tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

『このミステリーがすごい!』を振り返ろう~特別編・2023年

本当なら通常通り『このミステリーがすごい!』の振り返り、前回が2017年だったから、今回は2018年、2018年の振り返りをお送りするはずだったんですけど。

 

このミステリーがすごい!』の2023年版、発売されましたね。

その感想記事をアップするタイミングを完全に逸しました。

ええ、完全に逸しました。

なので逸したついで、いつもの『このミステリーがすごい!』を特別編として、2023年版の振り返り記事にしてしまおう、と思い立った次第です。

 

てなことで早速『このミステリーがすごい!』2023年版、見てまいりましょうか!

 

このミステリーがすごい!』2023年版が発売されるちょっと前に予想と言う名の、ただ単にネット上の皆さんの予想を集めさせてまとめさせていただいただけの(汗)記事をアップしたのですが。

ふむ。振り返ってみるとその予想記事、すなわち皆様の予想、結構、当たっていたのではないですか!と言う感じです。

 

どうしよう。具体的な順位、挙げちゃうか。

挙げていらっしゃる記事もあるけど・・・よし。だからこそ、私はあえて1位のみ挙げて、後は『うふふ。本屋で立ち読みでもいいから確認してね。それか別のサイトさんで確認してね!』方式で行くことにしました。

天邪鬼でごめんね!

 

てなことで本年度、栄えある1位に輝いたのは・・・呉勝浩さんの『爆弾』でした!

わあぁぁぁぁ!拍手!拍手!そして小躍り!私も読んだ作品なので、これはこれはとても嬉しいです!

去年とは違い、割と本命不在、混戦が予想されていた本年度のランキング。その中『どうかな、いや、でも正直1位は厳しいんじゃないかな』と誠に失礼な予想をしていた本作ですが、堂々の1位獲得です!

そして何と言うか、ポジティブな意味で、『本作品が1位に輝いたのもまた『このミステリーがすごい!』らしくて良いなぁ』とにんまりでした。がっちがちの本格も強いけど、こういう、個性が尖りに尖った作品が強いのも『このミステリーがすごい!』ならでは、なんですよねぇ~。

 

てなことで『爆弾』です。こちらは読書感想文記事も挙げています。

見るからにさえない容貌。自動販売機を蹴り飛ばし、店員に乱暴を働いたつまらない罪で警察に連行されてきた1人の中年男。自らをスズキタゴサクと名乗るその男は、のらりくらりとした会話で警察の尋問をかわしていく。

ところがその途中、スズキは時間と場所を指定したうえで、何かが起きると予言めいた発言をする。

そして実際、スズキの発言通りの時間、場所で爆発事件が発生。それを受けスズキは、これから1時間ごとに3度の爆発が起きると言う。

爆発は本当に起きるのか。一度目のスズキの言葉が的中したのは偶然なのか、それとも本当にスズキには未来を予知する力があるのか。

スズキの真意を探るべく、そして『起きるかもしれない』爆発事件を防ぐため、刑事とスズキの会話の応酬が始まる・・・と言うのが、簡単なあらすじです。

 

いや、もうめっちゃくちゃ面白かったです。うん。スズキと言う、さえない中年男の醸し出す、実に強烈な個性、存在感は勿論なんですが、このおじさんモンスター(笑)に対峙する警察側の人間の個性も、それに負けないくらいに個性的で強烈。

類家、可愛いよ、類家。おっと本音が漏れちゃった!そしてかっこいいよ、等々力!絵に描いたようなインテリ、清家もたまらんよ!

名前忘れちゃったけど現場で奮闘する若手刑事2人組も、実に存在感ある、物語に深みを与える役割を果たしているのです。

そして物語が進んでいくにつれ、この警察側の人間もまた、実はスズキと大差ない、自らの中に『爆弾』を抱えている、それを持て余しているのだと突き付けてくるような展開が、実に痛快。

更にスズキの言葉や、それに翻弄され、自らの中の『爆弾』を突き付けられた刑事たちの様々な姿を通して、読者自身もまた『自らの中にも『爆弾』は存在している。たまたまその導火線に火がついていないだけで、そこに火が付く瞬間と言うのは、自分にも存在しているのだ』と思わされるのです。

こうした展開のほとんどがスズキと警察側の会話、実にくだらないような、それでいて哲学的な問いかけすら孕んでいるような、社会の真実を鋭く突いているような、そんな会話で描かれているのも、本作品の大きな特徴であり魅力だと思います。

会話劇の緊迫感、そしてエンタメとしての先の読めなさ。更にミステリーの驚かされる真相。それらすべてがぎゅっ、と詰め込まれた、まさに『面白い小説』のお手本のような、そんな作品だと個人的には思います。

 

これ、絶対、映像化されそうだよなぁ~。スズキタゴサク、誰が演じられるだろう。イメージとしては太った温水洋一さんなんだけどなぁ。

あと類家も気になる。類家、可愛いよ、類家。

 

本作品、ネットで調べていたら冒頭を無料公開されているページ(勿論、合法的にです)を見つけたので、リンクを貼りつけておきます。

是非是非、興味のある方はご覧くださいね。

tree-novel.com

 

はい。てなことでここからは、順位は秘密のまま、気になったランクイン作品を見てまいりましょうか。

 

まずは逢坂冬馬さんのデビュー作『同志少女よ、敵を撃て』ですね。いや、そうか。予想記事でも書きましたが、去年刊行作品でありながら、集計時期で見ると今年のランクイン対象の作品なのですよね。うん。

だからこそ、ほぼほぼ1年の時が流れても、こうした今年度のランキングに食い込んできたのは素晴らしいの一言なのです!

刊行直後から大きな話題になっており、その面白さ、完成度の高さは非常に高く評価されていましたが、改めてそれを証明したような形ですね。

『平和であること』、それが全世界的に危うくなりかけている今だからこそ、読まれるべき作品なのかも、と言う思いもします。

私、まだ読んでないけど(ちーん)

文庫化されたらぜひ、読んでみたいです!

 

そして『今』を切り取った、描いた作品と言う点で言うと、有栖川有栖さんの『捜査線上の夕映え』も挙げておきたいですね。

准教授、火村英生と作家のアリスがバディを組み、様々な事件の謎を解明していくシリーズの最新作です。

予想記事でも書きましたが、正直、後半のある一点。ぶっちゃけると警察の凡ミス、凡ミスと言うか、うん、まぁ、凡ミスだわな。あそこだけはどうしてもいただけない。『ぐぬぬ』と言う気は、今でもしてしまう。皆さんが批判されているのも、わからなくはない。

ですが、そうしてまで成立させたかった論理、推理。何より、実にアクロバティックなトリックは、本当にその瞬間の映像が頭の中でありありと描くことができて、正直、ちょっと鳥肌が立ちました。

 

また本作品は今以上にコロナによる影響が色濃かった社会、年代的には2020年くらいなのかな?その時の社会が、実に克明に描かれています。

そのことで創作物でありながら、しかし、火村先生やアリス、おなじみの面々、事件に関わった人。この作品に描かれている人たちすべてが、現実社会に生きる『私たち』と同じ社会を生きている、生きてきたのだと、そんな感触を読者の胸にもたらします。

それは何とも言えない感慨、切なさにも似ていて、それがより一層、本作品の魅力を高めているようにも、私は思いました。

『異常だった日常』を描き切った作品であり、それでいて本格ミステリとしての面白さも詰まった、まさに著者の新たな代表作とも言えるのではないでしょうか。

 

そして・・・白井智之さんの『名探偵のいけにえ』と夕木春央さんの『方舟』も見事にランクインしていましたね。

『名探偵のいけにえ』は『2023本格ミステリ・ベスト10』にて1位を獲得。『方舟』は『週刊文春ミステリーベスト10』にて1位を獲得と言うことで。

去年は米澤穂信さんの『黒牢城』がぶっちぎり、堂々史上初の4冠達成と言う快挙を成し遂げたわけですが、やはり今年はランキングによって票が分かれた感じでしたね。いや、これもこれで楽しい!

 

てなことで『名探偵のいけにえ』は、とにかく推理パートが圧巻だと言う評価の声を目にします。カルト教団を取り上げた作品と言うことで、その中で通用している『狂った常識』に、ミステリーではまさしく『神のごとく』存在である名探偵が、『現実の常識』を武器に、どう立ち向かっていくのか。

文庫になったら読もう(こうして文庫化待ちの作品がどんどん増えていくんだよ(笑))

一方の『方舟』もまた非常に高い評価を受けている作品と言う印象があります。出口を失った地下建造物。クローズドサークルと化したその中で起きる殺人。誰が、何故と言う問いに対して『このミステリーがすごい!』曰く『最もショッキングで最もエレガントな解を示した傑作』と言う作品とのことで・・・。

早く文庫化して!

 

はい。そんな具合で他にも語りたい作品はあるのですが、私が語り出すと長いだけでロクなことにはならないので、こちらを最後にいたしましょう!

それが芦部拓さんの『大鞠家殺人事件』でございます!

芦部さんのミステリー作品って、そんなに数をたくさん読んでいるわけではないのですが。それでも個人的には『折り目正しい本格作品』と言う印象が強くあります。そしてまた物語全体に漂う(勿論、作品にもよりますが)、どこか懐かしい雰囲気も、個人的にはたまらないんですよねぇ。

本作品は失礼ながら刊行されていたこと自体、知らなかったのですが。あらすじを読んだだけでも、とてもわくわくしちゃうました。

こちらも文庫化された際には、是非とも読んでみたい作品です。

 

はい。そんなこんなで気になるランキングにつきましては、先にも書いた通り、本屋さんで是非とも『このミステリーがすごい!』を立ち読みされるか、順位をすべて紹介されているサイトさんに足を運んでみて下さい。うへへ。

 

ちなみに。

ランキング結果以外に関しては、まだ十分に目を通せていない有様なのですが・・・。

名だたる作家さんの新作情報と、お題に沿ったミニエッセイが掲載されているコーナーも、毎年の楽しみだったりします。

今年のお題は『初めての印税で買ったもの/やったこと』と言うお題なのですが。

今年、岡田准一さん×坂口健太郎さんの出演で映画化された『ヘルドッグス』の著者、深町秋生さんのエッセイが、めちゃくちゃ面白かったし、めちゃくちゃ切なかったです。

私の知らない世界だ・・・物語とかでは散々、触れたことがある、だけど私の知らない世界だ・・・。

だけどそこで働いている人は、当たり前だけど確かに人であり、個々人の生活があり、それ故に、その世界で働くことを選択された、そうせざるを得なかったんだろうなぁ。

深町さん同様、私もなんだか現実と言うものを改めて、教え込まれた気がしました。

現実、厳しい。現実、世知辛い(涙)

 

いやー。

しかしそうか。『爆弾』1位だったか!

嬉しいな。

このままの流れでメディアミックス展開、されないかなぁ。わくわく。

さ、そしてここから来年度の『このミステリーがすごい!』の始まり始まりです。

たくさんの面白い作品に出会えると良いなぁ~。うひひひひ。

 

ではでは。本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!