tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

『このミステリーがすごい!』を振り返ろう~1996年

はい。いいぞ、実に順調にお送りできているぞ、こちらのシリーズ記事。

てなことで『このミステリーがすごい!』30余年の歴史を、個人的に振り返っている記事でございます。

1989年から始まりまして、本日はタイトルにもある通り、1996年のランキングを振り返ってまいりたいと思います。はーい。

 

ではでは。まずはいつものように、1996年がどんな年だったかを見ていきましょうか。

前年度1995年は年明けに阪神淡路大震災、そしてそれから数か月後に地下鉄サリン事件と、大変な年だったのですが・・・。

 

ウィキで見てみたら『BUMP OF CHICKEN』の文字が目に飛び込んできたよ!

『一体、何があったの!?』と見てみたら・・・この年の2月11日に現在の編成で初のステージを踏んだ、とありました。

そうなのかぁ~・・・いやいや、それは長年、ファンをやっていながら知りませんでした。反省。

 

それから、ぱっ、と目についたのは・・・ジョンベネちゃん殺害事件か・・・。

これなぁ・・・なんか結局、事件として顛末はどうなったのかさっぱり、知らないんですけど、当時、ニュースで結構、放送されていたのは覚えているなぁ~。

ジョンベネちゃんがとてもおませな、確か美少女コンテストなども受賞しているような女の子だったんですよね。だからそうした映像も、とても流されていたような記憶があるなぁ・・・なー。

あと渥美清さんが亡くなられたのもこの年でしたか。『男はつらいよ』シリーズですよ・・・どうなんだろ、どれくらいの年齢の方まで、このシリーズのことご存じなのかなぁ?

個人的にバス旅行の際、バスの中で流される映画と言えば『男はつらいよ』シリーズか『釣りバカ』シリーズ、と言うイメージがあるのですが・・・20代、ひょっとして30代の方にも通じない話題なのかもしれない、と思って驚愕している(遠い目)

 

はい。なんだろ・・・なんかもっと明るい話題もあったはずなのに・・・どうして割と暗い話題ばかりをチョイスするのか・・・。

じ、次回、1997年こそは、明るい話題で振り返りたいと思います!

 

では。

1996年のランキングを見てまいりましょう。

ja.wikipedia.org

はい。いつものように、こちらをご覧になりながら記事を読んで頂くと、わかりやすいかと思います。

 

てなことで、1996年、この年にトップに輝いたのは・・・真保裕一さんの『ホワイトアウト』でございました!映画化されそちらも大ヒットしたので、そちらの方でご存じの方も多いかもしれない、真保さんを代表する一作と言っても過言ではない作品ですね。

 

で、ベスト10の中で私が読んだ作品を列挙していきますと・・・まずは9位、京極夏彦さんの『狂骨の夢』ですね。それから6位、藤原伊織さんの『テロリストのパラソル』、4位、再び京極さんの『魍魎の匣』、そして1位の『ホワイトアウト』でございます。全部で4作品ですね。

 

はーい。ではでは、早速、9位と・・・シリーズものとして2作品がランクインしたわけですから、4位も同時に振り返りましょうか。京極さんの人気シリーズのひとつ、百鬼夜行シリーズから、Wランクインです!

えーっと、9位の『狂骨の夢』がシリーズ3作品目、そして4位の『魍魎の匣』がシリーズ2作品目ですね。そうか・・・『狂骨の夢』って、私、もっとシリーズ後半だと思ってたけど、こんな早かったんだ・・・いや・・・この後の『鉄鼠』と『絡新婦』のコンボが、個人的にはもう強すぎて、強すぎて・・・悦。でも『狂骨』も好き。好き。

 

話がずれた。はい。てなことで百鬼夜行シリーズなので、前回の記事で紹介した『姑獲鳥の夏』と登場する主要人物は共通しています。古書屋を営む陰陽師京極堂こと中禅寺秋彦、冴えない作家の関口巽、刑事の木場修太郎に、天上天下唯我独尊変人探偵の榎木津礼次郎などなど。榎さん好き(どーん)。ただし新たな人物も続々、登場していますので、更に濃い人間関係、キャラクターの個性の殴り合いみたいな部分を(笑)楽しむことができるようになっています。

 

ではシリーズ順に紹介していきましょうか。まず4位の『魍魎の匣』ですが、こちらは孤独な少女2人が親交を深めていくところから、物語が始まります。2人の少女の内の1人、加奈子が何者かにホームから突き落とされ、列車に轢かれてしまいます。

その列車に乗り合わせていた刑事、木場修太郎は、2人の少女のもう1人、頼子と共に、加奈子が運ばれた病院へと向かいますが、そこで加奈子の姉で女優の柚木陽子と出会います。『加奈子を救える可能性があるところを知っている』、その陽子の意思により、加奈子は謎の研究所に運ばれ、集中治療を受けることに。

しかし厳戒態勢の中、加奈子は謎の失踪を遂げてしまいます。

一方、作家の関口巽、雑誌記者の鳥口、そして中禅寺秋彦の妹の敦子は、バラバラ殺人事件の謎を追いかけている中で、『匣』のような建物にたどり着き・・・と言うのが、大まかなあらすじです。

 

みっしり。

うふふ。本作を読まれた方なら、この言葉の意味、わかるはず。

みっしり。

 

好き。いや、もう、あんなに分厚い、それこそ凶器みたいな(笑)分厚さのある本なのに、あっと言う間に読んでしまったもんなぁ・・・ほーんと、面白かった。

相変わらず繰り広げられる京極堂の蘊蓄、それが事件の解決につながっていく快感。バラバラだった色々な出来事が収束して、それらすべてが綺麗に解決される快感。そして京極堂をはじめとする個性豊かなキャラクターたちの魅力。

もうね~、ほんと、すべてが面白いのよ。猟奇小説的な魅力もありつつ、ミステリ小説としての爽快感もあって。

あと本作品で主人公、と言うか、『お当番』を務める木場修の、不器用さと言うのも、個人的にはたまらんのですよ・・・木場修は、不憫でいて欲しい・・・そして榎さんに、徹底的にバカにされて欲しい・・・萌(鬼か)

 

そして9位にランクインした『狂骨の夢』は、記憶や夢と言ったものが、作品を語るうえで重要な役割を果たしている作品だと思います。

作家の関口は、大物小説家の宇多川から相談を受ける。それは彼の記憶喪失の妻、朱美の記憶に関するものだった。

一方、関口たちの友人で釣り堀を営む伊佐間は、逗子の海岸で『朱美』と名乗る女性と出会う。体調を崩していた伊佐間は、流されるがまま、彼女の家へと上がり込むのだが、そこで『朱美』から、彼女の過去にまつわる話を聞く。

更に逗子のキリスト協会に居候している降旗と牧師の白丘は、ある日、訪れてきた宇多川朱美から、とある懺悔を聞く。

それぞれの話が少しずつ絡み合い、やがて明かされる真相とは・・・と言うのが、簡単なあらすじです。

 

面白かったよね・・・うん。いや、このシリーズ、既刊、どれも面白いんですけど。本作は『姑獲鳥』『魍魎』と比べると、またちょっと違った、なんかそれこそ、どこかふわふわした印象があるんです。

夢とは何か、現実とは何か。そして記憶とは何なのか。記憶するとはどう言うことなのか。記憶していることと言うのは、本当に私の記憶で、私が記憶していることなのか・・・そう言ったことに対しての『こう言うものだ!』と言う感情が、ものすごく揺さぶられる、そんな作品だと思います。

勿論、そうしたものに対しての京極堂の蘊蓄も語りに語られ、そしてそれが実に不可思議な事件を解決する鍵になっているのもポイントです。この辺りもほんと、毎度のことながら知識欲がくすぐられて、面白いんですよねぇ~。

あと、この作品で主人公的な役割を果たしている伊佐間さんも、ちょっととぼけた味わいのある男性で、実にいい味を出しているのです。そしてそんな彼に対しての榎さんの対応が・・・好き(どーん)

 

榎さん、好き(何回目)

 

はい。ではではお次は藤原さんの『テロリストのパラソル』です。

いやぁ・・・藤原さん、2007年、59歳と言う若さで亡くなられているんだよなぁ・・・。早すぎる、あまりに早すぎる死としか言いようがない・・・もし、生きていらっしゃったら、もっと数多くの作品を残されていたと思うと、ただただ改めて、残念な気持ちがこみ上げてくるばかりですよ。うーん。

 

と言うことで本作は、藤原さんがギャンブルでかさんだ借金を返済するために、賞金1000万円を目当てに書き上げ、その結果、見事に乱歩賞を受賞、更には直木賞も受賞したと言う、いろんな意味で凄すぎる作品です。

・・・いや、こんなことある?(笑)

ちなみに乱歩賞と直木賞のW受賞を果たした作品は、今もなお、この作品が唯一でございますから・・・いやぁ、凄いわ。

 

主人公はアル中のバーテン、島村です。彼は20年前のある事件をきっかけに名前を変え、過去を隠すように生きていました。

ところがある日、彼が朝からベンチに腰掛けウイスキーを飲んでいる公園で、爆発事件が発生します。その事件の被害者の中に、自身の過去と深い関係がある人物がいたことを知った島村ですが、運悪く、事件現場に残されていたウィスキーの瓶からは彼の指紋が検出されます。そのことで、更には過去の事件のこともあり、警察に疑われた島村は、自らの手で爆発事件の犯人を見つけ出すことになる、と言うのが大まかなあらすじです。

 

実にシンプルな、短いセンテンスで紡がれる文章。そしてそこからにじみ出てくる、抑えた、しかし色濃い登場人物たちの、様々な感情。過去に対しての深い、深い後悔と、若かった自分に対しての苦い感情。しかしその一方で、そうした己の生き様に対しての、ある種の、くたびれた、強がりにも似た矜持。そうしたものが、事件を通して浮かび上がってきて、感情を押し殺して生きてきたはずの男を揺さぶる・・・。

 

ハードボイルド(うっとり)

 

ほんとね。めちゃくちゃかっこいいんですわ。なんてか、本当に染みると言うか。主人公は勿論なんですが、彼を取り囲む他の登場人物たちも、実に生き生きと描かれている。彼ら、彼女らのそれぞれの生き方も、またこれ、当然のことながらそれぞれの物語を形成していて、それが主人公の物語と重なり合うことで、全体として極上の物語になっているんですよねぇ~。はい。

ハードボイルド、と書いたので『うーん、私は苦手かもな』と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、そこは乱歩賞と直木賞を受賞した作品です!いい意味で、2時間ドラマや2時間の映画を見ているかのような、非常にわかりやすく、簡潔に、物語の『お約束』を存分に踏まえたうえでまとめられているので、非常に読みやすい作品だとも思います。

なのでぜひぜひ、読まれてみて下さい!染みますぜ!

 

そして96年度のランキングで1位を獲得したのは『ホワイトアウト』でございます!

私もそうですが、特に雪が多い地域に生活している方にとっては、ある意味ではおなじみと言うか。激しい吹雪によって、自分の位置が全く分からなくなる現象を意味するタイトルの本作品は、先にも書きましたが、映画化され、こちらも大ヒット。主演を務められたのは織田裕二さんでしたね。

 

主人公の富樫はダム運転員。彼は、同僚で友人でもあった吉岡と共に、遭難者救出のため、猛吹雪の中、出発します。しかしホワイトアウトのために富樫が下さざるを得なかった判断により、遭難者を救出することは叶ったものの、吉岡は死亡してしまいます。

 

その吉岡のフィアンセであった平川が、富樫の職場でもあるダムを訪れてきます。しかしその矢先、ダムはテロリスト集団に占拠されてしまいます。

ダムに続く唯一のトンネルはテロリスト達によって破壊され、吹雪のために自衛隊のヘリを飛ばすことすら叶わない状況。しかも要求をのまなければダムを破壊すると言うテロリストの脅し、そして人質の存在もあり、警察などが動くに動くことができない状況の中。

偶然、テロリストから逃げおおせることができた富樫は、単身、人質となっている職員、更には亡き同僚で友人のフィアンセであった女性を助け出すため、テロリストに戦いを挑んでいく・・・と言うのが、簡単なあらすじです。

 

めちゃくちゃ面白かった!いや、なんでしょ。この作品もまた、良い意味で、本当に2時間ドラマ、それこそ129分の映画にまとめられた作品なので、本当にエンタメの魅力がぎゅぎゅっ、と濃縮された、非常にまとまりの良い、読みやすい作品だと思います。

そして話の筋も、実にシンプル、わかりやすい!長々とあらすじ書きましたが、要は『ダム職員が、ダムを占拠したテロリストに戦いを挑む!』と言うお話です。

それが、実に映像的に描かれているので、本当に頭の中で富樫の孤独な戦いをまざまざと想像、再現できながら読むことができる。なので面白くないわけがなく、まさに手に汗握る読書時間を体験できるのですよ。

 

更に、お話の筋は簡単ながら、そこにしっかり登場人物たちの人間ドラマが描かれているのも、本作品の魅力です。富樫と吉岡、そして吉岡のフィアンセである平川。3人の男女のドラマは勿論なのですが、ダムを占拠したテロリストたちのドラマと言うのも、めちゃくちゃ面白いんですよ。

一見すると、テロリストとして一枚岩に見えなくもなさそうな彼らなんですが、実は・・・と言う展開が、実にお見事。ともすれば『青年がテロリストに孤独な戦いを挑むぜ!』だけで終わってしまいそうな、単調になってしまいそうな物語に、大きな驚き、そこから更なる展開を迎えると言う構成はさすがの一言なんですよねぇ~。

またネタバレになってしまうので、ここで詳細を書くのは差し控えますが、彼らの『正体』と言うのもね・・・ほんと、当時、作品を読んだ時には『かっはー!そうきたか、そうきたか。かっはー!』と、もう、いろんな意味で頭を抱えましたよ。

くぅ~・・・これは、富樫にとってはしんどい。しんどいんですけど、だからこそ、この物語、富樫がテロリストに挑む、と言うこの物語は、なんかもう運命的にすら感じられて、めちゃくちゃ胸が熱くなりました。しんどいんですけどね・・・うん。私が富樫だったら、ほんと、一生、立ち直れないわ・・・。

 

『戦いのプロでもない青年が、テロリストと戦って勝てるわけがないやろ』と言うツッコミは、無粋よ!

圧倒的な数と武力の差を前に、同僚と亡き友人のフィアンセを守る、更にはダム破壊と言う暴挙を止めると言う熱い気持ち。更には熟知しているダム周辺の知識を武器に、テロリストから奪ったアサルトライフルを手に、孤独な戦いに挑んでいく富樫の姿には、胸が熱くなること必至です!

 

ちなみに、小説と映画では、細部に結構、変更があるようです。成程。ですが大まかなあらすじや展開には違いはありませんので、小説から読んでも、映画から見ても、どちらが先でもどちらが後でも問題はないと思います!

サスペンスとアクションの面白さが融合した、まさに金字塔的な作品のひとつだと思いますので、ぜひぜひ、まだ触れたことがないと言う方は、読んでみて、見てみて下さい!

 

はい。てなことで1996年のランキングを、私が読んだ作品のみですが振り返ってまいりました。

お次は1997年ですね。引き続き、お付き合いいただけると幸いです。

 

ではでは。本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!