tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

『このミステリーがすごい!』を振り返ろう~1992年

はい。今のところコンスタントに投稿できているぞ!

このミステリーがすごい!』33年の歴史を振り返ろうと言うこのシリーズ。

今回は1992年のランキングを振り返っていきます。

 

1992年。

いつものごとく『何があったのかしら』とウィキペディアで調べてみたら・・・。

『4月5日、それまで夫婦同氏が原則であったドイツで夫婦別姓が認められる』と言う一文が何気なく目に入ってきて、ちょっと衝撃を受けました。

1992年ったら、今から、え?

30年前ですか?

30年前ですよ!

そんな時代に、ドイツでは、もう、既に夫婦別姓が認められていたんですって!

 

日本なんて夫婦別姓に関しての本格的な議論が始まったのすら、ここ数年のこと。

しかもその議論すら『ダメです!夫婦別姓なんて絶対に認めません!』と言う考えに阻まれて、まともに進められていない感すらあるのになぁ。

30年も前に、ドイツでは、それが制度として認められていたんだぜ。

はぁ~・・・なんだかなぁ・・・。

ねー。はい。

 

あと映画では『氷の微笑』と『ボディガード』が公開されたのも、この年とのこと。

氷の微笑』は、本作品は見たことなくても、シャローン・ストーンの、あの足を組んだポーズは見たことがある、と言う方も多いのではないでしょうか。

非常にスリリング、かつエロティックな作品ですよね・・・。ちょっと前、テレビで放送されていたので久しぶりに見たけど『こんなえっちだったか!』と驚きました(笑)

あとアイスピックって、凶器としてはなかなかロマンがありますよね・・・武器そのものの力は弱いけど、狙うとこさえ狙えば殺傷力は抜群のような気がします。振りかぶって渾身の力で突く、と言うのもロマンがあるわって、私は何を言ってるんでしょうか。

 

そして『ボディガード』は『エンダアァァァァァァァ~イヤァァァァァァァァァ~』の歌でおなじみの作品ですね(違う)。ホイットニー・ヒューストンさんの美しさ、守られるだけではない、あの歌声からくる力強さも感じさせる、そんな美しさだったなぁ~。

 

ではでは、前置きはこれくらいにして1992年の『このミステリーがすごい!』を振り返ってまいりましょうか。

いつものように、こちらのリンクから1992年のベスト10作品を確認して頂けると幸いです。

ja.wikipedia.org

てなことでこの年の1位に輝いたのは志水辰夫さんの『行きずりの街』でございます!

志水さんの作品だと『裂けて海峡』は読んだことがあるのですが『行きずりの街』は読んだことがないなぁ・・・。主人公の男性が、塾の元教え子の行方を探っていく中で、元妻と再会。更には自分を追いやった学園の謎に挑んでいく、と言うラブ・ミステリーとのことで・・・『ラブ・ミステリー』って、なかなか聞いたことがない言葉なので、うーん、これは面白そうだ。機会があれば、是非とも読んでみたいです。

あと『裂けて海峡』と言えば、やはり講談社文庫版と新潮社文庫版でラストシーンの描写が違う、と言う点ですよね。

私は新潮社文庫版の方が好きです。なんかことあるごとに、口に出したくなる。

 

はい。てなことでベスト10の中で、私が読んだことある作品を挙げていくと・・・おおっ、多いぞ!

9位と8位にランクインされた髙村薫さんの『黄金を抱いて翔べ』と『神の火』、それから4位、宮部みゆきさんの『龍は眠る』、3位の稲見一良さんの『ダック・コール』、そして2位の大沢在昌さん『毒猿 新宿鮫Ⅱ』ですね。

 

まずは9位と8位にランクインしている髙村さんの2作品です。ちなみに『黄金を抱いて翔べ』が髙村さんのデビュー作でございます。

黄金を抱いて翔べ』の方は大阪の街に生きる男たちが、メガバンク地下に眠る金塊強奪計画を実行に移すお話。『神の火』はかつて原発技術者として極秘情報をソヴィエトに流していた主人公。その男が、自分をスパイに仕立てた男と再会したことで、幼馴染と共に、原発襲撃プランをめぐる情報戦に巻き込まれる、と言うお話です。

 

良いですよねぇ・・・髙村さんの作品で描かれる、もうどうしようもなく辛気臭くて、ちみちみしてて、生きることの沼にすっぽりとはまり込んで、もがいてあがいて、だけどそれすらももう、どうでもいいと言わんばかりの死んだ魚のような目をしている男って、最高だと思うのです(言い方)。

勿論、そんな男ばっかりじゃないんですけど、とにもかくにも、ものすごく生々しいし、情念深さがあって、だからこそのドラマが生まれると言いますか。

そりゃこんだけ情念ため込んだ、こじらせた男ばっかりが集ったら、もはや性別を超越した愛と憎しみの物語も展開されるわ・・・BLも真っ青な男同士の愛憎が展開されるわよ・・・。たまらん。

あと髙村さんと言えば、個人的には『じゃらじゃじゃら、すとん』と言う感じの長文、重みのあるチェーンのような連なりのある、だからこそ最後には『すとん』とそれがきれいにまとまり落ちるところに落ちる、そんな文体が、めちゃくちゃ好きです。

髙村さんの作品については、後のランキングでもたっぷり語る予定ですので、名残惜しいですが今回はこの辺で。

 

続いては宮部さんの『龍は眠る』ですね。こちらに関してはもう、アホほど、本当にアホほど泣いた記憶があります。今でもはっきりと覚えているくらいなので、多分、今まで本を読んで泣いた中でいちばん、その流した涙の量が多い作品なのではないでしょうか。はい。

週刊誌の記者に左遷されてしまった主人公と、彼が出会う2人の少年を軸に、彼らが様々な事件の謎を解明していく、と言うのが簡単なあらすじです。この2人の少年は特殊な力、いわゆる超能力を使える、と言うのがこの作品のひとつの肝です。

 

『龍は眠る』と言うタイトル。『龍』とは一体、何を意味しているのか。それは作中で明かされているのですが・・・。少年2人が『龍』の存在に振り回されそうになりながらも、事実、振り回されてしまっているんだけれども、それでも、正しくあろうとする姿が、もうたまらなく切ないんですよ・・・。

またその2人が、実にふがいない(笑)主人公と出会ったことで、少なからずも心を開いている、その描写ってのも、本当に胸に来るんですわ・・・。そして同時、ふがいないなりに、それでも2人の少年と出会ったことで、少しだけ成長を見せる主人公の姿も、ものすごくリアリティがあっていいなぁ、と。

ミステリ、超能力ものとしてハラハラ、ドキドキさせつつ、しかし登場人物の心情を丁寧に、やさしい筆致で描き、読者を物語の世界へと誘う技は、さすがの一言。

 

そして!個人的にはいちばん語りたい!3位の稲見さんの『ダック・コール』です!

こちらは連作短編集です。日常生活に疲れて旅に出ることにした若者。その若者と、石に絵を描く不思議な男との出会いを描くプロローグ、モノローグ・エピローグ、そして様々な物語6編からなっています。

本作品は山本周五郎賞を受賞しているのですが、選考委員を務められた藤沢周平さんが『希に見る美しい小説』と言う評を残していらっしゃるんですね。

それを知った時、私はもう『あー!わかる!すげぇわかる!藤沢さんがおっしゃりたいこと、めっちゃわかる!』とぶんぶん、首肯したのであります。

 

『珠玉』と言う言葉がありますよね。本作品はまさしく、この『珠玉』と言う言葉がぴったりくる、本当にひとつひとつの短編、物語が色とりどりの美しさを放って、『ダック・コール』と言うひとつの作品として類まれなる、そして比類ない(どっちも同じような意味なんですけど(汗))美しさ、煌めきを放っている、そんな短編集だと思います。

しかもその美しさ、煌めきがギラギラしたそれじゃない。やさしく、ひっそりと、温かさを伴ったそれである、と言うのも良いんだよなぁ~。

『美しい』と書くと、何かしらこー、いかにも作り物めいた、ただただ作品としての『美しさ』、それしかないようなイメージを受ける方もいらっしゃるかもしれませんが、当然、本作はそうではなくてですね。

 

作り物、小説としてのファンタジー的な美しさ。そしてその一方で、生きとし生けるもの、その命が放つ生々しい美しさ。強さや弱さ、ずるさや賢さ、相反するすべてのものを内包して生きる、その美しさ。そうした、ある意味で正反対の美しさのバランスが、実に絶妙なのです。

だから小説、作り物としての美しさを思う存分、堪能できるし、その一方で、物語に登場するすべての生きとし生けるもの、その命が放つ美しさにも胸を震わされる。すべての物語を読み終えた後には『ほぅ』と息をつきたくなるような、もう形容しがたい感情が胸いっぱいに広がっている、そんな作品なのですよ!

極上のファンタジー作品であり、しかし極上のハードボイルド、あるいはミステリ作品としての魅力も兼ね備えている。

嘘のような『正反対』のありとあらゆる要素が、嘘のような奇跡的なバランスで同居し、混ざり合い、互いに邪魔し合うことなく、見たことないような美しい煌めき、色彩を放っている・・・それが本作品だと思います。

 

あーん・・・私の語彙力では、その魅力をじゅうぶんに伝えられないのが悔しい限りだわ・・・。ほんと、読んで。頼むから読んで。本当に『物語』として『小説』として、素晴らしい作品だと思うので・・・頼むから・・・読んで・・・(土下座)

 

はい。そして2位にランクインしたのは大沢さんの『新宿鮫』シリーズ2作品目となる『毒猿』ですね。

個人的にシリーズの中でも好きな作品です。はい。1作品目に引き続いて、主人公は新宿署のはぐれ刑事鮫島警部・・・『はぐれ刑事』と聞いて藤田まことさんを思いうかべる方は何人いらっしゃるだろうか・・・好きだったなぁ。『はぐれ刑事』のドラマ。

今回、鮫島警部は台湾の敏腕刑事、郭とコンビを組んで、新宿に潜入した凄腕の殺し屋、毒猿の捜索にあたります。

自らを裏切った台湾マフィアのボスへの復讐に燃える毒猿。その彼の孤独に、自らの孤独を重ねた奈美と言う女性が惹かれていき・・・と言うのが本作のあらすじです。

 

新宿鮫』の物語で、鮫島が主人公なんですけど。でも本作品に関しては、完全に主人公は毒猿です。いやぁ・・・かっけぇんだ、毒猿が。ほんとに。物語の終盤で、彼が大多数を相手に立ち回るんですけど。そこの描写が、もうほんと痺れる。めっちゃスピード感に溢れていて、目には見えないほどの動きだろうに、その動きのひとつひとつの、毒猿の殺し屋としての凄まじさ、能力の高さ、そして美しさ、凄惨さ、そうしたものがひしひしと伝わってくる動きの描写ってのは、ほんと息を呑むくらいなのです。

孤独の塊であった毒猿が、奈美と言う女性に出会って・・・と言う流れも、もうたまらないじゃないですか!

 

やっぱり殺し屋はこうじゃないと!(何を言ってるんだ私は)

 

また同じく、鮫島と共に毒猿を追う郭さんも、かっこいいんだよなぁ~。毒猿と言う1人の殺し屋、犯罪者を通して出会った鮫島と郭。

国は違えと、志を共にする2人の刑事の熱い生き様。

そして異国の地で復讐に燃える孤独な1人の殺し屋。

その殺し屋と孤独で通じ合う1人の女。

4人の物語が、怒涛の勢いで繰り広げられる作品。たまりませんよっ!

 

はい。と言うことで本日は1992年の『このミステリーがすごい!』ベスト10を、私が読んだ作品のみですが振り返ってまいりました。

次回は1993年ですな。

 

今更ですけど・・・これ、私が読んだ作品のみ振り返るとは言ってますけど、読んだ作品が多い年とか、割と大変ですね・・・。

ってかぶっちゃけベスト10の作品、全部、読んでる年もあるんですけど・・・どうしたものか(笑)

 

ではでは。本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!