tsuzuketainekosanの日記

アニメや声優さん、ゲーム、漫画、小説、お仕事とのことなどなど。好きなことを、好き勝手に、好きなように書いていくだけのブログです!ブログ名の『ねこさん』は愛猫の名前だよ!かわいいよ、ねこさん!

1が付く日なので~読書感想文の日です

はい。7月11日。今日で4連勤も終了です。

ここから15日までの、今月の残りシフトは1勤1休のバカシフトです。

これはこれでしんどいんだよなぁ~。

特にこの後にがっつり4連勤とか来ると、いつも以上に長く感じられると言うか。

もうすぐ来月のシフトも公開されますな、ドキドキ。

 

そんなこんなで読書感想文。

前から書いていますが、ストックが本当に残り少なくなってきているので、本日も小出しでございます。

 

前半、バカみたいなボリュームの感想文を惜しげもなく出しまくったのを、今更ながら猛烈に後悔しております・・・とほほほほ。

 

ではでは本日の感想文です。どうぞ。

 

・川澄浩平『探偵は教室にいない』・・・こちらは今年の鮎川受賞作。タイトルそのまま、良くも悪くも、予想を裏切られた作品でした。去年の受賞作が変化球なら、こちらはストレートど真ん中、まさに直球勝負。派手さは一切ない代わりに、美しいまでのストレート、と言った具合です。はい。古典部シリーズからアクの強さだけを抜いたと言った感じかな。なので個人的にはもう少しアクと言うか、あくどい感じが欲しかった、もっと嫌な奴とか出てきても良かったのよ、と言う気がしないでもないけれど。でも文章もとても美しく読みやすく、人の死なないミステリでありながら読みごたえあり、人の気持ちの機微なんかもしっかりと描かれていたので、今後の活躍が楽しみな新人作家さんの登場だな、と思いました。はいよ。

 

月村了衛『東京輪舞』・・・泣いた。残照と銘打たれた最終章で砂田が流した、その涙の感情は何なのだろう。懐かしさ、悔しさ、悲しみ、愛おしさ、悔恨、そのどれもであって、そのどれでもないような。『自分は一体何をやってきたのか』‐警察と言う組織の中で必死に正しさを明らかにしようと闘ってきた、その結末としてこの問いはあまりに空しく、残酷なのだと思う。ただそれでも、そうやって自分に問うことができる、そしてたとえどうであれ、その答えとなり得るような時間を呼び起こすことができると言うのは、私にとってはとても羨ましいことのように思えた。そして物語のラストは、この砂田の問いに対する答えのようなシーン、幻影で終了する。そこでのクラーラの、全盛期の美しさを失い、老い、それでも生きていくしかないと言う現実に押しつぶされそうになっているクラーラの、かつての彼女が口にする言葉がたまらなく切なかった。やるだけやったのなら、受け入れるしかない。そうして生きてきた砂田であり、彼女であるからこそ、何ひとつ報われることがなかった今に身を寄せ合うようにしていても傷つくだけだとわかっていて、その覚悟と言うか、その誇りのようなものがもうどうしようもなく切なくて泣いた。極論、砂田もクラーラも、あるいは自分の人生を逞しく切り開いていった恵子も、見せかけの正義感だけを武器に政治家へと上り詰めていった阿久津も、警察に失望し新たな道へと進んでいった青野も、この物語に登場した様々な人物も、結局は、登り詰め天下りしたもののあっけなくこの世を去ってしまった和泉のようにいつかはこの世を去るわけであって、だとすれば束の間の生の中でもがき、苦しみ、喘ぎ、器用なものは欺瞞を振りかざし甘い汁を吸いつくし、不器用なものは必死に戦い傷ついていき、まるで不平等な人生とは何と空しく何と悲しいものなのだろうと思わずにはいられなかった。でもだからこそ、戦い傷だらけになった砂田、クラーラの姿は孤独であり、美しいと言わざるを得ないと思いました。はい。『いい政治と言うものは国民生活の片隅にあるものだ』『日本はいつの間にか嘘がまかり通る国になってしまった』‐田中角栄の言葉、あるいは回顧する砂田の言葉にも、本と、今の時代を思うと深く頷く思いと言うか。空しさを禁じ得ないと言うか、なぁ…。そうした舞台で、時代でただ振り回されるしか、あがくしか、必死に生きるしかないのだとしても、でもそれこそが生きると言うことであり、生活であり、ならばそれもまた輪舞のようなものなんじゃないだろうかな、とも感じたのですが。あぁ、切ない。はい。ちなみに個人的に平成とは「瞬き」だと思いました。30年のそれを過ごしたのですが、でも記憶に残っていることはそう多くはなく、思い返すほどのこともしておらず、ただまばたきをして、瞼を開いた次の瞬間、つまり今には、もうその時代は幕を閉じようとしているなぁ、と言う感が拭えないと言うかね。うん。はい。そんなこんな。いやぁ、数々の歴史的な事件を追いかけるパートではミステリやドキュメンタリ的な楽しみが味わえたし、登場人物たちの心情はハードボイルドや警察小説のそれを読んでいるような衝撃があったし、そして人間の営みを感じさせる小説としての面白味もあったし。いやぁ、月村了衛はほんと、凄い。

 

・山邑圭『刑事に向かない女』・・・…この読書感想文、どこまでが正しいんだろうか…そうか…そんなに私は本を読んでいなかったのか。いや、読んだ気はする。ただ書いていないだけなのか…。いずれにしても年が明けてもうすぐ3ヶ月になろうかと言うこの頃。ほんと、せめて読書くらいはやろうぜ、月一で本屋には行こうぜ、そしてできれば本を買おうぜ、と思いました。何もしない自分への反省も込めて。はい。そんなこんなで買ってみた文庫本。アマゾンで評判が良かったので買ってみたけど、何だろ、個人的にはタイトル的にもっとハードボイルドな味わいを期待していたのですが、蓋を開けてみたら『向かない女』じゃなくて、『向かない女性』、女性と言うか少女と言うか、いや、まぁ、親近感がわくと言えばそれまでなんだけど、個人的にはあんまり好きにはなれないタイプの主人公ちゃんで。ええ。『こんなはずじゃなかったのにな』と思いながら、でも、仕事に頑張っちゃう!とかはまぁ、わかるし、刑事なんてやっぱり男性社会だからその中で若き女性が仕事をしていくのって大変なんだろうな、とも思うんだけど。思うんだけど、何だろ、いちいち鼻につく、私、頑張ってますアピールと、嫌な意味での女性らしさと言うか、何か、吾妻さんとの関係にしたって最初から見え見えじゃないですかー、やーだー、みたいなね。いや、まぁ、本と、刑事さんであっても一人の女性だから、これでいいんだけど。いいんだけど期待してたからさぁ、もっとこー、心を無くした女、って感じの造形を。はい。なので少し残念でした。謎解きに関しては、これ、この一冊でやるようなネタじゃないよね、何冊かシリーズとして続けてから、最終話でやる話だよね、と思ったり思わなかったりで。はい。うーん、なかなか自分に合うと言う意味で面白い本を見つけ出すと言うのは難しいですな。いや、でもめげない。これからはほんと、本だけでもちゃんと読む!

 

・斜線堂有紀『私が大好きな小説家を殺すまで』・・・ラスト、彼女はどうしたのだろう。生きることを選択したのだろうか。それとも飛び込み、死ぬことを選択したのだろうか。どっちだろう、どっちだろうと考えても、決まらない。もしかしたらあったのかもしれない、第三の感情。彼女と浅川先生が、素直にそれを認めていたのならば、あるいは物語は、ふたりの行く末は大きく変わっていたんじゃないだろうか、とも思うのだけど。思うのだけど、でも、きっとそれをしていたら、こんな物語は生まれなかっただろうし、何と言うかそもそもとして二人はもっと早くに破綻していたような気もする。あったのかもしれない、いや、多分、間違いなく、双方の胸中に存在していた第三の感情。でも、それを認めることは許されなかった。許されなかった、互いが自分にそれを許していなかったからこそ、二人の関係はここまで続き、そしてこんな結末を迎えて、だけどそれはとても悲劇的なことで、滑稽なことで、でもそれは二人が最後の最後まで互いを思っていたことへのあらわれのようでもいて、だからこそやるせなさもひとしおです。はい。そんなこんな。ほんとな。何だろ、曲がりなりにも小説を夢中になって書いていた時期があった身としては、それが書けなくなることへの恐怖感、焦燥のようなものはすごく感じることができた。まして浅川の場合、それで生計を立て、それで認められて来て、きっと彼自身もそれを自身の拠り所としていただろうから、それが、自分でもはっきりとした原因がわからないままに失われていくと言うのは、それはそれは。でもなんだろ、満たされない何か、が彼の小説の原動力であったかもしれないのであれば、梓と出会った、出会ってしまった、そして彼女を自分の元に引き入れてしまったことが、尽き、だったのかもしれないな、とも思ったり。はい、てか作者さんは全シリーズでも感じたけど、本当に小説が好きで、多分、今までめちゃめちゃ書かれてきて、そし書けなくなると言う体験もしてきていて、それだも書きたいと思ってしまう地獄のような思いもしてきて、だから書く、それでも書くと言う、もう何かしら業のようなことを繰り返してきたんだろうな。だからものすごく浅川と言う人間に現実味が感じられたし、何だろう、前シリーズにも感じたけど、嫌味がないんだよね。うん。

 

・葉真中顕『W県警の悲劇』・・・そんなこんなで、そうだなぁ。短編集なので、『驚愕!仰天!卒倒!』と言うほどの驚きはなかったけれど、各章ごとに『成程、そうきたかぁ~(にやにや)』と言うような騙しがあって楽しかったです。またどのお話にも、警察と言う男性社会で、様々な形で孤軍奮闘する女性…女犬も含む(よく見りゃ、表紙、思いっきりネタバレじゃないですか、やーだー)が描かれていて、その問題提起みたいなものも感じられて、この辺りはさすが、この作者さんだなぁ、と思いました。ただやっぱり、こういう問題提起も含めて、この作者さんは長編向きと言うか、長編で、がっつりと描いてこその、と言う魅力がある人だよな、と思ったのも事実なのですが、だからこそ、著者の新境地と言う帯の文句には偽りはなかったなと言うふうに思います。はい。そうだなぁ、やっぱり菜穂子と熊倉娘が主役の冒頭とラストの作品が、後味の悪さと言うものも含めて好きです。あぁ、そうか。信じている人に裏切られた時にはこうすればいいんだ、と悟りの境地に達した熊倉娘。たまらん。そんな悟りの境地、私も欲しい。一方で女性の地位向上のために、と一心不乱に、幼い子供の死まで事件に仕立て上げてまで、その道を邁進してきた菜穂子。その彼女に、熊倉娘が、その流れは止まらない。だって時代の必然なんだから、と言い捨てるシーンは、ぞっとしました。だってそこには菜穂子の頑張りなんて、努力なんて、微塵も存在していないと感じさせるから。ねぇ~。何を勝手にジャッジしてるの?と言う菜穂子の心中から感じるに、もう熊倉娘はこれ、サイコパス並みですよ。怖。でも、その怖さと言い、後味の悪い結末と言い、嫌いじゃない(にんまり)。刑事である前に人として正しくありたい。そう願った父親の願いを前に、じゃあ『人』って誰のこと?って、きっと熊倉娘は悩んだんでしょうな。父親の本当の姿を見せつけられて。その結果がこれだよ!あとはやるせない動機が胸に迫るような『破戒』も、静かな緊張感に溢れていて読みごたえがあったし、熊倉娘とは違うけれど、でも多分、根底では全く違うベクトルでもないんじゃないかって感じさせる『私の戦い』も、あっと驚かされました。それが強くない、私の戦い方だ。その戦い方は、多分、間違っている。正しくない。だけど、そう言う戦い方を強いたのは誰だ、彼女がそう言う戦い方を選ぶに至ったのは何故だと考えると、社会や組織における女性り立場の弱さのようなものを感じてしまいます。『がさ入れの朝』は、ほっこりです。小春号、かわいいぞ!

 

おっふ・・・いよいよストックの底が見えてきたぞ。

なので今日はこの辺にしておこう。

 

・・・あんなに、あんなにたくさんあると思い込んでいたストックも、もう底が見えてきたか・・・恐ろしいな・・・。

 

この回に登場した本は、割とどれも印象に残っているなぁ。

『W県警の悲劇』はドラマ化もされたんでしたよね。芦名星さんが主演を務めていらして。ドラマ本編は見ていないんですが、キービジュアルみたいなものは見たことがあって、芦名さんのあの圧倒的な美貌と、そこからにじみ出るミステリアスさと強かな雰囲気が、この物語の描かんとしていたことにぴったりだよなぁ、と思った記憶があります。

芦名さんは去年、お亡くなりになられていますね。悲しいなぁ、切ないなぁ。改めてにはなりますが、ご冥福をお祈りいたします。

 

あと月村了衛さんの作品は、ほんと、いつ映像化されてもおかしくはないと常々、思い続けているのですが『東京輪舞』は特に、作るべき人が作り、演じるべき人が演じたら、極上の実写映画、ドラマになりそうだと思います。

『機龍警察』シリーズは実写化となると、なかなかハードルは高そうだしなぁ。『東京輪舞』ほんと、めちゃくちゃラストが胸に来る作品なので、ぜひ、ちゃんと(ここ重要)実写化されてほしいなぁ。

はい。と言うことで本日はこの辺りで終了といたしましょうかね。

次回は7月21日の予定です。

まだまだ頑張って、ストックを持たせたいとは思っています(笑)

 

ではでは。読んで下さった方、ありがとうございました~。