tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

1が付く日なので~ストックの切れた読書感想文放出の日ですよ

あれ。

前にも書いたと思うんですけど。

今年年末のミステリ関連のランキング、ほんと、えらいことになるんじゃないですか?

稀に見る、近年、ちょっとないような激戦も激戦、強豪たちの全力の殴り合い、壮絶なバトルロイヤル、そんな感じになるんじゃないですか?

凄くない?

なんかほんと、個人的に『こんな新刊の発売が固まる年、ある?』と言う感じです。

うわー、気は早いけど、今から本当に楽しみ。

 

はい。と言うことで21日、1が付く日なので読書感想文を放出する日です。

ちょっと前に、大量にあったはずの読書感想文のストックはなくなってしまい、前回からは『作者名と作品名の記録に、その作品のことを思い出しながら、今、感想を書く』と言う体たらくでお届けしております、このシリーズ。

 

そんな具合で今回はこちらの作品からスタートです。

 

原田マハ『たゆたえども沈まず』

・・・19世紀の栄華極めるフランス美術界を舞台に、商才溢れる日本人、林正忠と売れない画家であったゴッホ。そして彼の才能を信じ続け、支え続けた弟のテオ、この3人の運命の出会いと交流を描いた作品です。

 

前回の読書感想文の時にも、そしてそれ以前にも再三、書いてきたと思うのですが、とにかく原田先生の『アート×ミステリ』作品(ただし今作品は、ミステリ要素は一切、ありませんので、その点はご注意をば)は、登場人物の生きた世界、そしてその世界を生きる登場人物の描写が活き活きとしているのです。なので本当に読んでいることで、時代も何もかもをも飛び越えて、その物語の世界に、登場人物たちと共に生きている、そんな感覚を抱かせてくれる。そして勿論、そうした感覚は今作でも健在です。

 

異国の地にわたり、精力的にジャポニズムを拡げ、売っていった林正忠。そして芸術に心血を注ぐあまり、生きることそのものがあまりにも不器用になっていたゴッホ。2人の若き才能、それが実際に交わったのかどうかは定かではないそうです。

しかしこの物語を読むと、本当に2人とテオは出会い、この物語のように交流があったのではないか。そしてそれを私たちは、まるでそれこそどちらかが残した手記や日記を通して体験しているのではないか、そんな気持ちを抱くのです。それくらいに、と登場人物1人1人の生きざま、気持ちの描写、そして19世紀のパリの描写が真に迫っている作品だと思います。

 

何より正忠とゴッホの姿のエネルギッシュで眩しいこと。ゴッホに関しては、その人生はあまりにも辛い結末で締めくくられてしまうわけなのですが、それでもそこに至るまでの刹那の輝き、エネルギーの爆発は、ゴッホと言う1人の人間が、苦しみ、もがき、足掻きながらも自らの才能や絵を描くことに向き合った、その証のように思えて、それもまた、とても胸を打ちます。

 

・今村翔吾『童の神』・・・時は平安。土蜘蛛、鬼、滝夜叉・・・都の人々から言われなく畏れられ、蔑まれていた存在は『童』と呼ばれていた。そんな童を率い、朝廷に対し、自分たちの存在を正しく認めさせるための戦いを挑んだ桜暁丸の生涯を描いた作品です。

 

とにかく個人的には、ラストがめちゃくちゃ鮮烈。かつめちゃくちゃ美しくて、それ故、切なくて、涙がじわり、と滲んでいました。はい。悲しいんだけど、でも、あぁ、なんかほんと、彼ら、彼女らは生き抜いた、生き、抜き、戦い切ったんだなぁ、と感慨に近いような感情が胸いっぱいに広がっていったと言うか。はい。

 

てなことで本作品、そして『じんかん』が直木賞にもノミネートされたことで話題の今村さんの作品。初めて読んだのですが、時代小説と言う響きからイメージされるような難解さはなくて、とても読みやすかったし、あととにかく登場人物たちがめちゃくちゃ個性的で魅力的でした。

なんでしょ。とても漫画やアニメに近いような、そんなキャラクター造形、キャラクター描写、そして物語の展開だと思うので、ほんと、絶対漫画化、アニメ化したら映える作品だと思います。望・アニメ化。

 

惜しむらくは魅力的なキャラクターが、童側にも、そして朝廷側にもたくさん登場するのに、1人1人の描写が少ないと言うか、物足りないことかなぁ。まぁ、これはあくまで私の感想ですが。なんかほんと、この1冊の物語で終わらせてしまうのはあまりにも勿体ない、もっともっと彼ら、彼女らの物語、生きた姿を読みたかった、と言う気持ちがあるんですよね・・・うん。

ただ『足りない』からこその切なさもあるだろうし、それくらいにやはり登場人物たちが魅力的であった、物語が濃厚であったと言うことの表れだとも思います。

 

いろいろ考えさせられる物語ではあります。が、そう言うことを抜きにして、とにかく朝廷に真っ向勝負を挑んだ桜暁丸たちの、そしてその戦いを受け立った朝廷たちの、願いと信念と野望がぶつかり合う激闘が胸打つエンタメ作品です!

 

はい。

 

と言うことで、本当はもう1冊、書きたかったんですが。

伊坂幸太郎さんの作品が続くので、どうせなら次回の読書感想文にまとめて、伊坂さんの作品くくりで紹介しようと言うことになりましたので、今回はここまでです。

 

今村先生の作品は今のところ『童の神』しか読んでいないのですが、刊行されている作品、どれも面白そうなのでいつかは読んでみたいなぁ、と思っております。

とにかく何でしょ、エネルギッシュ!と言う言葉がぴったりくるような筆致で、躍動感、生命力、そうしたものが溢れ出る、その力にぐいぐい引っ張られるがままに物語の世界に没入できる、そんな作家さんだと思いました。

直木賞も、いつか受賞されてほしいな~。

 

はい。そんな具合でちょいと短いですが、本日の記事はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!