tsuzuketainekosanの日記

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『このミステリーがすごい!』を振り返ろう~1999年

うえーい!順調にお送りできてるぜ!嬉。

 

てなことでこの記事は『このミステリーがすごい!』30年余りの歴史を個人的に振り返っている、そんなシリーズ記事です。

1989年から始まって、とうとう1990年代のラスト、1999年までやってまいりました!

うっひゃい。改めて喜びがこみ上げてきますな!

 

てなことで、毎回恒例、その年をちょろっと振り返りましょうか。

1999年と言えば!

そう!

私と同世代の方は非常に思い出深いと言うか、印象深い、と言う方も多いのではないでしょうか。

ノストラダムスの大予言

 

ご存じない方も多いかもしれませんな。

ノストラダムスの大予言とは、1973年に発売された書物のタイトルです。

その書物に書かれていたのが、フランスの医師であり占星術者でもあったノストラダムスが著した『予言集』、こちらは初版が1555年と言う非常に古い書物なのですが、それについて語りつつ、ノストラダムスの伝記や逸話をまとめた内容でした。

その中に登場していたのが『1999年の7の月に人類が滅亡する』と言う内容、と言うか、解釈だったわけです。

 

さぁ、このことを私が初めて知ったのはいつだったか。もうはっきりとは思い出せないのですが、とにかくこれを初めて知った日は泣きに泣き泣き散らかしたと言う(笑)

国民的作品である『ちびまるこちゃん』にも登場したお話なので、もしかしたらそれでご存じだと言う方もいらっしゃるかもしれませんね。私もあのお話で描かれていたまるちゃん同様『どうせ人類が滅びるんなら、勉強したって無駄じゃんか!』と何度、言い訳したことか(笑)

 

そして迎えた1999年の7月・・・と言うか、6月最終日。

今でも私ははっきりと、鮮明に覚えていますよ!

テスト勉強、一夜漬けのため、いつものテスト前同様、私は徹夜をしていました。『べ、勉強のためだもん』と言いつつ、その実『いよいよ7月がやって来るぞ・・・ノストラダムスの予言が当たるかどうか・・・この目で確かめてやる!』と変な意気込みがなかったことは否定できません!

 

ってか『7の月』って話なので、別に7月1日だとは限った話じゃなかったんですけど(笑)

 

少しずつ明るくなっていく外の景色。

人類の滅亡、その瞬間はやって来るのか。やって来るのだとしたら、その時、眼前に広がるのはどんな景色なのかっ!

 

・・・結果は皆さん、ご存じのとおりですよ!

人類は滅びませんでした!

ははははは。良かったね、と。

 

はい。てなことで今でこそ笑い話で済ませていますけど。

ほんと、1999年6月30日の深夜から早朝にかけての、私の胸に渦巻いていた興奮と緊張、恐怖がない交ぜになったような感情と言うのは、何と言うか、振り返ってみてもなかなかどうして、形容しがたいものだったなぁ、と思います。

 

ちなみに今回、これを書くにあたって調べてみたら・・・ノストラダムスの大予言、2022年、人類滅亡説があるとかないとかで・・・確かに、1999年より今の、2022年の方が、よっぽどいろいろな側面から見ても、人類にとっては危機的な状況にあるような気がするもんなぁ・・・。

 

はい。

何か他にもっと振り返るべき出来事などはあるはずなのでしょうが、個人的に1999年と言えばやっぱり『ノストラダムスの大予言!』と言う印象が強かったので、今回はそれをピックアップしてみました。

 

ではでは。振り返りはこれくらいにしておきまして。

1999年のベスト10を、私が読んだ作品のみですが振り返ってまいりましょう。

いつもの如く、下のリンクから結果を見ながら読んで頂くと、わかりやすいかと。

ja.wikipedia.org

てなことで・・・。

驚きの結果!

なんとこの年。

ベスト10にランクイン作品の中で、私が読んだ作品。

1作品しかない!

こんなことある!?(笑)

私も改めて結果を見てみて『うっひょ』と驚きました。

はい。

 

てなことで本日の記事は、唯一、読んだ作品についてがっつり、語る、そんな記事になりそうです。

では。

1999年の『このミステリーがすごい!』ベスト10作品の中、唯一、私が読んだ作品とは何なのか、と言いますと。

 

それがこの年のランキングで堂々の1位に輝いた作品、髙村薫さんの『レディ・ジョーカー』でございます! 

拍手っ!

 

ちなみに。ベスト10にはどんな作品がランクインしているのかを、ちょろっとご紹介いたしますと・・・ノイタミナでアニメ化された、小野不由美さんの作品『屍鬼』や、国民的作家の宮部みゆきさんの直木賞受賞作である『理由』、広末涼子さん、小林薫さん出演で映画化もされた、東野圭吾さんの『秘密』などがランクインしています。

そうした作品を抑えて1位に輝いたのが『レディ・ジョーカー』なわけですが・・・なんだろ、他の作品を読んでいないのに、こんなことを言うのは失礼極まりないのかもしれませんが。

圧巻の、圧倒的な1位だったんだろうな、と思うのであります。はい。

 

レディ・ジョーカー』は『マークスの山』『照柿』で主人公を務めた合田雄一郎、彼を主人公とする作品です。なので当然『マークスの山』『照柿』を読まれてから本作品を読まれた方が、より楽しめることは確かです。が、勿論、本作品単体だけ読まれても、格段、問題はありません。はい。

合田雄一郎を主役に据えた物語は、この後『太陽を曳く馬』へと続いております。が、私は本作品、多分、5回くらいは挑戦したのですが、いつも序盤で断念しております。

文章も文体も、更には何と言うか、髙村さんが描きたいことの本質、その描き方も、何もかもが『レディ・ジョーカー』を含むそれまでの作品と、それ以降の『太陽を曳く馬』とでは、明確に異なっていると言うのが個人的な印象です。

なので『マークスの山』『照柿』『レディ・ジョーカー』は初期の合田雄一郎3部作、ととらえられるのが良いかと。

 

昭和22年。日之出麦酒(現・日之出ビール)は人員整理で40人の従業員を解雇した。解雇された従業員の1人、岡村清二は解雇理由に被部落差別の問題が含まれたことを知り、会社に意見をしたためた手紙を送付する。

それから時は流れ平成2年。歯科医である秦野の息子、孝之が自動車の無謀運転で死亡する。孝之はビール業界最大手の日之出ビールへの内定が決定しており、更には社長の姪と交際していた。しかし日之出は、その孝之の身辺調査を行っており、結果、孝之が被部落差別の血筋だと言う事実を、孝之自身に知らせていたのだった。

息子の死の原因は日之出側にあると抗議をする秦野。その秦野の行動を知った総会屋の西村は、昭和22年、日之出に送付された岡村清二からの手紙のコピーを秦野に渡し、日之出への抗議活動を加速させるようたきつける。

しかし秦野は自殺してしまうが、その親戚であり、岡村清二の実弟である物井清三の胸には、様々な思いが渦巻く。

そして平成6年。清三の頭に、日之出ビールから大金を奪うと言う考えがとりつく。その考えを実行に移すべく共犯者を集めた清三のもとに集ったのは、職業も境遇もバラバラな、しかし鬱屈とした日々の中、熱中できる何かを求めている男4人。そして彼らの傍にはいつも、1人の男の娘であり障害を持つ『レディ』と呼ばれる少女の姿があった。

平成7年。清三たちが計画を実行に移し、日之出ビールの社長を誘拐したところから、いよいよ物語は大きく動きだす、と言うのが本作品のあらすじです。

 

あー・・・ほんとね、初めて読んだ時、本当に圧倒されたのを、今、またまざまざと思い出してきたような。

なんだろ、もう『小説』なんですよ、うん。『小説』なんですけれど、もう1人1人の登場人物やそれぞれが抱えている思いやら。あるいは企業の抱えている様々な事情やら、経済と言う、底知れぬ、それこそまるで『生き物』のようなものの不気味さとか、得体の知れなさとか。

そうしたものがもう本当に生々しいと言うか、『小説』のそれではない存在感をもってして描写されているものだから、だからもう、物語を読み進めるごとに、それらが放つ『力』、ポジティブなそれもネガティブ極まりないそれも含めた『力』が、こちらにぶつかってくる。で、どんどんそれがボディブローのように、こちらの精神力をギリギリと追いつめてくる、削ってくる。

 

なのでもう、読み進めるのにめちゃくちゃ体力、気力を要する作品だと思うんです。うん。なんですけど、いやもしかしたらだからこそと言うべきなのかもしれないんですけど、とにもかくにも、そうであるにもかかわらず、めちゃくちゃに面白いんです。

 

物語は、罪を犯した男たちと、彼らの姿に迫り行く捜査陣、このふたつの軸を主として、様々な登場人物たちのサイドで描かれていきます。

犯罪に手を染めていく物井サイドの物語は、大企業の社長を誘拐し、身代金を要求すると言う流れが、非常にスリリング。なのですが、物語が進んでいくにつれ、物井が計画に引き入れた半田と言う男、この人はあろうことか刑事なんですけれど、この人がどんどん壊れていくんですね、いや、元からなかなかどうして壊れていた人だったんですけど(笑)。

で、その人の暴走っぷりもさることながら、罪を犯しておきながら、しかし物井の胸に巣食ってすると言うか、彼のその、老境の身にのしかかっている虚無感のようなもの。それがもう、個人的にはめちゃくちゃ印象的なのです。

 

そして一方、物井たちを追いつめる捜査陣、合田ですね、こちらの物語も緊迫感溢れる筆致で進んでいきます。一刑事として地道極まりない捜査に身を捧ぐ合田。その彼と別れた妻の双子の義理の兄、加納との、ただの元義兄弟と言う関係性を飛び越えたような、何とも言えない隠微な関係も描かれているのですが・・・まぁ、相変わらず合田の辛気臭いことよ!(笑)

 

追われる側と追う側。更には社長誘拐に伴い、会社としての被部落差別の事実、それが明るみにされることだけは避けた日之出ビール側。事件の臭いを嗅ぎつけ、ハイエナのようにそこにたかるマスコミの人間。

この差別の歴史を隠蔽したい日之出ビール、マスコミの描写も、またこれ、めっちゃくちゃリアルなんですよ。生々しいんですよ。なのでもう、読んでいて、こー、おぞけが走るくらいと言うか。

 

それぞれの、実に辛気臭い、しかしそれ故、どろりとした暗い情念がぶつかり合うような物語は、本当にヘヴィの一言。

 

さぁ、そしてラストはどうなるのかと言いますと・・・これは勿論、是非ともご自身の目で確かめて下さい、としか言いようがないんですけれど。

 

私としてはね、もう、ラスト、ただただ、膨大な虚しさしか感じなかったと言うか。

いや、虚しさと書くとネガティブなイメージを持たれる方もいらっしゃるかもしれないのですが、決してネガティブな感情の感想ではなくて。

なんだろ、ひとつの物語として、登場人物たちのこの報われなさ、一切合切が闇へと葬られた虚しさ、それをここまで描き切った作品が、果たして他にあるだろうか、と。

そんなことを突き付けられた、見せつけられたような思いがする、まさしく圧巻、そんな感情を抱かせるくらいの虚しさだったんです。はい。

 

なんだろ。ものすごく熱狂するような、参加した誰しもが熱に浮かされたような思いを抱く祭りがあった。そしてそこに参加していた皆、祭りの中心は『自分』だと思い込んでいた。この祭りが終わったなら、そこには、以前とは違う『自分』があるはずだと、なにひとつ信じて疑っていなかった。

ところがどっこい、『自分』が知らない内に祭りは終わっていて、いや、そもそも祭りが本当に開催されていたのかどうかも疑わしいくらいに、その気配すらないような現実がそこにはあった。そして同時、その中で立ち尽くす『自分』は、祭りの存在は疑わしいのに、それだけは疑いようがないほどに、以前よりも一層、暗い目をしていた・・・と言う感じですかね。

 

いや、自分で書いててまったくわかんないんですけど!

はは!

 

はい。そしてその中『レディ』の存在だけが、全てを超越した『何か』を物語っているようで、それがまた、一層の虚しさを掻き立てると言うか何と言うか。

ほんと・・・曲がりなりにもいろいろな本を読ませていただいた私ですが、この『レディ・ジョーカー』のラストに襲い掛かってきた感情を味わった本は、本作以外にはありません。うん。

それくらいに圧巻だった。

 

なんだろ。初期合田雄一郎シリーズ3部作のラストを飾る本作品。

たとえるなら『マークスの山』の暗い疾走感と『照柿』の徹底的に人間の性、業を炙り出すように描く人間描写、そのふたつが融合し、更に深み、濃厚さを増した作品、そんな感じがします。

 

ええい、己の語彙力の無さが悔しいっ!

 

はい。

 

で、です。

そうです。

髙村さんの作品と言えば、単行本版と文庫版では、時にお話の内容、感触が大きく異なることもある、と言うのは『マークスの山』や『照柿』『李歐』などの記事でも書いてまいりましたよね。

そしてやはり、この『レディ・ジョーカー』も、単行本と文庫とでは、話の大筋はそれほど変わりありませんが、やはり物語全体の雰囲気とか、登場人物たちから抱く感触が大きく異なっている、と私は思います。

簡潔に言えば、荒々しい熱量に満ち満ちている単行本版に対して、文庫版は荒々しさや熱量は勿論なんですけれど、それを上回る・・・こー、この世を覆いつくす悲哀や寂莫、そんなものを感じる、と言う感じかな、と。

あくまで私個人の感想ですが。

てなことで、是非とも、是非とも単行本と文庫、両方を読んで頂きたいな、と思うのであります。

はい。

 

てなことで本日は1999年の『このミステリーがすごい!』を振り返ってまいりました。

そして次回は、いよいよ2000年!

 

ふふ。

今回の振り返りは、1作品のみしか読んでいないと言う体たらくでしたが・・・。

ふふ。

次の2000年の振り返りでは、ふふ、とんでもないことになっちゃっていますことよ。

ふふ。

てなことで、引き続き、お付き合いいただけると嬉しいです。

 

ではでは。

本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!