tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

1が付く日なので読書感想文の日~新シリーズに手を伸ばしてみた

本日21日、末尾に1が付く日は読書感想文をお送りしております。

 

と言うことで。

ちょっと前の連休の時に、久しぶりに本屋に行って文庫本を3冊購入したのですが、今回、お送りするのはそれ以前に読んでいた本の感想です。

つまりネットで購入した本でございますね。

 

ネットで本を購入することのメリットはたくさんあると思うのですが、そのひとつに、その作品に対する評価を知ることができると言う点があると思います。

尤も、その評価を書いている方が、本当にその作品を読まれたのかどうかと言うのは、もう信用するしかないよね!と言う話なのですが(苦笑)

 

目的の作品がある場合は別ですが、それがない場合にネットで本を探している時には、この評価と言うのが結構、重要な役割を果たしている、と言うか、少なくとも私の場合、この評価によって『ふむ、なら読んでみるか』とか『そうかぁ・・・なら止めておこうかな』と思うことも多々あります。

最近だと気になる作品があって、その作品の評価を見に行ったらですね。

『子猫を虐待するシーンはいらないと思う』と言う感想を見つけまして、それで一気に、その作品を買う気が失せたと言うこともありました。

ありがとう・・・有益な情報を教えてくれて・・・。

 

そう言うわけで今回、感想を書くのは、評価を見てみたらなかなか高評価だったので手を伸ばしてみたシリーズ作品の1冊目でございます。

それがこちら。

内藤了さんの『鬼の蔵 よろず建物因縁帳』です。

 

シリーズ名としては『よろず建物因縁帳』になるんですかね。はい。こちらはこれから感想を書く『鬼の蔵』から始まってシリーズ完結となる『隠温羅』まで全10冊が刊行されています。

ジャンルとしてはホラー小説になるようです。

 

広告代理店勤務の高沢春奈を主役として『鬼の蔵』で彼女が出会うことになる、因縁のある建物専門の曳家を生業とする男性、仙龍たちが、様々な因縁のある建物、そしてそこで巻き起こる怪奇現象に立ち向かっていくと言うのが、大まかなシリーズとしてのあらすじです。

 

シリーズ1冊目、今回、私が読んだ『鬼の蔵』の舞台は、山深い寒村の旧家、蒼具家。

蒼具家移転工事の下見に訪れた春菜は、蒼具家の蔵で、人間の血によって『鬼』と殴り書きされた土戸を見つけます。

やがて調査の過程で明らかになるのは、『盆に隠れ鬼をしてはならない』と言う蒼具家の言い伝え。そして一族に頻発していた不審な死。

このまま移転工事を行ってもいいものか。仕事の成功との間でそんな疑問を感じ始めた春菜は、やがて因縁建築物専門の曳き屋である仙龍と知り合い、蒼具家に巣食う悲しい祟り神の正体を知ることになる、と言うのがおおまかなあらすじです。

 

『わーい。シリーズ10冊も出てるのかぁ~。これ、もしもはまったら、めっちゃシリーズ読めるやん。嬉しいな』と思いながら、さぁ、1冊目を読み始め、そうして読了したわけですが・・・。

 

うん。

なんだろ。

面白かったです。面白くないことはなかったです。はい。

 

まずはホラー小説としての、日本の土着的な文化、それがもたらした悲しさ、恐ろしさ、それが存分に描かれていたのは、とても魅力的でした。

このお話で言うと冒頭、蒼具家の一人である女性が、幼い頃の出来事、それによって起きてしまった陰惨な事件を振り返る物語が描かれているのですが、ここはめちゃくちゃ怖かったです。背筋がぞくっ、とするような、それこそ彼女が感じた空気の変化、それが自分の肌身でも感じられるような臨場感、生々しさがあって『ひぃ~』と声が出そうになるくらいでした。

 

また物語を通して徐々に明らかになっていく蒼具家の謎。そこに隠されていた恐るべき真実、だけど悲しい真実には、言葉を失うような思いも抱きました。

その中、必死に生き抜いてきた人の存在も確かに感じられて、時間はかかったけれど、そうした人の思いもようやく昇華されたのかな、と思うと、それもまた胸が切なくなるような、温かくなるような思いがして、それも良かったです。

 

最初は『因縁』や『祟り』と言ったことに懐疑的だった春菜が、だけどその片鱗を感じさせるような出来事に遭遇することで、あるいはその空気を感じ取ることで、そうしたものに対して真摯に向き合っていくようになる。

そう言う物語の流れも、個人的にはめちゃくちゃ好感が持てました。『因縁』であっても『祟り』であっても、そこにはそうならざるを得なかった人の思いが確かにあったわけであり、人の歴史確かにあった。そしてそれは、膨大な時間を経てなお、存在し続けていること、そのことに対して、しっかりと向き合うべきである。

そんなことを感じさせる描写は、何と言うか、そんなにたくさんホラー小説と呼ばれる作品を読んでいるわけではないのですが、珍しいな、とすら感じました。

 

ふむ。

 

しかし、この先、シリーズ全作品、読破してみたいかと言われると・・・。

個人的にはもう少し、何かが足りなかったかなぁ、と。

 

その理由として、まず挙げたいのが・・・こ、個人的には、も、もっとミステリ要素が欲しかった・・・端的に言うと、もっと人がこ・・・殺されて欲しかった・・・。

ご、ごめんなさい・・・自分でも書いていて『なんて物騒極まりない』と思うことこの上ないのですが。当たり前ですが、小説にだからこそ、望むことですよ、これは!

この辺りはまぁ、私の事前の期待が間違っていたな、と。

もっとミステリ的な展開、もっと人が殺されて、そこにホラー的な要素とミステリ的な要素が絡んでいるのかと期待していた私が、間違っていたのですがね。うん。

がっつり、ホラー小説として完結していたので、私としてはそこが残念だったな、と。

逆にホラー小説、がっつりとしたホラー小説を読みたい方には、非常におすすめできる作品ではあります。はい。

 

それからもうひとつは、主人公の春菜の描写です。

これに関しては、実際、先に挙げた評価の中でも言及されている方もいらっしゃったのですが。

仕事で成功をおさめたい、いけ好かないクライアントに一泡吹かせたい、そう言う思いがめちゃくちゃ強くて、そこはでも、むしろ好感が持てたんです。うむ。

ただなんだろうなぁ・・・描写の仕方なのかなぁ・・・。

好感が持てるはずなんだけど、なーんか、こー、応援したくなる気持ちがわいてこないと言うか。

好きになりにくかったと言うか。

 

多分、この辺りはシリーズ通して成長が描かれていく、そして仙龍との関係も深まっていくことは期待できるのですが。

じゃあ、それを追いかけたいかと聞かれると・・・うーん、と言うのが正直なところなのです。はい。

 

まぁ、シリーズ1冊目なので仕方なかったのかもしれないのですが。

仙龍さんにしても、確かにかっこいいのは感じられたし、曳屋として有能であると言うのも感じられた。んですけど、なんか『もっと!もっとちょうだい!こんなもんじゃないはずでしょう!』と言う不足感が拭えなかったんですよね、個人的に。

 

はい。と言うことで、なんだか最後の方はネガティブな感想ばかりになってしまいましたが、先ほども書いたとおり、ホラー小説が大好きな方にとっては、その嗜好を満たしてくれる作品だと思います。

それに面白かったのは確かなので、興味がある方は是非とも一度、読まれてみて下さい。シリーズものなので、巻を重ねるごとにどんどん、魅力が増していくのかもしれない、と言う期待も無きにもしあらずなので、私もまた、ひっそり思い出した時に続きを読んでみようかな・・・うん・・・。

 

そんなこんなで本日は、内藤了さんの『鬼の蔵 よろず建物因縁帳』の感想をお送りいたしました。

 

ではでは。本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!