tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

1が付く日なので読書感想文をお送りします~『異端の祝祭』

以前、記事にも書いた『プレバンラボ』

今夜、第112回が放送されるのですが。

なんとゲストに鈴木福さんが来られます。

MCの鈴村健一さんが『ちょっと似ているから』という理由だけで、同じくMCの逢坂良太さんを『福くん』と呼び始めてから幾年月が流れたことでしょうか。

ついに、ついに。

とうとう、とうとう。

本物の鈴木福さんが、逢坂良太さんと共演されます。

全人類、見た方がいい(どーん)

 

てなことで読書感想文をお送りいたします。

 

本日、お送りするのは芦花公園さんの『異端の祝祭』です。

芦花さんはですね、全然、知らない作家さんだったのです。

アマゾンで澤村伊智さんの作品を買いあさっていたら、澤村さんの比嘉姉妹シリーズ、こちらが角川ホラー文庫から刊行されているのですが、その関係か、やはり角川ホラー文庫から何作か刊行されている芦花さんの作品がしつこく(笑)おすすめ商品に挙がってきていて知った、と言う経緯があります。

 

今回、読んだ『異端の祝祭』ですが。

文庫の帯には『やばい!マジで面白い!』の惹句が躍っています。更にアマゾンの商品ページには『警告 日常生活に支障が出ます。面白すぎて、怖すぎて』の文字が。

いずれも出版社による宣伝文句なのですが、いっそ清々しいまでの惹句!

 

そして経験上『だいたい、この手の惹句が躍っている作品は大したことないんだよね』と言う思いをしてきた私としては、期待半分、恐れ半分で読み進めていったのですが。

結論から言うと。

『これで面白すぎて、怖すぎて、日常生活に支障が出るんなら、たとえば澤村先生の比嘉姉妹シリーズなんか、もう面白さ限界突破、怖さ限界突破で卒倒するレベルやで』と突っ込まざるを得ませんでした。はい。

いや、勿論『面白い』の基準は人それぞれですからね、うん。

ただ私は、そう思ったと言う話です。

 

ま、その辺りは後々、語るといたしまして。

まずは本作品の簡単なあらすじを。

 

冴えない人生を送り、そして今、芳しくない就職活動に鬱々とした感情を抱く島本笑美。自分の人生がこうも冴えない、その原因は、笑美自身がよくわかっていた。彼女は生きているものとそうでないものとの区別がつかない、そんな能力を持っていたのだ。

ところがある日、大手食品会社、モリヤ食品の青年社長に気に入られ、笑美は内定を得ることになる。

何故、青年社長は自分を気に入ってくれたのか。その理由がわからぬまま、笑美は研修に参加する。ところが研修で見かけたのは、妙な奇声を発しながら這い回る人々の姿だった。更に青年社長の、笑美に対する親しさはじょじょに熱を帯びていく。

 

すっかり様子の変わってしまった妹を心配した笑美の兄は、佐々木事務所を訪れる。その事務所では数多くの心霊案件を請け負っていた。

兄の話を聞いた事務所所長の佐々木るみは、ひとつの推測をもとにある行動を起こすのだが、と言うのが簡単なあらすじです。

 

面白くないことはなかった。なんだけど、そこまで面白いかと聞かれると、残念ながら首肯はできないかなぁ、と言う感じで。

その理由なんですが。

 

ひとつは、散々、煽られている割にはちっとも怖くなかったと言うのが一点。勿論、何を怖いと思うかも人によって異なるでしょうから、本作品を読んで『めっちゃ怖かった!』と思われる方もいらっしゃることでしょう。

が。

そもそも私には『結局、この作品でいちばん『怖さ』『ホラー』の事柄として訴えたかったところ、描きたかったところはどこなんだろう』と言うのが、いまいち掴めなかったのです。掴めないまま、作品、終わっちゃった、みたいな。

 

この作品に書かれている『怖い』『ホラー』的な事柄はいくつもあります。たとえば生きているものとそうでないものの区別がつかない笑美が見る『生きているものではないもの』の存在。

それから守屋食品の青年社長、ヤンが見せる笑美に対しての、もはや執着と言っても良いほどの優しさや愛、慈悲。

その守屋食品で行われている謎の儀式めいた行為。

ヤンに対峙するるみとその助手、青山に襲い掛かる謎の力。

更には唐突に挟まれる(汗)佐々木事務所の所長、るみの凄惨な過去。

またこの手の作品ではある意味、おなじみと言っても良いでしょう。誰かを想う心、その裏側にある身勝手な欲望、その禍々しさ。

そう言ったものがこの作品における『怖さ』『ホラー』の事柄のひとつとして挙げることができると思います。

 

だからこそなんです。

結局、それぞれの事柄が独立し過ぎていて、何と言うかまとまり、繋がりに欠けていた感が否めなかった。いや、完全に繋がりがないわけではないんです。繋がりはあるんです。あるんですけど、なんかそこの書き込みが浅いと言うか。その結果、それぞれの事柄が訴えてくることも中途半端なら、それが醸し出す怖さも中途半端になってしまっていた気がしてならない。うん。

 

生きている人間とそうではないものとの区別がつかず、一切合切が見えてしまう笑美。その彼女の能力的なものが物語の幕開けで早々と描かれているんですけれども・・・ここはめちゃくちゃ怖かった、怖かったと言うかぞっ、としたし、『いいぞ、いいぞ』と言うような、にんまりしちゃうような面白さもあった。

で、その後、守屋食品に足を踏み入れてからも彼女は『そうではないもの』を見てしまうんですね。ここもやっぱり面白かったし、何と言うか、その『そうではないもの』のおぞましさや、生理的嫌悪感をもたらすような雰囲気もめちゃくちゃ伝わってきた。

だから個人的には笑美視点で物語を進ませた方が、もっと怖さも面白さもあったんじゃないかなぁ、と言う気がするのです。

 

結局、守屋食品での彼女の様子、彼女が何を見、何を思い、と言うのは少ししか描かれていないんですよね。

これも彼女が考えることの一切を放棄したことを表現するためには、効果的なことだったのかもしれませんが・・・それでも、当の本人、ヤンに魅入られた笑美がもっと何を見たのか。そして何を感じたのか。感情がどれほど乱されたのか。それを描いていった方が、と言う気持ちがとても強い私です。はい。

 

それから語り手の視点がころころと変わる。更には急に一人称による語りも登場するので、ここも物語として散漫な印象が拭えなかったと言うのも、面白さや怖さを感じにくかった理由のひとつです。

特に物語の終盤で『私』視点で、ある少女の過去が語られるんです。で、ネタバレするとそれはるみさんの過去なんですけれど・・・。

正直、そっちの内容の方が本筋の話よりよっぽと面白かったし、怖さもあったもんだから『るみさん!あんた、笑美よりずっと面白いネタ持ってんじゃん!』と突っ込みたくなってしまったし(笑)本当に急な語りだったから『どうした急に!?』とも突っ込まざるを得なかった。

まぁ、そのるみさんの過去も、最終的には物語に関わってくるんですけど。

 

笑美のお兄さんが、妹を助け出すために守屋食品に関係のありそうなバイトに応募して、そこで奇妙な出来事に遭遇すると言うのも、これ、お兄さんの語りでその描写が進んでいくんですね。

なのでまぁ、直截的でわかりやすいとは言えるんですけど、でもなんか『神視点』で描かれる、突き放すような描写じゃないから、怖さが中途半端な気がしてしまった。

 

はい。そして何より・・・ヤンの正体や、彼が生きてきた歴史。彼が思い描き信じていたこと。その狂った、だけど壮大な物語に心躍らせた挙句の・・・あら、あっさり、終わっちゃうのね、と言う幕切れが、私は寂しかった(笑)

もっと恐怖ポイントを絞って、かつ物語の語り手も絞って、ポイントを全面的に押し出すような、もっと緩急をきかせた構成だったら、この物語のラストにも、もう少し盛り上がりを持ってくることができたんじゃなかろうか、と思うんですよねぇ。うん。

 

はい。

 

てなことで、なんかネガティブな意見ばっかりの感想になってしまいましたが。

でも、あの、あれです。

これに関しては完全、出版社による惹句が悪いです(どーん)

まぁ、あの、出版社サイドの方が本気でそう思われたのなら、それはそれで仕方ないですが・・・そろっと、こういう大げさすぎる惹句は止めた方がいいような気もする。

自縄自縛だぜ・・・。

何と言うか、普通に読めば、エンタメ作品として普通に楽しめる、そんな作品だと思います。

 

はい。

そんなこんなで本日の記事はここまででございます。

次回の読書感想文もよろしければ引き続きお付き合い下さい。

 

ではでは。

読んで下さりありがとうございました!