tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

『このミステリーがすごい!』を振り返ろう~2000年

このミステリーがすごい!』の歴史を振り返っているこの記事。

1989年からスタートして、実に順調に記事を書き続けてきた結果、やってきましたとうとう2000年です!2000年に突入です!わーい!

 

はい。てなことで本日は『このミステリーがすごい!』2000年の歴史を、個人的に振り返っていきたいと思います。

 

まずはいつも通り、その年に何があったかを、ざっくり見てまいりましょうかね。

2000年と言えば、やはり個人的には2000年問題がめちゃくちゃ印象に残っています。

2000年問題とは、ざっくり言うと、西暦が2000年になることをコンピューターが正しく認識できず誤作動を起こし、その結果、様々な影響が出てくるのではないか、と危惧されていた問題です。

 

当時の記憶としては、かなり騒がれていたような気がします。

でも結果として、そんなたいそうなことは起きなかった。

今、調べてみたら、まったく何も発生しなかったと言うわけではなかったようですが、いやいやそれでも、ほんと、その程度で済んで良かったな、と思う2022年(どーん)

 

はい。その他、ウィキペディアで調べて目についたのが、西鉄バスジャック事件とか、そのすぐ下にはロシアの大統領にプーチンが就任したとか、オーストラリアケーブルカー火災事件とか、なんかもう、気分が欝々するような話題ばっかりだったので(汗)、やめておきましょう。悲。

 

てなことで、2000年の『このミステリーがすごい!』振り返りに入りましょう。

ふふ。

前回1999年はベスト10中、1位の作品しか読んでいないと言う体たらくでしたが。

それが伏線だったのように、今回はとんでもないことになっていますことよ、ふふ。

ja.wikipedia.org

いつものように、こちらのリンクを確認しながら読んで頂くとわかりやすいかと。

 

はい。と言うことで2000年のベスト10作品の中で、私が読んだ作品は・・・。

 

ででん!

全部です!

 

大事なことなのでもう一度、言います。

ででん!

このミステリーがすごい!』2000年、ベスト10ランクイン作品、私、全制覇しております!

 

いやっはあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!

嬉しいぜ!

 

いや・・・勿論、リアタイで全制覇していたわけではなく、ランキング結果を知ってから『気になっていたし読んでみよう』と言う感じで読んだ作品もあるのですが、それでも初のベスト10制覇。

まさか、そのことを振り返る記事を書くなんて、その当時は予想だにしていなかったけど(笑)、過去の私よありがとう!

 

てなことで。

どうしようかな、と迷ったのですが・・・とにかくこの年のベスト10にランクインした作品、どれも個人的にはめちゃくちゃ印象に残っているし、面白かったんですよねぇ。

なので、欲張ってベスト10全作品、振り返ることにしました!

ははははは!

 

いつものようにがっつりとした振り返りはできませんが(当然)、さくさくっ、とできるだけ作品の魅力が伝わるように振り返りができればな、と思っております。

ではでは早速、参りましょう!

10位からスタート!

 

10位は本多孝好さんの『MISSING』です。日常に潜む謎を鮮やかに解き明かす短編集です。透明感あふれる文体、そしてそこはかとなく、なのに濃厚に漂う死、喪失の哀切が印象的な、本多さんのデビュー作でございます。

静謐な文章で書かれる物語は、どこかファンタジックな味わいも含んでいて、だからこそ、その中に見え隠れする人間の様々な感情がリアルにも感じられるのです。でもやっぱり、どこまでも美しく、どこまでも透明感あふれる、デビュー作らしからぬ完成度の高さには、当時、驚かされたなぁ。

 

続く9位は殊能将之さんの、こちらもデビュー作である『ハサミ男』です。殊能さんはほんと、あまりにもその死が早すぎた。本当に、本当に悔しくて、残念でならないです。

ハサミ男』と名付けられた連続猟奇犯罪者が、自身の犯罪の模倣犯を推理すると言う異色のサスペンスミステリです。シニカル極まりない『ハサミ男』、その『ハサミ男』をあざ笑うかのようにして『ハサミ男』の犯罪をまねる何者か。そして待ち受ける最後の結末。いやぁ・・・初めて読んだ時には、もうほんと、本当に面白かったし、驚かされてにやにやが止まらなかったなぁ~。

 

8位は北村薫さんの『盤上の敵』です。我が家に殺人犯が立てこもり、最愛の妻が人質にとられた。警察、そして押し寄せたワイドショーの連中に囲まれ『公然の密室』と化した自宅から、妻を助け出すべく、末永は独自に犯人と交渉を始めるのだが・・・。

今ならば、あるいは騙されない自信も少しはありますが(笑)、本作を読んだ当時は、見事に、綺麗に騙されました。けれどその騙されたことに清々しさや、にやにやした感情がこみ上げてこなかったことに、この作品の独自性があるのだと思います。どうか、どうか、と読後、私はただただ祈るばかりでした。

 

7位は奥田英朗さんによる小市民暴走犯罪小説『最悪』です。不況にあえぐ鉄工所の社長、銀行で働く女性、そしてその日暮らしの生活を送っていた男。様々な悩みに頭を悩ませていた3人の人生が偶然にも交差したことで、3人の運命は大きく転がり始める、とと言うのが簡単なあらすじです。

いやぁ・・・面白かったなぁ。何て言うんだろ、ほんと、この3人の登場人物、その置かれている環境とか、頭を悩ませている問題とか、そう言うのがめちゃくちゃリアルなんですよね。だからその3人が、どんどん、どんどん、タイトルどおり『最悪』な事態に追い込まれる様が、とても他人事とは思えず、だけど面白い(笑)傑作です。

 

そして6位にランクインしたのは真保裕一さん『ボーダーライン』です。このタイトル、2000年ベスト10作品の傾向を表しているかのような、そんな気がします。

天使のような微笑みを浮かべ、人を殺す青年。その彼を探し出すために渡米した青年の父親。ロスの日系企業で働く探偵のサム永岡は、2人に関わることになる、と言うのが本作品です。

様々なものを分かつ『ボーダーライン』、その言葉の意味、重みを突き付けられるような、それと共にハードボイルド的な味わいもある探偵小説です。また圧倒的な『悪』、その存在にもいろいろと考えさせられる作品でもあります。

 

さぁ、いよいよベスト5でございますよ!

 

まず5位に輝いたのは、桐野夏生さんの『柔らかな頬』です。直木賞受賞作にして、ある意味、衝撃のラストが激しい賛否両論を巻き起こした作品。私はこのラスト、アリだと思ったし、何と言うか、非常に人間の、その生や性、営みの虚しさや苦しさ、そうしたものが描かれている作品だと感じました。『ミステリとは人間の存在、人間の生、そのもの』、そんなことを突き付けられたような、そんな作品だとも思います。

故郷を捨てた女性、カスミ。しかし皮肉にも、その故郷の地、北海道で彼女の娘が失踪してしまう。それはカスミが、家族旅行中にもかかわらず、不倫相手と逢瀬を重ねていた間の出来事だった。罪悪感に苦しむカスミは、1人、娘を探し続けるが・・・。

 

4位にランクインしたのは、来ました!発売直後、私の身の回りにある書店にはまったく置かれておらず、ようやく入手できたのは隣の県の大型書店に置かれてあった1冊。しかしそれからあれよあれよと言う間に話題となり、ついには一大ムーブメントを巻き起こした、高見公春さん『バトル・ロワイアル』です!

いやぁ・・・懐かしい。ほんと、話題になった時には内心で『ふふ。私は発売直後から目をつけていたのよ』とほくそ笑んだものです(笑)。クラスメイト同士の殺し合い、そんな極限状態に置かれた少年少女たちの、様々な生き様、散り様。悲壮感は確かにありますが、とにかく生徒1人1人のキャラクターが立ちまくっているので面白い。そして権力に立ち向かう者の、気高く、強い姿も胸を打つ作品です。

ちなみに私は三村信史、一択です!

 

さぁ、そしてここからはベスト3の発表です。

 

まず第3位にランクインしたのは福井晴敏さん『亡国のイージス』です。アレだなぁ・・・9.11の影響を、図らずとも受けた作家さんと言うのはたくさんいらっしゃるだろうけど、私の中では福井さんがその筆頭として上がってくる感じがするなぁ。とは言え、現在はアニメ関連でお名前をお見かけすることが多いので、これはこれで嬉しい。

最新鋭の防空システムを搭載したイージス護衛艦いそかぜ』を舞台に繰り広げられる、男たちの戦い。それぞれの信じる『正義』、それぞれの抱える『思い』がぶつかり合い、そこに『国防』『大義』と言った聞こえのいい言葉、それが抱える様々な矛盾や難しさが絡み合ってくる、一大サスペンス×アクション大作です。

面白かったよなぁ・・・。確かに難しいことを考えさせられる、そんな作品ではあるんです。うん。なんですけど、とにかく登場人物たちの抱える『思い』、そのぶつかり合いやアクションシーンが熱く、ずいずいと物語に引きずり込まれる。そしてまた、人間同士の、何と言うか理解、情の交流、そこから発生する切なさ、温かみも描かれているので、ほんと面白いんです。あと護衛艦とか武器関係の細かな描写もたまんないよ!

 

続いて2位に輝いたのは・・・東野圭吾さんの『白夜行』です!こちらはドラマ化もされた作品なので、それで知っていると言う方も多いかもしれませんね。おおっ、映画化もされていたのか、今知った(遅)

1973年、大阪の廃ビルで発生した質屋殺し。幾人もの容疑者が捜査線上に浮かびあがってくるものの、決定打に欠けたまま、時間だけが過ぎていく。その容疑者の1人の娘、雪穂と、被害者の息子、亮司。事件に翻弄された2人も、はた目から見れば様々な感情を抱えながら、流れる時間の中を懸命に生きているように見えていたのだったが、と言うのが本作の簡単なあらすじです。

雪穂と亮司、2人を主役としながら、しかし2人の心理描写は排除されている作品。彼女らに関わる人間を通して描かれる、雪穂と亮司の言動、見え隠れする関係性、そこからどんどん想像、推測が『確信』へと変わっていく展開は、実にスリリング。

またそうして胸に浮かんできた2人の関係、その切なさや悲しみと言うのも非常に印象深く、そう言う意味では『純愛小説』としての味わいもある作品だと思います。ただしまぁ、本当に双方が『純愛』を抱いていたのかどうかと言うのは、ぜひぜひ、ご自身の目で確かめて下さいね、と言うところなんですが(汗)

 

さぁ、そしてやって来ました!

激戦の2000年『このミステリがすごい!』ベスト1に輝いたのは・・・。

天童荒太さん『永遠の仔』でございました!

 

あー・・・まぁ、これは、文句なしと言うか。納得しかないと言うか。

児童虐待と言う、忌むべき、憎むべき犯罪。それに振り回されてきた子どもたちの人生を徹底した眼差しで描いた大作です。

性的虐待、ネグレクト、身体的虐待。3人の主人公はそれぞれ、虐待を受け育ってきた。そのことから精神を病んでしまった3人は、瀬戸内海の小島にある精神科病棟で出会い、院内学級で小学生時代を過ごす。しかし3人が下したある決断、更にはその内の1人の少女の父親が死を遂げたことで、3人は離れ離れになる。

それから時を経て、社会人として日々を懸命に生きていた3人が再会したことで、3人の運命は大きく動き始める、と言うのが簡単なあらすじです。

 

めちゃくちゃ『しんどい』、正しい意味で『しんどい』作品です。もう読み進めるたびに精神をごっそり、すり減らすような。ヘヴィで、ただただ悲しく、重く、辛い、苦しい作品です。

なんですけど、同時、ミステリとしての面白さもあるもんだから『お・・・面白い・・・面白いけど、『面白い』なんて言葉でこの作品、語っちゃいけないような気がする・・・でも面白い・・・でもしんどい・・・辛い・・・ヘヴィ・・・』と言う、非常に複雑な気持ちにさせられた作品でもあります。はい。

ほんとな・・・児童虐待。今の世になってすら、無くならない。無くならないし、毎回、毎回、同じような状況が繰り返されているのを耳目にすると、ほんとなんかもう、虚しさ、呆れ、そして怒りがこみ上げてくるような気すらします。ねー。

 

『生きてていいんだよ』と言う肯定。それを他人からされるのは勿論だけど、それ以上に重要で、それ以上に必要なのは自分自身でそれができることなんじゃないだろうか。自分自身で、自分自身は生きていてもいいんだよ、と認められること、思えること。

児童虐待によって、そのことを奪われてしまった、それが微塵もできないまま大人と呼ばれるような存在になってしまった3人の少年、少女が、そのことを獲得しようとあがくように生きる姿は、ただただ切なかったです。

自分の人生を、何の疑いもなく『これは私の人生よ!』と思えることの幸福。そんなことを今、しみじみと思うのであります。

 

なんだろうなぁ・・・なんかもう、こー、語る言葉が浮かんでこない、そんな作品なんだよなぁ。良い意味で。ほんと、登場人物ひとりひととりの魂を感じる、それがぶつかってくる、そんな作品であり、ただただもう、そこに圧倒されるしかないと言うか。

どんな言葉も、その彼ら、彼女らの魂の前では、陳腐になってしまうんだろうな、と言う気持ちしかわいてこないと言うか。うん。

 

なんだろ。もう、ほんと、読んで下さい(土下座)

 

はい。てなことで2000年の『このミステリーがすごい!』ベスト10作品、全てを読んでいたので振り返ってみましたが・・・。

 

この年のベスト10ランクイン作品。その多くに共通していたのが『他人を傷つける、身体的、精神的問わず傷つけることに、何の躊躇いも苦痛も抱かない人間』が登場することだったように思います。

その背景が多少なりとも語られていた人物もいれば、まったくそうした事情が一切、語られないままの人物もいましたが。

 

いずれにしても何と言うか、2000年と言う、新たな時代の幕開けとなったその年のランキングに、そうした『悪』、ある種、『圧倒的な悪』と言っても過言ではない登場人物が多く描かれていたと言うのは、何とも印象的でかつ意味深なことだったなぁ、と。

それから20年以上が経過した今では、創作物の中にこのような人物が登場するのは、もはやお約束のようになった感がありますし、何より現実社会でも、恐ろしいことに、このような人物が引き起こす事件、頻発していますものね・・・。

 

人間の本性とは、もしかしたら、そうしたものなのかもしれない。

そこに私たちは一度、しっかりと目を向けるべきなのかもしれない。

 

2000年のベスト10作品を振り返ってみて、改めてそんなことを感じた私でございました。はい。

 

てなことで、次は2001年の振り返りですね。

よろしければ引き続き、お付き合い下さい。

 

ちなみに。

このミステリーがすごい!』ベスト10全制覇なんてことを成し遂げたのは、今のところ、この2000年のみでございます。

うーん、いつかまた完全制覇、成し遂げてみたいぞ!

 

ではでは。本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!