそ『知ったつもりで、わかったつもりでいた自分の姿』と言うものを改めて突き付けられ、そしてそれが他者から見ればどれほどのものであるのか。そんなことにまで思いを馳せられるようになっていったチセの姿には、いろいろと考えさせられました。
私は『自分のことは自分がいちばんわかっているし知っている』と思い込んでいる人間です。でもそうであるかもしれないけど、でも決してそうではないんだよなぁ。
他人と関わらなければ見えてこない自分もある。他人にしか見せない自分もあるし、他人にも見せない自分もいる。そして他人にしか見せない自分を通してしか、他人の目を通してしか見えてこない自分と言うのもあるわけで。
同世代の人たちと関わることになったからこそ、チセが感じたそうしたこと。あるいはチセだけでない、他の人物も感じたであろうそうしたことが、とても臆病そうに、でも確実に響き合ってそれぞれの心に波紋のように広がっていく。そのことでそれぞれが色んな思いを抱えて、不器用に歩みを進めていく。その思いが交わった瞬間、そこには思いもしていなかったような色が広がっていて。
多分、やさしく、繊細で臆病な彼ら、彼女らは、その色にもまた戸惑い、怯え、それでもそこに立っているのが1人ではないと知っているからこそ、穏やかに微笑む、あるいは切なさからくる涙を流すのだろうなぁ、と思ったり。
いずれにしてもやはり今回も、とても胸に響く、そんな物語だったなぁ。
・『天国大魔境』
・・・ラスト5分だけリアタイ視聴しました。ぶっちゃけ続編はあるものだろうと思い込んでいたから『2期決定!』の文字が出てくるのを楽しみにしての視聴だったのですが・・・なかったね。なかったね。
・・・マジか。え。どうなんだろ。ほんとに、全然、予定としてはないんだろうか。それとも後々、イベントとかで発表される流れなのかしら。
この先が気になって気になって仕方ない。話の流れで言えば序盤も序盤、ほんとに『ロビンと再会する』って目的しか果たしてないじゃないか!この先、どうなるんだよ!
我慢できなくなった私はネタバレサイトにお邪魔してしまいました。すいません。
成程。アニメ2期やろうにも、今回のアニメ化で原作ほとんど消化した感じなんですね。2期はやりたくても、そうした都合上、厳しいのか。そうなのか。ならば仕方ないが残念だ。
そして・・・とりあえずのネタバレを堪能した私は、録画したまま消せないでいた8話を改めて見て、初見の時とはまた異なる感情に胸をかきむしられ泣きました。
成程な。成程な。CV見た時に『あれ?』と思ったんだが・・・そう言うことだったのか。
それを再確認したうえで最終回もまた改めて見返してみたら・・・泣くわ。
ってか全体的に『あー・・・そうだったのか。そう言うことだったのか』と思わされるようなことばっかりで、なんか言葉が出てきません。辛い(涙)
いやぁ、そんなこんなで続編決定のお知らせがなかったのは残念ですが、1クール、とても楽しく視聴した作品でした。
マルとキリコ、2人の珍道中めいた旅が描かれる一方で、その合間、合間に挟まれる高原学園の様子、そこで生活する子どもたちの様子。その不穏さ、そしてその不穏さがマルとキリコの旅にも忍び込んできているかのような雰囲気がたまりませんでした。物語の構造としても、こう言うの、面白い。
また私は常々『絶対この作品は何かグロテスクなものを隠しているに違いない!』と勝手に予想していたのですが、その予想も見事に当たっていたような気もします。
ただそれを『グロテスク』と言ってしまっていいのか。そんな疑問も、作品を最後まで見た今は感じています。『グロテスク』は『グロテスク』なんだけれど。『本当に、本当に、本当の意味で『グロテスク』なのは、誰の、どんな感情?』と問いかけたくなるような、そんな気持ちがわいてくると言うか。はい。
Production I.Gらしい躍動感、世界観の作り込み、空気まで絵として表現しているかのような作画などなど。この作品もやはり非常にハイクオリティのまま、最後まで突っ走ってくれた作品でしたね。なので毎週、要らぬ心配をすることなく視聴できたのも最高。
そして高原学園の子どもたちを演じていらっしゃった演者さんは勿論のこと、マルとキリコを、本当にいきいきと、のびのびと、瑞々しく不器用なくらいにまっすぐに演じていらっしゃった佐藤元さんと千本木彩花さんの演技が、もう最高オブ最高でした。
何だろ。この作品だから、そしてマルとキリコと言う2人を演じていらっしゃったからでしょうね。ものすごくおふたりのお芝居の、その呼吸みたいなもの。それがぴたりと似通い、重なり合う瞬間みたいなものが随所に感じられて、感情揺さぶられまくり。
またおふたりの演技がのびやかだからこそ、台詞がないシーン、息を呑むだけのシーンとかになると、言葉で語る以上のマルの、あるいはキリコの感情がどんっ、とこちらにぶつかってくるように感じられました。
最終回で言えば、キリコがマルにロビンを殺さないでくれ、と涙ながらに訴えたシーン。この後の、マルの、あの声にならない声に滲んでいた絶望たるや。もう見てられなかった。胸が締め付けられて仕方なかった。しんどい。
その後のマルの告白のシーンも、それを聞いて泣きじゃくるキリコも、その後の2人のやり取りも、もう最高。
そうか・・・原作が足りないのか・・・。ならば仕方ないけど・・・。それでもやはり2期を期待せずにはいられない、そんな作品です!またマルとキリコの珍道中、高原学園の子どもたちに会いたい。そして続きが気になる!
・『六道の悪女たち』
・・・めっちゃ熱く、胸を揺さぶる最終回じゃなかったですか!?見ててぶわっ、と涙が込み上げてきたのは私だけですか!?
なんだろ。もう身も蓋もない言い方をすると、決して円盤が売れると言うタイプの作品ではないと思います。思うんですけど、でもそう言うのに左右されないタイプの作品、独自の魅力、個性を武器に1クール駆け抜けた、そんな作品だったと思います。
あと良い意味で、良い意味で『こんな作品』が令和のこの時代にアニメ化されたのも、個人的には嬉しい。問答無用で悪女に愛されてしまう。そんな設定が、一見すると目立つ作品ではありますが、その実、中身はめちゃくちゃ少年漫画。ストレートど真ん中に投げられる剛速球くらいの少年漫画。
悪女ちゃんたちとの恋愛、それが巻き起こすゴタゴタをコミカルに描きつつ、でも自分を守るために悪女ちゃんたちを絶対に利用しない。その誘惑に負けそうになっても、絶対にそれはしない。むしろ悪女ちゃんたちの姿に、自分も奮起させられていく。ぼろぼろになっても、痛い目、怖い目にあっても、絶対に引かない。
そんな六道くんの姿、気持ちが見てて本当に清々しかったし、その成長がベタなくらいの熱さで描かれていたから胸を熱くさせられたんだと思います。
最終回。松宮に何度も、何度も立ち向かっていく六道くんにはたくさんの仲間がいた。大佐も課長も勇気を振り絞って、六道くんに加勢し、あるいは彼を鼓舞してくれた。こんな展開、こんな絵面、1話からは想像もできなかったようなそれじゃないですか。
それでも全12話の物語を見てきたこちらとしては、皆が六道くんの仲間になった理由も、大佐や課長がこんなにも勇敢になった理由も、めちゃくちゃわかる。わかりみしかないわけで、そこにどうしようもなく胸を揺さぶられた私なのでした。熱い!
ってかやっぱ、佐藤元さんの演技、いいなぁ。いいわぁ。佐藤さん演じる六道のまっすぐさ、健気さ、心の強さ。それに対峙した松宮を演じられていた山下大輝さんの演技も最高でした。
ってか多分、4~5年前くらいなら、山下さんが六道くんを演じられていたような気がするぞ。
あと個性豊かな悪女ちゃんたちも可愛かったです。それぞれの魅力、個性を活かした戦闘スタイルであったり、あるいは心奪われちゃった六道くんへの態度とのギャップも見ててひたすら楽しかった。個人的には椰子谷さんと六道くんのバトルが大笑いでした。ほんと、あれ、私は何を見せられていたんだろう(笑)
でも正ヒロインは飯沼くんだと思うんだ!
自らの『復讐』のためではなく、自分や自分の大切な人たち、大切な日常を守るために戦う。そのために強くなりたい、と心の底から願う。そしてそのための努力を惜しまない。それでも折れそうになる心だけど、でも絶対に完全には折れない。負けない。へこたれない。
そして周りの人たちも、そんな彼の姿に感化され、力になりたいと願う。
そんな熱い、熱すぎる友情が描かれていた、素敵な学園青春作品だったのではないでしょうか?今期、隠れた名作的存在の作品だと、私は思っております。
多少、作画の崩れ、粗さは目立つとは思いますが、不思議とそれがまた味になっていた、作風とぴたりとマッチしていたのも奇跡的。
はい。よし、本日はこのあたりにしておきましょうかな。
いやぁ、ここの4作品もまたこれ、いずれも個性の異なる作品でありながら、その個性を余すことなく発揮した、魅力的な作品ばかりだよなぁ、と改めて思います。
あと『魔法使いの嫁』は10月から2クール目が放送されるわけですが、それ以外の作品もほんと、続編を期待したいですよね。
『六道の悪女たち』は最終回、新キャラと思しき存在も登場していたと思うのですが・・・原作は終了しているしストックもたくさんあるだろうから、是非とも続きが見たいなぁ。
『天国大魔境』もだし『江戸前エルフ』も、ほんと、続き、待ってるよ!
てなことで春アニメ感想記事、まだまだ続きます!
よろしければ引き続きお付き合い下さい。
ではでは。本日の記事はここまでです。
読んで下さりありがとうございました!