若手声優さんが一堂に介し、MC森久保祥太郎さんのもと、4時間CMなしのノンストップで生放送を放送すると言う『オールナイト声優フジ』が6月に再び、放送されますね。CS放送なので視聴はできないのですが。
・・・どうして、立花慎之介さんが出演されるのか(笑)
最初、番宣写真を見た時、『・・・ん?』と思わずわが目を疑ってしまったよ。
若手声優とは一体!(笑)
はい。とまぁ、前置きはこれくらいにしまして。
たまには読書感想文以外の本の話を、と言うことで。
澤村伊智さんの『比嘉姉妹シリーズ』、ご存じですか?
シリーズ1作目にして澤村さんのデビュー作でもある『ぼぎわんが、来る』は『来る』と改題されて上で劇場版が公開されているので、もしかしたらそちら方で知っている、と言う方もいらっしゃるかもしれませんね。
様々な怪異現象、それがもととなった事件に比嘉琴子と比嘉真琴、2人の姉妹が対峙すると言うのが、シリーズのざっくりとした、あまりにもざっくりとしすぎた(ほんとだよ)紹介です。
私は『ぼぎわんが、来る』は小説で読んでおり、映画の方は見ていません。
で、最近になってアマゾンが頻繁にすすめてきたのもあり『せっかくだし、ぼちぼちシリーズの他の作品も追いかけてみようか』と思い、2作品目の『ずうのめ人形』を読んだのですが・・・。
これがべらぼうに面白かったのです。はい。
ホラー小説としての怖さ、恐ろしさ、そしてある種のもの悲しさと、ミステリ小説としての深まる謎、それが少しずつ解き明かされていって、ラストにどかん!と打ち上げ花火があげられるような(どんな)仕掛けがさく裂する、その融合が素晴らしい作品。
ラスト100ページくらいは、翌日が休みだったと言うこともあって、本当にページをめくる指が止められなくて。夜11時くらいから読み始めて、気がついたら日付が変わっていて『はぁ~・・・』とラストまで読み終えたと言う。
まさに至福の読書時間を味わわせてくれた作品でございました!
この作品を読んでいる日々は・・・そして今も。
夜中、トイレに起きて1階の真っ暗な廊下に立った時。
『あ・・・これもしかしたら、廊下の端っこに、ずうのめ人形いるんちゃうん・・・』と背筋がぞっとしたり。
トイレを済ませて布団の中にもぐりこんで、瞼を閉じて、だけど寝れなくて。
そんな時に『やっべ、これ瞼を開いたら眼前にずうのめ人形、いるんちゃうん!?おかっぱ頭の喪服着た、顔を赤い糸でぐるぐる巻きにされた30センチくらいの人形、立っとるんちゃうん!』と心底、思わされたり、と言うのは、そしてその時の背筋がぞわぞわする、足元から怖気が這い上がってくるような感覚と言うのも、これ、本作品を読んでいた、読み終わったからこそだよなぁ。
怖い怖い(汗)
で。
こちらの作品では、ある人物が綴った作品と言うのが、重要な役割を果たしています。
と言うことで本日は、ある作品の中である登場人物によって書かれた作品、もしくは手記が重要な役割を果たしている作品、『ずうのめ人形』も含めて3作品を紹介したいと思います。
何かネットで調べてみたら、結構、たくさんあって。
で、その中には私が読んだ作品もあったのですが、強烈に印象に残っている作品として記憶にはっきりと残っている作品と言うことで、こちらの3作品を選択いたしました。
てなわけでタイトルに書いたとおり、ネタバレにならないよう気をつけるつもりではいます。が、正直、自信はない(ちーん)
あと何より、こんな記事を書いておいて何なんですが、できれば何の前情報もなしに、まっさらな状態で読んでいただきたい!と言う気持ちもあるので、先に紹介する3作品の作者さんとタイトル名を書いておきます。
なので、まだ読んだことがないわ、と言う方は、こんな私の記事なんかに目を通すよりも、次の3作品を読んで下さい(土下座)
てなわけで、紹介する3作品はこちらです。
・澤村伊智さん『ずうのめ人形』
・東野圭吾さん『悪意』
・法月綸太郎さん『頼子のために』
以上です。
あぁ・・・自分で紹介しておいてなんだけど、なんかもう、この並びだけでもぞくぞくしちゃう。ふふ。
と言うことでまずは改めて、にはなりますがこちらの作品の紹介を。
・澤村伊智『ずうのめ人形』
・・・あるライターが不審な死を遂げます。そのライターが遺していた謎の原稿に綴られていたのは、『ずうめの人形』と言う都市伝説、そしてこの原稿を綴ったと思しき1人の少女の、あまりに孤独で凄惨な日々の様子でした。
オカルト雑誌編集部で働く藤間は、とある経緯でその原稿を入手します。藤間はどんどんと原稿に綴られている物語に心惹かれていきますが、やがて藤間の後輩が変死体となって発見されます。
更に藤間自身にも、『ずうのめ人形』に登場する喪服の日本人形の存在が見えるようになり・・・と言うのが大まかなあらすじです。
と言うことで物語は、謎の原稿に綴られている物語と、それを読んだこと、知ってしまったことによって呪われてしまった藤間くんや比嘉姉妹のひとり、真琴や彼女のフィアンセであるライターの野崎たちの物語が交互に描かれています。
いやぁ・・・もう、ほんと。この原稿に綴られている物語と言うのが、めちゃくちゃ読ませるんですわ。で、当然、その中にも小さな謎と言うか、謎を思わせるような描写もあって・・・で、それがラストに大爆発すると言う、その展開がもうたまらんのです。
ある人物の行為によって、その原稿に綴られていた物語が、もうひとつの顔を見せる。思わせぶりな描写、小さな謎、違和感を抱かせるような描写の裏側に隠されていた残虐なまでの真実を知ると、これまでの物語に抱いていた感情と言うのが、がらり、と一変すると言うのが、もう最高に気持ちいい。
全てを知ったうえで、改めて物語を最初から読み返してみると・・・んはぁ~。
もうにやにやが止まらないんですよ~。
でもそう言う技巧と言うか、仕掛け的な要素は勿論なんですが、人間の気持ちがしっかりと書き込まれている、描かれている、だからこそ人間ドラマとしても読ませる!と言うのも、本作品の素晴らしいところです。
なー・・・呪いはこうなったのに。でもラスト。名前のつけようがない、そんな虚無感にとらわれてしまっているのだろう、ある登場人物の姿を思うと、本当に空しい。あとそのちょっと前に出てきた佐々岡さんの一言、445Pのそのセリフです、ここはほんと、もう腹が立つのを通り越して、悲しくなったし、私も虚しさにとらわれた。ほんと、そうだよな。細かいところが抜けてるのは、その人個人の悪いところであって、それが嫌でその人の下で働きたくなかったと言うのであれば、それは(以下ネタバレのため自粛)
そして、ある登場人物の容赦のない『終活』、そこに込めた思いと言うのも、もう胸がふさがれるような思いがする。そしてそして、すべての元凶とも言うべき人物の行いは・・・同・・・あぁ、ダメだ、これ以上は語らない方が良いような気がする。ネタバレになっちゃいそうな気がするから、これ以上は黙っておこう。うむ。
はい。ホラー要素が強く、更にはちょっと残虐なシーン、暴力的な描写なども出てくるので、そのあたりが苦手な方には避けていただきたい作品ではありますが、そう言うのが大丈夫よ、と言う方には強くおススメしたい作品です!
お次はこちらの作品です。
・東野圭吾『悪意』
・・・阿部寛さん主演で映像化され大ヒットした加賀恭一郎シリーズの1つです。
盛大にネタバレすると、タイトルが既にネタバレっ!(どーん)
小説家として有名な日高が他殺体で発見されました。刑事、加賀は、日高の親友で児童向けの作品を手掛けている作家の野々口が記した、事件に関する手記に興味を持ちます。手記を読み進めるうち、そして野々口の様子を事細やかに観察しているうち、加賀はいくつかの違和感を抱きます。やがてほどなく日高殺害の犯人は逮捕され、事件は一件落着したかのように見えたのですが・・・と言うのが簡単なあらすじです。
あー・・・なんかもうな。『真実』が二転三転する様をスマートに、実にシンプルに、だけどめちゃくちゃ読ませるストーリー運びと言うのは、さすがの一言だなぁ、と。
そしてそうやってようやくたどり着いた、明かされた『真相』のえげつなさと言うか、虚しさと言うか、でも、私としては『あー・・・なんかその気持ち、わからなくもない』と言いたくなるような気持ちは人間として果たしてどうなんだろうかと言う気もするのですが、とにもかくにももう、そう言うところの描写も、ほんと、うまいよなぁ、読ませるよなぁ、と。
ちなみにこちら、阿部寛さん演じる加賀恭一郎では映像化されていません。ただし加賀恭一郎と言う名前ではない、西原甲子男と言うよくわからない名前に変更された役を、間寛平さんが演じられた作品として映像化はされています。
知らなんだ・・・。
ただこの作品に関しては、絶対、映像よりも小説で読んだ方が面白い、味わい深い作品だと思います。
面白い、そしてミステリとしての仕掛けも素晴らしい作品が多い加賀恭一郎シリーズ。その中でも、個人的にはトップ3に入るくらいに好きな、そして強烈な印象に残っている作品です。
ラストはこちら。
・法月綸太郎『頼子のために』
・・・盛大なネタバレの一言を書こうと思ったけど、やっぱりやめた。なんかもし、自分がまだこの作品未読で、私のネタバレの一言を見てしまったら、興ざめしてしまうと思うので止めた(えらい)
愛する娘が、突然、死んだ。何者かによって殺された。通り魔の仕業として事件を片付けようとする警察の捜査に納得がいかない娘の父親は、ひとつの手記を残していました。そこには自分がひそかに犯人を突き止め、そしてその犯人を刺殺したのち、自分は自殺すると言う内容が綴られていました。
その手記に目を通した法月綸太郎が推理に乗り出すと、やがて事態は思わぬ一面を見せ・・・と言うのが簡単なあらすじです。
こちらは、長きにわたり支持を集めている法月先生による法月綸太郎シリーズの1作でございます。
んあー・・・好き。本当に好きな作品。
何と言うか、ちょっとネタバレになってしまうかもしれないのですが、後味の悪さと言うか、登場人物たちのあまりにも身勝手すぎる歪んだ愛情、もはや執着とか。凄い好き。後味悪すぎて、もはや笑うしかないくらいに好き。
あと、これもネタバレになるのでなかなか言いづらいのですが、直接的にではなく間接的に人を殺す、人を・・・みたいなネタと言うのは、現実的なことを考えると難しいことこの上ないんだろうけれど、でもなんか、そう言うネタもほんと好き。
はじめて読んだ時の『かーっ、そう言うことだったのか!』と頭抱えたくなるような感覚と言うのは、今でもはっきりと覚えています。
なんだろ。レビューを見ると結構『現実離れしている』とか『最初から真相が透けて見える』と言った酷評が目立っているのですが・・・。
こういう酷評を見る度、『あー、騙されやすい人間かつ単純なおバカさんで良かった』と思う私なのであります。
ふふ(笑)
と言うことで、そう言うことなのです。
多分、この手の作品は、疑い深い方、慎重な方には向いていないのかな、と。
『我こそは単純!』と言う方こそ、心底、楽しめる作品だと思うので、私と同じくそう言う方は、ぜひぜひ、今回ご紹介した3作品、手に取ってみられて下さい。
ちなみに今回、挙げた作品以外だと、アガサ・クリスティの『アクロイド殺し』や島田壮司さんの『異邦の騎士』、綾辻行人さんの『黒猫館の殺人』なども印象に残っているので、よろしければこちらの作品もどうぞ。
ではでは。今回の記事はここまででございます。
読んで下さりありがとうございました!