tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

『このミステリーがすごい!』を振り返ろう~2010年

秋クールから放送開始予定の『BLEACH』のアニメ。

何と分割4クール、原作ラストまでアニメで、と言うことで。

ぶっちゃけ、秋クール、本当にラインナップが豊富すぎて、その中で『BLEACH』は先が長そうだから諦めるか・・・と思っていたんですが。

分割4クールなら無理なく視聴できそうと言う、希望が。

ただ分割4クール、50話くらいだとしても、駆け足感がぬぐえないと言う、ツィッター上のコメントが、またこれいい意味で凄いよな(笑)

そうかぁ・・・これは見たいなぁ・・・。でもほんと、秋クール、どうすんだよ。

どうすんだよ(ちーん)

 

はい。そんなこんなで本題です。

このミステリーがすごい!』の歴史を振り返っているシリーズ記事。

本書が刊行された1989年度から振り返っているのですが、順調も順調、とうとう2010年代に突入いたしましたよ!

やっはあぁぁぁぁぁぁぁぁ!

 

てなことで本日はその最初の年、2010年の振り返りでございます。

今から12年前、干支一回り前のことですね。

まだまだ私がアニメや声優さんにはまる前のことではありますが、なーんとなく、なーんとなくではありますが、この辺りからちょこちょこ、気になるアニメなんかは見ていたような気もしています。はい。

 

と言うことでいつものごとく、まずはその年に何があったのかを振り返ってまいりましょう。

あー・・・なんかこれ、めちゃくちゃ覚えています。

この年の11月、北朝鮮の軍が韓国の延坪島に砲撃を行った事件、延坪島砲撃事件ですね。はい。韓国兵2名が死亡、4人が重傷。そして民間人にも2人死亡、4人が負傷と言う被害が出たこの事件。当時は『すわ、もしかしてこのまま・・・』と言う雰囲気も濃厚だったように記憶しているのですが・・・幸いと言うのは語弊があるかもしれませんが、それ以上の事態になることはなく。

アレです。私は北朝鮮に行ったことがあって、で、北朝鮮側から、北朝鮮と韓国の軍事境界線上にある板門店にも足を運んだのであります。

北朝鮮の兵士が、本当に微動だにせず、それこそ大げさかもしれませんが瞬きひとつせず、じっ、と境界線近くで立ち続けていた。体全身から緊張感が放たれていたと言うか。それに対して韓国側の兵士は、緊張感はあるんだけど、でも北朝鮮の兵士ほどではない、それが明らかで。その違いがなんか両国の、こー、軍隊の意味合いとか、状況に対する認識の違いなどを如実に表しているよなぁ、としみじみ感じたのであります。

 

なのでこの事件が起きた時も『あぁ、板門店の兵士たちは、北と南のそれぞれ兵士たちは、どんなことを思っているんだろう』と思ったものです。

そして今、この事件のことを思い返すと、ロシアとウクライナの戦争のこともあって、『こちらにそのつもりが全くなくても、相手が問答無用に突然、攻めてくることもある。そしてそれが戦争の始まりであることもある』と言う事実を突きつけられたような思いがします。そしてそう言う危機は、日本にも十分、起こり得ることなのだとも。

ほんと、こんな出来事は地球上のどこでも起きてほしくはないですよね・・・ねー。

 

はい。そんなこんなで、世界平和を願いつつ(ほんとにね)本題に参りましょう。

ja.wikipedia.org

いつものごとく、こちらのリンクをご覧いただきながら記事を読んでいただくと、わかりやすいかもしれません。

2010年の『このミステリーがすごい!』で1位に輝いたのは東野圭吾さんの加賀恭一郎シリーズの1作『新参者』でした!こちらは私も読んでいますので、後ほどたっぷりと語りましょう。

 

そしてそれ以外、ベスト10ランクイン作品で私が読んだことがあるのは・・・まず2位、柳広司さんの『ダブル・ジョーカー』、更に9位の道尾秀介さん『龍神の雨』、そしてラスト、10位米澤穂信さんの『秋期限定栗きんとん事件』・・・以上かな?1位の作品含めて4作品ですね。

 

ではでは、早速、語ってまいりましょう。

まずは10位、米澤さんの『秋期限定栗きんとん事件』でございます。こちらは『小市民』シリーズと呼ばれているシリーズ作の3作目にあたります。

このタイトル、美味しそうな、甘そうな物語を連想させるようなタイトル。なので未読の方の中には『わぁ、なんか心温まるような青春ミステリが展開されるのかな』と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが・・・作者、米澤さんですからね(どーん)

前作『夏期限定トロピカルパフェ事件』にて小市民を目指すための互恵関係を解消した小鳩と小佐内。それぞれにお付き合いする人もでき、それぞれの日常を、学生生活を送っていました。

小佐内と付き合うことになったのは新聞部所属の瓜野と言う生徒です。彼は、市内で続発している放火事件の犯人を、自分たちの手で捕まえようと躍起になります。新聞部の部長となった瓜野の暴走は、小佐内のそれとない制止も空しく加速。そして最初はそれほど、放火事件に興味を抱いていなかった小鳩も、あることをきっかけに放火事件の解決に乗り出すのだが・・・と言うのが本作のあらすじです。

 

いや・・・なんかもう・・・ネタバレになっちゃうかもしれないの承知で書きますけど瓜野くんが気の毒で、不憫でならない(涙)。いやなんだ、多分なんですけど、彼の野心みたいな部分ってこの年齢特有の、この年齢らしいものだと思うんです。うん。だからそれほど責められるべきものではないような気がするんですけど。

小鳩は勿論、小佐内。この2人に目をつけられたと言うか、この2人に取り巻かれたのが運の尽きだったとしか思えない。気の毒でならない。それしか記憶がない(汗)。

てなことでこれまでの作品同様。タイトルの甘さとは裏腹。とにかくビターな青春ミステリ。小鳩と小佐内が踏み出した『新たな一歩』、その形とは。そして瓜野くんの涙ぐましい奮闘を(涙)是非とも、読まれてみて下さい!

とりあえず小佐内さん、怖い!

 

続く9位は道尾さんの『龍神の雨』です。いやぁ、ほんと、この辺りの道尾作品の『このミス』常連具合と言ったら凄まじいものがあったんだよなぁ。まさしく道尾さん、初期のブレイク具合を証明するような、そんな感すらありましたなぁ。

本作品で主役を務めるのは幼い兄妹と兄弟。まず1組は添木田蓮と楓。2人は事故で母を亡くし、血の繋がりのない父親と暮らしています。そしてもう1組は溝田辰也と圭介。彼らは母に次いで父も亡くし、現在は継母とささやかな生活を送っています。

蓮は継父を殺害したいと願っており、楓はそんな兄に大きな不安を抱いています。そして辰也は継母こそが自分たちの本当の母親を殺したのだと信じており、圭介は実の母親を殺したのは自分だと、自責の念に駆られています。

台風によって豪雨がもたらされた9月の数日間。交差するはずのなかった彼らの運命が交差する、と言うのが大まかなあらすじです。

 

道尾作品の陰鬱で、痛々しさすら漂わせている雰囲気。それに『雨』と言う物語の状況が、これ以上ないと言うほどにぴったりなんですよ。そしてそれぞれの子どもたちの胸中、様々な思いがそこに絡んできて、もういっそ読んでいてしんどい、本来の正しい意味で(笑)しんどい、辛いほどでした。なんでしょう。光の当たらない子ども、いろいろな事情で光から背を背けてしまっている、そうせざるを得なくなってしまっている子どもを描かれると、満尾さんはうまいなぁ、と改めて思うのです。

そして本作でも一瞬でそれまでの光景が一変するような、そんな騙しのトリックがさく裂しているとのことですが・・・私はネタバレサイトを踏むまで、それが理解できませんでしたよ、おほほほほ(遠い目)

降りしきる雨の中。ただただ一筋の光を求めてあがき続ける子どもたち。だけどそれすら突き放すように、ただただ降り続く雨の存在に思わず天を仰ぐしかないような。個人的にはそんな感想を強く抱いた作品です。

 

続いて一気に2位に飛びます!柳さんの『ダブル・ジョーカー』でございます。こちらはスパイ養成訓練校『D機関』に所属する訓練生と、彼らを束ねる謎多き陸軍中佐、結城中佐の暗躍を描いた『D機関シリーズ』の2作品目でございます。

2009年度の『このミス』ではシリーズ1作目となる『ジョーカーゲーム』が2位にランクインしておりましたが、それに続いての快挙!訓練生たち、そして結城中佐、更には様々な登場人物が繰り広げる騙しあいの規模も、そのスピード感、緊迫感も、一層、増しに増していて、ただただ『面白いっ!』と喝采するしかない、そんな作品となっております。

 

『ダブル・ジョーカー』は全6作品の中短編から構成されています。『D機関』、更には結城中佐の存在に真っ向から対抗するように作られた、新たな諜報機関『風機関』。その設立許可を得た、結城と同じく陸軍中佐の風戸中佐と結城中佐の、更には『D機関』と『風機関』の壮絶な騙しあいを描いた表題作。

更には1人の『D機関』訓練生の執念と、結城中佐の訓練生たちに向ける敬意。それらが胸に、衝撃すら伴ってしみわたってくる『柩』などが収録されています。

 

いやね・・・ほんと、1作目の『ジョーカー・ゲーム』もめちゃくちゃ面白くて。で、その続編となる2作目だと、大抵、やっぱ読む側も慣れみたいなものが出てきているから、面白さが薄れるかな、と不安な面も出てくるじゃないですか。いや、あくまで私の個人的な感想ですけど。

全然っ(強)。全然、少しも、微塵もそんなことがなかったのです。ただただもう、1作目を悠々と飛び越えちゃうくらいに面白かった。混迷の時代を背景に、方向性は違えど熱い思いを持った男たちが時に大胆に、時に粛々と、軽やかに、重厚に、騙しあいを繰り広げるそのスピード感、緊張感がもう最高に最高(語彙力)。まさしく寝る間を惜しんで、ただただ次のページをめくりたい、ああっ、何なら最後のページだけ読んでしまいたい!と言う衝動に駆られっぱなしの、そんな作品でした。

ほんと、じっくり時間が取れる時に読むのが吉です。中途半端に時間が無い時に読むと『ああっ・・・続きを・・・続きを』となること必至ですから!

 

ちなみに。前作の時にも語りましたが、アニメ化もされています。こちらも本当に素晴らしい完成度、出来なので未視聴の方は是非とも、ご覧になって下さい!

『ダブル・ジョーカー』からは表題作、そして『柩』がアニメ化されています。特にスパイ訓練生と結城中佐の、決して表沙汰にはならないであろう関係、その強さを思わせる『柩』はアニメになってもめちゃくちゃ沁みました。ぐっ、と来た!

あぁ、そしてそして、前作の時にも書きましたけど。シリーズ最新作はまだかしら、まだかしら・・・それとももう、シリーズ作品の刊行はないのかしら・・・あぁ・・・なんでもいいから、何でもいいから続報が欲しいよ・・・。

 

そして2010年度『このミステリーがすごい!』で1位に輝いたのは、東野さんの『新参者』でございました。先ほども書きましたがこちらは、刑事・加賀恭一郎を主役としたシリーズの8作目にあたります。

それまでの作品から、本作品は舞台を日本橋に移し、まさにタイトル通り、その町にとっては『新参者』である加賀がある事件の謎に迫っていくと言うお話です。

 

40歳の1人暮らしの女性が絞殺体で発見された。日本橋署に着任したばかりの加賀にとって、日本橋は未知の土地。その町を歩きながら、加賀は事件や被害者と接点があると思われる人や店を訪れる、と言うのが簡単なあらすじです。

全9章から物語は構成されています。章ごとに主人公は異なっており、その主人公である人物を通して加賀の言葉や質問の意図が明らかにされていくと言う流れになっています。また一見、事件とは無関係と思われるような出来事や人々の思いの謎を加賀が解き明かしていくことで、最終的に先ほどの事件の謎が明かされていく、と言う作りになっています。

 

うまいんだよなぁ・・・。いや、もう私なんぞが言わなくても、皆さん、じゅうぶんすぎるほどにご理解されているとは思いますが。東野さんの作品って、ほんと、うまいんだよなぁ・・・。何と言うか、文章と言い、構成と言い、作品の中での起伏のつけ方と言い、伏線の張り方と回収と言い。そしてそこにしっかり、人間味あるメッセージを描いてくるところと言い、本当に『うまいなぁ』とただただ唸らされると言うか。

で、本作品で言えば『嘘』と言うのがひとつのキーワードになっているかと、私は思いました。『嘘』と言う単語から抱かれるイメージは人それぞれだろうとは思いますが、本作品で描かれていた『嘘』は、誰かが誰かを思っているが故の『嘘』。それ故に優しくて、あたたかくて、だからこそ切ない『嘘』。それが古き良き人情味溢れる、と私は感じた日本橋と言う舞台に、あるいは加賀さんが歩いて回る店や人々、家族の存在にぴったりなのが、またこれ憎い!

更にそうした『嘘』を加賀さんが解き明かしていくわけなのですが、それが派手に白日の下にさらされるわけではない。細心の気遣いをもってして解きほぐされると言うのも、またこれもう最高なんですよ・・・かっこよすぎだろ、加賀さんよ・・・。

 

で、冒頭に書いた事件の謎。そこに直接的に関係している『嘘』が描かれる作品は、最後の2つのお話くらいなのです。うん。でもそこで描かれている『嘘』と言うのは、それまでの作品で描かれていたそれとはちょっと異なる、『誰かが誰かを思っている』と言う仮面を被っているような、そんな『嘘』なのですね。

それまでの『嘘』とここでの『嘘』との対比がまたこれ鮮やかで、構成として実に巧い。人間のありとあらゆるどうしようもなさ、優しさ、温かさ、狡さ、卑怯さ・・・そうした部分がひしひしと胸に伝わってくる。

あと最後の『嘘』を暴くのが実は加賀さんではない、と言う構成もこれ、憎いじゃないですか。惚れちゃうわ。

いやぁ~、ほんとにうまいわ。うまいとしか言いようがないのが、なんかもう悔しいのですが、ほんと読みやすさと言い、物語の中に読者を誘うような筆致、そして誘ったが最後、しっかりと取り込んでくれる構成と言い、もうお見事!そんな言葉しか出てこないのであります!

 

はい。そんなこんなで以上4作品を振り返ってまいりました。

次回は2011年度の振り返りでございます。2011年度、1位に輝いたのは・・・あぁ、何かと物議をかもした、あの作品でございましたか。

更には新人離れした筆力、構成力が話題となったあの作家さんのあの作品や、今年、ハリウッドで映画化され、日本でも只今、絶賛公開中のあの映画の原作などがランクインしていますね。ふふ。振り返るのが楽しみだわ。

よろしければ引き続き、お付き合い下さい。

 

ではでは。本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!