tsuzuketainekosanの日記

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『葬送のフリーレン』読みました~染みるファンタジー

はい。と言うことで前々から読みたい、読みたいと思っていたものの、私の身近な書店ではどうしてか一向に品切れ状態が続いていた『葬送のフリーレン』

いや、私の身近にある書店だけでなく、ちょっと出かけた先の書店でも、1巻だけないとか、最新3巻しかないと言う状態であることが多くてですね。

それだけ人気ってことなのかなぁ。

 

と言うわけで、こりゃ書店で購入するのは諦めた方がよさそうだ、と腹をくくって、この度、アマゾンで1巻を購入しましたので、本日はその感想を書いてまいります。

 

ではまずは作品のざっくりとした概要を。

『葬送のフリーレン』は原作、山田鐘人さん、そして作画、アベツカサさんによる漫画です。週刊少年サンデーにて連載されており、単行本は3巻まで発売されています。連載されてからそれほど時間は立っておらず、また単行本も既刊3巻と言う状況なのですが、非常に評判の高い作品で、『このマンガがすごい!』の2021年オトコ編では第2位に、『全国書店員が選んだおすすめコミック2021』でも2位にランクインしています。

 

じゃあ、それほど多くの人を魅了しているこの作品、どんな作品か、と言うのを次は説明していきたいと思います。

 

物語の主人公、タイトルにも出てくるフリーレンは、魔法使いであるエルフの少女です。ファンタジー作品に詳しい方ならご存じかと思いますが、エルフと言うのは非常に長寿、それこそ気が遠くなるほどの長い年月を生きる種族です。この作品においては、それがひとつの重要なポイントとなっています。

 

フリーレンは、勇者ヒンメル、僧侶のハイター、戦士アイゼンと共にパーティを組み、魔王討伐のための旅を10年も続けていました。そして魔王討伐を果たした彼らは王都に凱旋します。

10年もの旅路に思いを寄せる他のパーティメンバーでしたが、1000年も軽く超える年月、生きるフリーレンにとっては、10年と言う時間はあまりにも短い時間でした。パーティメンバーは、50年に1度、降ると言われている『半世紀(エーラ)流星』を共に見、再び、50年後にそれを共に見ることを約束して別れます。

 

そして約束の50年後。フリーレンが再会したヒンメルは、かつての面影を残しつつ、しかし老いていました。ハイターとアイゼンを伴って『半世紀流星』を共に見た4人ですが、その後、ヒンメルはこの世を去ります。

 

その葬儀の場。悲しい顔ひとつしていないフリーレンの耳に、薄情者だね、と言う参列者の声が聞こえてきます。

そこで初めて、フリーレンは涙を浮かべます。そしてこう言います。

自分は、この人のことを何も知らない、と。

たった10年、一緒に旅をしただけだし、と。

人間の寿命は短いとわかっていた。ならどうして、もっと知ろうとしなかったんだろうう、と。

 

そうして葬儀を終え、再度、散り散りになるフリーレンとハイター、アイゼン。

その別れの場で、フリーレンはアイゼンにもっと人間を知ろうと思う、と自分の思いを告げます。

ここから、フリーレンの新たな旅が始まる、と言うのが大まかなあらすじです。

 

で、感想なんですが・・・染みる・・・。

めちゃめちゃ染みます。何だろ、心にじわあぁぁぁぁ、っと、こー、静かだけど確かな、あたたかくて、ちょっと切ない感情が波紋のように広がって、染みていくような、そんな作品だと私は思いました。

 

勇者たちの旅の終わり。そしてその勇者の人生の終わり。

更に言うとですね、この後です。ヒンメルの死から20年後には、人間であるハイターもまた、寿命でこの世を去ります。

つまりこの作品はたくさんの『終わり』から『始まり』が始まっているのです。

旅の終わり。ヒンメルの生の終わり。ハイターの生の終わり。そこからフリーレンの気づきが、後悔が生まれて、フリーレンの新たな日々が、旅が始まっている。

 

それがなんかもう、めちゃめちゃ切ないな、と。

でも切ないんだけど、こー、変な言い方だけど、救いがあるな、と感じたと言いますか。はい。

 

フリーレンはとてもドライな女の子です。

そりゃそうでしょうよ。1000年は軽く超える寿命を生きる、エルフですもの。ってか現状で、既に1000年以上は生きているんですもの。見た目は可愛い少女なのに。

10年、一緒に旅した時間も、彼女にとってはほんの一瞬だろうし、誰かが死んだ、その痛みや悲しみと言うのも、やはり彼女にとっては『ただそれだけのこと』なのかもしれません。その痛み、悲しみにも、1000年も生きていたら慣れていくのが当然だろうし。

 

だからこそ、なんです。

だからこそ、彼女がヒンメルの葬儀で『薄情者』の声に、そこから自分がヒンメルのことを何も知らないと言うことを突き付けられ、涙を流したことが、救いのように思えたのです。

フリーレンはドライな女の子で、人間とは違う、明らかに違いすぎる時間軸の中で、そしてその中で培われた価値観の中で生きている。

だけど当たり前のことだけど、心がないわけではない。

 

たった10年だけど共に旅したヒンメルの死に対し、それを悲しむことはできなかったけれど、それを悲しむことができない理由を悔い、そこから涙を流して、やがて人を知りたい、と言う思いを抱くようになる。

それがもう、何よりフリーレンと言う女の子の心の優しさ、柔らかさ、無器用さのようなものを表しているように感じられて、それが救いのようにも思えたのです。はい。

またたとえ『たった10年、旅をしただけ』の相手であったとしても、フリーレンがヒンメルの死に何かしらの思いを抱いたのは事実です。

そこがまた、個人的にはぐっと来たと言うか。

ヒンメルと言う勇者は、青年は、フリーレンにとってはやはり、ある種、特別な存在。1000年以上生きてきた中でも、それまでにない存在感を放っている人物なんだろうなぁ、と言うのが感じられて、そこもとても救いのように思えました。

 

フリーレンにとってはたった10年。でも人間であるヒンメルにとっては、10年と言う時間は、決して短くはない時間です。

その10年の間に培われてきた関係と言うのは、決してフリーレンにとっても無ではなかった。と言うか、ヒンメルの死、そこに涙を流すことができなかった自分に直面したことで、フリーレンは初めて、ヒンメルと共にした10年の重みを実感した。

けれどもうその10年と言うのは遠い昔のことであり、ヒンメルも亡き人になってしまっているからこそ、より一層、フリーレンの心境の変化が切ないのです。

 

このあたりのフリーレンの心情の描写と言うのが、実にシンプルでいいんですわ・・・ごちゃごちゃ描かれすぎていなくて。最低限の、とても丁寧に選ばれた言葉で作られた台詞とフリーレンの表情で描かれていて、ほんと胸に染みていくのです。

 

さて。フリーレンの旅路には仲間が増えていきます。

1巻では戦争孤児でハイターに引き取られたフェルンと言う少女が、フリーレンの弟子として、彼女の旅路に加わります。

また2巻以降も、アイゼンの弟子である少年、シュタルクや、フリーレン一向に助けられた僧侶の男性、ザインが仲間になっているようです(この辺りはまだ読んでいないので、多少、違いはあるかもしれません。ご了承ください)

 

『終わり』から『始まる』ことになった『人間を知りたい』と言うフリーレンの思い。

その彼女がパーティーを組み、大変ながらもにぎやかな毎日を共にしながら旅をする。

 

それは、目的こそ違えど、かつての勇者パーティを彷彿とさせるような描写です。

 

物語において、ヒンメル一行の旅路と言うのは、序盤を除いてほとんど描かれていません。誰かの回想として、コマ単位で描かれている程度です。

 

だからこそ、新たな仲間を得て旅を続けるフリーレンたちの日常を読むことで、読者はまた同時に、ヒンメルたちの旅路を追いかけているような、その物語をも読んでいるような、そんな感覚にさせられるのですね。はい。

これも構成として、めちゃめちゃ上手いよなぁ、と。

更に、そうしてフリーレンたちの旅路を読むことで、ヒンメルたちのかつての旅を追いかけていくような気持にもなる。そのことで、既にこの世を去ったヒンメルと言う、ひとりの勇者、ひとりの青年の存在感がどんどん、どんどん大きくなっていくのです。それは勿論、フリーレンにとってもなんですが、読者にとっても自然とそう感じられるような物語になっていると言いますか。はい。

これがもう、めちゃめちゃ味わい深いなぁ、と思わず唸ってしまったくらいです(笑)

 

どうしてもっと知ろうとしなかったのか。

そんな思いを向けた人は、既にこの世を去ってしまっている。

だけど、この世を去ってしまってなお、その人はちゃんと生きている。

その人が生きた時間、人生と言うのは、確かに存在している。

 

それを少しずつ、少しずつ、けれど確実に実感しているフリーレンの心中を思うと、なんかもう、本当に切ないし、でもあたたかい気持ちになると言うか。

 

あとフリーレンだけでなく、フェルンやシュタルク、ザインにもそれぞれの物語があります。人間である彼女や彼らの物語に触れることもまた、フリーレンの心に様々な思いを抱かせる、ヒューマンドラマとしての物語も、とても読みごたえがあります。

 

はい。と言うわけで長々と感想を語ってまいりました『葬送のフリーレン』ですが。

1巻のみの感想で申し訳ないのですが、本当に心にじんわりと染みていくような作品です。ファンタジー作品としての世界観の作り方や書き込みなども、とても丁寧にされているな、と感じました。

『ファンタジー作品と言えば、剣や魔法が大活躍するバトルだぜ!』と言う方にはちょっとおすすめできないかもしれませんが(笑)『ちょっと今までにはないファンタジー作品を読んでみたい』と言う方や『人の心、その機微までもが丁寧に描かれている物語を読みたい』と言う方には、とてもおすすめできる作品です。

 

あー・・・しかしこちらの作品も、このままいけばアニメ化されそうだよなぁ。と言うか、アニメ映えしそうな作品だと思う。

制作会社は、個人的には、WITSTUDIOかWHITE FOXがいいなぁ、と。ファンタジー作品に定評がある、と言えば、この2社がぱっと頭に浮かんできたので。はい。

 

あと、いつものごとく勝手にCV予想しますと(笑)

勇者ヒンメルは、もう顔見た瞬間『CV石川界人さんやん』と思いました。CV石川界人さんっぽい顔だもんね、ヒンメル(どんな)

島﨑信長さんの、あの柔らかい、ちょっと頼りなさげなお声もぴったりも、とも思ったり。

と言うことでフリーレンは、石川さんと同じ事務所と言うこともあり、かつこの難しい役どころを演じてもらいたい、その演技力!更にはドライで少し貫禄もありつつ、だけど可愛らしさもあるだろうフリーレンの語り声をこの方のお声で再生したらドンピシャだったよ!と言うことで悠木碧さんが良いです。

 

はい。あぁ、こういう勝手に脳内キャスティング、本当に楽しい(笑)

 

ではでは。今回の記事はここまででございます。

読んで下さりありがとうございました!