tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

1が付く日なので読書感想文の日~ストックかつかつ

はーい。21日、1が付く日なので読書感想文を放出する日でーす。

タイトルにも書いたとおり、本は読んでいるはずなのですが、どうにもストックが増えません。どういうことなのでしょうか・・・。

あと月村了衛さんの機龍警察シリーズ。こちらをなんとか取り上げたい、数回にわたって紹介する記事を書きたいと思っているのですが、なんか私ごときがあのシリーズの魅力を正しく、かつあますことなく伝えられるのかどうか、ただただ不安しかなく、結果としてなかなか踏み切れていません(ちーん)

 

はい。

でもほんと、紹介したい・・・めちゃくちゃ面白いので、ほんと、読んで・・・。

あとNetflix全世界配信とかで、アニメ化して・・・。

いろいろ国際情勢的な題材も含まれているので、難しい部分もあるだろうけど・・・。

 

そんな具合で本日、感想文を書くのはこちら。

小学館から刊行されている『超短編!大どんでん返し』でごさいます。

 

全30編、タイトルにある通り『超短編』の物語が収録されている短編集です。

『『超短編』ってどれくらいの枚数なのさ?』と思われた方もいらっしゃるかもしれませんね。これは原稿用紙5枚分、文字数にして2000文字とのことです。

そしてその30編の超短編を手掛けた作家陣が、実に豪華なこと!

 

私、こちらの本はたまたま新聞広告で知ったのですけど。

その新聞広告には全30篇の超短編を手掛けられた30人の作家さんのお名前も列挙されていたのですが・・・『豪華・・・』と思わず声が漏れたほどの作家陣なのです。

では具体的に、どんな作家の作品が収録されているのか。全30名のお名前を挙げていきますと・・・。

 

青崎有吾さん、青柳碧人さん、乾くるみさん、井上真偽さん、上田早夕里さん、大山誠一郎さん、乙一さん、恩田陸さん、伽古屋圭一さん、門井慶喜さん、北村薫さん、呉勝浩さん、下村敦史さん、翔田寛さん、白井智之さん、曽根圭介さん、蘇部健一さん、日明恩さん、田丸雅智さん、辻真先さん、長岡弘樹さん、夏川草介さん、西澤保彦さん、似鳥鶏さん、法月倫太郎さん、葉真中顕さん、東川篤哉さん、深緑野分さん、柳広司さん、米澤穂信さん、以上30名でございます!

いやぁ~・・・豪華。重量級勢ぞろい!と言っても過言ではない、そんな作家が勢ぞろいではないでしょうか。

 

そんな作家陣が2000文字、原稿用紙5枚と言う実に短い分量で『大どんでん返し』をテーマに紡いだ30編の物語がおさめられているのが、本作品です。

STORY BOXと言う、小学館から刊行されている月刊小説誌。その人気企画をオリジナル文庫化した、とのことです。

30編収録されているものの、1編が短いので、文庫本でもとてもスリムなページ数です。帯には『1話4分』と書いてありましたが、早い方だと4分も時間を要しない、1~2分で読めてしまうのではないでしょうか。

なので普段、あまり読書はしないよ、と言う方、読書は好きだけどあまりボリュームのある作品は苦手よ、と言う方でも楽しく読むことができる作品だと思います。

 

ではでは感想を。

全体の感想としては、一人称の作品が多かったこと。それからラストの台詞で驚かせる、そんな作品が多かったことが印象に残っています。

2000文字ですからね。やっぱり登場人物の数も限られますし、その中から語り手を用意して、その人について紹介していると、それだけで物語、終わっちゃいますからね。そうなるとやはり一人称での語りが適切と言えば適切ですものねぇ~。

うーん、作家さんの苦悩がうかがえるわ!

 

それから『大どんでん返し』なので、やはり最後の最後、登場人物の語りとかモノローグで真実を明かして『おおっ、成程。そう言うことだったかぁ~』と驚かせる作品も多かったですね。はい。

いい意味でぶつ切りの作品が多かったと言うか。『こう言うことでした!』と真実を叩きつけるだけ叩きつけておいて終わり、と言う終わり方をしている作品が多かったと言う印象です。まぁ、これも、2000文字と言う制約の中では、自然な流れ、自然な終わり方かもしれませんね。はい。

 

では、ここからは個別の作品の感想です。

全30編なのでどうかこうか迷ったのですが・・・先ほど、全作家さんのお名前を書いていて、『この方はこの作品を書かれていたよな』と自然に思い出すことができた方の作品。それはきっと、私の中では印象に残っている、面白いと感じた作品だと思うので、そちらの感想のみ、書いていくことにしました。

 

それでは・・・まずは乾くるみさん『なんて素敵な握手会』です。

こちら、30作品の先陣を切る作品として収録されているのですが・・・だからでしょうか。『あー、成程。こういう『大どんでん返し』ね』とある意味、本作の印象や流れを決定づけてくれた、そんな作品だと感じました。

タイトル通り、アイドルとファンの交流の場である握手会の一幕を描いた作品です。私のように、単純な人ほど気持ちよく騙される、そんな作品だと思います。

 

それから似鳥鶏さんの『VSパンダ』。これは『大どんでん返し』と言うより、もはや『書き逃げ』感の強い、開き直った作品だと思うのですが、それ故、その投げやり感が作風とマッチしていて笑ってしまいました。ぜひ、武井壮さんで実写化を。

肉体派おバカタレントが、今度のロケで戦うのは・・・と言うところから始まる物語。辛いな・・・なんかテレビで見かける、体を張っている芸人さんとかを思い出して、切なさも感じた作品でした・・・でも笑える、あのラスト(笑)

 

お次は米澤穂信さんの『白木の箱』です。変わり果てた姿で、白木の箱に詰められて帰ってきた夫。そのことを嘆く妻の語りで物語は進んでいくのですが・・・。

いやぁ・・・もうね、こんな短い物語ですら、やはり米澤さんの紡がれる文章は、端正で情緒があって、美しいんですよ。ぐっ、と一気に物語の世界に誘ってくれる。そしてラストのオチも・・・もうにんまり。素敵です。

 

日明恩さん『愛妻へのプレゼント』は、販売員の女性と、愛妻へのプレゼントを購入しに来たと言う男性との会話を描いた作品です。

その中で少しずつ明かされていく真相。愛する妻への思いを口にする男性に、思わず胸を厚くする販売員の女性。どころがどっこい・・・たった2000文字の物語なのに、その緊迫感はなかなかのものでした。ラストの切れ味も好きだなぁ~。

 

辻真先さん『忘却とは』は、ラスト、にやりとしつつ同時に切なさもこみ上げてくる作品でした。

妻の口癖から、ひとりの男性が移り行く時代に思いを馳せる、と言う物語なのですが、この時代を振り返ると言う内容も、なかなか読みごたえがあって面白かったです。

 

井上真偽さん『或るおとぎばなし』は、タイトル通り、『おとぎばなし』にありがちな、実にハートフルでハッピーな結末を予想させる物語・・・なのですが。

勿論、『大どんでん返し』ですから、それで終わるはずがありません(笑)。ラスト、ある登場人物の一言、その声音、声色が耳元にまざまざと聞こえてくるような、です。笑顔も凍り付くような。

 

青崎有吾さん『your name』は、何でしょ。個人的には今回収録されている作品の中で、最もミステリーらしいミステリーだと感じました。

ある事件について聴取を受ける男性と、聴取する側の静かな攻防を描いた作品なのですが・・・聴取を受ける男性の、ある特徴が登場してからの、その特徴だからこその真実。その流れが、これだけ短い物語の中にあって、実に美しくスムーズだなぁ、と感嘆すらした作品です。

 

伽古屋圭一さんの『籠城 オブ・ザ・デッド』このタイトルから、ある程度、物語の舞台や雰囲気を想像できる方もいらっしゃるかもしれませんが・・・多分、そのご想像で間違いないと思います。

収録されていた作品の多くが『○○だと思っていた存在が実は××だった』と言うオチを迎えるのですが、ぶっちゃけるとこの作品もそうしたオチを迎えます・・・が、なんか、飄々とした雰囲気すら感じさせる登場人物たちの会話があったらこそ、このラストは切なさを禁じえなかったと言うか・・・どっちも大変なんだよ・・・。

 

乙一さん『電話が逃げていく』は、もう笑いが止まらない、このまま実写化できそうなくらいにシュールな躍動感に溢れた作品でした。

タイトル通り、電話に逃げられてあたふたする女性の姿が描かれているんですが・・・それだけで終わらないのは、さすが乙一さんです。まるで悪びれた感じのないラスト、最高に最高。それでいいと思うよ、それで。電話が逃げていくんだもん、仕方ないよね!

 

そしてラストは長岡弘樹さんの『最後の指導』です。長岡さんと言えばドラマ化された大人気シリーズ作品『教場』ですが、こちらはその掌編です。なので『教場』と言えば・・・あの人も登場しています。

『成程、そう言うことだったか』と納得させられる、実にストレートかつ切れ味のあるラストでした。

 

はい。てなことで、改めて振り返ってみると、これ、アレだなぁ。

是非とも全編、実写化して欲しいなぁ。『世にも奇妙な物語』でやったら、絶対、面白いと思う。全30編ですけれど、再三、書いている通り1編あたりのボリュームはめちゃくちゃ短いので、30編実写化、できると思う(何も知らない素人の欲望)

 

30人の作家さんが紡いだ30編の物語。

なので当然、ひとつひとつの物語の魅力、個性がバラバラなんですよ。それだけでももう楽しい。

プラス超短編と言うことで、非常に上から目線にはなってしまいますが、作家さんの短編、ショートショートに対する向き、不向きがわかりやすいと言うのも、面白い。

 

なにはともあれ、これだけの作家陣の物語を1冊の文庫で、しかも550円で読めてしまうと言うのは、いやいや凄いわ。

なのでぜひぜひ、読まれたことがない方は、気軽に読まれてみて下さい!

そかこから気になる作家さんが出てきたりしたら、また新たな読書の楽しみが生まれますからね~。

 

はい。そんなこんなで本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!