と言うことで『氷菓』が、GYAO!にて無料配信されています。GYAO!はPCからでも、スマホからでも利用できる動画配信サイトです。無料配信されている、と書いたのは、普段は『氷菓』は有料配信のみでしたが、期間限定での無料配信が開始されたからです。
今週の水曜日に第1話が配信開始され、明日25日に第2話が、そして来週水曜28日には第3話が・・・と言うふうに、毎週の水曜と日曜に1話ずつ、配信されていくようです。GYAO!は無料で、それ故、時々、わけのわからないタイミングでコマーシャルが入ったりします。が、それにさえ目をつぶれば無料で『氷菓』を見ることができます。
見て!(どーん)。
と言うことで、『氷菓』の簡単な説明と、魅力を語りたいと思います。
『氷菓』は米澤穂信先生の小説を原作として制作されたアニメ作品です。『氷菓』『愚者のエンドロール』『クドリャフカの順番』『遠まわりする雛』『ふたりの距離の概算』『いまさら翼と言われても』の6作品が現在までに発売されており、これらはまとめて『古典部シリーズ』と呼ばれてもいます。
文化系の部活動が盛んな進学校。その中にあって廃部寸前の『古典部』に、ひょんなことから入学することになった折木奉太郎が、一応、本作の主人公です。『やらなくてもいいことならやらない。やらなければいけないことなら手短に』の省エネをモットーとしている彼が、時には1人で、時には同じく『古典部』の部員である千反田える、福部里志、伊原摩耶花らと共に、いわゆる『日常の謎』にあたっていくと言う青春ミステリです。
この『氷菓』の、私が思うアニメ作品としての魅力は次の通りです。
まずはやはり、京アニクリエイトと言いますか、京アニの京アニらしさが全開になっている、作画の超絶美しいことが挙げられます。風景は勿論のこと、登場人物たちの表情、画面に出てくる小物ひとつ、どれをとっても隙のない、徹底して美しく、それらが持っている、放っている空気の一粒までをも逃さんとするまい、と言うような気骨が感じられる作画は、職人の域と言っても過言ではないと思います。
小説でも、米澤さんの美しく硬質で、それでいてどこか日本語らしい柔らかさを感じさせる文章によって描かれるそれらは、じゅうぶんに味わい深いものです。ただアニメと言う、目で見ることができる媒体で再現されたそれらには、小説で味わうのとはまた異なる、小説で読み、自分の頭の中で想像するのとはまた異なる魅力に満ちていると思います。
それからキャラクターの個性の豊かさと言うのも、本作品の魅力です。あるいは、そうしたキャラクターたちが物語の中で抱く、様々な感情、思春期ならではの感情なども、非常に丁寧に描かれており、見る人の胸をドキドキさせたり、もやもやさせたり、切なくさせたりします。
決して一筋縄ではいかない様々な感情を抱えて、時にそれを露出させながら、時にそれを上手に隠しながら。そしてそんな自分に嫌気を覚えながら。そんな自分にしてしまう誰かに、どうしようもない憧れや嫌悪感、はたまた好意なんかを抱きながら。それでも繰り広げられていく彼ら、彼女らの人間関係と言うのは、だけど年齢問わず、見る人の心に何かを訴えかけてくるはずです。
またそうした感情が演出としてアニメで描かれるのも本作の魅力です。第1話、えるちゃんから得意技(笑)『わたし、気になります!』を初めて受けた時のシーンと言ったら・・・本と・・・もう・・・えるちゃんもかわいいけど、奉太郎がかわいすぎる・・・くふ・・・好き(どーん)。
CVは奉太郎を中村悠一さん、えるちゃんを佐藤聡美さん、里志を阪口大助さん、そして摩耶花を茅野愛衣さんが担当していらっしゃいます。このキャスティングがもう、これ以上ないと言うほどぴったりで、このキャスティングだからこそ、よりアニメの『氷菓』は、キャラクターの個性がダイレクトに伝わってくる作品であると言えると私は思っています。
また他にも様々な声優さんがキャスティングされているのですが、その多くは、こういう言い方をしてはいけないのかもしれませんが、いわゆるチョイ役を担当していらっしゃいます。しかしさすがはプロと言うべきか、皆さん、このチョイ役を非常にチョイ役らしく、黒子に徹して、けれど物語の一部分を構成する要素として、普段から『氷菓』の世界の中で生きている、生活している人間らしく演じていらっしゃって、その辺りも見どころ、聞きどころのひとつかもしれません。
それからもうひとつ、語るとすれば小説との違いも、アニメ『氷菓』の見どころのひとつです。違いと言っても、大筋が違うと言うことはないのです。ただ、これは小説と言うものの最大の魅力かもしれないですが、小説は読む人によって、同じシーンでも違う解釈をしたり、違う思いを抱いたりすることがありますよね。
その解釈の違いのようなものが、ところどころにあらわれていて、ひとつの答えとしてアニメ作品では描かれていたりします。なので先に小説を読んで、自分なりの答え、解釈を持っていたりすると『成程、このシーンはこういうふうに描いたかぁ~』と言う、新鮮な驚きを抱いたりできるのも、アニメ『氷菓』の魅力です。
特に女帝・入須とのやり取りの後の奉太郎のアレとかはね・・・ほんと、小説とアニメとでは、私はとても印象が異なったので、ぜひ、どちらも触れてみて下さい。
京都アニメーションを巡っては、とても凄惨で悲しい事件がありました。その結果、数多くの方が亡くなられ、『氷菓』の制作陣の中にも亡くなられてしまった方がいらっしゃいます。
その辛い現実に改めてお悔みを申し上げると共に、このような素晴らしい作品を遺して下さり、本当に、本当に感謝の気持ちしかありませんと言う思いを伝えたい気持ちでいっぱいです。
だからこそ、この機会に、多くの人に、アニメ『氷菓』を見てもらいたいなと思います。アニメ『氷菓』のホームページには、制作にあたった方々のコメントも掲載されています。アニメ作品の制作、その裏方を支えている皆さんの、あまり表には出てこない、作品に対する愛や随所にちりばめたこだわりなどが語られているので、ぜひ、そちらもご覧になっていただけたらな、とも思います。
ってかあかん、今1話を見たら、OPで涙腺が決壊して、鼻水も溢れ出てきたよ・・・。