はい。てなことで今年は私がアニメを本格的に見始めて10年目の節目の年です。
なので個人的に印象的なアニメ作品をとりあげ、それについてやんややんやと語ると言うのが、このシリーズ記事でございます。
今回、とりあげるのは『輪るピングドラム』でございます。
何のことはない。4月29日に劇場版の前編が公開されたからです!
そしてそれを記念して4月20日に配信された番組の内容が、めちゃくちゃ面白かったからです!
更に言えば、その配信番組のアーカイブ配信が5月4日の23時59分までと言うことで、今ならまだ間に合うからです!
見て(どーん)
主要キャスト3名、木村昴さん、木村良平さん、荒川美穂さん、そして監督である幾原邦彦さんが出演されていたこの特番。ほんと、当時の裏話満載でめちゃくちゃ面白かったから見て。今ならまだ間に合う。
だから見て(どーん)
はい。と言うことで『輪るピングドラム』でございます。
なんだもう、氏の作品をご存じの方なら『幾原監督の作品です!』って言えば『あー』ってある程度の察しがつくことと思うんですけれど。
オリジナルテレビアニメ作品で、初めて放送されたのは2011年の7月、夏クールですね、そこから2クール、全24話で放送された作品です。なので去年でテレビアニメ放送から10周年を迎えています。はぁ~、もうそんなになるのか・・・。
キャラクターデザイン原案は星野リリィさん。先の特番で語られた裏話の中に『星野さんから出されたデザイン原案に、ペンギンの帽子を被った女の子がいた。そのペンギンの顔がブサイクだったので、それを中心に据えることにした』とのことで・・・いやぁ、もう、これだけでなんか凄い話を聞いた気分。
だから特番、ほんと見て。今ならまだ間に合うから(3回目)
簡単なあらすじを説明しますと、早い話が高倉冠葉と高倉晶馬の兄弟、そしてその妹である陽毬、この3人と、3人に関わるいろいろなキャラクターの『運命』と『愛』を描いた物語です。
病気で余命宣告をされてしまった陽毬は、出かけた先の水族館で倒れてしまい、帰らぬ人になってしまいます。しかし悲嘆にくれる兄弟の前で、彼女は、水族館で買ったペンギン型の帽子を被った姿でよみがえります。そして自らを陽毬とは別人格の『プリンセス・オブ・ザ・クリスタル』だと名乗り、陽毬を救いたければ『ピングドラム』探して手に入れろ、と冠葉と晶馬に命じる、と言うのが物語の始まりです。
お兄ちゃんである冠葉を木村昴さん、弟の晶馬を木村良平さん、そして陽毬を荒川美穂さんが演じていらっしゃいます。その他にも豊崎愛生さん、能登麻美子さん、堀江由衣さん、三宅麻理恵さん、石田彰さんなどが出演されていらっしゃいます。
さて。劇場公開もされたことですし、もしかしたら『ぐへへ『ピングドラム』とは何か、教えてくれよ~』と期待されて、この記事にアクセスして下さった方もいらっしゃるかもしれません。
が。
結論から言うと『ピングドラム』が何なのかは、作中で明確には明かされていません!
いや、これは私が理解できていないわけではなく(笑)本当に、作中では明確に『『ピングドラム』とは○○だっ!』と言うのが明かされていない、語られていないのです。
で。
この作品、簡単に言うとそう言う作品なのです。
そう言う作品。
どう言う作品?
明確な答えが提示されていない、安易な理解を拒む、そんな作品なんです。
ただし!
ここからが重要なんですが。
明確な答えは提示されていない。安易な理解も拒む。そんな作品なんですが、でもめちゃくちゃわかりやすい作品だし、めちゃくちゃ楽しい作品であり、めちゃくちゃ想像力や、考察したい!と言う気持ちを刺激してくれる、そんな作品だと私は思います。
私が本作品を視聴したのは、多分、放送されてからしばらくしてからのことでした。なのでそれなりにアニメを見ることにも慣れてきたと言うか、いろんな作品、いろんなテイスト、いろんなクリエイターさんの作品を見てきた、そんな思いもあったのですが。
それでも初めて本作品の1話を見た時には、本当に衝撃を受けました。
『なんじゃこりゃ!』と(笑)
でも同時、『まったくわけわかんないけど、めっちゃわかるし、何よりなんだ、この面白さ!』と1話にして虜になったのも事実です。
先の特番において、キャストお三方が印象に残っているシーンを選ぶと言うコーナーがあったのですね。で、偶然にも皆さん1話内のシーンを選択されていたのですが、その中、木村良平さんは、陽毬が『プリンセス・オブ・ザ・クリスタル』として決め台詞、『生存戦略!』を叫んで、登場するシーンを選ばれたんです。
で、そのシーンを選んだ理由として『わからないことがわからないまま進んでいくし、最後まで見ても人によってわからないまま。だけどとにかく面白い、それがこの作品の凄いところ』と言うようなことをおっしゃられていて、それがもう『わかるわかる、超わかる!』と首肯しかなかったと言う(笑)
そうなんです。わからない。まったくわからない要素が『これでもかっ!』と言うような描写、演出で、次々、繰り出される。
安易な理解をしようにも、それを軽く飛び越えるほどの物語の展開や描写、演出が出てくるものだから、もうどうしていいのかわからない(笑)
なんだけど、でも、見ていてめちゃくちゃわくわくするし、面白い。先が気になって気になって仕方ないけど、やっぱり先を見てもわからない。
それが本当に、木村良平さんのおっしゃられたとおり、この作品の凄いところであり、私にとってはアニメを見始めて10年が経過して、いろんな作品を見てきたけれど、未だこの作品の『こう言う凄さ』に勝る作品には出会ったことがないのです。
ちなみに。
実にわかりにくい、そして過剰でトリッキーな演出なんですけれど、でも絵的にめちゃくちゃ綺麗、美しい、目を奪われると言うのも、魅力として挙げておかねばならないポイントです。
色遣い、その配色なども、本当に綺麗で、ある種、生々しいお話であるのに、どこかファンタジーを感じさせる。そうなんだけど、やっぱりそこに潜んでいる一滴の毒、それを思わせるような感じもあって、改めて幾原監督の奇才っぷりを感じさせられるのです。
で、この作品、わからないんです。
わからないんですけど、これがまた凄いんですけど、めちゃくちゃわかりやすいお話なんですよ。
もうすばり『愛』です。
『愛』
これはまぁ、個人的には幾原監督作品、私が見たことのある『輪るピングドラム』『ユリ熊嵐』『さらざんまい』に共通している言葉だと思うんですけど。
とにかく『愛』なんです。
それをもう、徹底的に、徹底的に、一滴も零すことなく、画面に美しく叩きつけるようにして描き、具現化されている。
だから『輪るピングドラム』もまったくわからないんです。24話、2クール見ても『『ピングドラム』って何なんだよ!』『あそこのあれは、どう言うことだったんだよ!』と突っ込みたいところ満載なんですけれど、でも『愛』と言う言葉を軸に考えると『あー・・・もうめっちゃわかりやすい作品やん』と言う思いしかわいてこない。
そして同時『愛』と言う言葉で考えると『『ピングドラム』はもしかしたら、こう言うことなんじゃないかなぁ』とか、いろんな謎の答えが・・・明らかになる、わかる、と言うよりは、自然と感じられるような、そんな流れが生まれてくるんです。
そこがもう、凄い。
『愛』なんです。
『愛』
実に簡潔で、ともすればチープな響きすらしてしまうこの言葉を、だけど徹底的に、その表も裏も、何もかもを描き切っている作品。
それがこの『輪るピングドラム』だと思います。
ちなみに。
幾原監督の他の作品で言えば、やはり『ユリ熊嵐』も『愛』の作品であり、わかりにくさもやはり『輪るピングドラム』を彷彿とさせるものがあるな、と思います。
逆に『さらざんまい』、こちらは、幾原監督作品とは信じられないくらいに(笑)とてもわかりやすく、かつシンプルに『愛』が描かれている、そんな作品だと思います。
なので3作品を見比べてみられるのも、めちゃくちゃ楽しいですよ、うふふふふ。
『考えるな!感じろ!』をまさしく絵に描いたような作品。
それが『輪るピングドラム』なのです。
ただしとにかく『感じろ!』と言っているだけあって、びしびしと感じさせてくれる。
なんてか、自分の感情がフル活動で、この作品が描いていることを受け止めて、自分自身に伝えてくれている。
そんな経験をさせてくれるような、本当に稀有な作品だと、私は思います。
あとこの作品を語るうえで、個人的に声を大にして言いたいのが木村昴さん、木村良平さん、荒川さん、3人の役者さん、その演技力とキャラクターのマッチ具合が素晴らしすぎると言うことです。
で、これに関しても先ほどから挙げている特番で、幾原監督ご自身が裏話を明かされているのですが。
ひとつ、有名な話としては冠葉役の木村昴さんに関しては『君ほど下手な人に会ったことがない』とオーディション会場で、木村さんご自身に面と向かって言われたこと(笑)そこも含めて『木村昴さん、荒川さん、そして三宅さんに関して素人』だと感じて、『どうなることか』と思われたとのこと。
そこで登場したのが晶馬役の木村良平さんで『木村良平さんがいれば、何とかなる』と思われたとのことなのですが・・・。
だよなぁ。キャリア的にも、2011年当時でも、もう木村良平さんは声優として活躍されていたし、いろんな作品で、いろんなキャラクターを演じられていたもんなぁ。
で。
私、陽毬役の荒川さん、そして三宅さんに関してはそんなに思わなかったんですけれど、冠葉役の木村昴さんに関しては、ほんと、もう私としても幾原監督の言葉に完全同意しかないと言うくらいに、とにかく木村昴さんの演技、たどたどしいことこの上ないんです。
弟の晶馬を演じられている木村良平さんの演技が巧すぎるくらいに巧いもんだから、より一層、木村昴さんの演技のぎこちなさやたどたどしさみたいなものが目立つと言うか。
そうなんですけど、でも、あの当時の、あの木村昴さんの、あの演技が、凄まじいほどに冠葉と言うキャラクターにマッチしていたんですよね。
これはもう、奇跡としか言いようがないと思うんですけど。
へたくそで、たどたどしくて、不器用で、でもとにかく気持ちだけは伝わってくる演技。それが愛することがへたくそで、不器用で、愛されることにも不器用で、でもとにかく愛する気持ちだけは強い、そんな冠葉を表現するに、実に、実にぴったりだった。
あるいは荒川さんにしても、先ほども書いたとおり、私はへたくそだとは思わなかった。思わなかったんですけれど、幾原監督が『素人だった』と評された部分、演技のピュアさのようなものが、陽毬と言う少女、そのものだった。
なのでですねぇ。
劇場版、私は楽しみであるのは確かなんです。そしてどれくらい、新規のシーンがあるのか、そして改めての収録が行われているのかはわからないのですが。
様々なキャリアを積まれて、役者としてめちゃくちゃ成長された木村昴さん。今の木村昴さんが演じられる冠葉と言うのは、2011年、この作品が放送された当時の冠葉とは、同じだけれど違う、そんな冠葉になっているんだろうなぁ、と私は思うのです。
それが楽しみでもあるし、嬉しくもあるけれど、同時、少し寂しいような、またちょっと残念のような。
そんな気もするのですが、まぁ、この辺りは勿論、劇場版を実際に見てみないとわからないところではあります。
そう言う意味では役者、木村昴さんの、ひとつの歴史を見ることができる、そんな作品であると言うのも、この作品の見どころのひとつと言えるかもしれません。
さて。劇場版公開にあたって、特番内で幾原監督は『世間がピングドラムに近づいた』と言う発言をされていました。
2011年、放送開始と同時、非常に大きな話題になったこの作品。
そしてその後も語り継がれ、再放送されるたびに話題になる作品が、11年の時を経て、劇場版として姿を現します。
11年の間に、私たちが生きている世界では、実にいろいろなことが起こりました。
そうして存在する『今』のこの世界に『輪るピングドラム』と言う作品が、どんなふうにとらえられるのか。どんなふうに受け止められるのか。
難解で、しかしこれ以上ないほどシンプルな『愛』の物語が、どんなふうに『今』の世界では輝くのか。
そんなことを考えると、もう私としてはただただわくわくが止まりません!
あと、上坂すみれさんが演じられるキャラクターが、どんな役割を果たしているのか。
ストーリーは新たにどんな展開があるのかも、いやこれ、想像がつかないなぁ~。
何はともあれ前編はただいま公開中!
当然のように、私の住んでいる県では上映映画館なし!(どーん)
そして裏話満載の特番は、明日5月4日23時59分まで、YouTubeにてアーカイブ配信されています。
『輪るピングドラム』ファンの方は勿論のこと、本作品は見ていないけれど幾原監督の他の作品は見たことがあると言う方。また木村昴さん、木村良平さん、荒川さんファンの方が見ても、めちゃくちゃ楽しめる番組だと思いますので、ぜひぜひご覧になって下さいね!
てなことで本日の個人的アニメ10年を振り返る、は『輪るピングドラム』をとりあげてまいりました。
さて。次回はどの作品にしようかなぁ~。引き続き、お付き合いいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。
ではでは。本日の記事はここまでです。
読んで下さりありがとうございました!