tsuzuketainekosanの日記

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『このミステリーがすごい!』を振り返ろう~2014年

はい。

てなことで1989年からの『このミステリーがすごい!』を振り返っているシリーズ記事でございます。

非常に順調に進んでいるこの記事ですが、今年度の『このミステリーがすごい!』もなんやかんやであと1か月ちょいで発売ですね。

早いねぇ~。

どうなんでしょ?今年、刊行された作品、あまり読んでいないのですが。去年は割と、読んでいないけど大作揃い!と言う印象があったのですが、今年はどうなのかな。

いやいや、でも楽しみだ。

 

はい。

そんな具合で2014年度の振り返り、まいりましょうか。

その前に恒例、その年に何があったのかを見ていきましょう。

2014年・・・今から8年前か。相変わらず私は、1日4時間、週に3~4日くらいしか働いておらず『バイト行ってくる~』と嘘をついては、図書館に立てこもったりスーパーの駐車場でゲームやったりと、やりたい放題やっていました。

あれ、2013年の時にもこの文章を書いたような気がするよ!でも基本、この生活は2017年2月に書店を馘になるまで続くんだよ!ははっ!

 

2014年、何があったのか。調べてみて、まぁ、いつものごとく海外でも日本でもいろいろと起きていて、自然災害なんかも起きているわけなんですが。

個人的にはこれを取り上げたい!てなことで選んだのが『森田一義アワー 笑っていいととも!』が3月31日をもって、32年半の歴史に幕を下ろした、と言う話題です。

笑っていいとも!』あー・・・懐かしい。なんだろ、個人的には『この番組はタモリさんがお元気な限りは、ずっと続くもんだ』と思い込んでいただけに、終了少し前に『『笑っていいとも!』終わります!』と聞いた時には、まぁー、驚いた驚いた。

てなことでご存じない方もいらっしゃることでしょうから『笑っていいととも!』を簡単にご紹介いたしますと、1982年から放送が開始された番組です。フジテレビの昼帯、12時から13時まで、土日を除く平日、毎日、生で放送されていました。

司会はタモリさん。そして曜日ごとのレギュラーやゲストが登場し、トークや様々なコーナーを送ると言う番組でございました。

 

ねー・・・平日、学校をさぼって早退した時に見る『笑っていいとも!』は、最高だったよなぁ~。はい。なんてか一時、『日本の平日のお昼と言えば『笑っていいとも!』』と言っても過言ではないような時代があったんですよねぇ。

ちなみに番組の名物コーナーであった『テレフォンショッキング』、日替わりゲストが次のゲストを『お友達』として電話で紹介する、と言うこのコーナー。

後に紹介するゲストは、勿論、本当にお友達や親交がある方である場合もあったけれど、そうじゃない時もあった。番宣などでまったく親交がない、面識がない人の紹介を頼まれることもあった、とその内情が暴露されましたが。確かに、見ていても『えー、本当にお友達なのかなぁ』と思うこと、多々あったもんなぁ~(苦笑)

 

テレビ史に残る、一つの歴史が幕を下ろした。そんな2014年でございました。

ではでは、ここからは本題『このミステリーがすごい』の振り返りへとまいります。

ja.wikipedia.org

はい。例によってリンクを貼りつけておくので、こちらを見ながら記事を読んで頂くと、よりわかりやすいかと思います。

2014年、トップに輝いたのは法月綸太郎さんの『ノックス・マシン』でございました。が・・・こちらの作品、私は読んだことがないので語りようがない!ごめんなさい!

ただあれなのか。タイトルから察するに推理小説のお約束『ノックスの十戒』を取り上げた作品のようですね。はい。

 

てなことで、この年、ベスト10にランクインした作品の中で私が読んだことがあるのは、まず10位にランクインした2作。東野圭吾さんの『祈りの幕が下りる時』と葉真中顕さんの『ロスト・ケア』、7位、米澤穂信さんの『リカーシブル』、6位の梓崎優さんの『リバーサイド・チルドレン』、5位の伊坂幸太郎さんの『死神の浮力』、そして2位の長岡弘樹さんの『教場』、以上ですかね。

全6作品。むー、今回も多いなぁ。てなことで手短にいくんだぞ、自分!

 

ではまずは『祈りの幕が下りる時』です。東野さん手掛ける加賀恭一郎シリーズでございます。小菅のアパートで遺体で発見された女性は、滋賀在住の女性だった。アパートの住人である消息を絶っている。捜査一課の松宮が手掛かりを探っていく内、被害者の女性が、同級生で演出家として活躍している人物を訪ねるために上京していたことを知る。その演出家の女性は、松宮の従兄である加賀の知り合いだった、と言うお話です。

 

いやぁ・・・うまいんだよなぁ。ほんと。こー、本当に文章に無駄がなくて、シンプルなんだけど、でも必要なことが過不足なく描かれていて伝わってくる。で、その文章によって紡がれる物語も、毎回、毎回、本当に読ませる。

更にこの加賀シリーズの場合、個人的には『人との縁』と言うものを感じさせると私は思うのですが、この作品もその魅力は存分に描かれています。人の出会いと別れ。人生を生きていくことの険しさ、厳しさ、ままならなさ。それでも必死に、健気に、ひたむきに生きていく人の有様。それが交差した時に生まれるいろーんな景色、いろーんな感情が描かれている作品です。そしてこのタイトルがまた、胸に染みるんだよ・・・。

 

同じく10にランクインした『ロスト・ケア』です。介護士の男性が、同僚の介護士、更には民家に住む老人を殺害した。その男性は介護家族からの信頼も厚く、仕事も熱心。そんな男性が何故、殺人を犯したのか。真実を明かすべく検事は介護士と対峙していくが、と言うのが簡単なあらすじです。

 

あら。こちら来年3月に映画公開が予定されているのですね。成程。これは楽しみだ。てなことで、非常に、非常に重苦しい作品です。この作品に描かれているの老いと介護。日本が直面している老い、そして介護、そこに関する問題や人間の本性、思惑、そうしたものが生々しいまでに描かれています。それをエンタメとして、ミステリーとして描き切った、その構成力や筆力はお見事です。と言うか葉真中さんの作品の中には、こうした社会問題を描いた作品も多く、そうした作品を読むと非常にいろいろ考えさせられるのです。

テーマ的に『こんなふうに書くなんてけしからん!』と思われる方もいらっしゃるかもしれません。が、それでもこうしたエンタメ、ミステリーだからこそ、大胆に、率直に社会問題に切り込めると言う面もあると思うのです。そしてだからこそ、読者の胸にぐさぐさと突き刺さってくる、響いてくると言うか。

本作品のラストは『もうすぐ、夜が来る』と言う一文で締めくくられています。本作品が発表されてから8年の月日が経過したわけですが、その夜の暗さがますます深くなっているだろうと思うのは、もはや日本に訪れた夜が明けることはないのでは、とすら私だけではないはずです。

 

はい。お次は7位。米澤さんの『リカーシブル』です。中学進学を控えた春。ハルカは、父の失踪に伴い母と小学3年生の、血の繋がりのない弟と共に、過疎が進む町へと引っ越すことになる。新天地での生活に不安を抱いていたハルカだが、同じクラスで友人もできた。しかしほどなくして、弟が未来のことを予言したり、過去、この町で起きたことを知っているかのような言葉を口にしたりするようになり、と言うのが簡単なあらすじです。

 

・・・間違いなく読んだのですよ。読書感想文にも記録がちゃんと残っていたから。うん。読んだんですけど・・・あっれ、おかしいなぁ(遠い目)。こうやってあらすじを調べて書いても、なにひとつ、思い出せない(汗)。

いや、本当に申し訳ない(土下座)のですが、本当に思い出せない。『あー、何となくだけどこんな話で、こんな感想を抱いたんだったな』と言う、その気配すら感じられないくらいに思い出せない・・・何故。

読書感想文の記録を見る限りだと、個人的には『生きるための手段』を選んだ母親が、私は好きだったようです。そして閉鎖的な町、身勝手な都合でますます閉じていく田舎の町で生きていく、生きていかざるを得ない、そのことを悟ったハルカを応援したくなるような気持にもなったようです。

・・・これだけ書いていても、ほんと、なにも思い出せない(驚愕)。私が読んだのは本当に『リカーシブル』だったのでしょうか(遠い目)

 

なんだか申し訳ないのですが次に進みます(汗)。お次は6位、『叫びと祈り』で鮮烈なデビューを果たされた梓崎さんの2作目『リバーサイド・チルドレン』でございます。

『叫びと祈り』と同じく、本作も海外が舞台。カンボジアの首都、プノンペン。その北に位置する、人里離れた川縁に建つ高床式の小屋。そこには親のない子どもたちが共同で生活をしていた。主人公は、その子どもたちのリーダー的存在である13歳の少年。

川を下ったところにあるごみ捨て場やスクラップ工場でめぼしい物を拾い、それをわずかな金に換える彼らの生活は、決してやさしいものではなかった。しかも警察からは目をつけられ、近隣のグループとは衝突を繰り返す日々。そんな中、グループの仲間の1人が殺される・・・と言うのが本作のあらすじです。

 

正直に言いますと。『叫びと祈り』ほどの驚きや感動、胸を強く揺さぶるようなものはなかったです。ってかそりゃそうだろう。デビュー作であれほどの評価を得られたことで、梓崎さんご本人も意識されていないプレッシャーのようなものはあっただろうし。

ただやはり梓崎さんの作家としての技能の高さのようなものは健在でした。静謐で胸に染みわたっていくような文章、表現、その美しさは『こんな文章を読めただけでも1700円、支払った価値があったよ!』と心の底から思わせてくれるほどです。

そして『叫びと祈り』と同様、本作でもやはり簡単に言ってしまうと『文化の違い』と言う言葉が浮き彫りになってきます。だからこそ『いや、それはいくら何でも無茶すぎ』『ストリートチルドレンを馬鹿にしすぎ』と言う批判も、この作品に対しては投げかけられており、その批判も個人的にはわからなくもないのです。

が、やはり個人的にはその批判よりも、犯人の『何故』、つまり動機ですね。その部分に目を向けた時に、犯人がこれまで置かれてきた環境。他者から向けられてきた視線。植え付けられてきた価値観。自分自身に対しての認識。そうしたものに関しての切実すぎる思いがひしひしと伝わってきて、ぐっ、と胸が締め付けられたのです。

『そんなわけあるかい』と突っ込むのは簡単で、しかし『私』は、少なくとも、犯人のような過酷な日々を、ただ『生きること』それ自体すら危うい状況に置かれているストリートチルドレンのような過酷な日々を経験したことがない。そんな人間が『そんなわけあるかい』と突っ込めるはずがない、と私は思ったのであります。はい。

いずれにせよ、悲しい物語であり、また、こー、受け取り方が難しい物語だとも思いました。ただ先にも書いた通り、小説としてはとても美しい文章を堪能できる作品ですし、こー『命の重さ』や『命の重さを決めるのは誰か』と言ったことを痛切に考えさせる、そんな作品でもあると感じます。

 

続く5位は伊坂さんの『死神の浮力』です。2005年に刊行された『死神の精度』の続編ですね。

1週間の調査の後、対象者に予定されている『死』に対しての可否を下すのが死神の役割。可の判断が下された場合、対象者は翌8日目に死を迎えることになる。本シリーズは人間の死に一切の興味はなく、音楽を偏愛する死神・千葉が主人公。彼が仕事をしている間は常に雨が降るため、まだ青空と言うものを見たことがない。

その彼と本作品で意図せず関わることになるのが、山野辺夫妻。夫妻の愛娘は1年前に殺害されていた。犯人として逮捕されたのは、夫妻宅の近くに住む青年。彼は証拠不十分のために、裁判では無罪判決を勝ち取る。しかし夫妻は、青年が犯人であることを知っていた。そのことから自らの人生を賭け、青年への復讐を果たそうとするのだが、と言う物語です。

 

なんでしょ。この作品に限らず、初期の伊坂さんの作品って、ともすれば本当に説教臭いメッセージが込められた作品になってしまっていてもおかしくないと思うんです。

生きること、死ぬこと。罪と罰。復讐。私刑。許すこと。許せないこと。そうしたことを、だけどとても軽やかに、鮮やかに描いているんですね。だからちっとも説教臭くない。それどころか、下手に説教臭く伝えられた時よりも、より深く、よりじわじわと胸に染みこんでいくんですから、ここは本当に素晴らしいと思うし、伊坂さんだからこその魅力だなぁ、と感じます。

そしてこの作品、シリーズに限って言うと、死神である千葉、そのキャラクター造詣に寄っている部分もとても大きいなぁ、と。千葉、ほんとめちゃくちゃ味わい深いキャラクターなんですよ。ブレがない。ブレがなくて、でもとぼけた味わいもあって、そこがこのシリーズの『軽やかさ』に深みを与えていて。ちなみに映画では千葉を金城武さんが演じていらっしゃいましたが、成程、ぴったりだわ。

今回の物語で、果たして千葉の調査対象は誰なのか。それと共に描かれる、愛娘を奪われた夫妻の、あまりにも胸を締め付ける復讐劇。その結末の鮮やかさには、ただただ、良い意味での鳥肌が立つばかりなのです。

なんだろ。変な言い方にはなるかもしれませんが、死ぬべき時に死ぬことができたなら、それがいちばんの幸福なのじゃなかろうか、と私は感じさせられました。『死ぬべき時』を決めるのは他者ではなく自分自身であり、死ぬ時まで生きてきた自分自身である。だからその時に恐れはあれど、悔いはないよう、生きている時は生きよう。

ネタバレになるかもしれませんが物語の最後。千葉さんによって『可』の判断を下されたある人物の死。そこでの描写には、そんな力強いメッセージを感じて、胸がめちゃくちゃ熱くなりました。

ってかこのシリーズも現状、2作しか刊行されていないのかぁ。はー。

 

はい。ラストは2位にランクインした『教場』です。こちらは近年、木村拓哉さん主演でドラマ化もされましたので、そちらで触れたと言う方も多いかもしれませんね。原作を読んでいた私は、最初『木村さんだと、ちょっとイメージ的に若いような、そしてかっこよすぎるような気がするんだけど』と思っていたのですが。

ドラマ、1話だけ見た時、あの視線の鋭さとか。あとある種の気品の良さじゃないですけど、普段の物腰の柔らかさみたいなものを見て『おおっ、思ってた以上に違和感ないぞ』と思ったものです。

 

本作、シリーズの舞台は警察学校。優秀な警察官を育てるためのこの場所を、適性の無い人間を振り落とすための場所として描いているのが、本シリーズの最大の特徴だと思います。

種々様々な思惑を胸に警察官を目指す生徒たち。その前に立ちはだかるのが、教官である風間。風間の鋭い観察眼を前に、生徒たちの思惑は次々と看破されていく。ある者は退学へと追い込まれ、ある者は夢を絶たれてしまう。また生徒だけではなく、警察学校に関わる大人たちにも、風間の観察眼は向けられていく。

果たして厳しい警察学校での生活を生き抜き、警察官として社会に羽ばたける生徒は誰なのか、と言った物語で、連作短編集となっています。

 

いやー。ね。警察そのものを舞台にした警察小説は数あれど、警察官を養成する教育機関を舞台にしたそれが、さほどなかったのに驚きですよね。まさしく警察小説の新たなジャンルを切り開いた、そんな作品ではないでしょうか。

そして物語も、ミステリー的な味わい、謎解き的な面白さがありつつ、同時、そこに絡み合っている人間の思惑。それが短編だからこその濃密さで描かれていて、実に読ませるのですよ。面白いんだわ。

で、警察学校を舞台にしているものだから、学校小説的な面白さもあるんです。でもこの作品で描かれているのは、どちらかと言えば爽やかなそれと言うよりも、こー、割と利己的な感情と言いますか。自分の点数を少しでも上げるために、容赦なく他人を蹴落とす的な、それが描かれているのが、個人的にはめちゃくちゃ痛快でした。

何て言うのか、人間のネガティブで、暗くて、どろっどろした感情だからこその、本性だからこその気持ちよさがあったと言うか。決して綺麗ごとでは済ませなかったところに、めちゃくちゃ好感を持てたと言いますか。はい。

そして短編だからこそ、そのどろどろした思惑が余韻はあれど、良い意味でしつこくないと言うか。切れ味鋭く、ばさっ、と描かれ切っていたところも好きです。

それを見抜き、様々な対処を施していく風間教官よ・・・恐ろしいわ・・・。でもこの人、ちゃんと見るべきところは見ているんですよね。うん。ただ単に冷酷なだけではない、教官としても優秀であると言うところも、本作品の魅力ではないかなぁ。

ちなみにシリーズ1作目となる本作品には、全6作品の短編からなるのですが。私は『蟻穴』が好き、好きと言うか、もうあのラストが・・・ラストが・・・ラストが!

 

はい。

てなことで以上、2014年の『このミステリーがすごい!』の振り返りでございました。

次回は2015年ですか。よろしければ引き続き、お付き合い下さいませませ。

 

ではでは。本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!