tsuzuketainekosanの日記

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『兇人邸の殺人』読了~今村昌弘さんの『剣崎比留子シリーズ』の魅力を語るよ!

はい!

と言うことでタイトル通り、今村昌弘さんの人気シリーズ『剣崎比留子シリーズ』の最新作『兇人邸の殺人』の感想と、シリーズ全体の魅力を語りたいと思います。

 

まずは『剣崎比留子シリーズ』について。

こちらは今村昌弘さんによる小説で氏のデビュー作であり劇場版も制作された『屍人荘の殺人』、そして『魔眼の匣の殺人』、7月末に発売された『兇人邸の殺人』が現状、刊行されています。『屍人荘の殺人』は文庫化もされていますよ。

 

内容としては・・・あー・・・これ、しかし紹介しようとすると、場合によっては『屍人荘の殺人』のネタバレになりかねない気もするのですが・・・まぁ、いいか(汗)

 

はい。まぁ、シリーズ名からもお分かりいただけるかと思いますが、シリーズとしては、可憐な美少女にして、警察が解決に導くことができなかったいくつもの難事件を解決してきた名探偵、剣崎比留子。そして1作品目『屍人荘の殺人』にて彼女と出会い、彼女の助手を務める葉村譲。この2人が『屍人荘の殺人』でバイオテロを発生させた謎の組織『斑目機関』の謎に迫ると共に、そのために出向いた先で陰惨な事件に巻き込まれると言う内容です。

 

ちなみに。オーディオブックでは剣崎比留子は黒木ほの香さんが、そして葉村譲は千葉翔也さんが演じていらっしゃいます。映画ではそれぞれ、浜辺美波さん、神木隆之介さんが演じていらっしゃいます。

 

で『兇人邸の殺人』はシリーズ3作品目にあたるのですが・・・。

 

いやぁ・・・今作もめちゃくちゃ面白かったです。確かにあの、アマゾンレビューでも指摘されている通り、今回の惨劇の舞台である兇人邸の構造、そしてそれを利用した謎解きと言うのは、どうしても文章ではわかりにくい面はありました。はい。

勿論、冒頭にはしっか見取り図も絵として挟まれてはあるんですけれどね。地図すら理解できない私には、どうしてもこの絵すら頭の中で描くのは難しかったです、とほほ。

 

ただその部分に関しては『そう言うもんなんだ』と理解して読み進めていくことができましたし、何より今作品も本当に論理的推理の展開が凄まじい。

『たったひとつの可能性』に絞り込むために『ありとあらゆる可能性を潰していく』、そのために繰り広げられる推理の展開が、もう本当に美しさすら感じさせるほどで、読書にはふさわしくない表現かもしれませんが、見入ってしまうような、そんな感覚を抱くほどでした。

 

そうした冴えに冴えわたる推理の展開もさることながら、『何故、殺したのか』『なぜ、そうしたのか』いわゆる『ホワイダニット』の部分が非常に面白い、そして唸らされると言うのが、このシリーズの特徴だと思います。

で、やはりその部分においても、今作品は読ませてくれましたっ!

あまりにも切なく、そしてあまりにも悲しい殺人の動機。今回の事件もまた陰惨で残酷で恐怖に彩られたものであるからこそ、だからこそ、そうして明かされた真犯人の動機の部分は哀切極まりなく、むしろ美しさすら漂わせているとすら、私は感じました。

 

なんでしょ。そりゃもう、ずいぶんと前の話ですけれど。

新本格派と呼ばれるジャンルが誕生したばかりの頃には『人間が描けていない』と言う批判もあったと聞きますが・・・なんか今村さんのこのシリーズを読むと、この言葉をしみじみと思い出すのです。

かつてはそうだったかもしれない(とか言いつつ、私はそんなこと、一度も感じたことないんですけどなぁ~)、でも時は流れ、今はこんなにも人間の感情、剥き出しの感情、それを描き、そのドラマをミステリと見事に融合させた作品が誕生しているのだよ、と。

 

非現実的な設定や登場人物を描きつつ、しかしその中にしっかりと、現実的な人間の感情を組み込み、描いている。人間の弱さも強さも、身勝手さも、誰かを強く思う気持ちも描いている。だからこそ、このシリーズはミステリとしては勿論のこと、人間ドラマが描かれた作品としての魅力も兼ね備えている、たぐいまれなるシリーズだと、改めて思いました。

 

あ、それと。『探偵であること』また『探偵と、それが暴き出す犯罪者との関係』についても、今回もまたいろいろと考えさせられたと言うか。

つくづく探偵は、ミステリ作品においてはまるで全知全能の神のような存在で書かれることも多いけれど、このシリーズでは決してそんなことはなく。

むしろ無力で無能で、誰かの力を借りなければ何ひとつ、状況を変えることができない、そんな存在であることに対する虚しさや諦念にも似た感情が描かれているのが、とてもミステリ作品として面白いし、深いな、と。

 

そしてその探偵と犯人との関係については・・・今作品のそれに関しては、もう胸熱の一言です。究極の頭脳、それを持つ者同士だからこそのラストの怒涛の展開は圧巻。

 

ただ・・・ミステリを読み慣れている方は、もしかしたら、ある部分で『あ、この人、怪しい』と早めに気づかれるかもしれません。

かく言う私も『あ、この人、怪しい』と言う部分のみで真犯人を当てることはできました。勿論、推理云々の部分はまったくでしたけど、あはははは!

 

ちなみに。

盛大なネタバレをすると、ラスト1行にお名前が出てきたあの人は、第1作品目の『屍人荘の殺人』の登場人物だそうで・・・『え?誰?この人、誰?』となったのは、1作品目を読んでいるにもかかわらずそうなったのは、私だけではないはず(汗)

 

はい。てなことで、こちらに関しては特設サイトもあるので、興味がある方は、是非ともアクセスしてみて下さい。作品の冒頭も読めちゃうよ!

special.tsogen.co.jp

で、ここからはシリーズ全体の魅力を、個人的見解ながら語りたいと思います。

っても、もう、あらかた『兇人邸の殺人』で語ったのと同じ内容なのですが(笑)

 

いや、でもシリーズ1作品目『屍人荘の殺人』を読んだ時の衝撃ったらなかったですよね。うん。こちらは第27回鮎川哲也賞受賞作品で、その選考委員のおひとりであった北村薫さんの選評だったと思うのですが。

『野球の試合を観に行ったら、いきなり闘牛になるようなものです。それで驚かない人がいますか?』と言う選評を出されていて、でもこのご意見は本当に、これ以上ないと言ってもいいくらいに、この作品を表現している言葉だと思います。

 

そうです。あの設定は凄い。まさかミステリ作品を読んでいて、こんな設定が出てきて、舞台があんなことになって、殺人以外のそっちの脅威の方がはるかに恐ろしくて、なのにそれでも殺人事件が起き続ける、そんな作品があるなんて!

 

そう。でもただ単にその設定だけが凄いのではなくて、その設定がしっかりと『ミステリ』作品の中に組み込まれていて、存分に生かされている、と言うのが、このシリーズ、そして今村先生の作家としての手腕の凄いところ、魅力的なところだと、私は思います。

ってか『屍人荘の殺人』がデビュー作で、まったくの新人作家として書き上げられた、と言うのがもうこれ、今村先生、凄すぎやしないか・・・。

 

シリーズ2作品目『魔眼の匣の殺人』にしても、未来を見通すことができる『未来視』、その能力や、その能力を持つ者が住む館が設定として登場するのですが。

 

いや、もうね・・・思い出してもぞくぞくしちゃう、うふふ。

この設定だからこその真相と言うか、動機と言うかは、もうほんと『ほへー』とただただ感嘆するしかないと言うか。

 

ともすれば突拍子もない、それ故、『それだけ』で終わってしまいそうな設定が、だけどしっかりミステリと融合している。これはもう、このシリーズの、そして他の作品にはない唯一無二の魅力だよなぁ~。

 

ちなみに今作品『兇人邸の殺人』では・・・隻腕の巨人ちゃんが登場するよ!ばんばか、大暴れしちゃうよ!無慈悲な殺戮が繰り広げられちゃうよ!

 

怖。

 

あとこのシリーズ、人が、人の思いがしっかりと描かれているのも、私はとても好きです。これも先程、書きましたが(汗)

 

今作『兇人邸の殺人』で言えば、犯人の動機、そして物語のラスト、その犯人と探偵の、胸が熱くなる・・・ある種の共闘。そこに込められている1人の人間としての思い、1対1の人間の関係性のようなものの切なさ、熱さは本当に胸にぐっ、と来ました。

 

また『屍人荘の殺人』で言えば『犯人は、あの状況下の中で何故、わざわざ殺人事件を起こす必要があったのか』そして『犯人は何故、わざわざ、自分の身を危険にさらすようなまねをしてまで、あんなことをしたのか』と言うところにあった犯人の思いが・・・もうほんと、良い意味での鳥肌がぶわっ、と全身に立つくらいの衝撃で。でも、衝撃と同時、ものすごく理解できると言うか、『そこまでして』と言う思いが、もうめちゃくちゃ切なくて、悲しかったと言うか。

 

『魔眼の匣の殺人』でも・・・あー、もう、そりゃそう思っちゃうよな、うんうん、と頷くしかないような犯人の心境と言うのも、お見事の一言。

 

なんでしょ。語弊がある言い方かもしれませんが『魔眼の匣の殺人』以外の2作品、その中で語られる犯人の動機は、それほど真新しいものではないのです。むしろもう、散々、今までのミステリ作品で使われている動機、古くからある、ごくごくありふれた動機と言っても良いと思います。

でも、だからこそ、なんです。

 

ひとりの人間の、犯人の、人の命を奪うにはあまりにも身勝手で、でも、どうしようもない思い。

一途な思い。真摯な思い。切実で強い思い。

 

突飛な設定、超絶推理が繰り広げられるアクロバティックなミステリ。

そんな中で描かれる犯人の動機は、シンプルだからこそ、より異彩を放ち、読者の心を打つのではないかな、というふうに私は思います。

 

そしてやっぱり、どのシリーズでも繰り広げられている論理的推理の美しさ、更には衝撃の二段構えと言うのも、ミステリファンにとってはたまらない点ですね。

 

ひとつ、謎は解かれて、ほっと一息、大満足しているところで、更に読み進めていくと『なんですとっ!?』と言う、更なる謎の解明、また真相が明かされる。

謎解きフルボッコ、衝撃の雨嵐です(笑)

でもだからこそ、どの作品も満足度は凄まじく高い。

なんかこー『あーっ!ミステリ読んだぞっ!面白い小説を読んだぞっ!読んだぞっ!』と言う気持ちにさせてくれるのです。

 

こんなシリーズ、なかなかないですよね?

 

そしてミステリ好きとしては『クローズドサークル』ってだけで、たまらなくないですか?たまらないですよね。私はたまりません(涎)

なのでちょっと話の筋はずれるかもしれませんが、綾辻行人さんの『館シリーズ』がお好きな方は、絶対、この『剣崎比留子シリーズ』もお好きなはずです!

 

クローズドサークル』と聞いて、興奮が止まらない方。なんだか居ても立っても居られないような『オラ、わくわくすっぞ!』と駆けだしたくなるような衝動を抱く方などとは、是非とも、このシリーズ、お手に取ってみて下さい!

 

なんでしょ。物理的に『クローズドサークル』であるのは勿論なんですけど、精神的な『クローズドサークル』が時に描かれていると言うのも、憎いっ!

 

あと。

毎回恒例、プロとして活躍されている作家の方に対して、このような言い方は失礼になるのは百も承知の上で。

だけどそれでも。

 

今村先生は、しっかりとした、ちゃんとした文章を書かれる作家さんです。

 

あと多分、これは私の勝手な推測なのですが、めちゃくちゃいろんな本とか創作物に触れてこられた方のように感じます。

登場人物の造詣とか物語の構成、起承転結の配分、それぞれの盛り上げ方、ひとつひとつの描写とかに、なんかそれをひしひしと感じたのであります。

 

うまいんですわ。とにかく。

その点も、ミステリ云々抜きにして小説としての完成度の高さも、素晴らしい。

 

はい。と言うことで本日は今村昌弘さんの『兇人邸の殺人』、そして『剣崎比留子シリーズ』について、やんややんやと語ってまいりました。

あかん。もう次の作品が楽しみでならない。

『兇人邸の殺人』のラストでは、思いもよらぬ人物も登場してきましたし。

あー、次に比留子と葉村はどんな事件に巻き込まれちゃうのかしら。

どんな『クローズドサークル』が待ち受けているのかしら・・・わくわく。

ではでは。

今回の記事はここまでです。読んで下さりありがとうございました!