『王様ランキング』アニメ、素晴らしい出来で毎話、楽しく視聴しています。
非力で耳も聞こえず、言葉を発することはできない。それでも胸には強さに対する純粋すぎる憧れと、王になりたいと言う夢を持っているボッジ、その姿を見ていると、ある言葉がいつも、思い出されるのです。
それが『まわりと違う人生が俺の武器だ』と言う言葉です。
てなことで、本日、ご紹介するのは、この言葉が出てくるBL作品でございます。
・・・なんですけれど。
実を言うとこちらの作品、ある作品があって、その作品のスピンオフ的な作品なのですよねぇ、ええ。いや、シリーズ的には同じシリーズに位置付けられているのですが、巻数としては3巻に該当しているのです。
なので順番的には、1巻、2巻を読んでからこちらの作品を読まれた方が、絶対に楽しいし、登場人物の関係性とかもお分かりいただけると思うのですが・・・。
まぁ、いいや(ちーん)
てなことで、まずは本日、こちらの作品を紹介して、後日、1巻、2巻の作品を紹介したいと思いますので、よろしければ引き続き、お付き合い下さい。
てなことで、本日ご紹介するのは五月女えむさんの『サハラの隻眼狼』です。
はい。こちらは私がいつも利用しているサイト様の、作品紹介ページです。
物語の舞台は砂の国。かつて黒鷲と呼ばれた奴隷商の青年、ロキ。そのロキの幼馴染であり、彼の護衛を務めているイングル。2人は、更に共通の幼馴染であるトールと共に、厚い信頼と固い絆で結ばれています。
水の集落で、水売りの護衛を務めているビャクは、長きにわたりイングルに恋をし続けています。そのためロキを中心とした3人の関係が、とにかく気に入りません。
どうにかだまし込んで、イングルと体を結ぶことには成功したものの、思いは素直に口にできず、更に相手は、色恋沙汰にとんと疎いイングル。ビャクの思い、苛立ちは募る一方です。
しかしイングルには、ロキにも口にできないある思いがありました。そしてその思いを知ったビャクは、イングルと秘密の共犯関係になることを決心します・・・と言うのが、この作品の簡単なあらすじです。
で。
シリーズとしては『砂漠の黒鷲』と名付けられているこのシリーズ。1巻と2巻ではロキの恋模様が描かれているのですが・・・今回の物語は、主人公がその護衛で傭兵のイングルとなっています。
表紙だと、隻眼の褐色イケメンがイングルですね。で、彼の腕をとっているのが、受のビャクです。その彼と一緒にいる白蛇は、ビャクの友人で物語でも大いに活躍するザザです。ビャクには、ザザをはじめとする蛇と話すことができる、蛇の声が聞こえると言う能力があります。
それで、です。
先の台詞『まわりと違う人生が俺の武器だ』と言う言葉は、このビャクがイングルに向けて放つ言葉なんです。
ビャクが蛇と話すことができる、そのことについてイングルがいろいろと尋ねるんですね。そして『人間以外と意思疎通ができるのは面白そうだ』とイングルは口にするのです。
幼い頃から蛇と話せる、蛇の声が聞こえる。
そのことを周囲に気味悪がられていたビャクは、イングルのその言葉に、満面の笑みを見せるのです。そして蛇と話せること、そのことがどれだけ、自分にとって武器になっているのか、自分を助けてくれているのか、それをイングルに聞かせたのちに、先の言葉を口にするのです。
で、この言葉を聞いたイングルの中で、ビャクに対する思いに変化が生まれるのですが。
『まわりと違う人生が俺の武器だ』、素晴らしい言葉だと思いませんか?
作品を初めて読んだときにこの言葉を目にした時、もう、ぶわっ、と全身にいい意味での鳥肌が立ったのを、今でもはっきりと覚えています。
そしてそれ以降、ことあるごとに思い出す、そんな言葉にすら、私の中ではなっています。
『まわりと違うこと』は、どうしても、社会では特別視されたり、白い目で見られたり。あるいは軽蔑されたり、批判されがちです。
でもよくよく考えたら、人類だけでこの地球上、何人いるんだって話で、その1人、1人が『まわりと違う』のは、当然のことと言ってもいいはずなんですよね、うん。
なのに人は、『まわりと違う』ことを変に思ったり、落ち込んだり、自責の念を抱いたり。またそうした人に対して、ちょっと色眼鏡をかけて見たり、批判の目を向けることも少なくない。
勿論『まわりと違うこと』、その中身にもよるとは思います。明らかに他者に迷惑をかけようなこと、法に触れるか否かぎりぎりのところであるにもかかわらず『まわり違う人生を歩んできた、これが俺の武器だぜ、ひゃっはー』って自慢気に言われても、それはただのイきりです、強がりです、弱者の喚きでありただの迷惑です。うん。
この言葉を受けたイングルも思うのですが、私も、この言葉をさらりと口にしたビャクの、その、自分自身をしっかりと、はっきりと認められる、そのことが心の底から羨ましいと思いました。
私自身、いわゆる普通の『大学卒業→就職→キャリアアップ→結婚→出産、子育て』と言う人生ではない『まわりとは違う人生』を歩んできた人間です。更に言えば『友人もいない、お付き合いしている人だっていない』と言う人生を、現在進行形で歩み続けている人間でもあります。
そのことを『そんなつもりはない』とは言いつつ、どこかで恥のような、情けないような、なんか人間失格みたいな、そんなふうに感じていたのですが、この言葉と出会ってからは『武器とまでは言えなくても、こんな私だからこそ感じる、『まわりとは違う』思いであったり、こんな私だからこそできることと言うのもあるのかもしれないなぁ』と思えるようになりました。うん。
いや、自分語りが長くなってしまいましたが。
五月女えむさんの作品、『サハラの黒鷲』シリーズ以外にも、結構、読んでいるのですが、ものすごくストーリー性が強いんですよね、うん。
ページ数の都合などで、どうしても駆け足になってしまっている部分があると言うのも否めないのですが、それでも、ものすごく人間同士の心の機微、それがしっかりと描かれている。かつ物語としての起承転結もはっきりとしていて、ドラマ性が感じられる。
だからこそ、こんな言葉をさらりと、ものすごく誇り高そうに口にするキャラクターが登場するんだろうなぁ、と改めて感じさせられた思いです。
で、ここからはBL的視点で、本作の魅力を紹介していきます。
本作品、簡単に言えば『朴念仁無骨褐色攻×こじらせツンデレ純情受』でございます。
もうこれだけで、たまらないものがありますよね、ね!
受けのビャクは、とにかく一途にイングルのことを思い続けています。だけどそれ故に、どうしても自分の気持ちを素直に口に出せない。
なのに一方のイングルは、とにかく武骨。口数も少なく、体は簡単に結んじゃうものの、それの意味するところと言うのをあまり理解していない節すらある。そのくせ、ビャクを勘違いさせるような言動も見せるものだからタチが悪い(笑)
ただ、だからこそ、なんですよ、奥さん!(笑)
ビャクの思いに、またビャクの言葉に、行動に、少しずつイングルの思いが変わっていく。その描写が、読者であるこちら側にもしっかりと伝わってくるし、理解できるので、もう胸が熱くなってくるんですよね。
そして物語のラスト、あることでイングルに自分の思いが知られてしまった、そのことを知ったために、仕方なく、ビャクは自分の思いを口にするんです。
その時のビャクの姿は、もう健気過ぎて泣けてくるし、可愛いし、萌えが止まらんし、悶絶で狂いそうなんですよ!
はい。
あとね、五月女さんの絵、とにかく綺麗なんです。美麗と言う言葉がぴったりで、もう絵として見ているだけでも、眼福、心満たされると言うか。
また物語の舞台は砂の国、と言うことで、ちょっとアラブな世界観を彷彿とさせるような描写も多々あって、それにもまた物語への没入度が高められるのです。
そしてっ!何よりっ!
こちらのシリーズ、ジュネットのピアスシリーズでございます!
なのでBLお約束『むふふ』なシーンも、ふんだんに盛り込まれています!
しかも先にも書いたとおり、五月女さんの美麗な絵でそれが描かれているもんですから、なんかもう、見ていてほんと『はわぁ~』となるのです。
てなことで、本作品はこんな方におすすめです。
・ドラマ性もあって、心理描写も丁寧なBLが読みたい!
・朴念仁無骨攻めと、ツンデレ不器用受けの組み合わせが大好物だ!
・美麗、秀麗系の絵が大好き!
・えっちは多めの方がいい!
ちなみに。
後日、紹介する『砂漠の黒鷲』シリーズの1巻、2巻は、攻めと受けのキャラクターはがらりと変わりますが、絵としての美しさや物語の面白さや深み、そして濡れ場の多さなどは、共通しています。
更に言うと、濡れ場に関しては、1巻、2巻の方はよりハードですわよ、そこの奥さん、うふふふふ(笑)
はい。
てなことで。
『まわりと違う人生が俺の武器だ』
ビャクが口にしたこの言葉は、きっとボッジにも当てはまるんだろうなぁ。
勿論、ボッジはそのことにはまだ気が付いていないだろうけれど。
でもほんと、この言葉、良い言葉だと思いませんか?
いろんなアニメ、漫画、小説で、胸を揺るがしてくれるいろんな言葉に出会ってきましたが、その中でもトップ5に入る、個人的にはそんな言葉ですらあります。はい。
願わくば『まわりと違うこと』に傷つき、思い悩んでいる人の多くに、この言葉が届き伸すように。
ではでは。
本日の記事はここまでです。
読んで下さりありがとうございました!