tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

『このミステリーがすごい!』を振り返ろう~2013年

29日まであと9日。

今日から連続4勤よ~。

体はもうぼろぼろよ~。

 

泣く。

 

本題です。

 

順調すぎるくらいに順調に更新できております。

年末恒例『このミステリーがすごい!』の歴史を振り返っているこの記事です。

今回は2013年の振り返りでございます。今から9年前ですか。

なんだろ。2013年と聞くと、何となくつい最近と言う気がしないこともないのですが、9年前と聞くと、とても昔のような気もします。

あとテレビとかで2010年代の映像とか見ると、やっぱ『時代だなぁ~』と感じることもあって、月日の流れの感覚と言うのは不思議なものだなぁ、としみじみします。

9年前は・・・32歳か。今の店でまともに働き始めたのが37歳くらいの時でした。

で、それまでの私はほとんど働きもせず、働いたとしても1日4時間。週によく行って4日。それ以外の日は『バイト行ってくる~』と嘘ついては図書館に立てこもったり、本屋に入り浸ったり。駐車場に車止めて、その中で寝ていたり。そんな悠々自適な生活を送っていたので、振り返りようにも、あまり鮮明な記憶がないと言う。ははははは(汗)

 

はい。

そんなこんなでまずはいつも通り、その年に何があったのかを見ていきましょう。

コンクラーベです。コンクラーベ。根競べのコンクラーベ。『シャレかよ』と突っ込みを入れられそうですが、いや、でもそう思っているのは私だけではないはずです。

バチカン教皇ベネディクト16世が辞任を表明。教皇空位となったことで3月に始まったのが、コンクラーベです。本当は『コンクラーヴェ』と表記するそうです。

コンクラーヴェ。かっこいい。詳しいことはわからないし、宗教的な話題なので下手なことは言えませんが、とにもかくにもこの語感の良さで、とても記憶に残っています。

 

ちなみにこの年、放送されたアニメとしては『Free!』や『弱虫ペダル』『はたらく魔王さま!』『ヤマノススメ』と言った、現在でも根強い人気を誇っている作品があります。あれだ、個人的にはオリジナルロボットアニメ3作品が放送された年としても、記憶が強い年だ。そして花江夏樹さんや石川界人さん、逢坂良太さんがブレイクされた年と言う感じも、私としてはします。

 

はい。そんなこんなで振り返りはここまでにしておいて。

ここからは『このミステリーがすごい!』の振り返りにいきましょう。

ja.wikipedia.org

いつものリンクを貼りつけておきますので、こちらから結果を見つつ記事を読んでいただくと、より分かりやすいかと思います。

この年、1位に輝いたのは横山秀夫さんの『64』でございました。私、こちらの作品は読んでおりますので、後ほど語りたいと思います。

それ以外に私が読んだ作品としましては・・・まずは3位、月村了衛さんの『機龍警察 暗黒市場』、それから6位、原田マハさんの『楽園のカンヴァス』、7位の高野史緒さんの『カラマーゾフの妹』、8位、法月綸太郎さんの『キングを探せ』、そして9位、綾辻行人さんの『奇面館の殺人』以上でございます。

なので全6作品の振り返りですので、手短にいかないと長くなるな。

手短にだぞ、自分!

 

ではまずは9位『奇面館の殺人』です。こちらは綾辻さんによる人気シリーズのひとつ館シリーズ、その9作目にあたり現状では最新作になっている作品です。

謎多き建築家、中村青司。彼が手掛けたとされる奇面館。そこで行われる集まりに、ある人物の代理として出席した鹿谷門実を待ち受けていたの奇妙なルールと、館の主である影山が殺害されると言う事件だった。

しかし遺体の頭部と指は欠けており、それが本当に影山なのかどうなのかは誰にもわからない。大雪で孤立状態となった奇面館の中で、鹿谷は事件の謎に挑むのだが・・・と言うお話です。

 

これまでのシリーズでは決して登場しなかったような、なかなかとんでもないネタがさく裂しているのが本作品です。なので個人的には『うーん。うーん。うーん』と言う気がしなくもないのですが、そこはまぁ、目をつぶっておきましょう(笑)。

館に集った人物たち全員が、互いに互いの素顔を知らない。そのままで物語が進んでいくと言うのは、ミステリーとしては驚くべき設定だと思います。そしてだからこそのスリル、緊張感が味わえるのも本作の魅力です。

ですがやはりシリーズの中での位置づけは、正直、微妙な感じがしなくもないのですが。ただそのトリック云々と言う部分よりも、結局のところ、『中村青司が手掛けた館では、どうあがいてもこうなってしまう』と言う、シリーズ通して描かれてきたある種の魔力のようなもの。それが今作でも変わらず描かれていることが再認識できただけでも、もうシリーズのファンとしては嬉しい限りです。

館シリーズは全10作で完結予定だと言われていますが・・・その10作目を、今も首を長くして待ち続けていますことよ!

 

続く8位は法月さんの『キングを探せ』です。法月綸太郎とその父である警視が挑むのは、四重の交換殺人。4人の男たちは、トランプのカードによって、誰が誰を殺害するのかを決めていくのだが・・・と言う物語です。

 

なんだろ。多分、そんなに難しいお話ではないと思うんです。が、私はそもそも、トランプのマーク?あれすらロクに把握できていない人間なので、作中でトランプのカードを選ぶ、その組み合わせや確率などが出できた時点で『???』が頭に乱舞していました。あと登場人物、交換殺人を企む男たちが最初はあだな、ニックネーム的なそれで登場しているんです。で、それを実名と結びつけるのも、やはり私にとってはとても難しかったように記憶しています。

その結果・・・多分、作品の魅力、100%は味わえていないと思います。おっふ・・・。ただ交換殺人を企む人間、実行する人間、そしてそれを追いかける人間。三者の視点によって交互に物語は語られるので、その辺りの緊迫感。あるいは『あー、それは違うんだよ~』とか『成程、あれはこう言う意味だったのか~』と言う面白みは、しっかりと味わえた作品でもあります。

パズル要素的な推理、それが好き、得意な方は非常に楽しめる作品だと思いますので、是非とも、お手に取られてみて下さい!

 

続いて7位は高野さんの『カラマーゾフの妹』でございます。こちらは第58回、江戸川乱歩賞受賞作ですね。

タイトルからもおわかりいただけるかと思いますが、こちらはドフトエフスキーによる『カラマーゾフの兄弟』、その続編、第2部と言う形で書かれている作品です。なので多分『カラマーゾフの兄弟』を読まれていた方が、より深く楽しめるのだとは思いますが、そちらを未読の私でも十分に楽しめました。はい。

強欲で好色な地主の父。その父の息子4人。その長男はついに父の殺害を計画するのだが、その実行前に、何者かによって父が殺害される、と言うのが『カラマーゾフの兄弟』の実に簡単なあらすじです。

で、本作品『カラマーゾフの妹』は、この続き。無実を訴えながらも有罪判決が下された兄の無実を証明するため。弟であり次男のイワンは再捜査を開始するのだが、その彼の前でまたも事件が発生する、と言うのがあらすじです。

 

何より文章がうまかった。それが強烈に印象に残っていて調べてみたら、乱歩賞を受賞された時点で作者の高野さん、既に作家として作品を発表されていらっしゃったんですよね。うん。なので新人とは思えない文章のうまさだったわけで、当時『成程なぁ』と思った記憶があります。はい。

なんでしょ、私は読んだことがないのですが、こー、重厚難解なロシア文学の香り、雰囲気、それが非常にうまく描かれていた文章で、それだけでもすらすらと読み進めていくことができた作品でした。

先程から書いている通り、土台となっている『カラマーゾフの兄弟』を私は読んだことがありません。が、それでもおそらくはその作品に描かれているのであろう家族間の葛藤、人間の欲、神とは、我々とは、罪とは何ぞやと言う問いかけ。そうしたものがある種、静かな迫力をもってこちらに迫ってくるような、そんな物語だったかな、と。

ただだからこそ、ポジティブな意味でも、そしてネガティブな意味でも新人さんらしからぬ作品だったように思います。もっとこー、大胆に冒険してほしかったなぁ、と言う気が個人的には拭えなかったと言うか。はい。

ちなみにタイトルにも登場している『カラマーゾフの妹』ですが。・・・その活躍、ド派手な活躍を期待していると、多分、肩透かしを食らいます。私がそうでした(笑)

 

6位、原田さんの『楽園のカンヴァス』は、アート作品とミステリを融合させた作品を数多く書かれている原田さんだからこその傑作です。

本作品で取り上げられている作品は、アンリ・ルソーが晩年に描いたとされている『夢』と言う作品。その作品に酷似した『夢をみた』と言う作品を所持するコレクターが、本作品が真作であるのか、贋作であるのか。それを1週間以内に正しく判断した者に、本作品取り扱いの権利を譲ると宣言したことから幕を開く物語です。

 

本作品もそうだし。それ以外の、アート作品や美術史、実在した画家たちが登場する作品もそうなのですが、原田さんのこの手の作品って、とにかくめちゃくちゃ、その当時の時代の色とか雰囲気とか。あるいはその時代を懸命に生きていた人物の姿とかの描写が、とても読ませるのですよ。ものすごくそれらが、手に取るように伝わってくる。そんな表現で描写されていると言うか。はい。

だから単に作品とか美術史とか、画家の紹介に留まっていないんですよね。それらがちゃんと、時代と共に生きた存在として描かれている。それ故に物語としてもめちゃくちゃ読ませるし面白いし、魅了される。

そして時代を経て、『今』を生きている、『今』の時代に美術に、絵画に、画家たちの生きざまに魅せられた人物たちにも、そうした過去からの思いみたいなものが受け継がれていて、作品を通してそれらが重なる。そう言う瞬間があって、それがもうたまらなく胸を震わせるのです。

人が殺される、そう言う系統のミステリーではありません。が、何よりも複雑で、何を正解とするのか、誰にも判断ができない人の心、気持ち、感情、思惑。そうしたものが複雑に絡み合って生まれる『謎』は、何よりも謎めていて、深く、いろいろな表情を見せてくれる。だからこそ、その謎に対してひとつの結論が導き出された時には、形容しがたい、様々な感情に胸を揺さぶられるんですよねぇ~。

美術に詳しい方は勿論のこと、そうでない私のような方も、非常に楽しく読めるエンタメ作品だと思いますので、ぜひぜひ、未読の方は読まれてみて下さい!

 

そしてやってきました、3位!月村さんの人気シリーズ『機龍警察』、その3作目にあたる『機龍警察 暗黒市場』でございます!

『機龍警察』に関しては、その魅力をお伝えしたい!しかし私の語彙力、表現力ではとてもじゃないが正しく伝えられる自信がない!と言う、非常にもどかしい状態にある作品なのですが、とにもかくにも面白いことだけは確かなので未読の人は読んで下さい!

読め!(圧)

 

詳しいあらすじや登場人物などは、出版社である早川書房さんの公式サイトで確認していただくのが一番です。

前回も貼り付けておいたけど、今回も貼り付けておこう。

www.hayakawabooks.com

はい、どうぞ。

見ろ!(圧)

 

てなことで本作品は特捜部にて突入班、まぁ、簡単に言えば機龍兵での実戦を担う役割にある1人、ユーリを主軸に進んでいく物語です。

モスクワ民警の刑事として、同僚たちと共に様々な事件にあたっていたユーリ。その彼が何故、在職中に指名手配され、裏社会を転々とすることになったのか。その果てに、異国の地である日本にて、機龍兵に搭乗することになったのか。

ユーリが警視庁との契約を解除され、旧知のロシアンマフィアと手を組み、武器売買に手を染めると言う、衝撃の始まりを告げる本作では、そのユーリの過去も明らかにされます。

 

いや、もう・・・頼むから読んでくれ(土下座)。本作品もとにかく、めちゃくちゃどちゃくそ面白いんだよ・・・。

なんでしょ。このシリーズならではの、機龍兵同士の戦い、そのアクションのド派手さ。そう言うものは勿論なんですけれど。

日本とロシア。そのふたつの、まったく違う国で生きる『刑事』『警察官』と言う人間の生き様。清濁の狭間でもがき、喘ぎ、煩悶し、苦しみながらも、それでも自らが信じる『正しさ』のために、ひたすら足を動かし、頭を使い、命を危険にさらしながらも『刑事』『警察官』であることを止めない、止められない男たちの生き様。思い。その熱さ。その愚直さ。

それらがもう本当に胸を揺さぶるのです。何てか、それはもう、ある種の怨念めいた暗さ、執念めいた暗さ、深さすら感じさせると言うか。圧倒的なの。言葉を奪われるの。

そしてどれだけその思いを、生き方を捨てようとあがき、強がっても、それができなかったユーリ。その不器用極まりのない生き方が、本作品では変な言い方、清算されると言うか。とても暴力的な形で、でも、今のユーリには実に相応しい形で清算されると言うか。そこの流れからラストに至るまでの流れが、もう、ほんとね。魂なの。

何言ってるかわからないと思うけど、ほんと、『魂』と言うものを、まざまざと見せつけられるような思いがするの。ってか、なんでこんな語尾になってるんだろう。

 

『機龍警察』と言うシリーズ。警察小説としての魅力も、冒険小説としての味わいも、そしてミステリー作品としての面白さも、全てが濃厚に詰め込まれた、一級のエンタメ作品、シリーズだと私は思うんですけど。

こと『警察小説』『冒険小説』としての味わいが特に濃厚なのが、その魅力が『これでもかっ!』と言うほどに詰め込まれ叩きつけられている感すらあるのが、この『機龍警察 暗黒市場』だと思います。

 

お願い・・・読んで・・・四の五の言わず読んで・・・(土下座)

頼むから読んで・・・(土下座)

てか先程のサイトで、こんな素晴らしい解説文が公開されていたので、よろしければこちらも読まれてみて下さい。

こんな文章を書ける人間になりたい・・・(涙)

www.hayakawabooks.com

 

はい。そしてやって来ました、2013年の『このミステリーがすごい!』1位に輝いた『64』でございます。

この作品、刊行されるまでに実に様々ないきさつがありまして。もともとは雑誌に連載されていた作品なのですが、その開始前に著者の横山さんが心筋梗塞で倒れてしまわれた。で、療養もそこそこに連載を始めたはいいけれど、到底、満足いくものではなかったため連載をいったん、中止。その後、状況が落ち着いたところで連載を再開し、2009年には単行本として刊行されることが決まるも、横山さんご自身が作品の出来に満足されなかったため中止と言う事態に。

再び作品の改稿作業に取り掛かるも、今度は記憶障害に見舞われ、原稿の内容や作品の内容すら思い出せないと言う状況になってしまう。それでも諦めることなく、少しずつ改稿を重ねていく中、徐々に筆が進むようになり、全面改稿された末に刊行されたと言うのが、こちらの作品なのです。

いやぁ・・・凄いわ。凄いなんて言葉で片付けてしまうのは失礼だと思うくらいに、もう言葉が出てこないわ。なんだ。作家としてのプライド、人間としての不屈の精神。執念。そうしたものをまざまざと見せつけられるかのような、そんないきさつだわ。

 

そして職業や立場こそ違えと、職業人としてのプライド、人間としての不屈の精神。諦めない、決して諦めない精神、執念と言うのは、横山さんが生み出されてきた作品に登場する人物に共通するものだと思うんですよね。はい。

で、本作品『64』も勿論、警察官としてのプライド、警察官である前に1人の人間である、その人間として持ち合わせている不屈の精神。その鈍色の輝きをまざまざと描いたミステリー作品なのです。

 

昭和64年。わずか7日間で幕を閉じたこの年、D県警管轄内で7歳の少女が誘拐、殺害されると言う事件が発生した。昭和天皇崩御の後、平成と言う新たな元号に色めき立つ世間をよそに、D県警の面々は事件を『ロクヨン』と言う丁府で呼び、解決を誓うのだった。しかし有力な情報ひとつないまま時は流れ、特捜本部も専従班へと縮小。中身の伴わない、継続捜査状態にまで陥っていた。

そして平成14年、『ロクヨン』事件の初期捜査にあたっていた刑事、三上は突然、警務部への異動と広報官の任を命じられる。三上にはその任命に、そして警務部部長の赤間の言葉には逆らえない事情があった。苛立ちを抱えながらも、赤間の言葉に従う三上。そんなある日、時効間近の『ロクヨン』について警察庁長官が視察に訪れることが決定する。被害者遺族宅への長官慰問の許可を取り付けてくるよう、赤間から命じられた三上は被害者宅を訪れるのだが、そこで三上は思わぬ真実を知ることになり・・・。

 

いやぁ・・・もう、ほんと。先程も書きましたが、まさしくプライドと不屈、執念。作者のそれが、主要登場人物のそれに乗り移ったかのような作品。そうしてスピーディに、しかし重厚感をもって、様々な人物の絡む物語が繰り広げられていき、やがてはそれがひとつに収束していく構成は、圧巻の一言。

その中で主人公である三上は、家庭と組織の狭間、組織内での身の置き方、ありとあらゆることに煩悶、忸怩たる思いを抱いているんですけど・・・これももう、なんか身に染みる言うか。その真綿で首をじわじわと絞められていくかのような苦しみ、逃げ場のない苦しみと言うのが、本当にひしひしと伝わってくるんですよねぇ。

だけどそれでも、そんな中にあっても、決して諦めない。投げだしそうになる、そんな衝動にかられながらも、しぶとく、しぶとく追い続ける。横山作品の多くに共通している、その姿と言うのは、最高に熱く、最高にかっこいいのでありますよ、ええ。

 

昭和から平成へ。移り行く時代の中、それでも昭和に取り残されてしまったかのような『ロクヨン』、そこに関わったすべての人の感情を、あぶり出すように描いた一大巨編。ぜひぜひ、秋の夜長に、どっぷりと浸るように読んで頂きたい作品です。

ちなみに映画、ドラマ化もされていますが・・・私はどちらも見ていません。どうなんでしょ?映画に関しては、なかなか厳しい意見が相次いでいるのですが・・・まぁ、受け取り方は人それぞれですからねぇ。はい。

 

そんな具合で以上、2013年の『このミステリーがすごい!』の振り返りでございました!

そして次回は2014年ですね。よろしければ引き続き、お付き合い下さい。

 

ではでは。本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!