tsuzuketainekosanの日記

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ネタバレ記事について考えてみた~『兇人邸の殺人』の感想記事から

8月22日に挙げた記事、今村昌弘さんの『剣崎比留子シリーズ』の最新作『兇人邸の殺人』の感想記事。

こちらにちょいちょい、アクセスをいただいているようでして。

それはとても嬉しいのですが・・・どうやら調べてみると『兇人邸の殺人 ネタバレ』と言うワードから、この記事にたどり着いている方が多いようでして。

 

ふむ。

『ネタバレ』を期待して、あの記事にたどり着いた方は、果たして何を思われただろうか、と。

そんなことがふと、頭をよぎりまして。

 

『機龍警察 白骨街道』の感想記事の際にもちょろっと書いたのですが。

『ネタバレ』とは何ぞや、と言う疑問を改めて考えてみたいと思い、今回はこんな記事を書いてみました。

 

てなわけで。

まことに申し訳ない、特に作者の今村さんには本当に申し訳ない思いでいっぱいなのですが、こんな場末のブログなので寛容な目で見逃していただければ(土下座)

この記事では『兇人邸の殺人』の犯人を、がっつりと書いています。

私の中が考える『これが容赦のない『ネタバレ』だっ!』と言うような情報を、ばんばんと書く予定です。

 

なので。

『それだけは絶対嫌!』『いや、なにしてくれとんねん』と言う方は、どうぞお願いですから、この記事をそっと閉じて下さい。

はい。

 

あと『兇人邸の殺人』、ほんとにめちゃくちゃ面白い、本格ミステリの醍醐味をこれでもかっ!と味わえる作品なので、できればこのネタバレ記事だけで終わらず、実際に作品を手に取り、読んでいただけたら、と場末のブログの片隅から願います。

 

はい。

 

てなことでよろしいでしょうか。

 

前回の感想記事では、私、犯人の名前は直接、書いてはいませんでした。

ミステリ小説における最大の『ネタバレ』は、何が何であろうと『その作品における犯行を行った人間、すなわち犯人の名前を挙げること』だと思ったからです。

ただ『日ごろからミステリを読んでいる人は、もしかしたらある一点から、この人が犯人なのではないかな』と気が付く可能性はある、と言うようなことを書いたのは、はっきりと覚えています。

 

で、更に言うと。

『盛大なネタバレ』と前置きをしたうえで『兇人邸の殺人』、そのラスト1行に登場する人物についての情報もさらり、と書いたように記憶しているのですが・・・。

これに関しては、何だろ。

正直言うと、このラスト1行に登場した人物と言うのは、本作品『兇人邸の殺人』の流れには全く関係がない人なのです。うん。

ただそれでも、もしかしたら作品をこれから読まれる方にとっては、そのラスト1行に登場する人物の名前もめちゃくちゃ気になる要因になるのかもしれない。今村先生のツイッターでも、意味ありげに呟かれていましたからね(笑)

そんな思いがあって『盛大なネタバレ』と前置きをしたのであります。

 

ただ振り返ってみると。個人的にはやっぱりここよりも、先ほど挙げた部分、『あることで『この人、怪しいな』と気が付くかもしれない』と言う部分の方が、はるかに『ネタバレ』度は高いな、と言う気はするのであります。

 

では、個人的に『ミステリ愛読者なら、多くの方はこの部分で『この人、犯人やん』とと思うと思った』その部分とはどこかと言いますと。

それが物語冒頭、登場人物の名前が一覧で掲載されているページです。

これは作品の特設サイトでもご覧になれますので、気になる方はどうぞ。

special.tsogen.co.jp

はい。てなことで、どうですか?

1人だけ、明らかに不自然な方がいらっしゃいませんか?

日本人なのに、他の日本人はみんな、姓と名のフルネーム記載なのに、1人だけ姓、すなわち苗字表記の方がいらっしゃいますね。

 

と言うことで禁断の『ネタバレ』をしますと、本作の犯人・・・と言ってもこれまた、ぶっちゃけるとこの人だけの犯行でない部分もあるのですが、とにもかくにも本作における『名探偵』に対峙する『犯人』であるのは、秘書である裏井さんです。

 

で。本作では事件が起きている現在パートに挟まれる形で、過去の、とある事件のことが、1人の子どもの視点によって語られています。で、この子どもの周囲には、やはり同じ年くらいの子どもがいるのですが、この子どもたちと言うのは全員、下の名前のみの表記なのです。

 

現在パートで下の名前が出てこない人がいる。

そして過去パートでは下の名前のみ出てくる子どもたちがいる。

 

更にこの物語、と言うより、このシリーズにおいては『斑目機関』と呼ばれる謎の組織によって行われていた、実に非人道的な実験と言うものが登場します。

で、本作ではその実験によって『年齢を重ねている割にとても若い。かつ少々、人間離れした能力を持っている人間』が登場します。

 

つまり過去パートで登場した、下の名前のみの子どもが、それほど年齢を重ねていない容姿で、現在パートに登場していても不思議ではない、と言うことが成立しているのです。

 

そうなると、そうですよね。

俄然、登場人物一覧の中でみんなフルネームなのに、唯一、苗字しか出てこない裏井さんが怪しくなります。

事実、私は、この登場人物一覧を見た時点で『はい、裏井さん、君、怪しい』と思い、過去パートに登場する子どもの1人が裏井さんなのだろう、と推測を立てました。

そしてそれは当たっていた、と言うことです。

 

ただし当たっていたのはそれだけですけどね、ははは!

 

下の名前を読者や主要人物には明かさない。

そのことで、実はその人が作中で語られる事件で亡くなっていたとされていた人物だったとか、誰かの会話でさらりと語られた重要人物だった、と言うトリック?なのかどうかはわかりませんが、そう言う手法は、ミステリを読んでいる人であれば『あ』と思い当たる作品もあるのではないでしょうか。

 

ちなみに。本作品では主人公であり、かつ語り手である葉村くんは、裏井さんの下の名前は知らないまま。

本作、途中から葉村くんたちと合流し、かつ非常に重要な役割を担っているフリーライターは裏井さんから名刺を受け取っており、このフリーライターさんがその名刺を見る、そのことで裏井さんの下の名前が読者にも明かされる。

そしてその名前を持つ子どもが、過去の回想パートに登場しているという流れがとられています。

 

はい。

 

てなわけで私にとっては『あることで『この人、怪しいぞ』と気が付かれるかもしれない』と言う部分もネタバレであるな、と思ったのですが。

 

ただ一方で、これが完全なネタバレなのかどうか、と考えると『うーむ』と思うのも事実です。

 

たとえばそれこそ、もうありとあらゆる古今東西のミステリ作品を読んでいる方。またミステリ作品は愛読してはいないけれど、とても勘が鋭い方がこの一文を読まれたとする。

さりとて果たして『あること』と言う文だけで『登場人物一覧で唯一、下の名前が記載されていない』と言う点に気が付くことができるかどうかと考えると・・・これまたなかなかどうして、難しい気もします。

 

でも一方で、私のこの文章を見たことで、その方が『よっし、ちょっとありとあらゆるところを疑ってかかってやろう』と思った場合には、もしかしたらもしかして気が付かれるのではないか、と言う気もするのであります。

さぁ、この場合です。

この場合。すなわち、私がこのブログに書いた文章によって、本来であればその方がさらり、と流してしまう点を疑い、その結果として推理云々は抜きにして早期の段階で犯人を当てた場合、これはネタバレになるのか否か。

 

ど・・・どうなんでしょうか?(汗)

 

私個人の感想を言えばですね。

それで犯人を当てられた場合には『あー、あのブログに書いてあったのはネタバレだよな』と、自分で見に行ったにもかかわらず、ちょっとがっくりすると思うんです(勝手だな)

でも一方でそれでも犯人を当たられなかった場合には『あー、あのブログに書いてあっったのはそう言うことなのか、くっそ、悔しい』と悔しさに歯噛みしつつ、でも『日う言うことだったのか!』と言う驚きを味わえた、その秘かな喜びみたいなものも味わうと思うのです。

 

なので一概に『ネタバレだ!』『いやネタバレではないやろ』とは断言できないのですがね・・・ただ、です。

ただやっぱり、ブログは不特定多数の方が閲覧する可能性のあるものです。

そうである以上、やはり、語弊はあるかもしれませんが、保険はかけておいて然るべきだと思うのであります。

 

なので前回の記事に『おうおう、これはネタバレ記事なのか。どれどれ、犯人は誰なんじゃ』と期待してアクセスしてくださった方にしてみれば、あの記事は拍子抜け以外の何物でもなかったかもしれないし、でもある方にとっては『あー、そう言うことね』と何らかのヒントを感じていただくものだったかもしれない。

 

その答えを私が知ることはできませんが、前回の記事は、あるいはこの前、挙げた『機龍警察 白骨街道』の感想記事は、私なりの保険をかけて書いた記事だと言うのは、ご了承いただければ、と思います。はい。

 

ちなみに『機龍警察 白骨街道』の感想記事。

ネタバレ、ネタバレとは書いてはいますが、やっぱり肝心な部分は濁してあります。

 

なんだろ・・・やっぱこう言う作品において『犯人』をどどん!と明かしてしまうのは、さすがにちょっとマナー違反のような気もするのですよね・・・うん。

いや、今回の記事ではそれを明かしてしまいましたが・・・まぁ、今回は例外の例外と言うことで、今後は多分、こんなことはしないと思います。うん。

 

そんな具合で、なんだかよくわからない記事ではありますが(汗)

犯人はがっつり、この記事で書いてしまいましたが『兇人邸の殺人』、本当に、本当に面白い、本格ミステリの論理展開の美しさと、そこに胸熱な人間ドラマが絡み合っている傑作ですので、ぜひ、お手に取られてみて下さい。

 

『犯人』と『名探偵』が、ただの記号ではなく、1人の人間として、1対1の人間として、壮絶で熱い頭脳共闘を繰り広げるラストは、ほんともう、いい意味で鳥肌ものですよ・・・って、この一文もまたこれ、ネタバレっちゃネタバレじゃないのかよ・・・。

 

もうわかんないっ!(どーん)

 

ではでは。

本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!