tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

『このミステリーがすごい!』を振り返ろう~2016年

『内山さんって笑うんだ』

そんなふうにスタッフさんたちに思われていた内山昂輝さんが、ただただ面白い。

どんな人間だと思われていたのだろうか(笑)

冬アニメ『Buddy Daddies』の特番2回目、YouTubeで配信されています。

皆さん、見ましょう。

 

てなことで本題。

30余年の歴史がある『このミステリーがすごい!』のベスト10ランクイン作品について、私が読んだ作品のみでありますが振り返ると言うこのシリーズ記事。

読書感想文の記事とセットでお送りしておりますが、順調に、非常に順調にお送りできております。

 

本日は2016年の振り返りです。

例によって例のごとく、まずは2016年に何があったのかを見てまいりましょう。

あー・・・あれだ。ベッキーさんの不倫騒動だ。そしてSMAPの解散騒動だ。結局SMAPはこの年の年末、12月31日をもって解散されたんだよなぁ~。

なんだろ。どちらもワイドショーで連日、放送されていたから、めちゃくちゃ鮮明に覚えているぞ。当時、めちゃくちゃ売れっ子だったベッキーさんは、この不倫騒動を機に、一気に表舞台から姿を消されて。でも今はご結婚され幸せな家庭を築かれ、以前ほどではないですがテレビで見かけることもあるので、何と言うか、まったく縁もゆかりもない方ですが『良かったなぁ』と思います。

SMAPの解散に関しては、何と言いますか。ジャニーズ事務所から退所される方が相次いでいる昨今の事情。その始まりのような出来事だったように、個人的には思っています。でもまさか、SMAPが解散するなんて、本当に解散するなんて、当時は私も含めた誰も思っていなかったもんなぁー。

またエンタメ関係で言えば『週刊少年ジャンプ』で40年にわたり連載されていた『こちら葛飾区亀有公園前派出所』の連載が終了したのもこの年でした。

 

外交的な話題に目を転じてみると、5月、伊勢志摩サミットが開催され、その後に当時のアメリカ大統領であったオバマ氏が、現役アメリカ大統領しては初めて広島を訪問。8月のリオ五輪、その閉会式の際には、当時の首相であった安倍晋三氏がマリオに扮して登場し大きな話題に。そして12月には、ロシアの大統領であるプーチン氏が日本を訪問したとのことで・・・。

いや、なんかもう2022年の今、振り返ると、色々な重みを伴って思い出される、そんな出来事ばかりだなぁ、としんみり思います。

 

はい。そんなこんなで振り返りはここまでにしておきまして。

ここからは本題、2016年の『このミステリーがすごい!』の振り返りでございます。

ja.wikipedia.org

はい。いつものようにリンクを貼りつけておくので、こちらを見ながら記事を読んで頂くとわかりやすいかもしれません。

 

てなことで。2016年の第1位に輝いたのは・・・おおっ、前年度、2015年に続いて米澤穂信さんの作品だったのですね!これは凄い。作品は『王とサーカス』と言うことで、こちらの作品、私は読んでおりますので後ほど語りたいと思います。しかし米澤さんは、ほんと『このミス』常連作家さんであり、1位常連作家さんと言っても過言ではないよなぁ~。

その他、ベスト10にランクインした作品の中で私が読んだことがある作品を見ていきますと・・・まずは8位、有栖川有栖さんの『鍵の掛かった男』ですね。それから6位、深水黎一郎さんの『ミステリー・アリーナ』、5位、東山彰良さんの『流』。更に3位、柚月裕子さんの『孤狼の血』、2位の深緑野分さんの『戦場のコックたち』ですかね。

なので1位作品含めて、6作品を振り返っていきます。なかなか多いので、手短にいくんだぞ自分!

 

では8位。有栖川さんの『鍵の掛かった男』は作家アリスシリーズ、火村先生が登場するシリーズの1作です。

中之島のホテルで梨田実が死んだ。警察は自殺と判断したが、同ホテルに定住している作家の影浦は、その判断に疑問を抱く。影浦から梨田の死の謎を解明するよう依頼を受けた作家の有栖川、そしてその友人で大学准教授の火村は捜査を開始。しかし梨田の人生には鍵の掛かったような部分があり、捜査は難航する。果たして梨田と言う男は一体、何者だったのか。そしてその死は自死だったのか、他殺だったのか。

 

何でしょ。『ミステリーとしての謎』、それをどこに置くか。その重きをどこに置くか。そう言うことについて考えさせられた作品でした。正直、いろいろな真相に関しては『もう少し説明してほしかったなぁ』と言う気は拭えず、その点で言えば集荷不良な感は否めない作品であったと言う感想です。

しかしこの作品において最も重きが置かれている謎は何か。梨田と言う、実に謎多き男がどんな人生を歩んできたのかと言う、その一点に尽きるのではないか。そう言う視点で持って本作を読むと、ままならない人生を生きていく、生きていくしかない残酷さ、それでも生きていく人の小ささ、健気さが胸に迫ってくるようで、ただただ切ない思いが胸いっぱいに満ちていくのです。

そしてまた『被害者』を『ひとりの人』に戻していくような物語。変わりゆく時代、変わりゆく街並み。その中でも必死に生きていった『ひとりの人』の物語を描いた作品である。そんなふうにも感じました。火村先生の出番は少ないんですけど(笑)、シリーズの中でもちょっと異色の、だけど個人的にはとても印象深い作品です。

 

6位は深水さんの『ミステリー・アリーナ』ですね。

国民的娯楽番組『推理闘技場(ミステリー・アリーナ) 』に出演したミステリー読みのプロたち。彼らが挑むのは嵐で孤立した館で起きた殺人事件の謎解き。提示されている解決方法はなんと15通り!その中で唯一無二の真相は一体、どの解決法なのか。

 

作り手と読み手の思考力の限界に挑戦するような、ありとあらゆる可能性を否定して、それだけのためにたったひとつの真実を作り上げ追い求める。そんな美しく、孤高なミステリーと言うジャンルに対する愛。自分の中のそんな気持ちを改めて認識させてくれるような、そんな作品でした。

1つの作品だと言うのにその解決法は15通り!そして作者自らが物語としてそれを次々と否定していく。否定したそばから、否定されたことを踏まえたうえで物語を書き換えていく。その労力には、ただただ頭が下がる思いしかありませんでした。そして残されたただ1つの結末には・・・本当なら『そりゃないっすよぉ~』と突っ込みたいところかもしれませんが、それがそうならなかったのが、この作品の凄さであり素晴らしさだと思います。ミステリーを愛する人は必読ですぜ!

 

5位は東山さんの『流』ですね。こちらは直木賞受賞作でございます。読んだのはつい最近なので読んだ記憶ははっきりとあるのに、どう言うわけか読書感想文の記録に残っていないよ~。あはは(汗)

1975年、内戦に敗れ台湾に渡った祖父が何者かに殺害された。誰に、何のために祖父は殺されたのか。無軌道な人生を歩んでいた17歳の葉秋生は、その謎に、そして自らのルーツに迫るべく旅に出る、と言うお話です。

 

いやー。これ、読んでいてめちゃくちゃ、何と言うか、鼓舞されるような気持をもらったと言うか。背中をばしっ、と強く叩かれたような、何かしら勇気づけられるような気持をもらった、そんな作品でした。そしてそれと共に、秋生が自らのルーツに迫っていく過程で知ったいろいろなこと。国や大陸、時代そのものの歴史。それらの巨大な『流』に流されるように、けれど強く、強く生き抜いていった一族の歴史。それらを思うと、もう胸がきゅっ、となるような。とても切ないような、それでも力強いような思いに駆られたのです。

シリアスな場面もありますが、全体的にとにかくエネルギーに満ち満ちた、力強い作品。そしてとても明るく、前向きな筆致で物語は進んでいきます。人生に迷う若者の、そして時代に翻弄されながら、しかし懸命に生きていった人々の歴史を是非とも読まれてみて下さい。

 

3位は柚月さんの作品、役所広司さん、松坂桃李さん出演で映画化もされた『孤狼の血』です。こちらは『凶犬の眼』『暴虎の牙』と3作品、シリーズとして刊行されています。

昭和63年、暴力団同士の抗争が激しさを増す広島。新人刑事である日岡は、呉原東署のマル暴刑事、大上のもとに配属となる。大上は暴力団同士の抗争を影で抑え込んでいたが、その捜査方法は恐喝、暴行、拷問と何でもありの状態だった。大上と行動を共にし、その傍若無人を目の当たりにしてきた日岡は、大上に激しく反発するのだが。

 

大上の存在感がとにかく強烈!それ故、上記したあらすじの続きとなる物語の、あまりにも意外な展開には『そう来たか!』と心底、驚かされました。なんだろ。もうものすごい存在感なのです。大上の放つエネルギーや体温、それがこちら側にまで伝わってくるくらいと言うか。そしてその裏側にあった大上の思い。『警察官の役割とは何なのか』、それが明らかにされた時には、『あぁ、だからこその、あの存在感だったのだな』と何かしら胸が震えるような思いすら味わったのです。

正義の遂行者であり、法の遵守者である。それが警察官の役割だと、ただそれだけを信じることだけが正義であり、警察官の役割だと信じているのであれば、それは警察官でも何でもない。本当の警察官とはまさしく大上のことを言うのであろう。

そしてその大上の思いを受け継いだ日岡の本当の正体、目的、そして成長もめちゃくちゃ胸熱。孤独な狼の血、それを受け継ぎ、その道を、いばらの道を孤独に歩んでいくことを決したラストの日岡の姿には、ただただ痺れました。

警察小説、ミステリ小説、ハードボイルド小説、バディ小説。それらすべての面白さがひとつになった、まさに傑作とも言うべき作品です。

 

2位は深緑さんの『戦場のコックたち』です。

合衆国陸軍の特技兵(コック)である19歳のトムは、ノルマンディー降下作戦で初陣を飾る。コックの仕事は軍隊では軽んじられて見られがちだったが、その内情は、戦闘に参加しながら炊事をこなすと言うとてもハードなものだった。そんなハードな環境下にあって、トムは個性豊かな仲間と支え合いながら、日常の中で見つけた些細な謎を解くことに楽しみを見出していくのだったが、と言うお話。

 

読んだ。それは確かなのですが。・・・すいません。読む前に予感はしていたのです。『登場人物、全員、カタカナの名前。覚えられるかな。区別つくかな』と。

見事に登場人物がごちゃごちゃになり、更に地名もそこに交じって、ちゃんとこの辺りの歴史の勉強をしてこなかった私は、結果として『もうわけわからん!』となってしまったのでありました。

・・・本当に、本当に申し訳ない(土下座)

ちなみに著者の作品で言うと、私はデビュー作である『オーブランの少女』がめちゃくちゃ好きです。

以上!(本当に申し訳ない(土下座))

 

はい。そしてやってまいりました前年度2015年に続いて2016年度も『このミステリーがすごい!』の1位を獲得したのは米澤さんの作品でした。

なんと!今、調べて知ったけれど本作品も年末主要ミステリランキングで3冠を達成したのですね。前年度の『満願』に続いての3冠トップ!いやぁ、これは凄い!

 

本作品『王とサーカス』で主人公を務めるのは大刀洗万智。米澤さんの作品のひとつである『さよなら妖精』に登場した人物の1人です。『さよなら妖精』の時には他の登場人物同様、高校生であった彼女は『王とサーカス』では新聞記者を経てフリーの記者になっています。

その彼女が、知人の雑誌記者からの依頼された記事の事前取材のため、ネパールの首都・カトマンズを訪れると言うところから物語は始まります。

現地で知り合った利口な少年を気に入った大刀洗は、彼にガイド役を頼みます。取材を始めようとした矢先、王宮で国王をはじめとする8人の王族が皇太子に殺害されると言う事件が勃発。それを機に、街にも不穏な空気が漂い始めます。

折しも利用しているロッジの女主人の夫の知人の軍人が、事件当日、王宮の警備にあたっていたことを知った大刀洗は、女主人を通して取材を申し入れます。しかし当の軍人に会うことは叶ったものの、国王の死と言う悲劇を他国民の伝えるつもりはないと、それ以上の取材を拒否されます。ところが翌日、大刀洗は、背中に『INFORMER(密告者)』と刻まれた、その軍人の死体を発見し・・・。

 

自らが書くこと、知らしめること。それが自分自身の給与になり、生活費となり、自分はそれで生きることになる。そうしたことをしっかりと認識している大刀洗。だからこそフリーの記者と言う立場でありながら、ひとつひとつをかみしめるように、熱く、しかし冷静に、静かに、深く、深く探っていくように事を進めていく大刀洗の姿が、米澤さんの静寂さすら漂う筆致によって丁寧に描かれていて、何と言うか、身が引き締まるような思いすらしました。

もしかしたら彼女は『何かを伝える』と言うことには、商業的にそれを行うことには、生業としてそれを行うことには不向きなのかもしれない。そう思わせるほどに彼女の真摯さは、ただただ胸を打つのです。それは愚直さと言ってもいいのかもしれないと感じさせる程で。

 

しかしだからこそ、大刀洗にはこれからもずっと、人生をかけて、愚直に、真摯に伝えてもらいたいと思う私もいたのです。そして多分、本書を読まれた方は全員がそう感じるのではないかなぁ。

 

ミステリーとしての真相。本書のそれを一言で言うのであれば『がらんどうの真実』です。そこにあったのは、偏った報道によって日々の営みすら奪われてきた人に生まれてしまった『報道』に対する歪みであり、憎しみであり、悪意です。

それに実は試されるような状況に置かれていた大刀洗は、しかし、その歪みにも、憎しみにも悪意にも、気が付いていなかったとは言え揺るがされることはなかった。葛藤しながらも、彼女は真摯に物事に、『伝える』と言うことに向き合い、結果、それが彼女自身を守ることにもつながった。

 

悲しみの前には大小もなく、そこにあるのはただ人の営みだけ。葛藤しながらも、それでも愚直に伝え続けた大刀洗の逞しさ。その源には、もしかしたら『さよなら妖精』の物語、マーヤへの思いがあったからなのかなぁ、と私は思ったのですが。あるいは彼女自身もまた、ただの人であると言う強烈な自覚があるからなのかなぁ、とか。

いずれにしても悲しみを決してサーカスにはしない。どれだけ心惑わされても、葛藤をしても、伝えることで悲しみをサーカスにしてしまうこと。それだけは避けようと、その思いを自戒のようにして持ち続けている彼女は、やはり『記者』としてあるべき人間、その鑑のような人なのかもしれないな、と感じました。

 

ミステリーとしての展開は、ややもすれば地味と言う印象がある作品かもしれません。が、それでもとにかく作中、幾度なく苦悩し、葛藤し、しかしその度、考えて考えて考え抜いて答えを出していく大刀洗の姿に、とにかく身を正さなければ!と言うような思いを味わう、そんな作品なのです。

秋の夜長に、じっくり、じっくり、できれば可能な限り静かな空間の中で読んで頂きたいなぁ~。

 

はい。

以上、2016年の『このミステリーがすごい!』の振り返りでございました。

 

次回は2017年の振り返りですね。いよいよ年始早々に私が、当時、勤めていた書店を馘になり(笑)、今の店に勤めることになった年です。

私のキャリア史上、かつてないほどの激動を迎えた年だ!

『懐かしいなぁ~』とその当時のことを笑って振り返ることができていることに、ただただ感謝しかありませんよ(涙)

よろしければ引き続き、お付き合い下さい。

 

ではでは。本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!