tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

『このミステリーがすごい!』を振り返ろう~2019年

はい。てなことで『このミステリーがすごい』を振り返るシリーズ記事でございます。

ってかそうか。もう2019年まで来たのか。

残るは2020年、2021年、2022年の3回ですか!かっはー!

 

どうしよう。

その3回、終えちゃったらどうしよう。

シリーズ記事と言うのは『書かなきゃいけない!』と言う面倒くささもある一方で、確実にその時には記事を埋めることができると言うメリットもあるので、私としてはとても便利な存在でもあるのですよ。

そのシリーズ記事のネタが、あと3回で尽きる・・・!

まいったな。今から後釜を考えておかないと。

 

はい。ではでは早速、まずは毎回恒例、その年に何があったのかを見ていきましょう。

2019年です。この年の6月から私はフルタイムで働き始めております。そしてそれと同時にこのブログを始めていますね。なので今年の6月で、フルタイム&ブログは4年を迎えることになるわけです。

あと半年・・・頑張れ、私。いや、4年を迎えたからと言って何がどうなるわけではありませんが。

ただフルタイム勤務に関しては、最初は『3か月!せめて2019年の9月までは頑張ろう』と言う気持ちしかなかったので。

まさかまさか、今もフルタイムで働き続けていられるとは。我ながら驚きです。

 

はい。てなことで2019年のウィキペディアのページを見ていきますと。

この年の4月ですね。『平成』の次の元号が『令和』であると発表されたのは。

どうでしたか、皆さん。初めて『令和』と言う響きを聞かれた時の感想は。個人的には『『令和』・・・なんか変な響き』と思ったものですが・・・令和も今年で5年ですか?私は、未だに慣れてない(どーん)

 

それからこの年の7月には、京都アニメーション放火殺人事件も発生しています。本当にこれは衝撃的だったなぁ・・・。第一報をニュースで知った時の『嘘だろ。嘘だ。誰か嘘だと言ってくれよ!』と言うような気持ちは、今でもはっきりと思い出せるくらいです。

しかしこの事件以降も、数々のアニメ作品を制作し、世に送り出して下さっている京都アニメーションさんには、ただただ頭が下がるような思いと感謝の気持ちしかありません。ありがとう、ありがとう・・・これからも作品の視聴などを通して、微力ながら応援し続けたい限りです。

 

そして・・・おおっ、早くも出てきやがったぞ。この年のウィキペディア、最後の項目。12月31日、中国にて原因不明の肺炎患者発生していることを、武漢市の疾病予防センターが公表した、と言う話題。

その正体が明らかになるとほぼ同時にパンデミックが広がっていく、その前夜がまさしく2019年の年の瀬だったわけですね・・・いや、語弊ある言い方かもしれないけど、今となってはそれすら懐かしい感すらありますよね。うん。

 

ではでは本題。

ここからは2019年の『このミステリーがすごい!』の振り返りです。

ja.wikipedia.org

いつものごとく、リンクを貼りつけておきます。こちらをご覧になりながら、記事を読んで頂くとわかりやすいかと思います。

 

てなことで。2019年、栄光の1位に輝いたのは原尞さんの『それまでの明日』でございました!

私立探偵・沢崎を主人公にしたシリーズ、14年ぶりの新刊がトップに輝いたと言うことで、いや、凄いなぁ。凄いですよね。『このミステリーがすごい!』が始まった1989年には、シリーズ第1作品である『そして夜は甦る』が2位にランクインしています。

シリーズ作品がずっと続いているのも、その作品が常に最高を更新しているのも、時代に即して変わりつつ、しかしシリーズ作品としての魅力はそのままにあり続けていると言うのも、作者の原さんに対してただただ頭が下がるような思いでいっぱいです。

 

はい。てなことでこちらの作品は私、読んでいないのですが・・・ベスト10にランクインした作品の中で、私が読んだ作品を見ていきますと・・・まず10位。道標でランクインした芦沢央さん『火のないところに煙は』と市川憂人さんの『グラスバードは還らない』ですね。それから9位、葉真中顕さんの『凍てつく太陽』、8位の月村了衛さんの『東京輪舞』、そして4位、東野圭吾さんの『沈黙のパレード』以上ですね。

全5冊。手短にいくんだぞ、自分!

 

では早速。まずは芦沢さんの『火のないところに煙は』です。

『神楽坂を舞台に怪談を書かないか』、その依頼を受けた作家は、かつての凄惨な体験を思い出す。解けなかった謎、救えなかった友人、逃げ出した自分。作家は、事件を小説にすることで解決をもくろむのだが、と言うのが簡単なあらすじです。

極めてホラー的。ホラー的なんだけれど、そう言う『人知を超えた』『人の理解の範疇を超えた』ものを描きながら、しかし同時に、論理的に、人の思考、言葉で説明できる謎解きを両立させているのが、さすがの一言でした。

だからホラー的な怖さと、人が理解できる、理解できてしまう、人の持つ怖さ。本性。そうしたものがひたひたと迫ってくるようで、ぐいぐいと物語に引きずり込まれました。そして何よりラストよ。

鳥肌、ぶわあぁぁぁぁぁっ、でした。ぶわああぁぁぁぁ。その瞬間、なんてかこの物語が自分のものになった、なってしまった、そんな怖さがあったんですよね。うん。

 

そしてもう1作は『グラスバードは還らない』です。こちらは名コンビ、マリアと漣、2人が難事件に挑むシリーズの3作目です。

希少動物の密売ルートを調査することになったマリアと漣。その捜査中、密売ルートの顧客に不動産王、ヒューがいることを掴んだ2人は、ヒューの邸宅がある高層ビルを訪れるが、そこで爆破テロ事件が発生。一方、タワー内にあるガラス張りの迷宮では、謎の連続殺人事件が発生し、と言うのが本作品のあらすじです。

爆破テロに巻き込まれたマリアと漣。そしてガラス張りの迷宮で発生する連続殺人。2つの物語が交互に描かれながら、じょじょにそれらが絡み合っていき、やがてひとつの真実を見せてくれる、という構造になっています。

非常に凝った設定の中で事件が起きるのが、このシリーズ作品の特徴なのですが、今回はガラス張りの迷宮が事件の舞台。全てが見通せる状況下で、果たして犯人はどのように犯行を行い、そして姿を消したのか。物理的なトリックが炸裂するのかと思いきや、きわめてロジカルな推理によってその謎が解明されていく流れは、美しいの一言!

ふたつの物語、いずれも先が見えそうで見えない、あとちょっとで全容が掴めそうなのに!と叫びたくなるような展開が続いていきます。故にページをめくる指が止まらないこと必至。

そしてその果て、怒涛の勢いで明かされた真実は、どこかファンタジックでもあり、それ故、どうしようもなく儚く美しいそれなのです。人間の身勝手さ、欲深さ、その怖ろしさを描きつつ、同時、それに振り回された人間の圧倒的な悲しみ、それでも人間であり続けようとした者たちの誇り、尊厳。

その姿が、か弱くも強い姿が、ひたと胸に迫ってくるような、悲しくも余韻あるラストも秀逸の一言。ミステリーの謎解きの美しさ、そして物語としての美しさも素晴らしい1冊です。

 

お次は葉真中さんの『凍てつく太陽』です。

昭和20年、終戦間際の北海道は室蘭。逼迫した戦況を一変させると言う陸軍の軍事機密、それをめぐり軍需工場の人間が相次いで殺害される。アイヌ出身の特高刑事、日崎はその捜査に加わるが『拷問王』の異名をとる先輩、三影に濡れ衣を着せられ、網走刑務所に投獄されてしまう、と言うのが本作品のあらすじです。

いやぁ~、めちゃくちゃ面白かったです。個人的には映像化されてもおかしくないほどの面白さ、と読了後、素直に思ったのですが。やっぱり題材的に映像化はちょっと難しいのかしら・・・ぐぬぬぬぬ。はい。

主人公の日崎、そして彼をはめた三影。更に日崎と出会うことになるヨンチュン。3人の男の、その出自や思想が時に激しくぶつかり合い、時に強く共鳴し合うのが、何よりも熱いのです。戦争や国と言った、何かしら大きな流れの中にありながら、それに翻弄されながら、しかし1人の人間として『自分が信じるもののために』行動を起こす者の姿と言うのは、その行動の内容の如何は別にして、やはり胸を打つものがあります。

『国やら民族は服みたいなもの』と言うような言葉を、ある登場人物が口にするのですが、なんだか今の世の中にも響くものがある言葉だなぁ、と感じました。どんな服を着ていたとしても、着せられていたとしても、その前に1人の人間として、どうありたいか。どう、目の前の相手に向き合いたいか。それこそが、それを考えることこそが大切なのではないかなぁ。

更に日本陸軍の、一発逆転の軍事機密とは何なのか。次々と、その関係者を殺害している連続毒殺犯の正体は何者なのか、と言ったミステリとしての謎も、ぐいぐいと物語を引っ張ってくれます。この辺り、正直、さほど驚くような真相ではなかったというふうに記憶しているのですが、だからこそ、いつの時代も変わらない組織の怖ろしさ、あるいは戦争で犠牲になるのはいつも弱い立場の人間であると言うこと。そうしたことを改めて感じさせられました。

作者らしい、読む者に対しての強烈な問いを孕みつつ、しかし同時にエンタメ作品としての面白さも抜群の傑作です!

 

次は月村さんの『東京輪舞』です。

かつて田中角栄邸の警備にあたっていた警察官、砂田は公安へと異動になる。そしてそこで、ロッキード東芝ココム、ソ連崩壊と言った時代を賑わせる様々な事件に関わっていくことになる。それらの事件には常に、警察内部の様々な思惑、組織としての腐敗、外部からの圧力などが複雑に絡み合っており、と言うのがあらすじです。

まさに一大巨編。だからこそ『残照』と打たれた最終章、私は泣いた。この章の中で砂田も涙を見せるのですが、その涙の感情は一体、何なのか。懐かしさ、悔しさ、悲しみ、愛おしさ、悔恨。そのどれもであって、どれでもないような。公安と言う組織の中で、それでも『正しさ』を明らかにするために闘ってきた砂田が、『自分は一体、何をやってきたのか』と問いかけるシーンは、あまりにも重く、残酷ですらあるわけですよ。それでも、たとえ空しく、残酷であったとしても、そう問いかけることができる、そしてどうであれその答えとなるような濃厚な時間を思い起こすことができると言うのは、私にはとても羨ましいことのようにも思えたのです。

砂田が関わることになる事件。その裏には、常にクラーラと言う謎多き女性の存在が見え隠れします。このクラーラと砂田との、形容しがたい関係性、ある種、同志と言ってしまってもいいような関係性も、非常に胸を締め付けるのですが。

物語のラストは、この砂田の問いに対する答えにも思えるような、幻影で終了します。クラーラの、全盛期の美しさ。老い、失われたその美しさを思いながら、しかしそれでも生きていくしかないと言う現実に押しつぶされそうになっているクラーラの、かつての彼女が口にする言葉がたまらなく切なかったのです。

やるだけやったのなら、受け入れるしかない。そうして生きてきた砂田であり、クラーラであるからこそ、なにひとつ報われることがなかった今に身を寄せ合うようにしても傷つくことだとわかっていたのだろう。そんなみじめなことは、できなかったのだろう。そこにも、その覚悟にも、その誇りにもどうしようもなく胸揺さぶられました。

極論、砂田もクラーラも、あるいは自分の人生を逞しく切り開いていった恵子も、見せかけの正義感だけを武器に政治家へと上り詰めていった阿久津も、警察に失望し新たな道へと進んでいった青野も、この物語に登場した様々な人物も、結局は、登り詰め天下りしたもののあっけなくこの世を去ってしまった和泉のようにいつかはこの世を去るわけであって、だとすれば束の間の生の中でもがき、苦しみ、喘ぎ、器用なものは欺瞞を振りかざし甘い汁を吸いつくし、不器用なものは必死に戦い傷ついていき、その結果の不平等な人生とは何と空しく何と悲しいものなのだろうと思わずにはいられなかった。でもだからこそ、戦い傷だらけになった砂田、クラーラの姿は孤独であり、美しいと言わざるを得ないとも思いました。

なんでしょうね。ほんと。月村作品の登場人物たちは、何故、こんなにも傷だらけの姿が似合うんですかね。そしてそれが、途方もなく美しいんですかね。なんかほんと、小説の登場人物だけれど『生きている』と言うそれを、読み手としてまざまざと実感させられるんだよなぁ~。

『平成』も過去のものとなってしまった『令和』の今だからこそ。改めて読み返したい『時代』と『人の営み』の物語です。

読め(でーん)

 

はい。そしてラストは東野さんの『沈黙のパレード』でございます。こちらは東野さん手掛ける人気シリーズのひとつ『ガリレオシリーズ』の9作目。去年、映画化もされ大ヒットしたことも記憶に新しいですね。

アメリカから帰国した物理学者、湯川のもとに、刑事の内海がやって来る。その内容は少女殺害事件に関することだった。少女殺害の容疑がかけられている男は、内海の上司である草薙が担当をするも、嫌疑不十分で釈放されていた。しかし釈放された男は、あろうことか、遺族の前に姿を見せては挑発的な態度をとる行動に出ていた。そのため、男は遺族が住む町の住人達からも恨みを買っていたのだが、町で秋祭りパレードが開催される当日、その男が何者かに殺害され、と言うのがあらすじです。

プロの方相手に、誠に失礼な感想になってしまうかもしれないのですが。東野さんの文章って、とにかくめちゃくちゃ読みやすいんですよ。過不足のない文章と言うか、シンプルなんだけど、必要な情報が、適切な量、しっかりと描写されている。あと登場人物の会話によって状況が説明される、物語が進んでいく、その構成も、どの作品を読んでも『うまいよなぁ~』と唸らされる、唸らされるんだけど、やっぱり自然で、そこがまた凄いよなぁ、と思わさせるのです。

まさしく『お手本!』のような文章、構成、描写で描かれる今回の物語。1人1人の『大切な人』を守りたいと言う、強い思い。それが連鎖となって、やがてひとつの結末へと繋がっていく流れは『もし・・・もし、もう少しだけ何かが噛み合っていたならば』と思わずにはいられないような切なさにも満ちているのです。この辺の、しっかりと人間の思いが描かれている作りも、うまいなぁ、とただただ感嘆するしかないのです。

『沈黙のパレード』と言うタイトルが、これ以上ない程にしみ込んでいく本作品。沈黙の裏側、そこにあるたくさんの人の強い思い。それが作り出す謎を、果たして湯川たちは解明することができるのか!?勿論、このシリーズらしく『科学』が事件の謎を解くカギを握っているのも、読みどころのひとつですよ!

 

はい。と言うことで以上、2019年の『このミステリーがすごい!』の振り返りでございました。

次回は2020年の振り返りですね。

2020年・・・つい最近のような気もするけれど、3年前。コロナに世の中が振り回され、なんだかとんでもないことになっていた年だったかな?緊急事態宣言も初めて出されて、あー、なんか思い出すだけでいろいろ、凄かった気が。

また2020年の振り返り記事の時には、その辺りも振り返っていきましょうかね。

 

ではでは。本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!