tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

1が付く日の読書感想文~今年ラストでございます

はい。てなことで本日は21日。1が付く日なので、読書感想文を書く日です。

31日も通常であればこの記事を書いているのですが、まぁ、大みそかなのでね。12月に限っては、31日はお休み、なのでタイトルにも書きましたが、今年ラストの読書感想文記事でございます。

 

ストックは切れた。しかしありがたいことに、読書はさせて頂いているので、どうにかこうにか、記事は続けられています、はは(遠い目)

 

てなことで、今年ラストの作品は、どれにしようかと迷ったのですが・・・。

直近で読んだ本にしようと言うことで、こちらの作品となりました!

それが澤村伊智さんの『予言の島』です。

 

澤村さんの作品と言えば、比嘉姉妹シリーズはすべて読んでおり、ブログでも記事にしましたね。なので私にとっては、初、比嘉姉妹シリーズ以外の澤村さん作品でございます。てなことで、ドキドキしつつ読んだのですが・・・。

 

いやぁ、めっちゃ面白かった。これは毎回、書いていることなんですけれど。

プロの作家さん相手に、この言葉は失礼だと言うのは承知しているんです。それでもやはり澤村さんの作品を読むと、文章がうまい、としみじみ思うんですよねぇ。

文章がうまい。日本語の選び方、使い方がうまい。そして表現がうまい。だから小説として、読者に入ってくる情報は文字だけなのに、めちゃくちゃ世界観の雰囲気や登場人物たちの表情、感情とかが伝わってくるし、想像力を喚起させられる。

そしてこちらの作品も、やはり大雑把なジャンル分けをするのであれば、比嘉姉妹シリーズ同様『ホラー×ミステリ』なので、もう読んでいてドキドキ、ぞくぞくが止まらない。ページをめくる指も止まらないと言う(笑)

 

ではでは、早速、本作品の簡単なあらすじです。

天宮淳は幼馴染たちと共に、ある島を訪れます。その島の名は霧久島。かつて世を賑わせた霊能力者、宇津木幽子が最後に遺した予言を場所でもあります。その予言の内容は、淳たちが島を訪れたタイミングで、島で死者が相次ぐと言う内容です。

淳たちは島へと上陸しますが、予約していたはずの宿は『ヒキタの怨霊が下りてくる』と言う理由でキャンセルされていました。それでも無事、新たな宿を見つけることができた淳たちですが、翌朝、滞在客の1人が遺体となって発見されます。

そしてここから、淳たちは、宇津木幽子の予言が実現しているとしか思えないような、まさしく呪われた惨劇に見舞われる・・・と言うのが、大まかなあらすじです。

 

てなわけで、この作品の感想を語るうえで、個人的にはふたつのポイントのわけたいと思っております。

まずひとつは『ホラー』と言うポイントです。今回の作品において、もっともホラーらしい部分だと私が感じたのは、予言、あるいは呪いの部分です。

一世を風靡した超霊能力者が残した予言。そして島の住人たちが恐れている呪い。このふたつが両輪となって様々な事件が発生、読者としても『これは本当に予言が当たっていたのでは!呪いが存在しているのでは!』と言う、なんだか追いつめられるような気持ちに駆られるのです。このあたりはさすがだわ。

 

なのですが・・・ネタバレになるかもしれませんが、呪いの正体については、作中で具体的なもの、あるいは現象として明かされます。そしてまた呪い、あるいは予言を、そうたらしめているものについても、とある登場人物の口から語られるのですが・・・これがめちゃくちゃ納得できるものだったと言うか。ものすっごい、共感できたと言うか。『言霊』って言葉があるじゃないですか。その存在や、その言葉の意味、『言霊』と言う漢字である意味や理由みたいなものを、まざまざと感じさせられました。

 

呪いを呪いとして成立させてしまっている。予言を予言として成立させてしまっている、そこまで追い詰められた人の心境を、だけど私には決して笑い飛ばすことはできませんでした。

そこに全てを委ねるしかなかった、そこに全てを託すしかなかった、『呪いなんて、予言なんて』と笑い飛ばしたいのに、それができず、それどころかずぶずぶと深みにはまっていってしまった、とある登場人物の姿が、本当に気の毒で、切なくてなりませんでした。

なんてか、そう考えるとほんと『呪い』はこの社会の中、そこかしこに溢れ、存在しているようにも思えて、それもまた恐ろしい。

 

ホラー的な要素を、そうとして描きつつ、だけどそれを通して、人の普遍的な心理などをあぶりだして描く様は、比嘉姉妹シリーズにも共通している、まさに澤村さんならではの作風だと思いました。はい。

 

その予言の存在を通して、終盤、もう読者としてはドキドキが止まらない、鼓動が早鐘打ちすぎて、どうにかなりそうよ!と言う展開が待ち受けているんですよ。

『ですよね。あと1人ですもんね。で、ここにいるのは2人ですもんね。どうするよ!どうするよっ!』と言う具合です。

 

そこで、その緊迫した感情が破裂したような惨劇が引き起こされてしまうんですけど・・・その後に『?』と思うような描写が出てきまして・・・。

 

てなことで、次のポイントは『ミステリー』でございます。ミステリー的な部分、騙し、トリックと言う部分に焦点にあてての感想なのですが・・・。

先ほど書きました『?』と思うような描写が出てきて、そこで、とんでもないネタ晴らしが登場すると言う流れになっております。アレですね。作品の惹句として書かれている『すべての謎が解けた時、あなたは必ず絶叫する』と言う部分だと思います。はい。

 

アマゾンのレビューを見る限り、この部分、いわゆる『驚きの結末!』に関しては賛否両論あるようですが・・・私は、めっちゃ『ぞくぅ!』としました。背中が。

 

ってか最初、『?』と感じた描写を読んで、そしてその理由、種明かしがされた部分を読んだ時は、わけがわからなかったんですよ。

ところがじょじょに、その全容が明らかになっていくにつれて『ひ、ひぃっ』となりまして。はい。絶叫はしなかったんですけど、なんだろ、こー、わかりやすいインパクト大の恐怖じゃなくて、じわじわ来る、粘着性を感じるような恐怖、それをひしひしと感じてきて『ひいっ!』となったと言う(笑)

 

ただこの驚きの結末、騙しの部分。一見すると、あまりにも突然すぎる描写だ!と思われる方もいらっしゃるかもしれないのですが、個人的にはそんなことはなく。

と言うのも、お馬鹿極まりない私ですら、作中、ところどころにその伏線と思えるような違和感、小さな違和感を何度も、何度も感じていたからです。

『あれ?なんかちぐはぐだよね』とか『やたら描写がしつこいなぁ~』とか。

でも結末を知った後には、その理由も明らかにされるので、その時の爽快感ったら(笑)

 

そしてこの種明かしを知った後に、そこに至るまでの物語を振り返ってみると・・・もうめっちゃホラー。まさしくホラー。

ネタバレになるので詳しくは書けないのが悔しいのですが・・・ほんと、何と言うか、私は、ぞわっ、ときました。その種明かしの部分に・・・ダメだ、いろいろ言いたいのですが、どうしてもネタバレになってしまいそうな気がするから、黙っておこう。

 

怖い。種明かしを知ったうえで、そこに至るまでの物語、小さな違和感を積み上げてきた物語を読むと・・・じとー、っとした(以下ネタバレのため自粛)

 

はい。まぁ、当然のことながら読まれる方により受け取り方、感じ方は様々だと思いますが、私はこの部分に関しても、めちゃくちゃ大満足。驚きと共に恐怖、あるいは不快感のようなものを存分に感じさせられました。

 

だな・・・これもまた呪い、だったんだよなぁ・・・。

 

ホラー的な部分のみで止めておけば、このミステリー的な騙しは不必要だったのでは、と言う意見も見受けられましたが。

私は、この騙しがあったことで、よりこの作品のホラー的な部分、呪い云々の部分に深みが出たと思うのですが、いかがでしょうか。

 

はい。そうして迎えた最後は、なんとも切ない、だけどある登場人物の新たな一歩、それを踏み出す気持ちに、わずかな光を感じずにはいられない、そんなものになっています。この後味も、私としては好きでございます。

 

『呪い』に縛られ、人生を翻弄された人間たちの『呪い』を破る物語。そうして自分の人生を取り戻す物語。すべてを知り、この作品を読み終えた今は、そんなふうに思う作品です。

 

ちなみに。

こちらの文庫本の表紙には、とある仕掛けがされているとのことで・・・私は最初、その答えを知っても、何のことやらさっぱりわからなかったのですが・・・。

凄いですねぇ、人間の脳って。

『あぁ、こう言うことか』とようやく、その仕掛けが見えてからは、もうそのようにしか見られなくなったと言う。

アレですね。騙し絵とか、隠し絵とか。そう言うのが得意な方は、割と早くに、その仕掛けに気が付かれるかもしれません。はい。

 

てなことで、今年最後の読書感想文記事は、これにて終了です!

いやぁ、今年も読書を楽しむことができて、本当に良かったなぁ~。

ありがたい、ありがたい。来年も、この調子で読書を楽しむことができますように。

あと、面白い作品にたくさん出会えますように。

 

ではでは。本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!