ここのところ、ずーーーーーーっと(笑)、秋アニメ1話記事をアップしていましたが、ちょろっとだけ視聴ラッシュも落ち着いたので(いや、ほんとにちょろっとだけね(笑))、その隙に、今日はこちらの記事をお送りしたいと思います。
はい。てなことで東野圭吾さんの人気シリーズ、テレビドラマ化もされているので、読んだこと、見たことはなくてもご存じの方も多いことでしょう。
物理学者、湯川学が様々な難事件に、科学の力で対峙していくミステリシリーズ『ガリレオシリーズ』
最新作『透明な螺旋』が発売されたばかりなのですが、今回はそのひとつ前の作品で文庫化されたばかりの『沈黙のパレード』の感想を書いていきたいと思います。
ちなみに。
こんな場末のブログで私が紹介しなくとも、皆さん、ご存じだとは思いますが。
『ガリレオ』こと湯川は福山雅治さんが演じていらっしゃいます。更に彼と大学のテニス部の同期で刑事の道へと進んだ草薙は北村一輝さんが演じていらっしゃいます。またその草薙の部下で、ドラマ版に伴い誕生した女性刑事、内海は柴咲コウさんが演じていらっしゃいます。はい。
で。
タイトルにも書きましたが『沈黙のパレード』は2022年、映画公開も予定されています。それで今のところ、詳細なキャストは公表されていないのですが、上に書いたお三方、いわば『ガリレオシリーズ』のメインキャラクターとも呼べる3人を演じる福山さん、北村さん、柴咲さんのお名前は、既に出演者として紹介されています。はい。
てなことで、まずは『沈黙のパレード』の簡単なあらすじです。
静岡のゴミ屋敷で発生した火災。その焼け跡から、若い女性の遺体が見つかります。その女性は、3年前、東京で失踪した女性でした。
彼女の失踪、および殺害に関与しているとして逮捕されたのは1人の男。しかし彼は23年前、少女殺害事件でも逮捕されたものの、徹底的に沈黙を貫き通した結果、証拠不十分で無罪となった人物でした。
その事件で男を逮捕した草薙は、今度こその思いで捜査を続けますが、またも男は証拠不十分で釈放されてしまいます。
失踪、そして時を経て変わり果てた姿で発見された若き女性。その女性が家族と共に生活していた町で、毎年恒例のパレードが行われたその日。
逮捕されたものの釈放された男が、殺害されます。しかしその死には、不可解な謎が残されていました。
草薙たちは当然、男に恨みを持つ人間、すなわち失踪した女性の家族やその関係者たちに捜査の目を向けますが、彼ら、彼女らにはそれぞれアリバイがありました。草薙、内海は、湯川に助言を仰ぎますが・・・、と言うのが簡単なあらすじです。
はい。
で、ここからは感想ですが。
いつも読書感想文で書いているのですが、私、いまいち『どこからがネタバレで、どこからがネタバレじゃないのか』と言うのがわかっていません。
ただミステリ小説において、その犯人を明かしてしまうのは究極のネタバレである言うことくらいは承知しています。
ですのでこの記事でも、本作の犯人、その名前を明記することはしていません。
一方で、本作の流れや見せ場のようなものを紹介するような内容にはなっているかもしれません。
そのため『嫌よ、私は映画公開まで何も知りたくない!』と言う方や『自分で楽しく読みたいんだよなぁ』と言う方は、どうぞ今すぐ、この画面を閉じていただくようお願いいたします。
はい。
ではでは感想です。
あー、あのですね。
これ、ほんと『沈黙のパレード』と言うタイトルが、もうめちゃくちゃ巧い!と。
読み終えてからは勿論なんですけれど、こー、物語の終盤で思わぬ展開が待っているんですね。うん。その時に、もうこれ以上ないという程に『沈黙のパレード』と言うタイトルが、本当に意味を持って読み手側の胸に迫ってくると言うか。
思わず膝を打ちたくなるくらいに、本当にぴったりなタイトルなのです。
てなことで、この作品を貫いているのは、ずばり『沈黙』です。
誰が何を、何のために沈黙しているのか。
それがこの物語の最大の謎であり、かつ見せ場だと思いました。
あらすじでも書きましたが、最もわかりやすい『沈黙』は、殺された男のそれです。
若き女性の失踪、またその殺害に関与しているかもしれない、その男。
かつては少女殺害の容疑で逮捕された、その男。
しかしいずれの時も男は『沈黙』を徹底的に貫き通すことで、自由の身となっています。
果たして男は本当に無実なのか。それとも・・・と言うのは、ぜひとも、本作を読んでご確認くださいね・
失踪した若き女性を愛していた人々。
彼女の家族であったり、恋人であったり。あるいは彼女の歌の才能にほれ込んだ夫婦であったり、彼女の家族と親交のある人物であったり。
男が殺害されたことで草薙たちが捜査することになるのは、そうしたごくごく普通の、どこにでもいるような人々です。
そしてその人々もまた、それぞれに『沈黙』を抱えています。
物語の行方は、ガリレオの助言により捜査の対象を広げていくことで、思わぬ人物が男の死に関わっていた、と言う展開を見せます。
そしてまたその思わぬ人物も、ある人のことを思って『沈黙』を守り通そうとします。
この辺りの、その『沈黙』の裏側を探るようなスリリングさ、それと同時、『沈黙』を貫こうとする人々の思い(殺害された男は除く)の切なさのようなものは、読みごたえがたっぷりなのです。
またもうひとつ、このシリーズの魅力と言えば、やはりガリレオこと湯川による、科学の視点で謎を解いていくと言うところでしょう。
と言うことで本作品でも、その魅力はさく裂しています。
男が殺害された現場の謎。それを科学的視点、知識で解明していく流れと言うのは、正直、100%文系人間の私にとっては『ほへー・・・そんなことがありうるのかぁ』と驚きの一言でした。
もしかしてもしかしたら、科学や化学に詳しい方は『これはもしかして、もしかすると・・・』と気づかれたりするのかしら。
ただ個人的には、先ほども書きましたが、終盤に待ち受けていた展開がめちゃくちゃ面白かったし、めちゃくちゃ『あー『沈黙のパレード』や~!』と唸らされるようなもので『さすがは東野先生だなぁ』と、もう、ただただ感嘆するしかなかったと言う。
男を殺害したのは誰か。
幾多の『沈黙』を潜り抜けた先、それは明らかにされます。
ただそこから先のね。
その犯人の『沈黙』は何か。
その犯人が『沈黙』する理由は何か。
湯川が、それを明らかにするために、ある人物のもとを訪ねます。
そしてそこから湯川とその人物、2人だけの会話で明かされる、その人物が『沈黙』し続けてきた知られざる物語の存在。
それが明かされる流れが、もう読ませること、読ませること。
またその物語を知ることで、事件、この作品内で描かれていた事件の全容と言うか、真実もがらりと変わるんですね。まさに景色が一変したかのような、その感覚と言うのは、もう良い意味で鳥肌ものです。
ある男の死。それを通してしっかり、シリーズらしい謎解きを用意し、更にはそこに思いもしていなかったような要素を組み込む。そうして一度はその謎をきれいに解明しておきながらも、そこから更に追い込みをかけるような展開を繰り広げていく・・・もう、これは『さすが!』としか言いようがないな、と完敗です(どーん)
また何と言うか、その真相に隠されていた人間の感情、機微と言うのも、読ませるんだよなぁ・・・。
なんだろうかなぁ
東野先生の文章ってものすっごい読みやすいんですよね。うん。
派手さがあるわけでも、逆に地味すぎるわけでもない。なんだろ、語弊がある言い方かもしれませんが、文章や文体としては決して特徴がある、とは言い難いと思うんです。うん。
でもとにかく読みやすい。必要なところに、必要な文章や表現が、必要量、書かれている、とでも言いますか。はい。
だからこそ、読み手としてはより一層、こー、それで描かれている登場人物たちの気持ちなどを推し量る、その楽しみが生まれやすいような気がします。
はい。てなことで、ざっと感想を書いてまいりましたが。
さぁ、気になるのはキャストですね。
個人的には、天性の歌の才能を持ち、ある夫婦に見初められそれが花開く寸前に、しかし失踪し、無残な姿で発見された若き女性、佐織を誰が演じられるのか、めちゃくちゃ興味があります。
それからその佐織の歌の才能にほれ込んだ夫婦、新倉夫婦もどなたが演じられるのかなぁ。特に奥さんの留美さんは、私の中ではとても儚げで、それが透明な美しさになっているような、そんな雰囲気を想像したのですが・・・具体的に誰、と言われると、なかなかこれが難しい(笑)
そして男です。数々の容疑をかけられながら、しかし沈黙を守り通すことで自由を手に入れた男・・・名前は蓮沼と言うんですけどね。
まぁ~(溜め)、こいつのキャラクターも、本当によく描かれているんです。本当に、こいつが出てきて、何かしらの行動をとるたび、腸が煮えくり返るような思いがする、それくらいに、端的に言えば人間の屑みたいな奴なんです。まぁ、こいつがそうなったのには、理由らしい理由もあるのですが・・・それにしても、本当に腹が立つ男なのです。こうやって書いて思い出していても腹が立ってくる(笑)
そんな男をどなたが演じられるのか・・・ある意味、役者としてはとても演じ甲斐のある、そしてまたおいしい役だと思うのですが・・・ほんと、徹底的に屑として、人間の屑として演じていただきたいなぁ。
でも人気のある『ガリレオシリーズ』の映画ですからね。
きっとすべての登場人物、隙のない俳優陣が演じられることだろうなぁ、と勝手に予想しているのですが・・・果たしてどうなりますことやら。
てなことで。
本日は2022年に映画の公開も予定されている、東野圭吾さんの『沈黙のパレード』の感想を書いてまいりました。
皆様もぜひ、読まれてみて下さいね。
ではでは。本日の記事はここまでです。
読んで下さりありがとうございました!