tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

今日は1の付く日なので~読書感想文大放出だよ!

はいっ。今日は21日。末尾に1がつく日。

と言うことでとにもかくにも中身がないくせに長い読書感想文でおなじみの(笑)私の読書感想文を放出する日でございます。

前回11日の記事で、どうにか2010年度の読書感想文を放出し終わりまして、今日からは2011年度の読書感想文でございます。

2011年と言えば東日本大震災が発生した年。そうか、もう、9年、来年には10年を迎えることになるんだなぁ・・・なんか時の流れの速さ、と言うか、不思議さのようなものを感じつつ、ではでは早速放出でございます!

 

相沢沙呼梓崎優ほか『放課後探偵団』・・・アンソロジーです。同世代の人たちのミステリ作品です。ステキでした。どれも、規則正しい、折り目正しい真っ当な青春ミステリで。そうそう、こういうこっ恥ずかしい思い出もまた青春、でも、それをこんなふうに振り返れるなんて今が幸せな証拠じゃね?の『お届け先には不思議を添えて』。がんばれ野球部!野球坊主のエロと恋心とまっすぐさ満載。梓崎先生の作品は別格扱いとした場合、この作品がいちばん好きです、な『ボールがない』。もどかしいほどの恋心と初ちゃんの美しさが憎憎しいまでの『恋の魔法はチンクアチンク』。突拍子もない動機かも、事件かもしれないけどでも、とても素敵な『横槍ワイン』。そしてそして、やっぱり持ってかれちゃったよ、な『スプリングハズカム』の梓崎先生。なぁ・・・そうきたかぁ。ってか、もう、作品中唯一三人称って時点でやっぱ安心したもんなぁ・・・。なんて言うかな、プロの作家さん相手に失礼かもしれないけど、もう文章そのものがうまい。安定してる。で、この人の文章は本と空気感があって、静寂で、すごく描写力に優れてると言うか、匙加減が絶妙と言うか。でもって、個人的にはいちばん弱い幽霊オチ。泣いちゃいましたよ。他の人は批判しても、私はこの手のネタは大好きです。とにかくこの人の小説は美しい。文章が、空気が、雰囲気が美しい。その美しさが、このオチの哀切さと相まって目に見えて悲しく、そして心が痛くて仕方なかった。いやぁ・・・本当に新人なのかな、この人。この文章力はおそろしい。そして新作が楽しみでならないなぁ(うきうき)。そんな具合で、でも、どの作家さんの作品も本当に小粒ながらしっかりと楽しむことができた、お得なアンソロジでございました。

 

伊坂幸太郎『マリアビートル』・・・面白かった!久し振りにページを繰る指が止められず、ラストページをチラ見してしまうズルをしてしまった作品。やっぱな、やっぱなぁ、やっぱやっぱ伊坂幸太郎にはこうあって欲しい!作家としての新境地を拓こうとする姿勢、ご自分の好きな作風を突き詰められる姿は応援したいけど、やっぱやっぱ面白くないと読者としては辛いぜよ(どーん)。ということで、これぞまさしくザ、伊坂というような作品でございました。稚気に満ちた、そしてはっとするような登場人物達の会話に、独特の浮遊感。幾本も張られた伏線に、先が読めない展開。何より愛しい登場人物たち・・・あぁ・・・蜜柑と檸檬が。スピンオフ、書いて。たまらんですよ、このふたり。この作品だけで、しかもあっさり退場なんて勿体なさすぎる!大好きだけど、七尾っ!王子に騙されて蜜柑を殺した事だけは許せないっ!でも本と、殺し屋たちが繰り広げる物語だけらこそ容赦がなく、その乾いた世界観だからこそふたりの漫才はたまらんかったですよ・・・うぅ・・・蜜柑と檸檬、また会いたいよぅ。七尾も、ほんと、もはや何をしでかしてくれるかといろんな意味で期待せずにはいられないほどの不運っぷりで。人としていちばん、共感できるようなタイプだったから生き残ってくれてよかったです。そのダメダメっぷりと仕事をこなしてしまう姿とのギャップがたまらんなぁ。そして王子。怖ろしい奴のはずなんですけど、私の中ではすっかりSPECの神木くん。憎々しくも絶対、私も騙されちゃうよね、と複雑な気持ちでしたが、彼の言ってるっことって本当、案外真実でもあるからこそ、いつもどおり伊坂ワールドを深いものにしていたと思う。そしてそんな彼に対峙したのは、木村夫婦と鈴木さん!木村夫婦は特にオヤジさんが問答無用でかっこよかったし(長く生きてこられたってのはそれだけですごいこと、のくだりには納得。そうか、生きてこられたことだけで意味があるんだ、と。妙に励まされたよ、鈴木さんの言葉は深く頷けると共に、新たな発見もあって凄く印象に残りました。あと槿さんもっ!かっこよかった!伊坂先生は、ほんと、なんだってこんな登場人物を出してくるんですかね。反則すよ。個性豊かな殺し屋たちの活躍に心奪われ、悪魔のような中学生の所業に心奪われ、無様だけど頑張った父親の足掻きと最強な老夫婦の躍動に心奪われ、押し屋の静寂に心奪われ、歩く神父の言葉に心奪われそして展開に告ぐ展開の物語に心奪われ。まさしくノンストップな伊坂幸太郎による二時間三十分の新幹線の大暴走!いやぁ、本当に面白かった!

 

津原泰水『瑠璃玉の耳輪』・・・尾崎翠、といえば『第七官界彷徨』。手に取ったけど読んでない。で、果たしてそんな人が一体、どんなふうにこのミスに載るような作品の原案を書かれていたんだろう、と思っていたら。びっくり。まさかまさかのミステリというか探偵文学、曰くあり気な怪しさも満点でまさに手に汗握る一大エンタで読み応え満点でありました!ただの三姉妹の行方を捜すだけの物語なのかなぁ、と思っていたら探偵さんは人格ごと男になってるし、三姉妹のつけている耳輪にはとんでもない仕掛けが施されていたし、最後は冒険活劇だし。いやぁ、予想をいい意味で裏切るあれも、これも、とエンタメ作品に必要な要素がこれでもか、と詰め込まれていた作品だと思いました。映画化のために応募された作品ということで、ほんと、これ、宝塚に演じて欲しい!男装の探偵に同性愛に変態性欲者に、と宝塚が演じるにぴったりな作品でしょう!ってか絶対、これは舞台なり映画なり、目に見える形での、人が演じる作品にした方がより楽しめると思う!時代を経て、眠りについていた、多くの人の目に触れることがなかった尾崎作品をこのような形で現代によみがえらせた津原先生の手腕にも拍手!

 

佐々木譲『警官の血』・・・ずっと読んでみようと思っていた作品です。ドラマを見たので頭の中でその時の役者さんと重ねて読み勧めていけました。面白かったです。簡潔すぎるくらい簡潔な文章で場面によっては物足りなさも感じたのですが、それが逆に、父と子、三代に渡るドラマを盛り上げていたように、そして読者の想像力によて解釈を楽しめるようなふうになっていたと思います。きっとこれが、ごてごてした、簡潔じゃない文章だったら逆に三代の物語を読むのはしんどかったかもしれないよなぁ。はい。父と息子。やっぱり、たくさんの作品で描かれてきたように、ここには娘の私にはわからないような特別な何かがあるんでしょうね。父であり、警官であった男の背中を見てきた息子、脈々と受け継がれてきたその血、そこに秘められた喜びや怒りや疑念や悲哀なんかをひしひしと感じました。三代の警官それぞれの生き方が、当然だけど時代ととても密接に絡み合っていたのもすごく興味深かった。対峙する事件そのものが、時代そのものを表していたようでだけどそれぞれが懸命にそこに立ち向かっていった姿が読み応え満点でした。そして、ドラマでは早瀬さんが犯人ということしか(なんて大雑把な言い方(ちーん)知らず、民雄さんの隠されていた部分と言うのは小説で初めて知りました。そこで突きつけられた警官としての生き方、そして人としての生き方。成程なあ…。警官としての『善悪』と人間としての『善悪』。警官であることに振り回され続け、人一人の命を奪い、それでも必死に警官として生きようとした民雄さんの人間としての『善悪』の判断のつけ方を、私は見たように思うんですが。清二さんは、もしかしたらあの方法はとらなかったかもしれない。それは、民雄さんだからこその方法だったのかもしれない、と思うと感慨深いです。そしてラスト、鳴り響くホイッスルの音に、その気高さに、親子三代の血が陽の目を見た歓喜、そして警官としても、人としても決してそれは間違ってはいなかったと具現化しているような和也の思いを見た気分でございました。面白かったです!

 

綾辻行人水車館の殺人』・・・久し振りの館シリーズ。やぁ、やっぱ面白いね、血が騒ぐね。ミステリに必要な要素すべてが詰まっていて本当に面白い。ページを繰る手が止められない。何でもっと早くに読んでなかったんだ、と思う反面、一気読みの幸福に浸れる喜び、あぁしかしかしかし、新作の「奇面館」はいつになるのかと思うと、残すも後一作かと思うと、うぅ・・・。そんなこんなの一冊は、やったぜ、トリック見破れたぜ、と万歳三唱。だって読むからに怪しさ満点だもんな、顔を隠した登場人物、そして顔がわからない死体には疑え、がミステリの鉄則だもんな。やや、でも、どうなんだろ、当たってるのかな?どうなんだろう、というわくわく感に引っぱられてあっと言う間に読んでしまいました。ラスト、私は好きだなぁ。ぞっとするじゃないですか、人智を超えた、何かもう抗いようのない宿命のようなものを感じさせて。「十角館」のラストも何かそんな感じがあったじゃないですか。なんかこの、ぞっとした感じ、ぞっとするんだけどもうどうしようもないくらいに哀切が漂う感じ、罪を犯した者が逃れられない何かを突きつけられたような感じ、これっと本格ミステリを描きながらも、一抹のホラーを感じさせるのは綾辻先生ならではだと思うと。余韻漂うラストもまた、館シリーズならでは。いやぁ、そんなこんなで改めて、改めて面白さを身に染みて感じたシリーズの一作でございました。次の黒猫館が、とりあえず刊行されている館シリーズのラスト。うぅ・・・寂しいなぁ(ぐずり)。

 

綾辻行人黒猫館の殺人』・・・ほいっ。というわけで館シリーズもとりあえず全作品読破。その最後となった作品ですが、そうですね。他の館シリーズとは異なり館に秘められた密室とか殺人そのものの謎解きを楽しむのではないのでちょっと小粒な印象を受けなくもなかったかなぁ、とも思うのですが。大きな種明かしのひとつで言えば、「水車館」と一緒じゃないですか、うん(とか大口を叩いてみる)。でも、仕掛けられていたトラップは過去最大級と言うか、まさかまさかの真実だったので思わずニヤリ。いやぁ、さすがです、やっぱり綾辻先生、読者に対するサービス精神、遊び心たるや頭が下がります。ひとつひとつはられていた伏線も、なるほど、そういう意味だったのかぁ、と納得仕切りです。こういうことを、さらり、とやってのけてみせるんだからすごいよなぁ。そして殺人の動機は「霧越邸」に通ずるようなものがあって、これまた綾辻先生らしくて非常に好き。ラストの一行、さらり、と書かれた、けれどこの作品を読んだものにしか意味がわからないであろう一行に、なんて言うのか改めて、本格ミステリに対する、謎解きに対する綾辻先生の愛情をみた思いがしました。てか、綾辻先生の愛情、それは「館」に対する中村青司の、一言で言ってしまえば愛情に通じているんでしょうね。うんうん。やや、そんなこんなで読み終えちゃったけど。どれも面白かったけど。やっぱストレートな「密室と化した館」×「大量殺人」×「謎解き」の「十角館」と「時計館」と「迷路館」がトップスリーかな。「十角館」を読んだ時の衝撃たるや、今でもはっきり覚えてるもんなぁ。もっと若い時に読んでおきたかったよ。次点は賛否両論ございますが、個人的には静かな哀しみに満ちた「人形館」が好き。それから殺人そのものの謎解きよりよりも、もう少し別の謎の焦点を据えた「黒猫館」と「水車館」を。・・・ってか、なんで最初に読んだのが「暗黒館」なんですかね・・・本と、おばかさんだね、私(ちーん)。やーやーやー、とにもかくにも、本当に読んでよかった!めちゃめちゅ至福の読書時間が過ごせたし、どの作品にもひとりの作家としての誇りと遊び心を見せられたような思いで胸が洗われるような思いです!あぁ、早く新作の「奇面館」読みたいなぁ、読みたいなぁ。

 

・飴村行『爛れた闇の帝国』・・・まだ世に出ていない新作を、しかもタダで読ませて頂くことができるなんて!こんないいシステムがあったなんて!知りませんでした。はい。今回、運よくそのシステムの恩恵に与れた私です。ただ、あの煽り文句は、煽り過ぎだって。はい。だから、まぁ、そういう期待感を抜きにすれば、そこそこには面白かったですよ。もう、まさにB級ホラーって感じで。出てくる要素、要素が全部怪しげで安っぽくて、しかも展開までそんなもんだから笑いが止まりませんでした。過去のパーツと現代のパーツがどんな具合に絡んでいくのかなぁ、と思っていたらこれまたまさかまさかの、もう反則技のような仕掛けで、そんなんありかいっ!と。でも、この人の作品は他を読んだ事がないからわからないけれど、この人はこれでいい、これがいいんだと思う。多分、あの虐待のパーツとか、そこから派生するホラー的な部分とか、もっと書き進めていけばもっと整った作品になるんだろうけれど。この無茶苦茶、安っぽい疾走、血と暴力の乱舞、饗宴こそがこの人の魅力なのだと思う。だと思えば非常にこの人らしい作品で、感動も感慨も何もない、ただ「面白かった!」と言うだけの正しいエンタメなんだと思いましたよ。はい。ラストは意外。。エミリーちゃんもきっと、神の犠牲になっちゃうでしょうね。はは。考えるとわくわくしちゃうな、ってこんなことを書いちゃう私は何て酷い人間なのか、うふふ。でも、ステキ。こんな物語、笑顔で「面白いから読んで」とは薦められないよね。そんな物語を面白い、と思わせてしまう飴村先生は罪な人。自らの内に「爛れた闇」を宿していると思う人は、是非どうぞ。

 

東野圭吾『放課後』・・・乱歩賞受賞作、なので出世作。東野先生が、こんながちがちの本格を書いていた事にびっくり。意外でした。はい。そんな具合で、女子校が舞台の物語。なのでやっぱり、女子高生たちの姿が、その言葉遣いなんかに時代の変化を感じずにはいられなかったけれど、でも、とてもリアル、というよりもう生々しく描かれていたのが印象に残ったかな。大人でありながら子ども。だから彼女たちは、かつてその時代を経てきたはずの人間たちが、だけどほとんど理解できないようなことで人を憎み、人を殺す。理解できるようでいて、理解できるかもしれないけれど、そもそも彼女たちは理解なんかを欲してはいなくて、でも、本当は理解して欲しいのかもしれない。そんな複雑な、あの年代特有の姿を、様々なタイプの女子高生を通して、これでもかっ!というくらい見せ付けられたような気がします。まぁ、でも、今回の動機は、理解できなくもないな。ってか、気をつけてやろうよ、それ。布団の中でやるとかさ、トイレにこもってやるとかさ。いや、でも、本と。あの一言がケイちゃんの口から飛び出した時には、どきり、とした。本当に、見せ付けられた、と思った。うん。これはなかなかの衝撃でした。だろうな。だからこそそれを目撃したふたりを殺したことで、宮坂ちゃんは力を得たんだろうな。うん。皮肉な話だけれど、わからなくもない。そして、主役の先生よ。マシーン。オチはあるだろうと思ってたら、成程ね。ね。まぁ、そりゃ自業自得でしょうよ。そう思うよ。酷いもん、あなたが言った一言は。それを理解できているのか、できていないのか。それは定かではありませんが、ただ利用されていたというところに、更にはケイに裏切られ、おまけこんな結末とは。なんと言うか、この手の小説にありがちな(たとえば「ガラスの麒麟」のように)切なくも爽やかなラストとはほど遠い、ただただ続く少女の明るい闇に彩られた正義と、一人の男の生き方のツケを払わされているような結末、どこまでも交わる事がない生き方、思いの存在、それらの暗澹たる感触だけが重い作品でございました。

 

有栖川有栖『長い廊下がある家』・・・火村先生、結婚しよう。いやぁ・・・火村先生、そしてアリスとの付き合いも、多分、付き合いはもう十年くらいですか?私がミステリにはまる最初のきっかけとなったシリーズですからね。火村先生の年齢が三十四。文中にそれが出てきた時は我が目を疑いましたもの(笑)。おかしいなぁ、いつまでも年上だと思ってたのに。気がつきゃ、私ももうすぐじゃないかー、ははははは。はい。本とね、十年以上のお付き合いなのに本と、かっこいいんだよ。しかも、未だ謎が多いじゃないですか。『人を殺したいと思ったことはあるけれど自ら命を絶ちたいと思ったことはない』あぁ、こんな言葉の裏に秘められた先生の真実を知ることができるのは一体いつになるのかしら。三十四歳までには知ることができるのかしら。そんな戯言はさておき。久し振りの火村先生シリーズ。長編も読みたいけど、やっぱりこのシリーズは短編の方が味が出て、個性が出ておもしろいよなぁ、と思った次第。本格ミステリで謎解き、とくれば綾辻先生と比べたくなるんだけど、同じ『遊び心』でも、有栖川先生のそれは、なんて言うのかな、よりあくどさがないというか、優しい感じの遊び心と言うか。でも、ひねりが効かせてある。そうなんだけど、なんか、『あ、それ、ありそう』って思えるような遊び心だったりするのでなんだか読んでいてほっこりします。だからこそ、先の火村先生の言葉や、『ロジカルデスゲーム』の展開や、『天空の眼』のラストとか、重い展開や鋭い言葉の応酬になると尚の事、それが映えてくると言うか、ぐさり、と来ると言うか。その緩急の差もまた、このシリーズの魅力なのだと改めて思ったのであります。長編以上に難しい短編のミステリを、十年にわたって書き続けていらっしゃる、そのことに感謝と共に尊敬!そして今年は、このミスに書かれていたようにまた新刊が出ますように!そうだな。ここまで来たら、もうひとつのシリーズ、長編の雄、江神さんシリーズも読んでみないとな。

 

伊藤計劃『ハーモニー』・・・SF、初めてじゃね?いやぁ、何と言うか独特の世界観と言うか、この、漢字にカタカナのルビ、カタカナの世界というのが心底苦手。苦労しました。ミステリって実はとても読みやすいジャンルなんだね、と妙なところに感心。で、感想。この終焉を羨ましいと思ってしまう私は、やっぱり一生懸命生きていないからだろうか。これこそまさに人類の幸福、人類と言うつまんない枠組みなんかを越えちゃって、生命としての幸福だと思う。そこには歓喜がなく、しかし一切の苦悩も葛藤も恐怖もない。個が、私が、社会と完全なまでに同調した世界で、ただ命は、命として生きるだけ。ただ、それだけの存在。そこにどうしようもないくらいの憧憬と安心と解放感を覚えたのは私だけだろうか?だけど同時、一抹の寂しさと空しさと疑問を覚えたのは私だけだろうか?人が人として生きる。命として生きる。人としてのあり方、これまでのあり方すべてを覆すような、そうして問いかけるような物語だったと思う。ここには、そのどちらかが正しいのだと、明確な答えは記されていない。人の意識を過剰に卑下するよう、そして過剰に賛美するようなラストでもなく、だからこそ読み終えた後、悶々と考えずにはいられない。深い、深い余韻が残る。作者の伊藤先生にとって、この作品のこの結末は、現段階での極限だったと言う。そして、けれどそれでも問い続ける事こそが重要で、だからこそ、この問いに答えるための言葉を、次の言葉を探し続けていたのだと言う。若くして、道半ばにして亡くなられた筆者が、もし、新たな物語を書いていたならば、そこにはどんな問いがあり、どんな言葉があったのだろう。どんな人間の生き方があり、選択があり、完全でないにしても、だからこそ人の心に重く存在し続ける問いを孕んだ答えがあったのだろう。そして書き続けることで、どんな言葉が、この人の物語からは生まれ続けていただろう。そう思うと、この作家さんが、作家としてあまりにも早くに夭逝してしまったことがつくづく悔やまれてならない。ご本人もきっと、きっととても悔しかっただろうなぁ。どんな本でも少しは思うのですが、この本に関しては心底、もっと若い時に読んでおきたかったな、と思いました。

 

桐野夏生『柔らかな頬』・・・薄々、予感はしていたんだけど。成程な。個人的にはミステリ、という色合いは弱かったかな。いや、なんか人間の精神状態の不可思議さ云々で言うなら、もうこれ以上ないほどミステリだったけど。でも、謎解き云々よりもそこに携わる人間たちの姿を、もうこれでもか!というくらいの精緻な筆致で描いた作品、って感じかな。はい。なのでいつもの桐野作品に感じるぞくぞくするようないやらしさは薄く、むしろ、なんて言うのか、そんな簡単なものじゃないものが描かれていたような。うーん、難しいなぁ。正直、理解できない部分も多々あって読み進めていくのが苦しかったです。ただカスミが最後に行き着いた結論、『生き続ける』ということが胸にずしり、ときたというか。どうであれ、死なないのであれば、人間は生きていかなくてはならない。割り切れない、受け入れられないことの苦悩に悶えていたカスミが、内海と出会ってその死を看取った事で、割り切る事も受け入れる事も捨てて、何もかもから解放されてただ『生きていくこと』を目の当たりにした、って感じなのかな。でも、それは解放感からも満足感からも遠いようで。そう。だから個人的には、とても悲しくて空しい物語なのかもしれないな、と思った次第。人間は、ただ、生きていくことしか、生きて、死ぬことしかできないような生きものなのかもしれない、と突きつけられたようで。人間の、なにか原始的な姿を見たような気がしました。どうなのかな。真実はどこにあるのかな。なー。

 

はいっ。どうにか1万文字以内におさめることができた(汗)

 

と言うことで、はい。つい最近、読み返してひとり興奮していた『マリアビートル』の単行本が発売されたのが、この年だったのですね。そうかそうか・・・そしてやっぱり、リアルタイムで読んでいた時も、蜜柑と檸檬に心を奪われていたんだな。

 

しよう。『マリアビートル』アニメ化しよう。

蜜柑は前野智昭さんか石川界人さんで。

檸檬細谷佳正さんか内田雄馬さんで。

勿論、まだまだ予想しようと思ったら、このペア、いくらでも声優さん、予想できるよ!楽しいね、くふふふふ(どーん)

 

はい。と言うことで、今回はここまでです。

7月は31日まであるのかな?もし31日まであれば、お次は31日と言うことになりますので、よろしければおつきあいくださいませ。

 

ではでは今回はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!