本日は1が付く日~なので読書感想文を放出する日だよ!

店長!

できれば1が付く日はお休みにしないで欲しいです!

1が付く日は、読書感想文を放出する日、と私のブログでは決まっているんです!

でも、個人的には、できれば休みの日は、リアルタイムなネタを記事にしたいんです!

1が付く日を休みにされてしまうと、それができなくなるので、できれば1が付く日は休みにしないで欲しいです。

しかも今日は祝日!時給が高くなる日じゃないですか!

 

そんな日に公休入れられると、ちょっと切なくなるけど。

でも、まぁ、休みは嬉しい(どーん)

 

・・・どっちなんだよ(苦笑)

 

はい。そんな具合で読書感想文の日です。

今回はともかく、次回から始まる読書感想文が、なかなか面白いと言うか、『そうか、こういうこともあるのか』と言うようなアレでした。

 

はい。それでは読書感想文です。どうぞ。

 

・中山七里『贖罪のソナタ』・・・『ソナタ』は本当は漢字です。でも、思い出せませんでした。そんな感じ。なんちって。はい。面白くないことはなく、面白かったんですけど、なんか個人的には腑に落ちない感じが残っているような。基本、厳罰化、という人間的器の狭い私にとってはどうしても御子柴さんが許せない、と言うか、これでいいのか、と言う気がしてならなかったです。そして、彼がとった行動も。あの家族を救いたかった、或いは、自分を救いたかった。自分のせいで不幸な目に遭い、ばらばらになってしまった家族を、今、違う形で救いたかった。言わんとすることはわかる。けど、何だろ。なんか、納得できない。『殺したかった』の理由で何の罪もなかった幼い女の子を殺した。その後、たくさんの人と出会い、別れ、彼の中でも何かが芽生え、彼なりの贖罪の形を手に入れ、それを叶えるために弁護士になり、少々あくどい風を装ってでも、贖罪を行い続けている。うん。それはわかる。なら、そんな彼だからこそ、被疑者くんの殺人が露呈した時点で、その遺体を隠す、と言う手段を取ったのが何か、前述した理由があったにしろ、なんか、腑に落ちない。読み足りなかったんですかね。むぅ。はい。そんな具合。犯人は、途中で当てられたよー。あそこまで思わせぶりな資料とか出されたら、そりゃ、消去法で疑う人は限られてくるしね。あと、帯の一文、『御子柴シリーズ期待』ってのは、若干のネタバレじゃないかなー。なー。てか、そんな死体の隠蔽なんかしたらさ、御子柴さん、今度こそ本当に過去の事洗いざらいにされちゃうと思うよ。そうしたら、贖罪も何もあったもんじゃないよ。いくら弁護士には過去の事も、人間的資質も関係ないとは言え、さすがにそこまでくると、世間は偏見の目で見ると思うよ。そこまで考えなかったんだろうか。どうもなんか、私はやっぱり、読み方が浅かったんだろうか。足りなかったんだろうか。あ、でも、そういう意味では御子柴さんのキャラクターってのは、そういうことを微塵も匂わせない感じが、逆に後から効いてきて、新鮮な感じで良かったな。あと、それを食うようなふたりの刑事さん。渡部さんと古手川くん。私ゃむしろ、この二人をシリーズ化してほしいよ。この二人は本と、物語を牽引して行ってくれたなぁ。豊富な知識と動物的カンを持ちながらも、足で稼ぐ捜査を厭わない渡部さん。と、そんな彼に振り回されつつも、尊敬の念も持っていて、文句を言いつつもついていく、そして引っ張られていく、という古手川君のコンビネーション、お見事でした。はい。そんなこんなで。きっと人間的器の大きな人は、御子柴さんの姿に感動するんだろうなぁ。なー。その辺り、どうにもこうにもな私でしたが、その分、刑事さん二人の魅力に助けられた一冊でございました。あいよー。

 

湊かなえ『告白』・・・遅っ!(どーん)。流行に乗り遅れること数年。と言うことで、図書館でたまたま目に入ったのて借りてみました。読んでみました。やぁ、面白かった。痛快、痛快。いいね。いい。大好きだ、こういう話。全体を覆う、息苦しいほどの暗澹とした空気。痛快すぎるラスト。登場人物、誰一人として救いを見ない物語。でも、救いはなくとも、森口先生は少なくとも、多少の溜飲は下げられたんじゃないだろうか。たとえそれがあまりに刹那的なもので、その瞬間、猛烈な後悔に襲われたとしても、私は、それでいいのだと思う。最愛の娘を、何の理由もなしに奪われた。そんな彼女の心中など、推し量っても推し量れるはずなどない。ならば、せめて、彼女の好きなようにさせてあげたい。自らの内で暴れ狂う怒り、苦しみ、悲しみ。いっそ、暴れ狂うそれらに自らが食い殺されてしまえばどれほど彼女にとっては救いだったか。そうしたものを必死で、必死で押し殺している様が、痛々しいほどに、苦しいほどに、そしてぞっとするほどに伝わってくる語り口で始まる物語は、あっという間に引き込まれていきましたよ。はい。だね。ほんと。おまえがやったことじゃねぇかよ、って話ですよ。家庭環境の複雑さ?そんなもん、おまえだけじゃねぇだろ、って話ですよ。周りが馬鹿に見える?自分だけが特別?そんなもん、その馬鹿に見える周りも、お前のことを馬鹿だって思ってんだよ。それ、知ってんのかよ、って話ですよ。見たくないものを見ないで、聞きたくないものを聞かないで、自分にとって都合のいいところだけを見て、聞いて、そりゃ、自分が特別だって思うわな。思わなきゃ、それこそ馬鹿だよ、って話ですよ。と、まぁ、まだ、過保護極まりない母親の犠牲なのかもしれない、そして、思春期特有の壁にぶつかって、そこをうまく渡辺に狙われて、結果として愛美ちゃんを殺してしまった下田くんには同情の余地も、個人的にはあるんですがね。渡辺はね。もうほんと。この、なんですか。お母さんに捨てられ、父親の再婚に振り回され、学校でも周囲に溶け込めず孤独を感じていて、そのどうしようもない寂しさ、孤独感故に必死になって、方法は間違っているけど、自己の存在を母親に知らしめようとする、っていう悲劇のストーリーの主人公ぶってるところが、或いは、それ故に、自分は特別なんだって、自己を憐れみながらも鼻高々になってるところが、もうたまらなく、たまらなく嫌。不快。知るか、そんなもん。と言うことで、ラスト、それを一刀両断。ばっさりと切り捨て、なおかつ、とびきりの結末まで用意してくれた森口先生に拍手!わかってますよ。そして、彼女もわかってるんだと思う。これだって、彼女の方法だって、渡辺の行為同様、独りよがりでしかないことを。あまりにも感情的でしかないことも。でも、いいんですよ。これでいいんですよ。裁く。彼女が選んだ行為なんだから、これでいいんですよ。これがいいんですよ。人を呪わば穴二つ。渡辺には、その穴に落ちる覚悟どころか、自らが落ちる穴があるなんて予見すらなかった。だけど、森口先生は違った。どこまでもどこまでも深く、暗く、二度と、日の当たる場所には戻れないほどの穴があることを知っていた。そして、そこに落ちる覚悟もあった。覚悟無き者と、覚悟在りし者。それを想えば思うほど、渡辺が滑稽に思え、森口先生の姿がたまらなく痛々しい。さぁ、自らのストーリーを木端微塵に破壊され、あまつさえ、最後の心の拠り所にしていた母親すら奪われ、自らの命を奪われるよりも残酷な目に遭わされた渡辺は、きっと今度こそ、絶望と言う絶望、苦痛と言う苦痛、悲しみと言う悲しみ、そして怒りと言う怒りを知るに違いなくて、そうなると、俄然楽しみなのは、再びの両者の対峙じゃないですか?そんなこんな。良い人にこそ、少年、少女たちの未成熟っぷりに寛容な、人間的器の広い人にこそ、『教育熱心な先生が、犯罪に手を染めてしまった少年を更生させる物語なんだけど。すっごい感動するよ』とあながち嘘でもない賛辞と共に突き付けてやりたいような、暗澹たる痛快な作品でした!

 

殊能将之『鏡の中は日曜』・・・このミス本体を読み返していたら、意外に良作を読み逃している、と言うことに気付いたので。はい。久しぶりの殊能さん。最近、あんまり作品出ていないような気がするのですが。どうなのかな?一度、この人の長編を読んでみたいよなぁ。この、人を食ったような作風でありながら、その実、中身はガチガチの本格。クールを装いながら、熱いものをその内に秘めているようで、やっぱり人を騙くらかすこと、人を食うことを面白がっているような…そんな、掴みきれないような作風こそ、この人の魅力だと思うのです。長編で、思う存分、翻弄されてみたい、とも思うのですが。序盤の幻想的な文章とかから、なんか、その筋一本でホラーとかも読みたいなぁ。はい。やー、そんなこんなで。名探偵最後の事件、その真相は!その理由が、なんかよかった。人間離れした名探偵も、人間だった。と言うか、そもそも、名探偵なんて名称は彼女が望んだものでも何でもなく、勝手に与えられた称号に過ぎない。そんなことをお構いなしに、一人の女性として、恋に尽くした水城さんがかっこよくもあり、チャーミングでもあり、そして、そんな彼女に心酔しきっていて、だからこそ彼女の選択が許せなかった、ワトソン役の鮎島くんの悲哀も、わからなくもなく。でも、そんな彼の姿が滑稽でもあり。恋愛小説だったなぁ、とも思うんですよ、そういう読み方をすれば。はい。ミステリとしての騙しの部分はもちろんのこと。凝りに凝った作中に登場する館なんて、なんか、これっきりなんて勿体ないよなぁ、と苦笑したり。幻想的な部分、フランス文学の薀蓄、謎めいた、意味ありげな館の存在、そしてそれと並行して描かれる現代での事件、更には、序盤の『ぼく』と『ユキ』のあまりに悲しすぎるやり取りなどなど、本当に物語にぐいぐいと引っ張られていきました。そんな具合で、十分に騙され、おっ、と言わされ、やられたとにんまり。そして最後に、『名探偵』ではなく、一人の女性として、一人の男性の傍に寄り添う、それしかできない女性の強さと悲しさと切なさに深い余韻を感じ、とまさに短編ながらお腹いっぱいな一冊でした。巻末の参考文献に、綾辻先生の館シリーズがずらりと並んでいたのが面白かったです。

 

法月綸太郎『キングを探せ』・・・続けて読みました。面白かった。んですけど、スペードとダイヤを素で間違えていた私は、トランプのカードを選ぶその確率やら組み合わせの全パターンやら、そういうのが出てきた時点で頭が混乱して、多分、味わうべき面白さの半分しか味わえていないような気がします。泣きたい。組み合わせね…組み合わせ…へぇー(遠い目)。そんな具合。でも、こー、事件を実際に起こしていく側、交換殺人を行っていく側と、それを追う側、綸太郎たちや親父さんたち側。交互に物語が描かれていたので、こー、どっちも知っている側としては、『あー、それは違うんだよなぁ。そう思うけど、実は、もう一人、共犯者がいるんだぜ』『へへ、そのトランプカードの組み合わせは違うんだよなぁ』とかドキドキしながら物語を堪能することが出来ました。でも、まさか、そもそものキングはいなかった、ジャックとジョーカーで構成されていた、なんてのは驚きでした。そうか、そう来たか、やられた、素直に完敗。こっちときちゃ、素直に組み合わせのパターンを書いて物語を読んできたのにさ、はは。交換殺人なぁ…昔、ネットで強盗仲間を募って、実際に路上で女性を拉致して、強盗目的で殺した、って事件があったけど。こっちは、そうはいかなかったね。と言うか、そうはいかなかった、そっちの方であって欲しいと思うよ、本と。事実は小説よりも奇なり、と言うか、残酷なり。はい。綸太郎シリーズとしては、個人的には、『頼子のために』的作風の方が好きなために、ちょっと綸太郎の安楽椅子探偵っぷりが不満でもありつつ(笑)。その分、親父さんはがんばって動いていたけど、できれぱやっぱり、綸太郎にも心身ともにへとへとになるまで動き回ってもらいたかったな、というドSな感想で締めくくりたいと思います。

 

麻耶雄嵩『メルカルトかく語りき』・・・本を読む気はあれど、読む本がなかったので、図書館で大量借りこみしてきました。はい。そんなこんなな一冊目。一部で、その暴走ぶりが噂になっていた麻耶先生。そういえば、『ミステリーセラー』に収録されていた作品もとんでもなかったもんなぁ。感想を読み返してみたら成程、そのことを理解していたんだと言うことに気が付き、そして今作の感想もそうね、もう、腹を立てるのも馬鹿らしいわ、と言いたくなるような。…こ、これでいいのか(汗)。いや、なんか、人を食った作品、脱力させる作品ばっかりと言うよりもさ、個人的にはなんかもう、メルカトルと美袋の愛の日々をつづった作品としか思えなくてさ(どーん)。何やってんだ、この二人、って話ですよ、これ。メルカトルもメルカトルなら美袋も美袋ですよ、この二人。ほんとに。なんかもう、ほんと、男二人の馬鹿と愛に満ちた日常、を読んでいる気がして、そもそもミステリなのかどうなのかも怪しいよね、これ、と個人的には腹が立つよりも、呆れやら失笑やら寂しいやら脱力やらが先に来てしまってですね、はい。いや、まぁ、こんな結末なのに、とどの作品も、そこに至るまでの設定やらロジックやらは凝りに凝りまくっているから余計に勿体ないなぁ、と思っちゃうし、麻耶先生の本気何だかどう何だか、ってところを疑っちゃうわけなんですけど。いや、それでも面白かったんですけどね(どーん)。ただ、あたしゃ認めないよ、と言いたくなるような。ほんとに。特にラストの作品。もう、むちゃくちゃ。ってか、メルカトルと美袋だからこそ、でしょ?ということは、これはやっぱりあれよ、ふたりのいちゃいちゃ小説と思って読むのが正しいかと。そう思えば、多少は溜飲が下がる気が…しないような、するような、やっぱりしないような。

 

長沢樹『消失グラデーション』・・・はい。読んだ時期が悪かったのかもしれない。はい。そんなこんな。どうでしょう?何となく、怪しいな、って気はしていたので、さほど驚きもなかったかな。ていうか、まぁ、それを謎解きと結びつけない、結び付けようともしなかった私の愚かさに乾杯!って感じなんですけど。はは。主人公君と樋口ちゃんの会話の、妙な感じとか。他の登場人物たちとの会話の、いまいちかみ合っていない感じとか。『ゲイ野郎』と柴田さんが言った、そこに出てきたのが鳥越君と言う、その不自然なまでの演出とか。極めつけ、主人公君の名前の読み方が『やすし』じゃなくて『コウ』だった、ってところでピン、ときました。樋口ちゃんまでとは見抜けなかったけどね、はい。うーん、だけどその驚きが少ないのは、あまりにもそう言った人たちが多すぎるからでしょうか?そういう人が集まる学校なんでしょうか?まぁ、そういうことにしておくか。とは言え、あんまりにも多すぎて、小説と言えども、何だかなぁ、と個人的には思ってしまいました。はい。あと、ヒカルくんの存在がずっこいよね、と。ずっこい。いい人なんだろうけど、なんか、役割といい性格と言い、ずっこい。はい。あと、ラストもなんだかなぁ。そんなもんなのか。コウの苦悩は、そんなものなのか。そんなもんでいいのか。思春期特有の悩み、的な具合でいいんだろうか。いいのか。いいのかもしれないけど、個人的にはどうしても、あっさり、あたし、なんて言ってしまっている彼女に、違和感。網川さんの苦悩が、衝撃がこの事件の核になっていただけに、なんか、拍子抜けしちゃった気が。でも、そうか、これでいいのか。コウの苦悩、或いは生き方。そして樋口ちゃんの苦悩、或いは生き方。鳥越君の悩み、或いは生き方。そして、網川さんの苦悩、生き方。それらすべての形、重さが違って当然。或いは、それらをどう自らで受け入れるか、その方法も違っていて当然。それらどれもがグラデーションのように、重なり合っているようで微妙に違っていて、だからこそ、白か黒かではない、どっち、と決めつけないという生き方をするという意味では、主人公君はこれでいいいのか。そうか。その辺りの爽やかさが味なのか。私には味わえなかったけど(ちーん)。あぁ…なんかきっと多分、私がもっと若かったら、素直に楽しめてたと思う。強くそう思う。ただいかんせん、この辺りはなまじ知識がないわけでなし、中途半端にミステリも読んできちゃってるし、彼ら、彼女らの姿を、そのあまりに繊細で、過剰な自意識を抱えた姿を認めるには、受け止めるには、年を取りすぎてしまっています。個人的には、不完全燃焼、って気がしてならない一冊でした。はい。てか、読んだ時期が悪かったのは確かだからなー。ちーん。

 

津原泰水『11 eleven』・・・素敵。こういう形態の作品が、と言うより、こういう形態が大好きだ。シンプルなタイトル、その名にたがわず、その名の数だけおさめられた珠玉の短編。よほどの実力がある作家さんじゃないとできないと思うし、なんていうか、物書きとしての、ある種の最高到達点にあるべき作品の形態だと思う。うん。いいな。こういう作品を書ければ、と思う。そんなこんなな短編集。なんですけど、この人の文章、難しいんだよな。難しいと言うか、私の肌には合わないと言うか。文章と言うか、語り口が合わないと言うか。なので、ちょっと読むのに苦心、苦労。心から楽しめたか、と問われれば、半分に届いたかどうか、と言う怪しいレベル。むぅ、自分が情けないぞ。はい。好きなのは『五色の船』、『延長コード』『琥珀みがき』『土の枕』。『五色』は、本当は全くそんなことなくて、なんかもう悲惨としか言いようのない世界でしかないのに、どうしてこうも美しいのか、と。それは多分、僕と桜の心持の問題なのかもしれないけれど、でも、とにかく、物語そのものの悲惨さ、状況の惨憺と、その僕と桜の見ている世界の残酷さと、そして二人の心の中にいつまでもある世界の美しさとの落差が凄まじくて、どうしようもなく悲しくて、切なくてたまらないと言うか。珠玉、と言う言葉が、これ以上ぴったりくるような作品ってないと思う。うん。『延長コード』は、ラストでぞくっ、と。ミステリでありながら、ホラーに近いような雰囲気もあり。この後、どうなるんだろうか、と思うと…おう。怖。『琥珀みがき』、とっても短い作品だったけれど、閉じ込められた時を磨くような琥珀みがきに、彼女の人生が重ねられていて、なんかしんみり来た。琥珀。悠久の時を閉じ込めた石。不思議な石だよなー。そして『土の枕』。正直、もうこの作品を読んでいる時は、私は何を読んでいるんだろう、これはもう純文学じゃないか、と意識が遠のきかけたんだけど(笑)、それでも読ませる力があったのは確か。読ませる力と言うのは、戦中、戦後、激動の時代を通して描かれていた、他者の名を名乗ることで生き、そして自分の名を取り戻した男が見てきた、生であり死であり、そして幾星霜の流れであり、歴史そのものであり、何と言うか、もう、その、人間の歴史、時間の歴史そのもの、壮大なその力のようなもの、うねりのようなもの。あまりに巨大で、もうどうしようもないほどに巨大で、そしてそこにただ振り回されながらも、懸命に生きるしかない人間たちのあまりに小さな姿を、それでも、人間にとってはそれらがすべての人の生、そのもの。それがもう、力強く、そしてあまりに悲しく、本と、人間って、生きるって何なんだろう、って思わせるくらいに伝わってきて、あっという間に読めてしまった。月並みな言葉で申し訳ないけど、本と、人間って悲しいね。でも、人間が生きるって、愛しいね。ほんとね。ラストに、どーん、とそれまでの物語を集約したかのような重厚な人間ドラマが鎮座していて、やー、なんかもう、言葉を失いました。はい。そんなこんなで、すごいね。私はきちんとは、正しくは理解できていないと思うけど、津原泰水さんと言う作家さんは、凄い作家さんなんだと思う。すごいなー。

 

北山猛邦『私たちが星座を盗んだ理由』・・・面白かった!北山先生と言えば、メフィスト受賞作は読んだんですけどね。その後はどうも食わず嫌いの感があって、ただ、作品は出されていたので作家さんとして成功されたんだなぁ、良かったなぁ、と思ってたんですけど。成程、物理トリックの雄、と呼ばれているそうです、現在では。わかる気がする。デビュー作も、幻想的な、ファンタジー的な、それでいて硬質な世界観と、がちがちの物理トリックがかみ合っていたような。そういうわけで久しぶりに手に取ってみた本作。やー、やられた。『すべては最後の一文で覆る』とあったので、米澤先生の『儚い羊たちの』のようなものかと思ったんですけど、それとはまた違った、あそこまで直截的ではなく、しかしだからこそ、衝撃も余韻を持って胸をえぐるような。そう言った作品たちのオンパレードでした。そして北山先生らしい、と言ってもいいのかもしれない、どこか幻想的な、ファンタジティックな、それでいてひやりとするような硬質な感触をはらんだ世界観が、その衝撃と相まって短編ながらも、読みごたえたっぷりでした。冒頭の作品は、恋に恋する女の子の、占いに奔走する姿が涙ぐましくもあり、そしてまた、途中で気が付いてしまった終わらせてしまった恋への未練に切なくなり…むむ、なんか雲行きが怪しいぞ、これってもしかして、もしてかして?と思っていたら…やぁ、なんてダークな結末。ぞっとするわ。でも、好き。さてはて、この先、これから三人はどうするか、ですよ。男の子君が何とかしないと、今度こそ、主人公の女の子ちゃん、殺されると思うよ。ぞっ。恋に恋する少女の情念たるや、恐ろしいわよ。二作目『妖精の国』。ラストの数字の意味がさっばわからず、某サイトさんにお世話になったのですが。成程ねぇ…。そうやって読み返すと、大人たちの欺瞞と、子供たちの無垢さと、それでも揺れる心が何とも言えないと言いますか。緩やかに死んでいく意志。それに抗おうとした子供たち。けれどそれをも許さない大人たちは、じゃあ、子供たちに、『妖精』という言葉を持ち出してまで、何を託しているんだろう。或いはそれは、純粋なままに育っていく花を、ある日、突然、ぱたりと手折る快感を得るための歪んだ方法なのかな?可愛らしくも、どこか軋んだ世界が、ラストでとんでもない結末を突き付ける作品。三作目『嘘つき紳士』。切ないわ。俺が切なすぎるわ。笑えるくらいに切ないわ。何やってんだ、と突っ込まざるを得ないけど、でも、俺の気持ちはわかる。携帯なんて代物が登場してから、人は、孤独にすら我慢が効かなくなった。そんなものの存在すら、認めようとはしなくなった。ラストの一文が、俺が言うからこそ、おかしくもあり、悲しくもあり。そして個人的にはナンバーワン、一気読みせざるを得ないほどの作品でした、の『終の童話』。石喰いが襲撃してくる、それに対峙を余儀なくされる小さな村、つつましく生きてきた人たち、あまりに巨大な化け物に立ち向かわざるを得ない、あまりに小さく弱い存在。故に満ち満ちている、息が詰まるような衝撃、恐怖感。残酷なファンタジーとしても十分なほどの迫力があり、そして後半からは、誰が、何故、というミステリの要素も孕んでいって、加速していく物語。そして明かされた、あまりに意外な『犯人』の、けれど、あまりに優しすぎる『動機』。そして、そして、読者に『彼が手に取ったのはどちらだったのか』その決断を委ねつつも、あまりに悲しすぎる、切なすぎるラスト…。やぁ…北山先生の魅力が、これ以上ないと言うほどにかみ合った傑作じゃないでしょうか?ドラクエ5を思い出しちゃいましたよ、と言うか、それくらいの吸引力でしたよ。私は、彼は、剣を手に取ったと思うんですよ。うん。でも、もう、そこに微塵の人肌の体温も残っていない、と改めて気が付いた彼は、結局、何もしないままでいるんじゃないかな、とも思うんですけど。うん。もし自分が石化したなら、壊して欲しい。残された人が、そうでないと動けなくなるから。その彼女の言葉通りだったわけだけど、でも、その通りだからと言って、彼の思いを時間の無駄だったと断ずることなんて、誰ができるんだろう。かといって、探偵のやったことも、少々突発的、身勝手すぎるとは言え、間違っていたとも思えない。ただただ悲しみと切なさだけが胸に響く作品。そして表題作。暗い過去を、ずっと胸に秘めてきた私。久しぶりに再会した、兄のように慕っていた男性。屈折した思いを抱えていた過去への回想を経て、そして謎の真相が明かされ、私も真実を明かすことがてきた。あぁ、となれば、あとはこの二人の行方がどうなるのか…と思っていたら、あぁた。…たまらんね、このラスト。たまらんね。笑っちゃったよ、私ゃ。ロマンチックな物語にダークな要因を絡め、そして結末は、あまりにリアル。いやん、意地悪すぎるわ(笑)。はい。そんなこんなで、いい意味で北山先生に抱いていたイメージを裏切られた一冊。短編でも、その切れ味変わらず。また北山先生の作品を読んでみたいなぁ、と思いつつ、是非是非また、こんな短編集を出していただきたいな、と思った次第です。やー、面白かった!

 

・森晶麿『黒猫の接吻、あるいは最終講義』・・・相変わらずでした。はい。ぎりぎり、嫌味じゃないところがこの作品の魅力なのかもしれない、と思ったり思わなかったり。はい。何だろう。独特の世界観で、やはり繰り広げられるは独特の物語。人間の物語でありながら、でも、これはやっぱり、限られた領域を、その一端を見ることができる、そしてその領域に魅入り、魅入られてしまった天才たちの物語なのかもしれない、としみじみ思った次第。塔馬然り、愛美に幾美に然り。そして黒猫然り。はい。ただ、本当に何の役にも立たないことを究められ、それを生活の糧として生きていける彼ら、彼女らが心底羨ましかったりします。嫌いじゃないけど、面白かったけど、そういう局面で見ると、なんか、まるで別次元のような物語で。前作のように、短編集ならではの遊び心も薄かったかなー。このシリーズは、短編だからこそ生きるのかもしれない、と思いました。

 

山田正紀『ファイナル・オペラ』・・・できれば、途中で挫折せずに読み切りたかったな、と言う作品。途中で挫折して、流し読みして、それでもラストにはカタルシスを感じました。時代が呼んだ、と言うか時代が生んだ作品、とでも言うんですかね。人間が起こした災厄である戦争が、どうしても、自然の、どうしようもない災厄である去年の震災と重なり、その中で失われた多くの命。その、どうしようもないどうしようもなさが、循環する生命の輪、のような大きな概念の中で描かれていて。幻想的であり、そしてまた、微かな、本当に微かな救いようなものも感じられて。うん。必然の書、と言いますか、ミステリと言う分野の小説が、現代社会に対してできること、を見せてもらえたような気がします。はい。…ただ…私のような凡人には、もう、この話の構造についていくだけで精一杯でしたよ、ええ。現在と過去のパートが目まぐるしく入れ代わるし、血縁関係は複雑だし、幻想的なパートも入るし、そもそも能にはまったく無知だし、なんだか途中からもう何が何だかでごちゃごちゃなってしまいました。あいー。勿体ないね、私が言うな、って感じだけど(どーん)。まさしく山田正紀という作家さんの畢竟の書、だと思いますよ。はい。

 

米澤穂信『夏季限定トロピカルパフェ』・・・春季限定読んだの、いつよ。氷菓のアニメ化のお陰で米澤先生ブーム、再燃、ですよ。やーやーめでたい。そんな具合。と言うことで本作。ごめん、もう、何がって、出てくるお菓子のおいしそうなことと言ったら…これ。空腹のときに読んだら、本と、発狂しますよ、発狂。それくらいに、もう、涎たれるってばよ。はい。いいなー、パフェ食べたいな。本作中に登場した中では、パフェが一番食べたい。あとは小鳩くんの心を一口で奪いつくしたシャルロット…あぁ、本当に食べたい。あかん、それこそ、発狂しそうだ!はい。そんな意味で酷な作品。しかし酷なのはもちろんそれだけでなく、本と、あんたたち、若くしてそんなにいろいろ考えすぎていてどうするのよ、と突っ込みたくなるようなラストったら…酷よね。酷だわ。楽しかったよ、と笑顔でお互いに言えない関係、それを課した上での二人の関係なんだろうけれど、それはわかるけど…それって、あまりにも切ないよ。楽しかったよ、と言えるような思い出を互いに持っていながら、だけど、それは、自分たちの関係性には、自分たちの関係を保つ上ではそぐわないものだから、重要じゃないもんだから、必要じゃなかったものだから、だから、それは、その言葉は言わない…って、本と、あんまりですよ。なんか、そこまで、その年で背負わなくてもさ、意固地にならなくてもさ、と言う気もするんですが、まぁ、こここそが、このひねくれた意固地さこそが米澤作品の魅力なんだなぁ(福ちゃん然りですよ、あんた(笑)。まやかちゃんなんてあんた、あんな真面目で頑張り屋さんでかわいい子が、あんたのこと好きって言ってくれてんですよ。なのにさ、本と。あんなに可愛い子がですよ!本とにさっ!…氷菓のアニメ、見てました。てへへ)。はい。小山内さんの、狼小山内の、復讐と言う名目で他人に冤罪まで平気な顔して着せた小山内さんの、最後の涙は、その切なさの欠片のようなものが胸を刺した痛み、だったんだろうかな。そう思いたいな。…じゃないと、本と、恐ろしすぎるよ、小山内さん(汗)。黒すぎるよ、小山内さん。何だろ、ぞわ、っと来ましたよ、本と。直接手を下すことなく、自分の目的のために、他人を平気な顔して利用して、他人を涼しい顔で貶める。…怖い。そりゃ、いくらなんでも、さすがに小鳩君でも受け入れられないよな、うん。狼小山内。狼って、ぶっちゃけ、そんないいもんだろうか(笑)。はい。そんなこんなで。エッジの効きすぎた登場人物たちに、そして、細かな伏線が回収されるストーリー運びに、二段構えのサプライズが待ち受けているミステリとしての技術の高さ。まさくし、ラスト、小鳩君の胸を、甘く、甘く、あまりにも甘く焼き尽くした夏季限定のビッグパフェのように、そんな米澤作品の魅力がてんこ盛りな一冊でございました。はい。さてはて。秋季限定では、ふたりはまさしく、小市民らしく、別々のパートナーを得ることになるようですが…果たして、友情でも恋情でもない、ただ互いが互いの本性を牽制する装置として利用しあうだけの関係であるところのふたりは、それで済むのでしょうか?続きが気になるところです。私、気になります!

 

長岡弘樹『傍聞き』・・・話題になっていたので図書館で借りてみたら、文庫ではなくハードカバーが来てびっくり、と言う話。評判が高かったのでかなり期待して読んだのですが…うーん…個人的には残念と言いますか…あっさりしすぎと言うのか。なーんか、正直、何故この作品がこれほどまでに評価を受けているのか、ほとんど納得できないような感じ。はい。登場人物たち、皆が、人を支え、人を守り、人を救う職業。その人たちの職業的理念、使命と個人的な感情との葛藤を描いている、と言うのは読みごたえがあったんですけど。…でも、それ自体、目新しいものではないし。四篇とも、その人物たちの境遇が似通っているのもすごく気になったし。一作目『迷い箱』。言葉は届かなかったかもしれないけれど、保護司としての主人公は、確かに彼の胸の中にいた。あぁ…ならばなおのこと、保護司としての自信を失いませんか?そう言われて、もう少しだけ続けてみようか、と思った主人公の最後の気持ちが、私にはまったく理解できません。書かれるべき人間ドラマが、短編とは言え書かれていなさすぎ無きがする。二作目『899』。消防士さんが、取った行動。ギリギリのところで、断腸の思いで、あの行動をとったのだろうことはわからなくもない。子を亡くした彼だからこそ、子を虐待していた母親に対しての荒療治だったんでしょう。わかる。わかる。だけど、消防士と言う職業に就いている以上、何やってんだ、って話ですよ。取り返しがつかなくなったらどうするつもりだったんですか?自分と同じような目に、同じような悲しみに合わせる、そのことを、子を亡くした父親であった彼は、微塵も考えなかったんでしょうか?わかるけど、わかるけど、どうしても突っ込まざるを得ないような話。三作目『傍聞き』。刑事のシングルマザーと思春期の娘との微妙な関係に、女同士のいさかいに、でも最後は少しだけ分かり合えたような結末。個人的には、もうそれだけで読む気が失せるような設定。げふん。あのハガキにしたって、わかりにくすぎるよ。おばあちゃん、あんなメッセージ、理解できてたの?四作目『迷走』。これも二作目と同じ。職業理念、使命に照らし合わせれば救わなければならない命。でも、個人的価値観で判断を下せば、救う価値もない命。沈黙の行為に隠されていたその葛藤には、胸が締め付けられるような思いもしました。…けどさ、上司さんよ、せめて一言、部下にも説明してあげてよ。上司の私情に、完全に振り回されている形の部下君、あまりにも気の毒よ。てか、この作品、『かっこいいよ!葛藤しながらも、最後は職業人としての理念、使命を守り通した彼は、かっこいいよ!』ってなってもいいような話だと思うんですよね。うん。それがそうならなかった、拍子抜けしちゃったような感じで終わっているのが、もうすべてを物語っているような気が…。はい。期待度が高すぎたのが一つ。そしてもう一つは、単純、私には合わなかった、と言うことなんでしょうな。

 

米澤穂信『秋季限定栗きんとん事件』・・・と言うわけで、残すは冬季限定だけ、と。はいよ。読みました。…瓜野君が、もう…不憫で不憫で(涙)。だ、大丈夫だろか、彼の今後は。高校生活で名を残したい、新聞部で名を残すことをしたい。その瓜野君の野望は、決して間違っているとは思えないんすけど…。むしろ、年相応の向上心、結構なところじゃないですかー、と肩でも叩いてあげたい気分なんですけど。…取り巻くのが、小山内、小鳩、というのが悪すぎたよね…本と。てか、小山内の『さ』は佐ですね。もう面倒だから直さないけどさ。ハイ。ほんとね。ほんと。トラウマどころの騒ぎじゃないよ、瓜野君。もう、木端微塵だよ。いや、まぁ、氷野君はまぁ、仕方なかったとしてもよ。…小山内…恐ろしすぎるよ。もう、この子なんなの?(どーん)怖いよ。仲村ちゃんが少し怒った通り、小鳩君の人間失格っぷりも相当なものだけどさ。小山内よ…小山内よ(どーん)。と言うわけで、紆余曲折、瓜野君と言うあまりに純粋な少年の青春を犠牲にして(笑)、小山内、小鳩ペア、復活です。えーえー。と言うか、それで小山内の毒牙による犠牲者が減るのなら、本と、この互恵関係マストですよ、ほんと(汗)。はい。そんなこんなの主人公によって、主人公以外の人間がことごとくバカにされると言う作風は相変わらず(笑)。ねー…なんかでも、それって結局、『個性』なんだと思うよ。だとすれば、こんな『個性』のことを、やれ『小市民』だの、やれ『考えることしかできないなんて』だのああだこうだとぐだぐだ言ってる小山内ちゃんと小鳩君の方が、瓜野君に比べると中二病だよ、中二病、と突っ込みたくもなるよ(笑)。ここまで来ると、本と、堂島君がなんか、普通ふつう、一般人過ぎて神に見えてくるよ(笑)。そんな具合。レシートのミスリードなんて、やられたなぁ、と。でも、これにしても、小山内が瓜野君を騙すためだけ、騙すためだけ!に用意したってどうよ(涙)。ハイ…そんなんでなんでしょう。なんか、もう、コケにされっぱなしの瓜野君が憐れすぎて…もう、それ以外言葉が出てこないと言う…(笑)。と言うわけで、そうです。周囲の人々のために、なんて本人たちは思ってないだろうけど、再び関係を結ぶことになった二人。ですが、卒業まであと半年です。果たして、この歪みまくった互恵関係の行く末は…。願わくば、これ以上の被害者が出ませんように、と(願)。

 

はい。そんな具合で2012年でしたか。2012年の読書感想文続きでございました。

そして次・・・そうか、9月は31日が無いので、次は10月11日になるのですか。

10月11日に放出予定の読書感想文はですね、非常にラインナップが偏っています(笑)

何と言うか、『あるシリーズにはまったら、そのシリーズばっかり読んじゃうよね』と言うような時期になっているわけですね。

なので作者さんが連続していたり、でもその合間、合間にちょこっと、別の作家さんが入り込んでいたりして、振り返ってみて『ふふ』となりました。

 

そう言えば米澤先生の小市民シリーズ、新刊、つい最近発売されていたような気がする・・・買いたいな、と思っていたのですが、試験勉強のために後回しにしていた気がするので、買わねばなるまいな。

 

はい。ちなみに今は今村翔吾さんの『童の神』を読んでいます。

面白い。

何だろう、この作者さんの別の作品も、これから爆読みしそうな気がします。

 

ではでは。

今回はここまでです。

読んで下さりありがとうございました~。