tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

『このミステリーがすごい!』を振り返ろう~1997年

年末恒例、そして年末の楽しみでもある『このミステーがすごい!』

その30余年の歴史をひとり勝手に振り返っているシリーズ記事です。

このミステリーがすごい!』が始まった1989年から始まったこの記事も、順調に、1997年までやってまいりました。

 

てなことで、毎回恒例、その年がどんな年だったかを、まずは振り返りましょう。

ウィキペディアの年表を見て、まず目に飛び込んできたのが、ペルー日本大使公邸占拠事件。これ、めちゃくちゃ覚えてるなぁ~。そうだったのか、この事件、解決するまでに4ヵ月もの時間がかかっていたのですね。はぁ~・・・覚えている当時のことと言えば、とにかくあの突入の際の映像、あれがめちゃくちゃ衝撃だったことくらいなのですが・・・そうかぁ~、4ヵ月も時間がかかっていたのか・・・。

 

それから、ダイアナ元イギリス王太子妃とマザー・テレサの死去ですかね。

ダイアナさんの死も、めちゃくちゃニュースで報道されていたのを覚えているなぁ。交通事故死と言う非常にショッキングな死。しかもその裏には数多くの謎も隠されていて、と言う感じで、当時は本当に毎日のように報道されていたもんなぁ。

そのダイアナさんとも親交が深かったと言われていたマザー・テレサの死は、何と言うか、幼い頃、伝記漫画とかで読んでいた人の死と言うことで、何とも不思議な感覚があったように記憶しています。はい。

 

あとはこの年の12月に、アニメ史上に残る大事件と言っても過言ではないでしょう。『ポケモンショック』が発生しているのですね。いやぁ・・・これも当時は凄く報道されていたし、何てか、その報道の矛先がポケモンそのものや、ゲームやアニメの演出などに向かっていたのも、なんとなくだけど覚えてるなぁ・・・。

今では当たり前のようになっている『テレビを見る時は部屋を明るくしてみてね』とか『光の点滅が激しいシーンがあります』と言うような注意喚起がなされるようになったのも、この出来事が発端なんだよなぁ。

 

そしてゲームと言えば!この年の1月に発売されたのが『ファイナルファンタジー7』でございます!

いやぁ~、懐かしい!私も、もうずいぶん昔に閉店してなくなっちゃったけど(涙)、当時、家の近くのコンビニで予約して、学校帰りに購入しに行ったもんなぁ~。

初めてプレイした時の、あのグラフィックの美しさと言ったら!超衝撃でしたよ。

あぁ、懐かしい。またプレイしたいなぁ・・・いや、リメイクとか発売されているんですけど、そうじゃなくて。あの当時の、あのグラフィックのままのFF7がプレイしたいのです。

 

おっと、振り返りが長くなってしまったぞ。

ではでは1997年の『このミステリーがすごい!』を見ていきましょう。

ja.wikipedia.org

はい。いつものように、こちらのリンクを見ながらだとわかりやすいかと思います。

 

この年、栄えあるトップに輝いたのは馳星周さんの『不夜城』でございます!読んだ!なのであとでたっぷりと語るといたしまして・・・。

ベスト10にランクインしている作品の中で、私が読んだことがあるのが・・・まずは7位、京極夏彦さんの『鉄鼠の檻』ですかね。それから3位、東野圭吾さんの『名探偵の掟』でございます。

なので今回の記事は、この3作品について語ってまいります。

 

まずは7位にランクインした『鉄鼠の檻』です。京極夏彦さんによる『百鬼夜行』シリーズ作品、その4作品目にあたる作品ですね。そして多分、シリーズで1、2位を争うページ数の多さだと思うのですが・・・どうだったっけか?

 

百鬼夜行』シリーズ作品を簡単に、実に簡単にご紹介すると、陰陽師で古本屋の中禅寺秋彦、冴えない作家の関口巽、刑事の木場修太郎、そして天上天下唯我独尊を地でいく変態探偵の榎木津礼次郎などの登場人物が、実に奇怪な事件に巻き込まれていく、と言う内容です。推理小説でありながら妖怪小説と言うカテゴリにも分類されていますので、作品ごとにクローズアップされる妖怪の存在が、事件の謎に大きく関係していると言うのが、本作の特徴です。

 

で、今回は『仙谷楼』と言う箱根の旅館が舞台。そこで突如、出現した僧侶の他殺体。『仙谷楼』に居候していた久遠寺老(第1作『姑獲鳥の夏』の登場人物です)は、独断で事件を榎木津に連絡してしまう。

一方、関口と中禅寺は別件で箱根を訪れていた。しかし『仙谷楼』を訪れていた、関口と親交のある編集者、鳥口により、関口は『仙谷楼』へと連れて来られてしまう。

他殺体の身元が僧侶であると判明するが、ほどなくして2人目の僧侶も他殺体となって発見され・・・と言うのが、本作品のあらすじです。

 

このシリーズ、再三、記事にも書いてきましたが、どの作品も本当に、本当にめちゃくちゃ面白いんです。もうそれこそ、あれだけの分厚さ、凶器になりそうなくらいの分厚さがある作品なのに、それを感じさせないくらいの面白さ。ページをめくる指を止めることができない、そんな作品なんです。

 

がっ!私は、個人的にはこの『鉄鼠の檻』とその次の作品『絡新婦の理』が、シリーズの中でも1、2位を争う面白さを誇る作品だと、勝手に思っています。

その理由として、ひとつは単純。榎さんこと榎木津礼次郎が、満を持して、満を持してっ!(笑)大暴れするから。これまでの作品でも榎さん、登場はしていたし、暴れてはいたのですが、今作品、そして次作の『絡新婦の理』での暴れっぷりは、その比にならないくらいのもので、もうただただ痛快。そしてそれに振り回される、圧倒される、呆気にとられる面々の面を想像すると、もうにやにやが止まらんのですよ・・・。

ある特殊な能力を持っている榎さんは、とにかく天衣無縫、傍若無人天上天下唯我独尊を地で行く、それでいて実に麗しい見た目をしていると言う、実に、実に素敵な登場人物なのです。

ただ、そんな榎さん、常識にも、時には一般的な倫理観にもとらわれない思考の持ち主である榎さんだからこそ、時に口にされる言葉が、発生した出来事に対して思いもよらぬ影響をもたらすことがあるのです。そこがまた憎い!

 

それからもうひとつ、この作品が特に面白いと感じる理由として挙げたいのが、とにかくミステリ的な要素が満載だからと言う点です。

物騒ではありますが、とにかく人が次々と殺され、しかもその舞台はほぼ密室と化してしまっている。謎が謎を呼ぶ展開で、しかし、真相を見出すだけの決め手がない。

 

あぁ・・・もうたまんない・・・現実でこんな状況に巻き込まれるのは絶対ごめんだけど、こういう小説、ミステリ、もう大好き・・・垂涎しちゃう・・・。

またこの作品、物理的な密室は勿論なんですけど・・・精神的な、思考的な密室、と言うのもキーワードになっているのも、まためちゃくちゃ面白いんですよねぇ・・・。

 

はい。続いては3位に輝いた作品、東野さんの『名探偵の掟』です。今や国民作家と呼ぶにふさわしい作家のおひとりと言っても過言ではないのではないでしょうか。数々の作品が映像化され、いずれも大ヒット。ガリレオシリーズの1作『沈黙のパレード』の劇場版公開も、今年9月に予定されていますね。

そんな東野さんですが、あれ?もしかしてこのランキングに登場されたのは、これが初めて・・・ではないはず。多分、ベスト10のみの結果しか見てないからそう思えるだけで、多分、過去にも何作かランクインしていたはずです。

はい。ってか今や東野さんも『このミス』常連作家さんだもんなぁ~。

 

さて、この『名探偵の掟』ですが、松田翔太さん主演でドラマ化されたこともあるので、ご存じの方も多いかもしれないですね。名探偵、天下一大五郎と迷脇役の大河原警部がミステリ小説の裏側を暴露しながら、様々な事件の謎に挑む短編集でございます。

 

なんでしょ、いわゆる『メタ小説』に該当するのでしょうか。登場人物たちは、自分が探偵小説の中の登場人物である、と言うことを知っている、と言う点が本作のひとつのポイントです。

探偵小説には様々なルールが、お約束が存在していますよね?たとえば『連続殺人がすべて終了するまでは、事件の謎を解明してはならない』とか。そう言うお約束を登場人物たちは非常にうとましく思っており、それ故、読者や作者、更には推理小説などに対して様々な不満をぶちまけます。

けれど推理小説は、登場人物たちにとっては、自分たちが生きる世界でもあるわけです。そのため文句を言いながらも、その『お約束』を成立させるために奮闘する姿が描かれているのも、実に面白い。

 

・・・こっ、こんなミステリ、ちょっと他にないぞ(笑)

 

なんでしょ。ミステリとして面白いのに、それを打ち破るかのような、ある種、自暴自棄の極のような味わいを、そしてそこから来る憂いのようなものも感じる作品でした、個人的には。そして同時『カテゴリはともかくとして、私はとにかく面白い作品を書きたいんだよ!』と言う東野さんの、熱いメッセージが込められている作品なのでは、と言う思いもしたのですが・・・どうでしょうかね(にやにや)

とにもかくにも、ほんと、ある意味、やけくそ感を抱くくらいのトリック乱舞。そしてそれに対して文句を垂れまくる登場人物たち、とちょっと他にはないミステリであり、とにかく面白い作品なので、未読の方はぜひ。

 

そして栄えある1位に輝いたのは馳さんの『不夜城』でございました!

いやなんでしょう。馳さんの登場、その作品と言うのは、確実にエンタメ界に新たな風を吹き込んだ、新たなジャンルを築き上げた、そう言っても過言ではないでしょう。いわゆる暗黒小説、ノワール小説と呼ばれるジャンル、その普及に馳さんの書かれる作品は、めちゃくちゃ大きな影響をもたらしましたよね。

私にとっても多分、初のノワール作品は馳さんの作品だと思います。はい。

 

と言うことで『不夜城』です。金城武さん主演で映画化もされた本作品。舞台はと東京新宿歌舞伎町。日本一の歓楽街である街は、しかし中国人たちの勢力争いの舞台になっていた、と言うのが物語のはじまりです。

主人公の劉は、日本人と台湾人のハーフ。歌舞伎町で故買屋を営みつつ、中国の裏社会を渡り歩いていました。そんな彼は、かつての仕事のパートナーであった呉が歌舞伎町に現れたと聞きます。

実は呉は、歌舞伎町を仕切る上海マフィアのボス、元の右腕を殺害し、逃走していたのです。元は、呉は元相棒の劉のもとに姿を見せるはずだと睨み、劉に3日以内に呉を連れてこいと命じます。

そんな劉の前に、夏美と言う女性が現れます。彼女は『売りたいものがある』と言い、その『売りたいもの』こそ、呉だったのです。

呉を差し出したとしても、自分は元に殺害されるに違いない。ならば夏美を利用して、呉に元を、そして別勢力に呉を殺害させようと劉は計画を立てるのですが、と言うのが本作のあらすじです。

 

馳作品の魅力、そのひとつとして、登場人物が孤独、一匹狼、社会に決して溶け込むことができない、なじむことができない存在である、と言う点が挙げられると思います。

でも、ですね。

何故だか、私は、その登場人物の孤独、孤立、社会に決して溶け込むことも、馴染むこともできないその姿と言うのに、とても親近感を抱くのです。

そしてそうして生きる、日々を生きるしかない登場人物の姿には、ある種の美しさすら感じます。

絶望的な世界の中。真っ暗闇に覆われた世界の中。その人たちの孤独、孤立、それだけが鋭い光を放っているかのような。

はい。

 

で、絶望的なのは世界だけではなく、主人公にとっての展開もそうなんです(笑)

圧倒的に不利、どうあがいても絶望的でしかない。

 

その中で、同じような孤独を抱えた者同士が、まるで現実逃避するかのように、互いの傷をなめ合うように、惹かれ合うんですね。

その展開と言うのが、またこれ・・・絶望的であるが故に切なく、しかし切ないからこそ胸を締め付けるような美しさ、剥き出しの欲望と欲望が出会った煌めきを感じさせるような、本当に胸にぐっ、と来るんです。

そう言う意味では恋愛小説的な魅力もある、とも言えると思うのですが・・・まぁ、あの、非常にシビアな、絶望的な恋愛小説ですけど(汗)

 

そしてやはり、登場人物ひとりひとりの欲がぶつかり合い、命がいとも簡単に散っていく展開と言うのは、非常に衝撃的なのです。

なのですが、同時、血湧き肉躍るような興奮をもたらしてくれるんですよねぇ・・・。

登場人物によっては巻き込まれる形で、悲惨極まりないラストを迎えることも少なくないのですが、一方で己の欲に従い、他者の迷惑顧みず(笑)ただただ好きなように突っ走った結果、とんでもないことになる、と言う登場人物を見ると『ふふ。自業自得』となっちゃうのも、たまりません。ふふ。

 

この作品、そして多くの馳さんの作品もそうなのですが、決してわかりやすいハッピーエンドではない、と言うのも私は大好きです。

物語の設定や登場人物、展開は、確かに、私たちが生きている日常からはかけ離れたものかもしれません。それでも『彼ら』『彼女ら』の生きている社会と、世界と、私たちが生きている社会、世界は根本的に同じなのです。

表裏一体、ただ表が出るか、裏が出るか、それだけの違いなのだと。

そしてそのどちらが出るかと言うのは、自分では選びようがなく、そのきっかけは実に些細なものでしかないのだと。

そんな現実社会の徹底的な残酷さ、冷酷さを突き付けられるような感じがして、たまらないんですよねぇ~(ドMか)

そしてそうなった時に剥き出しになる人間の、ありとあらゆる性。その醜さ、脆さ、酷さ、滑稽さ・・・そうしたものの描写が、実に読みごたえがあるのです。

 

はい。そんなこんなで日本における暗黒小説、その金字塔的作品である本作品。

ぜひぜひ、未読の方は読まれて下さい。

 

はい。と言うことで本日は1997年の『このミステリーがすごい!』を振り返ってまいりました。

次回は1998年ですね。

最近、職場に異動されてきた社員さんが、この年生まれでした。

・・・そうかぁ~(遠い目)

よろしければ引き続き、お付き合い下さい。

 

ではでは。本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!