『Astro Dive』について記事を書きました→そちらに出演されている佐藤元さんが演じられてきたエモい役について語る記事を書こうと思いました→そう言えば佐藤さんは『星合の空』にも出演されていましたね。
以上の流れで、今回の記事は生まれました。おぎゃあ。
ってかもしかしたらだいぶ前にも、同じような記事を書いたかもしれないのですが。
てなことで『星合の空』です。懐かしい。
『もう多分、7、8年前くらいの作品なんじゃないの』とか思ってたんですけど。
調べてびっくりしました。放送は今から5年前、2019年の秋クールです。
こんな思い出し方は自分でもどうかと思いますが、コロナが猛威を振るう、その直前の頃ですね。
なんだろ。完全『コロナ前』と『コロナ真っただ中』と『コロナ後』で、個人的記憶が分断されているような気すらする。
『星合の空』はオリジナルアニメです。廃部寸前の男子中学ソフトテニス部が舞台。
ですので主軸は、ソフトテニスに励む男子中学生たちの姿が描かれています。ただしその男子中学生たちを取り巻く家庭環境、また家族に何らかの問題がある。故に主要キャラクター全員が、それに振り回される様が描かれていたと言うのも、本作品を語るうえでは欠かせない部分だと思います。
ビジュアルだけ見ると、ふわっ、としたキャラデザも相まって『あぁ、きっと熱く爽やかなスポーツ作品なんだろうな』と言うイメージを抱くことかと思います。
私も最初はそうだった。
でもね、違うの。いや、違わない。確かにそう言う部分もあるんですけど。
それと共に家庭環境、家族と言った、本人ではどうしようもない部分に振り回され、時に打ちのめされ、時には精神的に追い詰められていく。そんな少年たちの姿も描かれていた、非常にヘヴィな一面も持った作品なのでした。
主人公の2人は花江夏樹さんと畠中祐さんが演じていらっしゃいました。
そしてこの2人と同じソフトテニス部の部員を、佐藤元さん、松岡禎丞さん、豊永利行さん、佐藤圭輔さん、小林裕介さん、天崎滉平さん、マネージャー役で山谷祥生さんが演じていらっしゃいました。
佐藤さんが演じていらっしゃったのは、男子ソフトテニス部の副部長。何でもそつなくこなす少年なのですが、CV花江さんキャラの出現によってじょじょに自信を失い始める、と言う役です。
実の母は未婚のまま、若くして彼を出産。そのため生まれてすぐに養父母のもとに引き取られたと言う背景があります。自分が養子であることを知ってからは『自分は邪魔者ではないか』と言う恐れを強く抱くようになり、その恐怖を払しょくするように養父母からの期待に応えるべく、人一倍の努力を重ねていると言う少年です。
重い。泣く。
なおどの少年の家庭環境、家族の問題も本当にヘヴィなのです。実母から虐待を受けていた子、挫折をきっかけに父から辛く当たられている子、再婚家庭で義母との関係がうまくいっていない子、過保護な両親からの愛情に悩んでいる子と、もう書いているだけでも、胸が詰まるような思いがするのですが。
個人的にはCV小林さんキャラの家庭環境と言うか問題が、いちばんしんどい。
お母さんがモンスターペアレントなんです。学校でも有名になるほどの。
で、その母から『テニスをやめて勉強しろ』と圧力をかけられまくっている。
その結果、元々、虚言壁があった彼なんですが、それはますます強くなっていき、精神的にも追い詰められていくと言う。ふわっ、とした雰囲気の、どちらかと言えばおとなしくて周りを和ませるような少年なんですけど。
なんかもう、その彼の性格すら、実は『モンペの母親に逆らえないあまり、自我を押し殺した末に生まれた人格』のようにリアタイで視聴していた時に思えたのが、今、思い出してもめちゃくちゃしんどい。
『星合の空』が実にヘヴィな作品であるのは、これでおわかり頂けたかと思います。
ただこの作品を語るうえで、個人的にか欠かせないと思う要素がもうひとつ、あるのです。
それが本作品の幕切れです。つまり最終回、その終わり方です。
すんごい劇的だったの。
いや、もう『切れ味鋭い』なんてもんじゃない。
ある意味では『俺たちの戦いはこれからだ!』と言えるような幕切れだったんですけど、その言葉を持ち出すには、あまりにも意味深、そして不穏過ぎる幕切れだったんです。
夏季大会の予選。部員たちは最終的には敗戦してしまったものの、それまでの健闘に大きな満足、そして喜びを抱いていたんです。
良かったね。
ところが、です。
まずCV畠中さんの少年。彼は優秀なテニスプレイヤーでもあった兄に、試合の結果報告をするために電話をかけます。ところが電話に出たのは、彼と仲の悪い母親。そしてその母親は『私はあなたの兄を連れて離婚します』と告げる。
更にCV花江さんの少年。彼は離婚した父親が、未だに自分たちの住まいにやって来て金を無心したり、自分に暴力を振るう、そのことに悩まされているのですが。
帰宅した住まいが父親の暴力によって荒らされていた。それに精神的に追い詰められた彼は、包丁を購入。そして父親が住んでいるアパートに向かいます。
はい。ここで終了です。
確か包丁を片手にした彼が、父親の住むアパート、その部屋の前に立った。そして『このままじゃダメだ』的な台詞を口にしたと言う絵で終わったはずです。
『え?』です。
『え?』です。
いや、今、思い返しても『え?』です(笑)
『いや、え?続きは?いや、って言うか、これ、最終回のラストのラスト5分くらいでやる展開じゃないですよね?え?なに?え?どう言うこと?』
それはそれはリアタイで視聴していた私はえらく混乱いたしました。
そしてそれは、恐らくは私だけではなかったはずでしょう。
どうしてこうなった!
曲がりなりにも年間、それなりのアニメ作品を見ている生活を10年以上、続けている身としては『確かに。この作品以上に衝撃的な終わり方。何なら目を覆いたくなるような酷い終わり方をした作品は、他にもあると言えばある』と言う思いがあるのも事実です。
しかしそれでもこの作品に関しては、何と言うか。
それまでの流れが、作りが、ものすごくちゃんとしていた。
していたからこそ、こんな最終回。まさしく『ぶつ切りっ!』と表現するのがふさわしいような最終回になるなんて、微塵も思っていなかった、思えなかった。
そう言うのがあったからこそ、より一層、衝撃的だったのです。
『これは一体・・・』と言う思いがただただこみあげてくる、そんな最終回だったのですが。
これに関してましては、作品終了後に本作品の監督、赤根和樹さんがツイッターでその裏事情を明らかにされています。
『アキバ総研』さんのインタビューでもそちらを語られているので、貼り付けようとも思ったのですが。
なんと『アキバ総研』さん、9月いっぱいでサービス終了されるとのことで。
残念だ・・・。
なんでこんなぶつ切りエンドなったのか。
端的にまとめると、以下のような事情があったそうです。
・本当は全24話、分割2クールでの放送予定だった。
・ところが放送半年前に『全12話での放送』に変更された。
・あまりに急すぎる変更に、それまでの構成を変えることは不可能だった。
結果、前半クールとして完成していた12話をそのまま、放送したとのこと。
じゃあ、なんで、そんな事態になってしまったのかと言うと。
・放送前にスポンサーが降板してしまった。
・監督に声をかけてくれたテレビ局のプロデューサーさんが異動されてしまった。
と言ったことが理由であると、先に書いた『アキバ総研』でのインタビューで、監督は答えていらっしゃいました。
すごいな。
これを知った当時も思ったけど、改めて書いていても『すごいな。悪い意味で『すごいな』と言う言葉しか出てこないな』と言う思いしかないと言うか。
こんなこと、あるんですね。現実として、こんなむちゃくちゃなこと、あるんですね。
あったんですよ、現に。
私たちは、その衝撃的な歴史の目撃者になったんですよ。
こんな目撃者、あまりにも悲しすぎる・・・(涙)
分割2クールなら、当然ですが12話の続きがあった。
包丁を手にした彼がその先、どうしたのか。
また自分ではどうしようもない家庭環境、家族、その問題に苦しんでいるひとりひとりの少年たちのその後も、きっと描かれていたに違いない。
その彼らを演じていらっしゃった声優さんたちの演技も見られたに違いない。
それを思うと、本当に、つくづく『残念だなぁ』と言う気持ちがひしひしとこみあげてくるのであります。
ただ監督は当然、続編制作を願われていた。
そしてその願いのひとつの形として2020年には、高校生になった登場人物たちが新規カットで登場するスペシャル動画が公開されています。
ねぇ!CV小林さんの少年、闇落ちしてない!?
ってかあの絆創膏、あれ、え?
絶対、モンペのお母さんのこと、殴ってるよね!?
ね!?
辛!
はい。てなことで本日は、ひょんなことから思い出した『星合の空』について語ってまいりました。
最終回はあまりに劇的ではありますが、ほんと、少年たちの繊細な心情。そしてまるで、救いを求めるようにしてソフトテニスに励む姿が胸を打つ作品ではあります。
出演声優さんたちの瑞々しい演技も素晴らしいの一言なので、もしよろしければ配信サイトなどでチェックしてみて下さい。
なお冒頭に書いた『CV佐藤元さんのエモいキャラ云々』の記事については、ちゃんと完成できていれば近日中に公開すると思います。
予定は未定。
ではでは。本日の記事はここまでです。
読んで下さりありがとうございました。