tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

休み~だけど1が付く日なので読書感想文を放出するよ

はい。4連勤終了。

そして今日は日曜日ですが休みです。来週も日曜ですが休みです。

 

日曜の休みはいらないんじゃよ・・・。

時給が100円アップするから、と言うのもあるんですが。

 

何と言うか、日曜日って休みもらっても、こー、どこ行っても混雑しているからどこか行こうかと言う気にもならないし。テレビもいつも以上につまらないし。

でも朝も、帰宅する夕方も通勤路はめちゃめちゃ空いていて快適だし。

 

だから日曜日は出勤して、むしろ平日にがっつりと休みたい。

 

でも仕方あるまい。

時給アップする以上、日曜は学生アルバイトさんにも人気あるから、仕方ない。

 

まぁ、休みなのは嬉しいので、ありがたく休みます。はい。

 

と言うわけで休みですが末尾に1が付く日なので、読書感想文を放出します。

 

改行すらしていない読書感想文の垂れ流し。

ぶっちゃけ、誰が読むんだと言う気がしていますが、誰も読んで下さらなくても構わないのです。あくまで、ネットと言う大海に放流するのが目的なので。

 

ただもし、それでも、こんな改行もしていない、ただただ長いだけの文章に目を通してくださっている方がおられるとしたら、もうほんと、今すぐ目の前で土下座をして、お詫びと感謝の気持ちをお届けしたい限りでございます。

 

そんなこんなで、ではでは、早速スタートです。

 

月村了衛『未亡旅団』

・・・重み。シリーズを通して読んできた、その物語の重み、あるいは登場人物たちの背負ってきた、背負っているものの重みも加わって、圧倒的な重みと厚みを感じました。前前作、前作のハードルをやすやすと言ったふうに超えて見せ、なおかつ『正しきことと暴力』『弱者と強者』『現実と理想』と言うシリーズ全体のテーマを描きながら、なお新しいテーマを盛り込んで描かれる圧倒的重厚感に満ちた物語。勝手に、シリーズ第一部最終作と銘打ちたいくらいの作品。ボディブロー。登場人物たちの言葉ひとつひとつが重く、それらを読んでいくごとに、ボディブローを食らっているような気分にされられました。①この人たちが、ここまでその身を賭けることが、削ることができる、その理由は何なんだろう。由起谷さん、夏川さん、緑。その理由は、作中でも描かれていて、それらに触れてきた私はそれを知っているし、理解もしているつもりなんだけど、でも、それすらをも超越するような、悪夢のような、地獄のような過酷な現場にあって、それでも彼ら、彼女らがそこに立ち続けている、立ち続けることができている理由は、何なんだろう。その意志の源は、何なんだろう。全作の時にも書いたけれど、この3人の思いも、活躍もしっかり描かれているからこそ、このシリーズの人間ドラマ、熱量はより一層、輝きを増すのだと思う。無力である己を嫌と言う程に知りながら、だけど、無力でもできることがあるから、自分の信じる正義を、圧倒的な組織、理不尽、現実の中にあっても貫こうとする。凄いな。②シーラ。少しずつ、少しずつ、自分の行いが、恐れと共に世界に認められて言ったその時、彼女の中に芽生えた感情はなんだっただろう。『認められた』。虐げられ、妨げられてきた、あまりにも聡く、優しい彼女が、どんな形であれ、自分を必要としているものの存在を認め、そしてそれらから認められた時、その思いが、その喜びが、彼女の理想を歪んだものにしてしまったとしても、それをどうして咎めることができるだろうか。そしてカティアにとっての由起谷さんのように、心のよりどころであった宗方さんを失い、その愛の証まで奪われ、そこに追い打ちをかけられた彼女。平和を、シーラの幸せを、嘘偽りなく心の底から願った日菜子さんの思いが、シーラを更に狂わせた。純粋な傲慢を抱き続けた日菜子さんと、それすら許されず、その傲慢さに打ちのめされたシーラ。同じだったはずの理想が、幸せの形が、出会ってしまったことで、その方向を違えた。優しさが、人を悪魔に変えた。その現実が、たまらなくやるせない。③城木さん。…心配だなぁ…。宮近(呼び捨て(笑)ように出世のため、とある程度割り切りながらそこそこ器用に立ち回ることができそうじゃない人だから、心配。理想の実現。現実。ロマンティスト。ロマンティストと言うのなら、そりゃ、宗方さんの方がそうだったとは思う。だけど、ロマンティストでなくても、理想の実現のために、そのために現実の中をあがくように生きている人もたくさんいる、夏川さんや、ユーリ、由起谷さんたちのように。立場が違うとつっこまれればそれまでだけど、城木さんには是非とも、こちら側で踏ん張って欲しいなぁ、と思う。そして今作の主人公と言っても過言ではない、由起谷さん。…てかこの人、いつか殉職しそう(遠い目)…。優男でありながら、全ての人に信頼されている、その理由は十分知っているつもりだったけれど、でも、ほんと、今作ではその理由たる理由を堪能したように思う。暴力のなんたるかを知っている人。自分の言葉で話すことができる人。信念の人。己の無力さを承知していて、それでも、その無力さなりに何かできることがあるはずだと信じている人。真に憎むべきものの存在を、その在りかを、正しく見極めることができる人。あぁ…もう、ほんと、カティアと夏川さんと仲良く暮らして欲しい…由起谷さんには、それくらい幸せになって欲しい…。④『理想の実現に犠牲はつきものだ』。自分より弱いものを、大義の名のもとに利用する卑劣さ。そして、それが対個人ではなく、組織や国と言った巨大なものが、この言葉を巧みに個人に押し付け、個人を利用することの恐ろしさ、卑劣さ。そこにどれだけ酌むべき事情があったとしても、暴力は暴力以外の何ものでもない。人を傷つけ、時にその命をも奪う。暴力は、犯罪以外の何ものでもない。自爆テロも、たとえそこにどれだけの大義が、崇高な理想が、切実純真な願いがあったとしても、それは単なる暴力以外の何ものでもなく、犯罪以外の何ものでもない。そんな単純なことを、当然のことを、その言葉に自らの裡に巣食う暴力をさらけ出した由起谷さんの言葉に、突きつけられたような思いがしました。生きることは辛いこと。怖いこと。救われないこと。それでも、暴力は全てを破壊させる。終わらせる。生きて、生き続けて、生き抜かなければ見えない、気づくことができないものも、きっとある。⑤姿さん、ライザ、ユーリ。3人の、自爆を意にも解さない子供たちに対峙する心中の対比も興味深かったです。職業軍人である姿さんは、強靭な精神力ですべての葛藤を飲み込もうとした(近頃、出番が少ないぞ!(笑)コーヒー要員になってるぞ!)。ライザは、かつての自分をそこに見て、だから何としてでも、かつての自分とは同じ道を歩ませまいとした、のだと思う(断片的に緑の視点が描かれるのも、本と憎い演出)。そしてユーリ。2人とは違う自分に戸惑いを感じるユーリが、けれどやっぱり感覚的には一番近いものを感じる。そして、それでも自分は警察官としてなすべきことをなすだけだと言う、その静かな決意に胸が震えた(後、由起谷さんに痩せ犬の7条のひとを教えるシーンは、かっこよすぎて痺れた)。かっこいいな、ほんと、3人とも。しっかり、人間としての弱みなんかも書かれていて、そこがまた最高に憎い。と言うことでな、書きたいことはまだ山ほどあるのだよ。だけともう、パソコンが限界を迎えているのだよ。くぅ。と言うことで、続いて短編集も読むので、そちらにもちょろちょろ書こうと思います。…それにしても、敵の正体は何者なんだろう。

 

月村了衛『火宅』

・・・①火宅…『よく聞き、よく見ろ。捜査はそれに尽きるんだ。どんなときでも耳と目をよく使え。頭は放っておいても、耳と目についてくる』。警察官としての矜持を持ちながら、しかし待遇には恵まれなかった時間。その中で日増しに強くなっていく煩悩を、警察官としてあるまじき行為で実現させた警察官。かつての部下である由起谷さんに向けた、寒気のするような笑顔。その裏側にあった感情は、部下に真相を暴かれた嬉しさだろうか。かつての部下が立派な警察官になっていた誇らしさ、嬉しさだろうか。それとも特捜部などと言う、およそ出世とは切り離された地に追いやられた部下に対する憐憫だろうか。あるいはそこには、一切の感情などなかったのだろうか。②焼相…『どこかで根本的な欺瞞がある。そんな思いがどうしても拭えない。だから苦しい』。バンジーのオプション装備はずるいな。かっこよすぎる。そして自らが目指す正しきことのために、殺人者の、殺人のための道具を、兵器を整える、緑の葛藤が重く、苦しい。ラストのライザの表情。そこにある、込められている思いが、いつか緑の根に届きますように、と切に思った。③輪廻…『最初から分かるはずもないものだったのだ。姿警部の内面と同じく』。未亡旅団を読んだ後に、この言葉は響く。それでも、その『わからないと言うこと』に直面しながらも、それでも少しでも良い明日を目指して、『わからないと言うこと』を放棄しないで、沖津さん曰く『我々はこの現実の中で日々できることをするしかない』と言う姿勢を貫いているのが、由起谷さんであり、夏川さんであり、その他の特捜部のメンバーなんだろうなと思った。後タイトル。この言葉、良い意味だと思っていたけれど煩悩と業が根本にはあると聞くと、とても良い言葉とは思えない。煩悩と業ゆえ、永遠にさまよう。暴力、怒り、悲しみ、憎しみ、絶望、揚句、摩耗していく感情は、宿主を変えて絶え間なく輪廻していく。その連鎖を見せつけられたようで言葉を失う。④済度…『それは消極的な自殺だ。自分には自死は許されない。許されてはならない。絶対に』。ライザはやっぱり優しい人なんだなぁとつくづく感じた。胸を締め付けるような異国の風景、音、匂い、色なき色が伝わってくるようで、ハードボイルドのような雰囲気もある作品だった。ライザは変わったけれど、でも根本のところでは実は変わってないんじゃないだろうかとも思った。⑤雪娘…『刑事特有の目つきで現場を確認しているユーリを、捜査主任の夏川はどこか冷ややかな態度で眺めている』。懐かしいなぁ、この距離感、と思った次第。登場人物たちの距離感が少しずつ変化してきているのを感じることが、目の当たりにすることができるのも、シリーズ作品ならではだよなぁ。愛らしいタイトルとは裏腹に、色んな意味で身の毛もよだつような作品。大人の汚れた欲望のはけ口にされた、愛らしい雪娘。白く無垢なその心は、果たして罪の意識に僅かでも震えているのだろうかな。⑥沙弥…『際限なく湧いてくる憎悪。怒り。破壊の衝動。この海も、この街も、白く厚い何かで覆われていて、自分はずっと抜け出せない。何もかもが分からない。何もかもが狂おしい』。暴力。最も原始的で、かつ最も簡単な行動に走る、走らざるを得ない、そしてそれを手段として選ばざるを得ない人間の気持ちが、この文章に集約されているように感じました。このエネルギーの方向がどちらに向くか。それだけの違いだと思った。後は、そのエネルギーの方向を導いてくれる人との出会い、あるいは言葉、そのとらえ方の違いだとも感じました。それは、だけど、時には、残酷な方向にも導くものにもなり得る。あぁ、しかし由起谷さん、本と、別人みたいだね(笑)。こっそり下関弁?にも萌えました。御馳走様でした。⑦勤行…『現場には現場の仕事があり、官僚には官僚の仕事がある』。唯一、声に出して笑えたと言う意味で面白かった作品です。できれば、こういうテイストのお話もまた読みたいなぁと思うけれど。リア充宮近め。城木さんとのコンビネーションも抜群で、でも、未亡旅団を読み終えた今は、あぁ、もうふたりのこんなコンビネーションも見ることができないのかもなぁ、と思うと悲しいしやりきれない。職務と感情。現実と理想。家庭と仕事。現状と出世。様々なものの間で板挟みになりながら、その中で身を粉にして与えられた仕事を、たとえ出世が目的であれこなしていく姿はまさしく勤行と例えるにふさわしいものだと思った。でも、かっこいいいよ宮近さん。でも、久美子ちゃんの『城木のおしちゃんだけ来てくればいいから』の言葉には大爆笑です。あぁ、しかしほんと、このふたりにも特捜部側にいて欲しいんだけどなぁ。…城木さん(涙)。⑧化生…『特捜部のメンバーは皆私が選びに選び抜いた面々だ』。…嬉しくね?これ。たとえそこに沖津さんなりの裏があるんだとしても、沖津さんのような人にこんな言葉言われたら、めちゃめちゃ嬉しいと思う。絶対、夏川さん、これ由起谷さんに伝えてるよ。で、絶対、ふたりでお酒飲んでるよ。なんだよ、もう、早く結婚しろよ。はい。ストーリーはまさしくこのタイトル通りで。軍事兵器、暴力を生み出すための力。そう言ったものが、何故、人類の目指す方向とは真逆のものでありながらも一度たりともこの世から消滅したことがないのか。そこに、それを欲する人間の、どうしようもない、どろどろしたものが同化しているようで、そしてそれが、新たなそれを生み出しているような気がして、眩暈すら覚えます。そしてそれを利用し、弱きものを巧みに操っている、強く大きなものの存在も感じられるようで、暗澹とした気持ちになる。『悪の顕われたる者は禍浅くして、隠れたる者は禍深し』。本書の冒頭に出されていたこの言葉が、重く胸に沈み込む。はい。そんなこんなで機龍警察シリーズ、全作読破。あぁ、幸せだった。本当に面白い作品で、この作品に、シリーズに出会うことができて本当に幸せだ。インタビューでは5作目、6作目と続く作品の構想も練っていると答えられていたから…ほんと、続編を早めにお願いします(全力土下座)。後…シリーズが進むごとに、姿さんの影が薄くなっていく気が。いや、存在感はあるし戦闘シーンも抜群にかっこいいけど、確実に出番が少なくなっている気が。でもこれは、きっと続編の布石に違いないっ!と言うことで。予言によるとなんか、3日後くらいに大きな地震が起こるらしいです。本が読めなくなる。多分、死ぬ。悲しいけれど、でも、このシリーズをとりあえずキリの良いところまで読むことができたのは、読書人にとっては幸福のひとつでした!ありがとうごさいました。と言うことで、もし無事であれば、また早めにシリーズ最新作にお目にかかることができることを、切にお祈りしています!

 

月村了衛『槐』

・・・そうか、直球エンタメストレート、何のひねりもなく、ただ先が気になる、手に汗握る、これもまた小説の在り方なのだと教えられたような気になりました。はい。どうも私は、小説は崇高なものと言うか、メッセージ性があって何ぼのもの、みたいな思い込みが強いんですけど、でもそれ以前に、読んだ人に『楽しかった』『面白かった』と思ってもらえなかったら、小説は小説として成立しないんだと思う。そう言った意味では、この作品は土漠同様、ハリウッド映画を観たような感覚を味あわせてくれる作品だから、もうそれで、小説としては十分なんだろうし、作者さんの熱意もそれをもってして、読者に伝わってきているのだと思う。はい。とは言え、月村先生作品を読み進めてきた身にとってみると、ところどころに滲む国際社会の不条理な現実、大義、そして復讐に手を染めようとする若者の姿なんかもそこはかとなく描かれていて、それはそれでじゅうぶん月村先生らしい作品だなぁ、とにんまり。復讐に手を染めてしまおうとする若者の姿を、同じ若者が食い止める、と言うのも何ともお約束で、いいじゃないですか。後は、機龍警察ではとてもお目にかかることができないようなキャラクター同士の、声に出して笑ってしまうと言う意味での面白い掛け合いあり、教頭先生の活躍あり(びっくりしたわ(笑)、でも、大人が命を賭けて子供を守る、と言うのも王道エンタメの基本のひとつだと思う)、思春期の若者たちの青春模様あり、半グレたちの恐ろしい蛮行あり、反面、あっけないほど芯は小童と言う面も描かれいていて、お腹いっぱいでした。はい。裕太君なんか、機龍警察シリーズじゃ、名もなきモブキャラとして確実に死んでるよ?(笑)。でも、子供たちが主人公だから後味悪いラストは避けた、と言うのも正解だったと思います。はい。そんなこんなで、これを読んだ人はぜひ、機龍警察シリーズにも手を伸ばして下さいね(にっこり)。

 

月村了衛『黒警』

・・・月村作品ラスト。面白かった。沢渡のキャラクターが最高。何このツンデレ。機龍警察シリーズ放り込んで、沖津さんの下で泣かせてやりたい。てか、波多野と沈にあんなことやこんなことをされて苛められて泣く沢渡が見たいと思っていたら、フラグ回収するまもなく波多野が死んでびっくりしました。はい。でも、いいキャラ。鬱屈とした思いで、飼いならされた犬のように、ただ惰性で警察を続けてきた、その裏側には、同じ出来事を共有しながらも、変化を遂げた波多野への劣等感があった。その波多野の死によって自らの人生の空虚さを突きつけられた。そのぽっかりと空いた黒い穴を埋めるために、警察組織の中の黒になることを自ら選びとった。そしてその道連れの相手は、自らを義賊とするようなチャイニーズの沈。いや、でもほんと、沢渡の気だるそうな感じとか、へらへらした笑いとか、波多野を前にした時の焦燥とか、くだらねぇと嘯く声とか、冷え冷えとした部屋とか、自分の人生が空っぽだったと突きつけられた時の絶望とか、もう、すべてが手に取るように想像できて、どうしようもなく惹きつけられた。組織の中で、半ば飼い殺しのようにして働いている人は、沢渡に共感できるんじゃないかなぁ?そして沈。エロい(断言)。ラストで、ふたりが満開の桜の木の下で会話するシーンが、途方もなく好き。沢渡が沈に桜の花を指で示す動作とか、沈が桜の花びらを手で払うシーンとか、沈の笑顔に沢渡がちょっと驚くシーンとか、もう全部がエロい。沢渡×沈。こんな魅力ある、エロスほとばしるキャラクターを描いてみたいものだ。日本人は卑屈で、そして傲慢だ、って言うこの人の言葉が、その通りで、座右の銘にしたいくらい。はい。そしてまた、このふたりがやってのけたことも痛快じゃないですか。何だろ。なんか、もう、あくまで自分たちのために、半ば鬱屈とした思いを晴らすためにやっているみたいなところもあって、それがまた良い。痛快と言うにはあまりに陰鬱で、だけど、その陰鬱さがたまらなく癖になる。良い。最高。頭空っぽにして、大人が楽しむことができる、悪い童話のような。毒のような面白さに満ちた作品だと思いました。これも続編あるのかなぁ?是非、読みたいなぁ。そんなこんなで、月村先生作品、いやあ、どれも面白かった。こんな様々な『面白い』に満ちた作品を書く作家さんと出会うことができて、本当に幸せだよ。てか、仮にこの時点で機龍警察読んでなくても、槐読み終わった時点で、『こりゃ、機龍警察も読んでみないかんなぁ』って思ってたからと思うから、なに、運命の出会いだったんだよ、やっぱりこれは。はい。なんか、機龍警察効果か、色んな作品を手掛けていらっしゃるようで、それはそれで嬉しい半面、やはり一番には機龍警察の続編を、と願ってしまうのは私だけではないはず。はい。お体ご自愛のうえ、できるだけ早く、続編をお願いいたします(土下座)。そして、もっともっと、機龍警察が多くの人の手に取られますように、と。

 

米澤穂信『王とサーカス』

・・・記事が生活費になる。書くこと、知らしめることでお金を得る、そのことをしっかりと主人公である大刀洗が認めていたのが、何より好感が持てました。それ以外でも彼女の言動は、すごく地に足着いていて、フリーの記者と言う立場でありながら、冷静で、ひとつひとつを噛みしめるように、確かめるように動いていくその姿が、丁寧に丁寧に描かれていたからこそ、物語もまた引き締まっていたのだと思う。王とサーカス。宣伝から受けるような派手さはなく、ミステリとしての要素も個人的には薄いように思う。ただ、そんなふうに感じてしまうこの気持ちこそ、悲劇をサーカスとして見てしまっている、あるいは伝えてしまっている人の気持ちなんだと、多分、多くの読者は気づかされたんじゃないだろうか。より大きな、より派手な、もっと言えば自分の生活には直接、害が及んでこない、自分の生活とはかけ離れた要素を含む出来事は、人をどうしようもなく惹きつける。そしてそれがどんなに悲しい出来事であったとしても、惨い出来事であったとしても、それは人の目に伝えられ、さらされた瞬間に、それをそうだと感じたとしても、感じなかったとしても、サーカスとしての側面を持ってしまう。サーカスの役割が押し付けられてしまう。サーカスと言う、娯楽性と、その反対にあるような滑稽さ、不気味さ、哀れさを含んでいると感じさせるような言葉がタイトルに使用されているのも、読了後の今ならば物語のテーマを示しているようで深いな、と感じられる。作中で何度も葛藤する大刀洗の姿は、記者としては当然なんだと思う。大佐の死を、どうとでもすることは、彼女にはできたはずだけれど、彼女は葛藤しながらもそれをしなかった。その彼女の姿勢こそが、ほかならぬ彼女自身の身を助けた。がらんどうの真実。その先にあった、あまりにも深い憎しみ、歪み、邪気に満ちた悪意に打ちのめされた彼女。それでも、記者と言う仕事を、彼女は辞めない。がらんどうの真実も、憎しみも歪みも、それもまた、大小などつけようのない、人間の営みだと知っているから。読み手である私の中には、微塵もないその逞しさの裏側には、やはり『さよなら妖精』の物語があるからこそ、マリアへの思いがあるからこそなんだろうか。それとも彼女もまた、自身がそのような営みを続けているただの人間であることを自覚しているからなんだろうか。この世界で起きること。そこに、そこで生きている人の営みが関わっているのであれば、事の大小は問題ではない。人の営みを伝える。それが、サーカスになることだけは避ける。その志を持った彼女のような記者が、伝える人が、もっともっと増えて欲しいと思う。

 

乙一『夏と花火と私の死体』

・・・今更感、半端ない。はい。もう散々、高評価の声を耳にしてきていたので何とも言いようがないんですけど。表題作ともう一作、共にミステリとしての仕掛けの部分、騙しの部分がしっかりと描かれていたのが意外かつ印象的でした。勝手に、死体が、まるで神のごとく何もかもを見透かす視点で語り手をつとめると言う設定のみで高評価を得てきた作品だと思い込んでいたので。はい。もう一作の方も、落ち着いた語り口に想像通りの展開。だけどどちらも、終盤で明かされた思いがけない真相が衝撃的で、比喩ではなく本当に眠気が冷めたと言う(笑)。だからこそ、この作品を16歳の少年が書いた、と言うよりも作り上げたと言うことに驚いたし、高評価の理由にも頷けたのでありました。この物語を作り上げた、それこそが、その実力こそが凄いからこその高評価なんだな、と。はい。はい。表題作。緑さん。ステキ。CV名塚さんで。すわ、ヒロインを守るヒーローよろしく、大人たちを欺いてきた健くんも、そしてヒロインよろしくお兄ちゃんを手に入れることができた弥生ちゃんも、ふふ、これからの人生は緑さんの掌で転がされるしかないのね。ステキ。ぜひ、健くんには緑さんにそそのかされて、弥生ちゃんを手にかけて欲しいなぁ、と思うのでありました。そしてラストシーンも秀逸。永遠に、永遠に止むことのない、かごめかごめの歌声。それを想像すると、ぞっとすると言うより、寂しくてたまらない。そして多分、五月ちゃんが何かを語ることは、もう永遠に無くて、彼女はただ永遠に、他の友達たちと一緒にかごめかごめの歌を歌うんだろうなぁ、と思うと、寂しいし、悲しい。

 

黒川博行『てとろどきしん』

・・・言葉は生きものだなぁ、と。そんなことを、この人の小説、と言うか、この人の作品内で登場人物たちが生き生きと話す関西弁、大阪弁を見ると、聞くと、つくづく感じる。小説であり、そこには文字として書かれている言葉、大阪弁しかないのだけれど、それを読んだ瞬間、ぶわっ、とそれが立体となって、言葉と言う生きものになって蠢き出し、言葉がその言葉を発しているかのような錯覚すら感じる。それは、あるいは自分が多少なりとも関西弁に親しみのある人間だからなのかもしれないけれど、この感覚は、他の作家さんでは味わうことができない感覚だから、ちょっと不思議だ。はい。そんなこんな。作者さんの初期の頃の作品だそうで、成程、こういう謎解き要素とか、トリック要素の強い作品も書かれていたんだなぁ、と新鮮な感じでした。もう読んだのがずいぶん前なのであれなんですけど。はい。面白かったです。はい。『悪果』を借りてきたので、そちらを真剣に読もうと思います。

 

・安東能明『聖域捜査』

・・・放置し続けていた読書感想文。はい。ひょんなことから本意ではない部署に異動させられてしまった、その主人公の忸怩たる思いは共感できたんですけどね。その後がね。警察官に不信感しかない人間としては、もう読んでいて不快感たっぷりだったと言うかね。まぁ、警察官なんてみんな、こんなもんだろうけど。仕事をしていないわけじゃないから、いいんだろうけど。うん。ね、どうなんですかね。その辺りが、もうなんか、読む側もやる気なくしてしまって、と言うかそれ以前に、読んだのずいぶん前だし。はい。以上!

 

堂場瞬一『壊れる心』

・・・危うく放置しっ放しになりそうでしたが、どうにか読みました。良かったです。『聖域捜査』で警察官に対する不信感は増すばかりでしたが、この主人公に対しては、たとえ物語であってもすごく好感が持てたし、物語の登場人物だからこそ、あぁ、現実にもこんな警察官の人がいればなぁ、と強く思わされました。被害者支援課と言う課があること自体、初耳だったし、でもほんと、日本の被害者に対する支援なんて、ほんとにまだまだなんだろうなぁ、と物語を読んでいて強く感じました。なぁ。どうして、理不尽に犯罪に巻き込まれた人の支援が疎かなままなんだろうか。日本社会の、上辺だけは人にやさしい文化や空気のあらわれのような気がしてならない。支援があったからと言って、だからどうなると言うわけでもないと言う意見を持っている人もいるかもしれないけど。でも、やっぱり、人対人しかないような気がする。悲しいくらいに、人間はそこからしかスタートできない気がする。その、とても、とても難しい、正解のないことに対して、真摯に、本当に真摯に、迷いながらも、遺族とはまた異なった種類の辛苦を舐めながらも取り組んでいく主人公をはじめとする登場人物の姿には、本当に頭が下がるような思いがしたし、現実においてもこうであってほしいと思ったし、きっと彼ら、彼女らと同じように、被害者支援にあたっている人たちのことを思った。被害者の人、全ての物語は、事件によって幕を開け、そしてたとえ被疑者に刑が下されたとしても、その幕が下りることはなく、物語はずっとずっと続いていく。その重みが、この物語内においては、僅かでもほぐされたことを願うばかりです。壊れる心。けれど、壊れ、割れた心のかけらを拾い上げてくれる人が、少しでも多く、存在していますように、と。そしてその欠片が再び、少しずつ、少しずつでも、生き続ける人の足元を、そっと照らしてくれますように。

 

伊坂幸太郎『陽気なギャングは三つ数えろ

・・・ジンバブエで50年、生きてきた象が金銭のやり取りによって狩猟愛好家に射殺されたそうな。なぁ、ほんと。人間なんて、どの動物よりも終わっているね、久遠。人間はいつの日か、絶対に蛮行の報いを受けると思うし、受けるべきだと信じている。はい。そんなこんな。9年ぶりの続編と言うことで、なんだかんだ言いつつ、長く生かされていると言うことは悪いことばかりではないんだなあ、と実感しました。伊坂先生と言えばずいぶんと初期のころと今ではイメージが変わったと言う印象もあるため、果たしてあの4人組は9年の時間を経て、どのように描かれているんだろう、とちょっと心配に思っていた部分もあったのですが。何のことはない、あのまんまんの4人でした。相変わらずクールにかっこいい成瀬、腹が立つくらいに役立たないのに憎めない響野、ザ・いい女の雪子、そしてもう天使、可愛いよ、成瀬か響野に組み敷かれている薄い本、早よ!の久遠で、『あぁ、あの4人だぁ』と、冒頭の銀行強盗のシーンでにんまりです。はい。物語の展開としては正直、昔読んだほどの切れ味の鋭さ能なものは感じず、何と言うかご都合展開と言う気もしたのですが、でも、それでいいんだと思う、この作品は。成瀬と響野、あるいは成瀬と久遠、響野と久遠のやり取りににやにやし、雪子さんのかっこよさに惚れ惚れし、ついでに言えばその時間計算能力は欲しいものだわ、と思うのが、このシリーズの正しい読み方なのだよ。久遠の語り口調は、もう本当に、可愛いよ、なんなのこいつ(ちーん)。映画版では松田翔太さんが演じていて、当時はそれでぴったりだと思っていたけど、今じゃ全然違うな。もっと、天使みたいな役者が演じるべきだ。ほんとな。もう、久遠のノット人間イエス動物ってスタンスが大好き。好きな動物のことを好きなだけ語らせて、にこにこしている久遠をいつまでも傍で見ていたい(ちーん)。はい。そして今回の悪役、火尻。こいつがまた、なぁー、もう、ほんと、途方もない悪役で、もう、憎々しさも恐ろしさも、その粘着っぷりもまざまざと感じることができて、たまりませんでした。人のこと踏みつけて、踏みつけて痛めつけておいて、けれど自分は、踏みつけられても、踏みつけられても痛みすら感じないというのがまた、どうしようなくて、このカスみたいな人間相手にどう立ち向かっていくのかと冷や冷やしましたが。ほんと、大桑さん、キノコ、植え付けてやっちゃってくださいよ。なんだろ、この伊坂先生ならではの、法律的な善悪でなく、『普通』に生きている人の心に基づいた善悪で、悪いことが裁かれる、ってのがとても心地よい。うん。続編は…また数年後になるんでしょうか。それを待つのは恐ろしいことのような気もしますが、一方で続編がなくても、きっと4人は4人のまま、銀行強盗を繰り返しながらもトラブルに巻き込まれ、それをどうにかして乗り越えていくんだろうなあ、と言うのがもう、絵にかいたように想像できるからなぁ。成瀬はクールなまま、粛々と公務員を続ける。雪子は、いい女のまま、慎一君との暮らしを続けていく。響野は役に立たないまま、しかし、誰よりも大きな声で、立派に、意味のない言葉を口にし続ける、いいぞ、けしからん、もっとやれ!(笑)。そして久遠は、人間を諦めながら、動物と仲良く生きていく。陽気なギャングたちの姿を想像すると、本と、人生は、もっと、もっと軽やかに生きても良いものなのかもしれないなぁ、としんみり思います。はい。そんなこんな。本当は冒頭に書くはずだったんですが。秋なので、北川さん、私的に読書月間に突入しました。おめでとうございます。ありがとうございます。そろそろ本格的に、いつまで読書なんて幸せの極致にあるような趣味を楽しむことができるのか、疑わしくなってきた今日この頃ですが。何とか、手元にある、この月間のために用意した本だけでも無事、読み終えることができれば、と思う今日この頃です。はいよ。

 

はい。と言うわけで本日はこのあたりで終了にしておきますかね。

 

相変わらず『機龍警察』シリーズに対する熱意がすごい(笑)

ほんと、当時は書店に勤めていたのですが、毎週のようにシリーズ作品を取り寄せて、購入して読みふけって、を繰り返していたもんなぁ・・・。

こう言うのって、読書好きの人間にとっては、本当に至福、ですよね。

あーん、シリーズ最新作の単行本刊行が、今から本当に待ち遠しいわ・・・。

 

そんな具合で本日はここまででございます。

読んで下さった方がいらっしゃったら、本当にありがとうございました!

次回は2月11日ですか。よろしければ引き続き、お付き合い下さいませ~。