tsuzuketainekosanの日記

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『このミステリーがすごい!』を振り返ろう~2002年

てなことで絶賛4連休中ですが。

明日は11日、読書感想文の日なので、それとセットでお送りしている『このミステリがすごい!』を振り返る記事も、本日、お送りしよう思います。

 

そんな具合で本日は2002年の『このミステリーがすごい!』を振り返っていきますよ。

まずは恒例、その年に何があったのかを見ていきましょう。

今回こそ、明るい話題を選ぶぞ!

 

おうっ!そうだ、この年、私は夏休みを利用し何かと悪い評判も多い(汗)某NPO団体のクルーズ旅行に参加、韓国、北朝鮮国後島を旅しております!

北朝鮮では現地の学生さんと交流する機会もあったのですが、拉致の話題に関しては『そんなことはなかった』『それは日本の言いがかり』と言う回答が返ってきたのが衝撃的だったなぁ。

 

そう言うことがあったのでその直後、当時の総理大臣であった小泉純一郎さんが北朝鮮を訪れた。そこで北朝鮮側が拉致を認めた。更にそのほぼ1か月後には、拉致されていた日本人5名の方が帰国されたと言う流れは、あまりにもタイムリー過ぎて驚いたものです。

『拉致なんてなかった』『そんなのは日本の言いがかり』と答えた学生さんにとって、自らの国が拉致を認めたと言うのは、どれほどの衝撃と驚きがあったかなぁ・・・。

あるいはそのこと自体も、向こうでは正しく報道されていないのかもしれないけれど。

ちなみに向こうのホテルではテレビは完全に見られないようにされていました。ふぅ。

 

でも夜、学生さんたちとダンスをしたのですが(よくテレビなどで報道されていますよね)、あの思い出は本当に楽しかったなぁ。

私と踊ってくれた彼女は、元気にしていらっしゃるかなぁ。

 

それにしても、あれから20年の時が経たわけですが・・・拉致問題は一向に進展しませんね。横田めぐみさんのお父様をはじめ、日本で拉致された家族の帰国を待ち侘びていらっしゃるご家族の方も亡くなられることが多く、そのニュースに触れるたび、胸が張り裂けそうな思いに駆られます。

もう少し何とかしようがないものなのか・・・。

 

そして国後島です。当時、大きな話題になっていたムネオハウスも実際に見てきましたが・・・いや、なんかほんと、島自体が、こういう言い方は良くないのかもしれないのですが、本当に寂れた、剥き出しの厳しい自然に囲まれた、人が生きていくにはおおよそ過酷としか言いようがないような島だったと言う印象があります。

オホーツク沿岸の奇岩?みたいなものも歩いて見て回ったけれど、ほんと、自然の厳しさ、恐ろしさ、いかつさ、だからこその美しさみたいなものを感じさせられたなぁ。

でもそこに人が生きていると言う事実に『人はどこでも生きていける』と言うことと『そこで生まれ育ちそこを後にしない限りは、そこで生きていくしかない』と言うことを思い知らされたような気がしたものです。

 

はい。

おおっ、珍しく旅行なんて年だから振り返りが長くなっちまった。

 

ではでは本題、2002年の『このミステリーがすごい!』の振り返りに入りましょう。

ja.wikipedia.org

いつものようにこちらのリンクを見ながら記事を読んで頂くとわかりやすいかと。

 

この年のランキング1位に輝いたのは宮部みゆきさんの『模倣犯』でございました。こちらの作品は映画化、ドラマ化されているので、そちらの方で知っているよ、と言う方も多いかもしれませんね。

でも私は映画もドラマも見ていない、原作すら読んでいないと言う体たらくです(汗)

宮部さんの作品、読んでいるようで意外と読んでいない作品も多いんだよなぁ。この作品もそうだし『ソロモンの偽証』とか『理由』とか、この辺りの映像化された大作も読んでないし。

何なんでしょ(知らんがな)

でもいつか機会があれば読んでみたいとは思っているのですが・・・。

 

はい。てなことでこの年のベスト10ランクイン作品の内、私が読んだことのある作品を見ていきましょうか。

まずは8位、こちらは同率で2作品がランクインしているのですが、その内、高野和明さんの『13階段』を読んでいます。それから5位、東野圭吾さんの『蝶・殺人事件』、そして2位、奥田英朗さん『邪魔』ですね。以上3作品を読んでいますので、そちらについてやんややんやと語ってまいります。

 

ではでは。まずは『13階段』ですね。同率8位にランクインしているのは、舞城王太郎さんの『煙か土か食い物』でございました。

13階段』はその年の江戸川乱歩賞受賞作。そして『煙か土か食い物』はメフィスト賞受賞作と言うことで、同じ講談社主催の文学賞でありながら、ある意味、その個性は正反対と言っても過言ではないそれの受賞作が同率ランクインと言うのは、いやいや、ミステリファンにとってはなんともにんまりしてしまうような結果でございます。

 

で、高野さんの『13階段』です。こちらは高野さんのデビュー作であり、映画化もされたのでそちらをご覧になられた方も多いかもしれませんね。

2年前に殺人を犯した三上。模範囚であったことから仮釈放となった彼のもとに、定年間近の刑務官、南郷がある仕事を持ちかけてきます。それは10年前に起きた殺人事件の再調査と言う内容でした。

ベテラン保護司が殺害されたその事件では、既に犯人が逮捕され、死刑判決も出ていました。しかし犯人と目された男性はバイク事故の影響で『階段を上っていた』と言うおぼろげなこと以外、事件前後のことをなにひとつ思い出せないでいたのでした。

死刑執行まで残り3か月。この男性の冤罪を晴らすことができれば、多額の報酬を受け取ることができると聞いた三上は、民事賠償で家族が生活に窮していたのもあってこれを受けることになるのだが、と言うのがあらすじです。

 

いわゆるタイムリミットミステリーですね。死刑まで3か月。残された時間で、果たして冤罪であることを証明できるのか。そもそも本当に冤罪なのか否か。更に10年前のこの事件は、思わぬところで三上ともつながりを持っており、その謎も相まって、ぐいぐいと読ませる筆力、構成力は、これがデビュー作とは思えないほどの素晴らしさでした。

そしてそれと同時、死刑制度を真正面から取り扱っている作品でもあることから、死刑制度の在り方や罪を犯した者の更生、またそれらに対しての刑務所の役割、そう言ったものについても非常に考えさせられる、社会小説としての一面も持ち合わせている作品です。

考えさせられる、だけどミステリとしてもめちゃくちゃドキドキ、ハラハラ、面白い。さすがはその年の乱歩賞を満場一致で受賞した!と拍手を送りたくなるような作品ですので、未読な方は是非とも、読まれてみて下さいね。

 

続いては5位、東野さんの『超・殺人事件』です。全8編からなる短編集なのですが・・・いやぁ・・・何と言うか何と言うか(笑)

皮肉、シニカル、ペーソス、そうしたものに満ち満ちた、実にブラックユーモアあふれる短編ばかり。なんですけれど、それを実に切れ味鋭く、ミステリとして仕上げている力は、さすがの一言。

しかし同時『東野圭吾』だから許されるんだろうなぁ、と言う気がしなくもない、いやいやでもやっぱり凄いんだよ、いやでもこれはどうなんだろう、とひとりで勝手にやきもき、あたふたしながらも、やっぱり楽しく読了した記憶があります(笑)

まぁ、あの、難しいことは考えずにブラックユーモアに『うふふ』となりたい方には、そう言うのを楽しまれたい方にはおすすめできる作品ではあります。

 

そして2位にランクインした奥田さんの『邪魔』ですね。奥田さんは1999年の『このミステリーがすごい!』で『最悪』が7位にランクインしています。

『最悪』は一部の登場人物を除いては、ごくごく平凡な生活を、つつましく、一生懸命生きてきた人たちの日常が少しずつ狂い始め、やがてそれが大きなうねりとなる。そうしてその登場人物たちがそのうねりに振り回される、そんな物語なのですが、本作品『邪魔』に登場する人も、ごくごく普通の、平凡な日々を生きてきた人たちです。

 

本作品の主要人物は3人。まずはパート主婦の及川恭子。平凡で幸せな生活を送っていた彼女の日常は、夫の勤務先で起きた放火事件で揺るぎ始めます。

『もしかしたら夫が放火事件の犯人なのではないか』そんな疑念に駆られた彼女は、やがて家庭や子どもを守ることに対して過剰なまでの心血を注ぐことになります。それが彼女自身の日常を崩していくことになるのも気が付かずに。

 

そして2人目の主要人物は、その放火事件を調べる刑事の九野薫です。九野の亡き妻は非常に親孝行な女性でした。そのことから彼自身も、時間ができると義母の元を訪れ、その時間は九野にとっても癒しの時間になっていたのですが・・・。

この九野さんに隠されていた秘密は、いやぁ、びっくりしたなぁ。ふふ。

ラスト3人目の主要人物は街の不良少年、渡辺祐輔です。彼は、友人とつるんで、通りすがりの人から現金を巻き上げると言う悪事を働いていました。そんな彼がある日、襲ってしまったのは現役の刑事。そこから彼の生活もまた一変していきます。

 

それぞれ別々の人生を歩んでいた3人ですが、それぞれが巻き込まれる事件が、微妙にお互いのそれに関わっているのが、非常に面白いところ。『これってもしかして・・・』とか『あれってこう言うことなんじゃ』と言う点と点が次々と線になっていく様は実に快感です。

それはさしずめジグソーパズルのようで、最終的に全部のピースがはめ込まれた時に『あぁ~、成程。そう言うことだったのかぁ~』と思わずにんまりしてしまうこと、必至なのです。ふふ。

 

各登場人物が精神的に追い詰められていく様は、読んでいて身につまされるような思いがします。この辺りはほんと、さすがの描写力です。

またその身につまされたところから、逆襲、火事場の馬鹿力ではないですが、思いもよらぬ姿を見せることになる登場人物がいるのも面白いところ。でもそう言う事態、そうなってしまう登場人物たちの気持ち、わかる、理解できると言う方も多いんじゃないのかなぁ。

 

『邪魔』と言うタイトルは実に強烈かつ意味深。それぞれの登場人物にとって何が『邪魔』なのか。そしてそれぞれはその『邪魔』な存在に、どう立ち向かい、どう対処していくのか。

『私たち』の日常、その中にも生きているような、息づいているようなリアリティある登場人物たちのジェットコースターストーリー、ぜひぜひ、読まれてみて下さいね。

ちなみに私は、九野さんが好きです(どーん)

 

はい。そんな具合で本日は2002年の『このミステリーがすごい!』の結果を見てまいりました。

てなことでお次は2003年ですね。よろしければ引き続き、お付き合い下さい。

 

ではでは。本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!