tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

1が付く日の読書感想文~『透明人間は密室に潜む』

ここだけの話だよ!

とうとうこの人、馬券に手を出しちゃったよ!

天皇賞(秋)、馬券買っちゃったよ!

その結果はまた後日!

 

はい。てなことで過密シフトも終了。

連休明けの本日からは、とりあえず3勤です。

そして本日で10月は終了ですね。早いな。

10月、働いて家帰って秋アニメ、どれ見るか頭を悩ませていた、そんな記憶しかないわ。ははははは。

 

と言うわけで1が付く日なので読書感想文をお送りいたします。

21日は諸事情により読書感想文、お送りすることができませんでしたが、本日は大丈夫です。21日の記事にも書いた通り、そしてタイトルにも書いた通り、阿津川辰海さんの『透明人間は密室に潜む』の感想をお送りいたします。

 

時期的に今年度の『このミステリーがすごい!』の予想、ネット上に挙げられるそれも楽しみたいところなのですが、阿津川さんもここ数年、『このミス』常連作家さんのような気がします。

今年度もランクインしそうな予感は個人的にしているのですが、今回、感想をお送りする『透明人間は密室に潜む』は、2021年の『このミス』にて2位にランクインした作品です。

 

こちらの作品には『透明人間は密室に潜む』『六人の熱狂する日本人』『盗聴された殺人』『第13号船室からの脱出』の4編が収録されています。

 

では、それぞれの感想を書いていきましょうか。

まずは表題作にもなっている『透明人間は密室に潜む』です。物語の舞台は日本なのですが、透明人間病と言う、全身が透明になってしまう病気が存在していると言うのが肝です。

その透明人間病を患っている女性は、ある人物の殺害を決意します。その人物は、透明人間病の新薬開発の第一人者でした。かくして彼女はその人物の殺害に成功するのですが、その後、思わぬ事態に巻き込まれる・・・と言うお話です。

 

全4編収録されているのですが、個人的にはこの作品がいちばん面白かったです。ひとつの殺人事件、そこにはいくつかの謎が隠されているのですが、その中でも最たるのが『犯人である透明人間は、果たしてどこに存在しているのか』です。

それを、犯行現場に踏み込んだ探偵たちがあれこれ推理するのですが・・・確実に、そのすぐ傍に、殺人を犯した透明人間が存在していると言う緊張感たるや!読んでいてめっちゃドキドキ、息をするのも何かしらためらわれてしまうほどのものでした。

透明人間と言う、何と言うか、ミステリ作品ではある種、禁じ手とも言えるような存在、設定。でもそれを事件に都合よく反映させるのではなく、事件は事件として描いた、その後の『密室であった犯行現場のどこに隠れているのか』と言う一点に絞って、緊張感あふれる物語に仕上げたのは、いやぁ、凄い。またそこに至るまでの流れも、実に本格推理などが憎い!

そしてラストに明かされた真実は・・・切ない。この真実に至るフラグ、その要素も、実は物語の序盤に書かれているんですよねぇ。透明人間病になったとしても、当たり前だけれど、人間としての心までは透明にできない。人としての当然の痛みみたいなものが、きりきりと痛みを伴って、切実に胸を穿ってくるのです。それがまた、推理部分の論理的展開の美しさと共鳴しているようで。

 

お次、『六人の熱狂する日本人』は、とある事件の裁判員裁判の様子を描いています。とある事件と言うのは、あるアイドルグループのライブに参加するために上京していたファンが、何者かに殺害されたと言う内容です。

六人の裁判員裁判に参加した人間、そして裁判長や判事の議論は進んでいくのですが、その中である事実が判明し、そこから事態は思わぬ方向に転がり始め、と言うお話。

 

これも結構好きなお話です。何と言うか『透明人間は密室に潜む』とはまた違って種類の面白さ、こー、お話としての純粋な面白さみたいなものに溢れた作品だと感じました。一言で言うとですね、この六人の日本人にはある共通点があったと言うことが明らかになりまして、そこからもう事態はしっちゃかめっちゃかになっちゃうんです。

しっちゃかめっちゃかになっちゃうんですけど、でも事件の推理としての、何と言うか、筋の通り具合みたいなもの。それも決して『無きにしも非ず!』と納得させるような具合で残っているのがお見事なんですよ。それでいて、でもやっぱり、ある共通項によって暴走していく六人の様子が、あるいは推理の流れがただただ笑うしかないと言う。そんなお話です。

そしてラスト。成程。あんたもだったか、と(笑)。笑える。笑えるんですけど、なんだろ。訪れた静寂に一抹の、どうしようもない寂しさが滲んでいるように感じられたのは気のせいでしょうか・・・。

 

3作目の『盗聴された殺人』は、生まれつき、とても耳が良い女性と、彼女がその聴覚で集めた音の情報をもとに、事件を推理する男性の協力関係を描いた作品です。2人が初めてコンビで取り組んだ殺人事件が描かれています。

 

事件現場に溢れている『音』。それによって事件の真相を導き出していく、と言う流れは面白かったです。また『音』と言う、本来であれば耳で聞いて、耳で判断していく情報を文字で、小説で表現すると言うのも、なかなか読みごたえがありました。

2人のコンビネーションも抜群で、バディもの、バディが生まれる物語としての面白さもある作品だと思います。が・・・個人的には、ちょっと難しいと言うか。いや、全然、難しいことはないんですけど。ないんですけど、こー、収録順番的に、どうしても凄まじい完成度、面白さの秀作の1作目、そしてコメディ的な味わいと本格推理の融合である2作目、と来ているので、地味な印象は拭えなかった。『音』に特化した、その点は面白かったけれど、そこを除くと至って普通に思えてしまう部分もあったなぁ、と感じました。はい。

いや、でもこちらの作品も面白かったですよ。文章で表現されている『音』を頭の中で想像する、その楽しさも味わえた作品でした。

 

そしてラスト『第13号船室からの脱出』です。こちらはミステリイベントが開催されているクルーズ船が舞台。イベントに盛り上がる船内での3人の少年の姿を描いています。

 

なんでしょ。すごい自分も、このクルーズ船に乗船してイベントに参加している。そんなわくわくしたような、賑やかな雰囲気や気分を味わえました。いや、あの、あれ。イベントで盛り上がる船内の様子も描かれていることには描かれているのですが、主には、ある人物の思惑によって誘拐されてしまった2人の少年。その軟禁状態が描かれているので、この2人目線から行くと『全然、イベントに参加している気分なんてないわ!』って感じなんですけれど(笑)

でも良いですよね。こう言うイベント。最近、流行っているし。何より旅行に飢えている身としては、単純にもう『クルーズ船』と言う響きだけでも胸が高鳴ってしまいましたことよ・・・はう!

更にこちらの作品。そのミステリーイベントの謎と少年2人の誘拐事件の謎が描かれているのも魅力的です。つまり読者としては2つの謎を同時並行で追いかけ、そしてあれやこれやと思考を巡らせることができるのです。

なので『我こそは!』と言う自信がある方は、是非とも、是非とも両方の謎解きに挑戦してみて下さい。私ですか?私はハナから諦めてましたよ、ははははは。

そして物語の最後には『ふふ』となるような。なんとも、こー、意地の悪い言うか。でもその意地の悪さ、嫌いじゃないよ、と言いたくなるような。やっぱり君、ただ者じゃなかったか、とにんまりしたくなるような真相も明かされるとところも、もう著者のサービス精神をひしひしと感じました。

 

はい。てなことで以上4作品の感想を書いてまいりましたが。

やはり個人的には表題作を強く、強くお勧めしたいです。すごい好き。

そしてこの表題作が1作目に来ているからこそ、後に収録されている作品、その個性の違いを味わうことができる。そのことで、阿津川辰海さんの作家としての魅力、才能を存分に堪能できる、そんな1冊になっているとも思うのであります。

なので阿津川さんのファンの方で本作は未読よ、と言う方は勿論のこと、『最近、阿津川さんのことが気になっているんだよね』と言う方も、その入門編しても最適な1冊なのではないかな、と思います。

 

てなことで。

冒頭にも書きましたが、今年刊行された作品も、話題になっているんですよね。阿津川さん。なのでほんと『このミス』の結果が気になる気になる・・・。

 

そんなこんなで無事、お送りできました31日に読書感想文。

次回は11月11日ですか。わんわんわんわん、犬の日ですな!

よろしければ引き続き、お付き合い下さい。

 

ではでは。本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!