tsuzuketainekosanの日記

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1日遅れで読書感想文~『アンデッドガール・マーダーファルス』

今日から4連勤よ~。

今月は4連勤、この1回だけだし、まぁ、いいけど。

でもやっぱり4連勤は無いに越したことはないわよね!

嫌だ嫌だ。

ぼちぼち、やり過ごそう。仕方あるまい。

 

本題です。

昨日、11日は公休でしたので1日遅れでの読書感想文をお送りいたします。

本日、感想をお送りするのは青崎有吾さんの『アンデッドガール・マーダーファルス』でございます。

 

『アンデッドガール・マーダーファルス』はアニメ化が決定しており、今夏、フジテレビの+Ultr枠で放送が予定されています。

CVはすでに発表済み。ボイス入りのPVも公開されています。

 

青崎さんと言えば『体育館の殺人』で鮎川哲也賞を受賞され鮮烈にデビュー。若き本格ミステリの書き手として非常に注目を集めていらっしゃる作家さんです。

が、私はこの『体育館の殺人』、『あかん。どうしても私には合わない』と途中で断念してしまっています。すまぬ。

なので『アンデッドガール・マーダーファルス』に関してもアニメ化決定、そしてCVを担当されている声優さんがいずれも好きな方ばっかりだったので『どうしようなぁ。原作、読みたいけどなぁ。うーん』と悩んでいたのですが。

 

結論。めちゃくちゃ面白かったです。『体育館の殺人』を途中で断念してしまったのはいったい、何だったのか。そんな疑問に駆られるくらいに、めちゃくちゃ楽しく読了できました!

なんでしょ。ミステリーとしての面白さ、論理的推理が冴え渡る美しさ、その読み応えと言うのも勿論なのですが。ガチガチのそれと、エンタメ作品としての豪快さ、痛快さ。またキャラクターの個性の強さ。そうしたものがうまいこと混ざり合っている、そんな作品だと思います。

なので『普段、あまりミステリーは読まないわ』と言う方でも、どうぞ安心して読まれてみて下さい!

 

てなことで簡単なあらすじを。

本作品はシリーズもので現状、3巻まで発売されています。多分、夏のアニメ放送にあわせて、どどっ、と続きが出そうな予感はしますよね。嬉。

 

産業革命以降、ヨーロッパに吹き荒れる『怪物一掃』の嵐。著しく権利を迫害された怪物たちが絡む事件の謎。その解決の現場には『怪物専門の探偵』を名乗る3人の東洋人の姿があった。

青の瞳と青の髪を持ち『鳥籠使い』を名乗る真打津軽。黒髪のボブカットと巨大な得物が印象的なメイドの馳井静句。そして大きな瞳と長い黒髪、幼さを感じさせながら同時に妖艶な絶世の美少女である輪堂鴉夜。しかし鴉夜の全身は生首だけ。

その3人がそれぞれの目的のために、怪物がらみの事件の謎を解きつつ、自分たちの過去に関わっているステッキの異人を追いかけて、ヨーロッパ各国をめぐると言うのが大まかなあらすじです。

 

で、アニメのCVは、と言いますと。まず『生首探偵』、絶世の美少女にして不死の存在である鴉夜は黒沢ともよさん。

そして彼女の弟子であり、その正体にもまた大きな秘密がある津軽八代拓さん。鴉夜に絶対的忠誠を誓う戦うメイドの静句は小市眞琴さんが演じられます。

作品を読みながら、それぞれのキャラクターの台詞をそれぞれの声優さんの声、演技で勝手に脳内再生していたんですけど。もうね、ぴったりが過ぎる。私はにやにやが止まりませんでしたよ(笑)

 

黒沢さんのお声は『幼さもありつつ妖艶』である鴉夜の、その独特の美しさ、存在感にぴったりだし。あと推理パートでの、静かに、だけど確実に相手を追い詰めていくところなんかは、黒沢さんの表現力、演技力、凄まじいだろうし!

津軽役の八代さんは、津軽の、軽いところ。つまんない小噺をだらっだら話すところ。それでありながら、彼の抱えているどろっどろっに暗い妄念、執念、絶望と希望。そうした相反する部分の演技が、もう今から楽しみでならないし、今から既にもうずるい!

そして静句役の小市さん。ボイス入りPVでそのお声を聞いた時はめちゃくちゃ驚いたけど、いや、でももうこちらも本当にぴったり。鴉夜に誓う絶対的忠義と津軽に向ける圧倒的辛辣さ。その飴と鞭の使い分けも、めちゃくちゃ楽しみ。

 

3人、ひとりひとりのCVが完璧であるのは言うまでもないんですが。この3人の掛け合いも本当に面白いんです。もう読んでて自然と吹き出してしまっちゃうくらいに。

だからこの声優の方々の演技での掛け合い、リズミカルで実に小気味のいいやり取りが見られる、聞けるって言うのも、もうアニメならではでただただ感謝!なのです。

 

いかん。各CV語りが長くなってしまった。

てなことでここからは作品、そのものの感想です。

 

私が今回、読んだのは1巻なのですが、1巻は全3つの物語が収録されています。

まず『序章』は、ある男と女の出会いを描いた物語。ま、これが誰と誰の出会いを描いた物語であるのかは、予想に難くないと思います。ページ数にして8ページなのですが、でも私はこの『序章』、その数行を読んだだけで、すっかりこの作品の世界に引きずり込まれて『好き!私、この作品、好き!』と直感を抱いたのでした。

 

で、お次は『吸血鬼』と題された物語です。人間を捕食しない。その誓約を交わした人類親和派の吸血鬼、ゴダール卿。その妻で元は人間であったハンナが何者かに殺害される。警察の捜査に不満を抱いたゴダール卿は、鴉夜一向に事件の解明を依頼し、と言うのがお話です。

人類との共存を選択したゴダール卿を通して『怪物一掃』が、怪物たち、更には人間たちにどのような影響をもたらしたのか。それが描かれることで、物語の世界観、キャラクターたちが生きている状況がとてもわかりやすく伝わってくる。そういう意味では、このシリーズの自己紹介的なお話だな、と感じました。

鴉夜が生首だけの存在である、と先に明かしてしまいましたが、(アニメ化に際してもここは事前に明かされていますし)、この作品ではそれが明かされるのは物語の終盤。

なのでゴダール卿の目線を通して描かれる小さな違和感の積み重ね。そこから『質は鳥籠の中には』と言う展開は、読んでいてとても楽しいです。ふふ。

 

ハンナ殺害の状況。それを津軽が『足』となることで、鴉夜は鳥籠の中から見て、関係者から話を聞いて推理していきます。

その推理パートは圧巻の一言。『誰が』と言う部分、細かいアリバイをひとつずつ潰していく過程は勿論なのですが、個人的には、そのアリバイ工作のために利用されたある方法。この方法、ミステリーにおいては実に古典的でベタもベタ。『今時、こんな方法を登場させるミステリーなんて稀有だぞ!』と個人的には思うそれが、しかし圧倒的な必然性故に登場し、描かれていた、と言う点には、思わずにんまり。身震いすら覚えるほどでした。

 

そしてその後の展開。ハンナを殺害した人物と津軽の戦闘。特に文庫で言えば163ページから164ページにわたって繰り広げられる、このシーン!

ここはもう!読んでいるだけでも、もうあまりの迫力、津軽のかっこよさに痺れまくりでした!やだ!津軽、ずるい!かっこいいよ!

このシーンが、津軽が自身の人生をぶちまけながら、犯人を蹂躙していくこのシーン。このシーンがアニメ化される、絵として動いて、声として再生されると言うだけでも、もうもう、私『アニメ化ありがとう!(五体投地)』状態でした。

ここのシーンのCV八代さんの津軽は、ほんと、ほんとに見物だと思うよ・・・。相当な演技力、爆発力と瞬発力が要求されるシーンだと思うもん・・・。

いや、まぁ、原作通りアニメ化されるかはわかんないけど・・・。

 

また津軽フルボッコ(ネタバレ)にされる犯人。その動機。これがゴダール卿の生き方、すなわち『怪物と人類は共存できるはずである』と言うそれに絡められているのも、非常に構成としてうまい。

更にそこに、鴉夜同様、どうやら『普通の人間』ではない津軽の心情が絡んでくることで、より一層の読みごたえが感じられました。

あとこのお話で登場し、次のお話でも鴉夜たちと行動を共にする新聞記者のアニー、彼女の存在感も読んでいて楽しいです。そしてアニメでは鈴代紗弓さんが演じられることも発表されました。

あぁ・・・これまた、どうあがいてもぴったりなんだよ・・・既に楽しいよ・・・。

 

そしてお次の話は『人造人間』です。舞台はベルギー。ある科学者が首なし死体で発見された。現場は密室。その遺体と共に密室に閉じ込められていたのは、その科学者が生み出したとされる人造人間だった。事件の詳細をつづったアニーからの手紙を受け取った鴉夜たちは、早速、事件の解明に挑む、と言うお話です。

かの有名名探偵が登場しています。ですよね?『私の小さな』から始まる、その名探偵の名文句が登場した時には、思わずにっこりです。

 

密室の中にあったのは、首のない死体と人造人間。ならば人造人間が犯人なのでは、と思うのが自然なのですが、生まれたての人造人間の知能は赤子程度。なのでこのような犯行は不可能なのではないか。更にそもそもとして、密室であるはずなのに切り落とされたと思しき科学者の頭部はどこへ消えてしまったのか。

この2点がこの事件の大きな謎なのですが・・・いや、この真相は絶対、絶対、誰も予想できない、想像すらできないものだと思うぞ!

科学者の、人造人間を生み出すことにかける圧倒的な情熱。それが生み出した、信じられないトリック。それは作中でも書かれている通り、探求心のない小物のような私からすれば『狂気』以外の何物でもないように感じられたのですが、だからこそ同時、狂気ゆえの美しさ、圧倒的な純粋さも感じられて、なんだか読んでいて恍惚とした思いすら抱くようでした。

 

そしてやっぱり、怪物に対峙することを余儀なくされる津軽。このお話ではその津軽の過去、『序章』の続きとなる物語が描かれているのですが・・・。

ここで明かさる津軽の、圧倒的に歪んで暗い望み。それがもう、たまらんのですよ。津軽と言う男の、飄々と言う言葉を通り越した軽薄さ、軽さ。それは、その裏側にこれほどまでに暗く、重く、沈んで歪んでしかしまっとうな願い、欲求があるからこそなのだと思うと、もうほんと『津軽、あんた最高に面白いよ!』の一言。

 

津軽がこのお話で対峙する怪物。その怪物が真実を知ったことで『存在理由』と言うものに突き当たってしまった。そしてそれに対して懊悩を抱いて苦しみ喘ぐ。その姿に対して、やはり同じような怪物である、しかしどうにも中途半端なそれである津軽が、ある種、突き抜けてしまったかのような『存在理由』にたどり着いてしまっているのが、もう最高におかしいし、面白いし、切ないし。

その対比がまた、とても鮮やかなのです。

 

またこの回の戦闘シーンでは静句さんの戦う姿も描かれています。こちらもかっけぇんだわ。そして普段は、軽口叩く津軽に、辛辣、冷酷なツッコミを入れる、対応をとる静句さんと言う、まさに水と油の2人が、ここでは短い言葉のやり取りだけで完璧なコンビネーションを見せているのも胸熱です。

あぁ、早くアニメで見たい・・・。

 

そして物語の最後は、どうやら鴉夜たちと敵対することになるのであろうキャラクターが、たくさん登場します。

こちらのキャラクターを演じられる声優さんの発表も、今からめちゃくちゃ待ち遠しいです。

てかウイキペディア見たら、この人たちの正体も書かれてあったけど・・・成程。あの人は、かの有名な悪役。数々の作品にも登場しているあの人だったのね、とにんまり。

この人たちだけでなくこの作品。有名作品に登場する架空の登場人物。架空なんだけど、もはや実在の人物と思えるくらいの知名度、認知度を誇っている登場人物が数多く、登場しているのも魅力的です。

 

と言うことで本日は今夏、アニメも放送予定の『アンデッドガール・マーダーファルス』、その1巻の感想をお送りいたしました。

青崎さんらしい本格ミステリ作品としての味わい、魅力は勿論のこと、ド派手なアクション活劇、冒険活劇としての面白さも存分に感じられる作品です。更に数多くの、架空のキャラクターが登場していることで伝奇小説的な味わいもあり、それらが醸し出しているロマンは胸躍るものがあります。

ロマン、大事!

更に個性豊かなキャラクターたちが繰り広げる会話劇、戦闘、それぞれの思想のぶつかり合いも読みごたえたっぷり。

 

なのでアニメ化発表を機に気になられた方は、是非とも読まれてみて下さい!

私も続きが早く読みたい!

 

ではでは。本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!