tsuzuketainekosanの日記

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映画『パラサイト』の感想です~ネタバレ含む

今日から2月ですって。早いわねぇ~。

ついこの間、年が明けたばっかりですよね?

早いわねぇ~。

こうして人生、あっという間に終わっていくんでしょうね(大げさ)

 

と言うわけで本日は、遅まきながら(ほんとだよ)テレビで放送された映画『パラサイト』の感想を記事にしたいと思います。

 

『パラサイト』、映画公開される前から話題になっていて、いざ公開されてからも見に行きたかったんですよね~。ところがどっこい、その頃からコロナの脅威が騒がれ始めたもんだから、『なんか映画館に行くのも怖いしなぁ~』みたいな感じで、結局、テレビ放送を待つことにしたのであります。

(訳:とかコロナのせいにしてますけどね!本当は映画館に足を運ぶのが面倒くさかっただけですよ!)

 

はい。まぁ2年後くらいにテレビで放送されればいいかな、くらいに思っていたのですが、さすが話題になり大ヒットをおさめた作品ですね。

ほぼ1年後にはテレビでノーカット放送されたわけですから、いやぁ、ありがたい!

 

と言うわけで感想の前に、早速、簡単なあらすじを。

ここからは結末を含め、ネタバレを含みます。なので『まだ映画、見てないし!自分で見るまでは絶対にネタバレ、踏みたくない!』と言う方は、今すぐ、この画面を閉じて下さいね。よろしくお願いいたします。

 

はい。ではあらすじです。

物語の主人公である青年(息子)は、父と母、そして妹と共に半地下のアパートで生活しています。一家全員失業中、ピザ屋の宅配用の箱を組み立てる内職でどうにか食いつないではいるものの、近所のパスワードがかかっていないWi-Fiを利用するなど、その生活は決して人並みとは言えないものです。

 

ところがある時、息子は友人からひとつの石を譲り受けます。それは持つ者に富をもたらすと言う石です。そしてまた、名門大学に通うその友人から、息子は、パクと言う金持ち一家の娘の家庭教師をやらないか、と提案されます。

息子は一度はためらうものの、高い報酬にその仕事を受けることを決心。名門大学の入学証書を偽造し、パク家に乗り込んだ息子は、言葉巧みに娘と娘の母親、つまりパク夫人の心を掌握します。

そしてその後、一家のたくらみによって妹はパク家の息子の家庭教師して、そして父親は運転手として、母親は、一家の連携プレーにより職を追われた家政婦の代わりとして、パク家に雇われます。

ところがそんな4人に対して、妹が家庭教師をすることになったパク家の幼い息子だけは、同じ臭いがすることに気がつきます。

 

ある日、パク一家が家を留守にします。パク家息子の誕生日をキャンプで祝うためです。それを良いことに息子一家は、パク家で好き放題、将来の夢を語る時間を過ごします。ところがそこに思わぬ来客が。それは、息子一家によって家政婦を解雇された、前の家政婦でした。

実は前の家政婦は、借金取りに追われていた夫を、パク家の地下室に住まわせていたのでした。その真実が明かされた際に、ひょんなことから息子一家の正体が前の家政婦に明らかになってしまい、脅迫されてしまいます。

更にパク一家が大雨のため、急に帰宅してくることになり、息子一家は前の家政婦とその夫の手足を縛りつけ、再び、地下室へと隠蔽します。

前の家政婦の夫は、自分たちの窮地を、家の電灯をモールス信号の規則に従い点滅させることで外に訴えかけます。しかしそれは、パク家の息子にしか気づかれず、状況が変わることはありませんでした。

 

翌日。大雨のために実行が叶わなかったパク家の息子の誕生パーティが、盛大に開かれます。その盛り上がりをよそに、息子は、友人からもらった富に恵まれると言う石を手に、地下室へと足を踏み入れます。ところがその石で逆に、前の家政婦の夫に殴られ意識を失ってしまいます。

 

そして前の家政婦の夫は、包丁を手に誕生パーティーで盛り上がる、パク家の庭へと姿を現します。その凶行により息子の妹は命を落としてしまいます。そのことに激高した息子の母親は、自らも傷を受けながら、バーベキュー用の肉串で、前の家政婦の夫を刺し殺します。更に息子の父親は、前の家政婦の夫の体臭に顔をしかめたパクの反応に、衝動的にパクを刺殺してしまうのでした。

 

数週間後。昏睡状態から目覚めた息子は、かつてパク一家が、そして自分たち一家が住み、働いていた大豪邸を見下ろすことができる山へと足を運んでいました。それは家の電灯の点滅がモールス信号になっていたためです。

そのモールス信号は息子の父親からのメッセージでした。息子の父親は事件後、豪邸の地下室へと逃亡していたのです。そして今なお、事件のことを知らない外国人によって購入された豪邸の地下室に住まい、そこで孤独な生活を続けることを決心した、と言う息子の父親の思いを、そのモールス信号は伝えていました。

 

その思いを、メッセージを受け取った息子は、決心します。いつの日か、あの豪邸を購入することを。そしてその地下室で孤独に生活している父親を解放することを。そのために必要な金を稼ぐ、その誓いを胸にした息子の姿を映したところで終了です。

 

いやぁ・・・どうですか?

個人的にはですね、まず、家政婦の前の夫が包丁を手に、パーティ会場へと乱入して、気が振れてしまった笑顔で次々と凶行に及んでいくシーンが、もうたまらなく『あぁ、韓国映画だ・・・』と感じさせるシーンでした。

めちゃめちゃシーンとしては、当然のことなんですけど明るいんです。

パク家の息子を皆がお祝いしている。

そしてその会場である庭は、前夜の大雨が嘘だったかのよう、美しい晴天。

色彩としても、そして雰囲気としてもとにかく美しい、明るいシーンなんです。

 

でもそこに、正気を失ってしまった闖入者がやってきて、包丁を振りかざす。

美しい青空、晴天は何ひとつ変わらないままなのに、一転、人々は悲鳴を上げ逃げまどい、刺された者の体からは血が止まらず、凶行は止むことなく、次々と人が傷つけられていく・・・と言う、一連の流れがですね。

狂気と言うのは、その果ての凶行、理不尽な出来事と言うのは、特別でない日常に(誕生日パーティーと言うのは特別な時間と言えばそうかもしれないのですが、多分、パク家にとっては、こういう催しと言うのは日常だと思うんです)あるものではなく、普通の、ごくありふれた日々の中にあるもので、ある日、それが突然、『私たち』の前に姿を現すものなんだ、と言うメッセージのようなものが、もう、個人的にはめちゃめちゃリアリティあるように感じられて。

 

だからこのシーンと言うのは、めちゃめちゃ怖くて、空恐ろしかったんです。でも、その恐ろしさとあまりにも不釣り合いな、変わらない晴天の美しさや、完全にあっち側の世界へと行ってしまっている、前の家政婦の夫の、ともすれば楽しそうにすら見える表情とかが、むしろおかしくすら思えてきて、怖いけど笑っちゃうみたいな感情が、私の胸の中には渦巻いておりました。はい。

こういう鮮烈なコントラストの描き方と言うのは、なんか強烈に韓国映画っぽいよなぁ、と思ったのですが、皆さんはいかがでしょうか?

 

ってかあれか。豪雨の夜で隠されていた、主要キャラクターの『本性』みたいなものが、晴天の昼間で暴かれた、明らかにされた、まさしくと白日の下にさらされた、ととらえることもできるシーンなのかもしれないなぁ。

 

そしてこの流れの中で、息子の父親は、パクを刺殺します。失神してしまった自分の息子を病院へ連れていくため、車の鍵を寄こすように怒鳴ったパク。

言われるがまま、パクにキーを投げる息子の父親でしたが、そのキーはもみ合う前の家政婦の夫と息子の母親の間に落ちてしまうのですね。でも、自分の娘を刺された息子の母親は、自分も傷つけられながら前の家政婦を刺し殺し、そのお陰・・・と言う言い方もおかしいですが、パクはキーを手にすることができるんです。

でもその時に、パクは、前の家政婦の夫の強烈な体臭に顔をしかめ、後ずさりします。

その反応に、息子の父親はパクを刺殺してしまう、と言うわけですが・・・。

 

体臭って、目に見えないものでありながら、だけどその人の印象を大きく左右し、またその人の生活状態などを物語るものも、そうそうないような気がします。

私も接客業ですが、ぶっちゃけ、体臭のきつい人とか、ものすごーく個性的な体臭を刺せている人などがいらっしゃると、思わず『おっ!?』と顔をしかめてしまっているような気がします(マスクがあって本当に良かったよ!)

 

前の家政婦の夫ほどでないにしても、息子一家にも貧しい生活故、それなりの体臭があることが、作中では描写されています。そして後半、大雨による水害でその体臭、特に息子の父親のそれが強くなってしまい、パク夫人がそれに顔をしかめる描写と言うのも登場します。

 

息子一家とパク一家では、目に見えて生活レベルの違いがあり、その貧富の差と言うのは歴然としています。そしてそれだけでなく、その目に見える差と言うのが、目に見えない体臭と言うものの差まで生み出し、息子の父親は、そのことで露骨に顔をしかめられるような目に遭っています。

 

前の家政婦の夫と言うのは、息子の父親にしてみれば、ありえたかもしれない自分の姿、だったのかもしれません。そうなりたいはずなんてなかったのに、気が付けばそうなっていた。人並みの生活を送ることすらできず、孤独に、人目を忍んで生きるような道へと落ちていた。その虚しさや苦しさ、辛さ、あるいはこの先、だからと言ってこの先、人生が大逆転するような希望もない、ただただ日々がやって来ると言う絶望。

 

息子の父親にとって、パクが、前の家政婦の夫の体臭に後ずさりしたのを目にした瞬間と言うのは、心の中に渦巻いて、それでもどうにか抑え込んでいたそうした感情が、目に見えない体臭となって前の家政婦の夫を、そして自分を覆っていると言う現実を突き付けられた瞬間だったんでしょうね。

また同時、それに対して露骨に嫌悪、忌避、蔑む素振りを見せたパクに対しての怒りや失望が爆発した瞬間でもあったんだろうなぁ。

 

おまえと俺の差は、一体何なんだ、と。

 

勿論、息子の父親はその答えを痛いくらいに知ってはいただろうけれど、それでも、富と言う目に見えるものを持っている、ただそれだけで、体臭ひとつに顔をしかめ、露骨に人を蔑むお前は一体、何様なんだ、と。

 

あるいは息子の父親にしてみたら、パクの姿と言うのも、憧れであるがゆえに、今の自分からは遠すぎる存在であるがゆえに、少しの歯車がうまくかみ合ってさえいればなりえていたかもしれない自分の姿、のように思えていたのかもしれません。

だからこそ、なおのこと、自分とパクの間にある目に見える差に直面した時、だけどその差を生み出した根本的な原因と言うのはわからないままで、そうであるにもかかわらず、露骨にパク夫人と同じように自分たちを見下したパクに対して、怒りや失望がこみあげてきたのかなぁ、とか。

 

あとはもしかしたら、息子の父親から見てみると、前の家政婦の夫だけでなく、パクが自分の妻、つまり息子の母親の体臭に顔をしかめたように見えたのかもしれない・・・とも考えると、また息子の父親の怒りや失望と言うのも、切ないと言うか何と言うか。

 

はい。そしてラストです。

 

いやぁ・・・どうですか?皆さんはどう思われましたか?

私はもう、この上なく悲しい、救いもないラストだと思いました。

 

あらすじでも書きましたが、息子は金を稼ぐ決心をします。あの豪邸を買うために。ひいては、地下室で孤独な生活を送っている父親を解放するために。

 

で、実際、将来、それを実現させた息子が、父親と再会する場面と言うのが登場するんです。息子が決心を語るモノローグに合わせて。

ぶっちゃけ私はそれで一瞬『あー、良かった!息子は無事、その目標を実現させることができたんだね!』と思ったのですが・・・マンマトダマサレタヨ(笑)

 

しかし、だからこそ、なんです。

短い時間ではありますが、息子が『豪邸を買う』『父親を解放させる』と言う目標を実現させたかのようなシーンがはさまれたからこそ、その後、息子の孤独な姿が、現実が、今がクローズアップされたことで、より一層の悲しみ、絶望がこみあげてきたと言いますか。

 

まぁ、この辺りは、ネガティブシンキングを得意とするか、ポジティブシンキングを得意とするかで大きく変わってくるんだろうなぁ・・・。

『いや、そんなんわからへんやろ!災い転じて何とやら、で息子、この後、めっちゃ仕事頑張って、お金稼いで、目標を実現させるかもしれへんやないか!』とか。

『まぁ、目的は実現できないかもしれないけど・・・でも、これを機に息子は仕事を得ることができて、残された母親と共に、静かに、人並みの生活を送れるようにはなるんじゃないかな』と言ったご意見もあるかと思いますが・・・。

 

す、すいません・・・。

私の中にはもう、息子は一生、あのまま。

あのまま、人生を過ごしていく絵しか浮かんでこないのでございます・・・。

 

万歳ネガティブシンキング人間!

 

このあたりの感想を、映画を見た方と語り合ってみると楽しいだろうなぁ。

 

個人的にはパク家夫人。純粋を通り越して、もはや透明な害悪と評してもいいようなくらいに(笑)疑うことを知らない、そして自分で考えることを放棄してしまっているパク家夫人を演じられていた役者さんの演技が、本当に素晴らしかったです。透明感あふれる美しさも、役柄にぴったりだったなぁ~。

いや、ああ言う人、遠目で見ている分には良いけど、自分が付き合う、関係を築くとかになったら、絶対に嫌だなぁ(笑)。イライラで爆発しちゃいそうだ。

 

はい。と言うわけで本日は映画『パラサイト』の感想を書いてまいりました。

ではでは。今回の記事はここまでございます。

読んで下さり、ありがとうございました!