tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

1が付く日なので読書感想文の日~ストックはなくなりましたが

はい。

てなことで1が付く日なので読書感想文のストックを勢いよく放出したいところなのですが、前々から書いている通り、そしてタイトルにも書いたとおり、ストックがありません。

 

なのでどうしたものか、と頭を抱えたのですが、幸い、読書としての記録、すなわち作者名と本のタイトルは記録し続けているので、ここからはそれらを放出していこうと思います。

で、感想もここで書いてしまおうと思います。

 

はい。今回は、前回までの読書感想文の反省を踏まえ、ちょびっとずつ放出しようと思います(笑)

 

ではでは。

前回は・・・ドラマ放送も開始された『准教授・高槻彰良の推察』の感想まで放出したんでしたな。なのでその続きと言うことで、こちらからスタートです。

 

伊坂幸太郎『AX』

・・・『殺し屋シリーズ』の最新作ですね。今回の主役は、一流の殺し屋にして、極度に妻を恐れる恐妻家の兜です。そしてこの兜と、兜が恐れる妻、その2人の間に生まれた息子の克己を中心に物語は進んで行きます。

『殺し屋シリーズ』と言えば、その2作品目か。『マリアビートル』がハリウッドで映画化されると言うことで。ブラッド・ピットさんが主演、公開日も決定しているので、日本での公開も楽しみなのですが・・・檸檬と蜜柑がどうなっているのか・・・私としては、もうそこだけが、それだけが気になって仕方ない。

 

てなことでこの『殺し屋シリーズ』。その名前の通り、出てくる人はほとんどが殺し屋、もしくは殺し屋に殺しの仕事を斡旋する人間なのですが、とにもかくにもその剣呑さ、厄介さ、現実では絶対に関わり合いになりたくない(笑)度合とは裏腹、キャラクターとしてはとても魅力的なのです。

そしてその魅力的なキャラクターが、伊坂さんの筆致によって、残酷なのにどこかユーモアのある、そして激しいのにどこか静寂を漂わせ、ドライで切なく、悲しく、なのにあたたかいといった、本当に不思議な感覚をもたらす物語を繰り広げていきます。

 

で、今作品『AX』もそうした作品であることに間違いはないのですが・・・ネタバレになるので詳しくは言えませんが。

個人的には『殺し屋シリーズ』史上、最もあたたかくて、幸せで、寂しくて切ないけれど、やっぱのあたたかくて幸せな物語だと思いました。

物語の後半、ある登場人物がある登場人物を、ある登場人物の悪意から守るために。ただただ守り通すために。そのために張り巡らせておいた罠、と言うか、ちょっと適切な言葉は出てこないのですが、とにもかくにもその罠がさく裂するシーンは、もうあまりの迫力のあまり笑うしかなくて。でも、その裏側にある、ある登場人物の思いを想像すると、本当に胸が締め付けられるような感覚にもなって。

おかしいのに泣ける。あったかいのに悲しい。悲しいけど『幸せ』と言う言葉の正体をまざまざと感じさせられるような、そんな作品だと思います。

このシリーズに限らず、伊坂作品のこの『ドライだけどウエット』『だけど決してお涙頂戴ではない』と言う塩梅は、もう職人技の一言です。

 

あとやはりこちらの作品も、伏線の張り方、そして張り巡らしたそれを回収する手さばきの見事さが光る、光る。『あ、絶対、これ伏線やん!』と言う予想が当たることもあれば、外れることもあったり『えー、あんなさりげない1文が伏線だったんかい!』とにやりとさせられることもあって、もう、ほんと、さすがの一言。

 

てなことで。こちらの作品に関しては、こちらのページをどうぞ。

promo.kadokawa.co.jp

またこちらからは、『殺し屋シリーズ』の他の作品を紹介しているページにも飛ぶことができるので、是非ともそちらにもアクセスしてみて下さい。

 

とりあえず私は蝉、そして檸檬と蜜柑が大好きです。

あー、いつかアニメ化されないかなぁ・・・。

 

若竹七海『不穏な眠り』

・・・探偵・葉村晶のシリーズものです。NHKでもドラマ化され、晶はシシド・カフカさんが演じていらっしゃいましたね。ドラマ自体は見なかったのですが『晶にしてはちよっとかっこよすぎやしないか』と言うのが個人的な感想です。いや、まぁ、イメージとしては遠くないんだけれど・・・ってかドラマ見てない人間がこれ以上、やんややんやと言っても何の説得力もないな。はい。

 

仕事はできる女、だけどとにかくツイていない。そのために度重なるアクシデントに見舞われることもしばしばで、そのために時に結構なケガを負ったりする晶の姿が、ただただ痛々しい。

だけどそれにもめげず・・・と言うかめげても結局は心身に鞭打って、自虐を原動力に動き続ける晶の姿は、やっぱりかっこいいの一言。

探偵と言う職業に対する気持ちの変遷は勿論だけれど、その思いもありつつ、だけど同時、心身に鞭打って体を動かさなければお金は発生しない。お金が発生しなければ生きていくこともできないと言う、生々しいことこの上ない気持ちが時折、ちらりと顔をのぞかせるのも、個人的にはめちゃくちゃ好きです。

 

クールでドライ、皮肉屋で、だけど妙に情に厚い一面を見せることもある。そんな晶の目を通して描かれる事件。その裏側に潜んでいる、様々な人間の、様々な思惑と言うのもこのシリーズの魅力のひとつです。

またその思惑と言うのが、なんでしょ。どちらかと言えばどろどろとしていて、暗くて、黒くて、ネガティブなそれである、と言うのもたまらないんだよなぁ・・・。なので決して読み終えて明るい気持ち、前向きな気持ちになれるような作品ではないのだけれど、でもあら不思議。妙に開き直ったような、ともすればいっそ清々しさすら感じさせられると言うのはこれ、なんなんでしょうかね?

 

隠されていたもの。隠していたもの。それらが不意に白日の下に曝け出されてしまい、あるいは暴かれてしまい、そのことに動揺する人の姿と言うのが、とても他人とは思えなくて。

でも『小説』と言う創作の中での出来事だから。

だから、生々しさにおびえつつ、だけど『私と彼ら、彼女らは他人である』と安心して思い切ることができる、それ故の清々しさなのでしょうかね。

 

てなことでこの作品の中では、圧倒的に『水沫隠れの日々』が好き。素晴らしい作品。

『人生を生きる』『時間を積み重ねていく』と言うことについて考えさせられるし、その中で隠れていたもの、隠そうとしていたもの、だけど隠し切れなかったもの。

人生の残り時間、それを意識した時に、そうしたものが顔を覗かせてからの生き様とと言うものこそ、本当にその人の本性が出るものだよなぁ、と。

そしてとにもかくにも、ラストが鮮烈。

 

原田マハサロメ

・・・この読書記録は2020年のもので、多分、2020年はもう少し本を読んだ気がするのですが・・・まともに記録すらつけていない本もあると言うことか・・・おっふ。

そしてこちらの作品は、虚血性腸炎で入院した時に読んだ本ですね。ここからしばらくは、入院中に読んでいた本が続きます。はい。

 

そんな具合で原田マハさんの作品です。原田さんの作品と言えば、勿論、そうではない作品も多数、刊行されているのですが、私の中では『アート×ミステリ』と言う印象が非常に強いです。

『暗幕のゲルニカ』や『楽園のカンヴァス』などは、本当に、初めて読んだ時は衝撃だったもんなぁ。

キュレーターとして、ニューヨーク近代美術館などに勤務されていた、その経験を武器に紡がれるこうした物語は、アート作品の知られざる歴史などを知ることができる面白さ、そしてその作品に携わるすべての人の生き様、そこから生まれるミステリ、それを解いていく面白さに満ち満ちています。

あと前にも書いたと思うのですが、そのアート作品が生まれた時代、そこに生きる人々の描写と言うのも、本当に素晴らしいんですよね。それこそまるで、それを読むことで自分もその当時、その人たちと一緒に生活しているかのような、そんな活力あふれる筆致と言うか。

 

はい。てなことで今作品は、表紙からもお分かりいただけるかと思いますが、オスカー・ワイルドによる戯曲『サロメ』を題材とした作品です。この戯曲の英訳版では、オーブリー・ピアズリーの挿絵が使用されています。

 

客員学芸員として派遣されている日本人が、とある人物から未発表版の『サロメ』について相談を受ける、と言うところから物語が始まります。

そしてそこに秘められた謎を解いていく・・・と言う流れから、舞台は『サロメ』が執筆される頃にタイムスリップ。そこからオスカー・ワイルド、そしてオーブリー・ピアズリーを軸に、ビアズリーの姉であるメイベル、そしてワイルドの恋人であったアルフレッド・ダグラスによる、読んでいるだけで窒息しそうなくらいに(笑)どろっどろの、だけどそれぞれが生きること、自らの生を時代に刻もうとする、その必死さ、熱意のようなものが切実に伝わってくる、そうした人間物語が繰り広げられていきます。

 

若者たちの眩しいばかりの、そして眩しすぎるがゆえに見る者の視界を眩ませるほどの黒さにも満ちている野望、欲望。そうしたものと並行して語られる『サロメ』の物語、その解釈の深淵・・・なんかもう、ほんと、眩暈がしそうなくらいなんです。ええ。『サロメ』の元となった新約聖書の物語を詳しくご存じの方は勿論のこと、それをご存じない方(私のそうでした)でも、何かしら悪夢に近いような、だけど悲しいほどの切なさのようなものを抱かせる物語にぐいぐい引きずり込まれて、圧倒される、そんな作品だと思います。

 

原田さんも今年、新作刊行されてるんだよなぁ。読みたいなぁ。

 

はいっ。と言うことで今回はこの辺りにしておこう。

 

おおっ・・・今までの放出とは違って、感想を、作品のことを思い出しながら書かなきゃならないと言うのは・・・なかなか大変だなぁ。

 

ぐへぇ。

 

はい。まぁ、ぼちぼちやっていこうと思います。

 

ではでは。今回はここまでです。

読んで下さりありがとうございました!