はい。
辛い(辛い)
と言うことで、タイトル通り『鬼滅の刃』の最新コミック21巻の感想を、今回もがっつり、ネタバレを含めて語っていこうと思います。はい。
なのでネタバレが嫌だよ、と言う方は、どうぞこの記事をそっと閉じて下さいね。
では10カウントして、その後、感想をスタートさせます。
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はい。ではスタートです。
いや、辛い。この巻は本当に、どこを読んでも辛い。しんどいです。はい。まずは物語序盤、前巻でがっつりと描かれていた玄弥と無一郎くん、そして実弥と悲鳴嶼さんVS黒死牟との戦い、その戦いの決着・・・と言うか、決着は前巻でもついていたのですが、その後の物語が描かれています。
まずは無一郎くん。彼は既に事切れていて、その亡骸を前に悲鳴嶼さんは感謝と敬意を示すと共に、これからの戦いに向けての決心を改めて口にします。そうして無一郎くんの瞼を閉じて上げ・・・次の瞬間、無一郎くんが瞼を開くと、そこには亡き双子の兄、有一郎くんがいた、と言う流れです。
そしてそこから二人は言葉を交わすのですが・・・いや、辛い。
無一郎くんの死を無駄死にだと叱る有一郎くんの思いも、それを聞いて涙を流し、だけど自分の想いをちゃんと口にした無一郎くんの思いも、そしてそれを聞いてそれでも無一郎にだけは死んでほしくなかった、と彼を抱きしめる有一郎くんの思いも、そしてそれを聞いて何かに気が付いたような表情を浮かべたように(私には)見えた無一郎くんの思いも、ただただ辛い。泣いた。
ただあれ。
幸せになるために生まれてきた。
そう、自分の言葉で、自分の思いを口にした無一郎くんの姿は、前巻のラスト、何のために生まれてきたのか、その理由をよりにもよって忌み嫌い憎み切っている弟に訪ねてしまっていた黒死牟の姿とはあまりにも対照的で、なんか、うん。
生きている限り、理不尽で、あまりにも辛く、悲しく、苦しいことは多すぎて。
ただ大切なのは、そうであっても決して、それだけにとらわれてはならないと言うこと。そうであっても、どんなに小さく、些細で、か弱くとも、幸せだと感じる一瞬と言うのは存在していて、そこに目を向けることが大切なんだと、なんかほんと、無一郎くんと黒死牟の対比からは教わったような気がしましたよ。はい。
ってか無一郎くん、まだ14歳やろ・・・ええ子すぎるやろ、この子・・・(涙)
そしてその後には不死川兄弟の永遠の別れが描かれています。
泣いた(泣いた)
玄弥くんの最後の言葉、実弥の幸せを願い、そして俺の兄ちゃんはこの世でいちばんやさしい人だから、と言う言葉。
そしてそれに対して、ただただもう絶叫、悲鳴、もしかしたら怒号のような言葉しか返すことができない実弥の腕から、けれど玄弥くんの体は消滅していってしまう・・・と言う流れなのですが。
なんかでも、玄弥くんの死に関しては、前にも書いたかもしれないのですが。
うん。もし、彼が生き残って、鬼として更に進化して強くなっていたら、と思うと、本と、ギリギリのタイミングではあったけれど、人として死ぬことができたのかな、と言う気もするんですね。はい。
悲しいし、やっぱり玄弥くんにも生き残って欲しかった、戦いの後、実弥と一緒に暮らして欲しかったと言う気持ちはあるのですが、でも、うん。
人として死ぬことができた。体は鬼だったけれど、心はちゃんと人のままで死ぬことができたと言うのは、何か、こんな言葉しか出てこないのが自分でも情けないのですが、せめてもの、せめてもの救いだったのかなぁ、と言う気も。
でもやっぱり悲しい。辛い。玄弥くんも、素直になりたくてもなれなかった、過去のこともあって、ただただ不器用でしかなかっただけに、この結末はあまりにも悲しい。
はい。そしてこの巻では、表紙を飾っている珠世さんも、無惨の手によって殺されてしまいます。それを察した愈史郎の絶望、そして怒りをあらわす1コマと言うのがね、もう本当にね、胸に突き刺さるようで、辛い。
あと表紙。カバーをめくってみて下さい。
尊い(泣ける)
そうしてこの巻では、ダサい姿にパワーアップして無惨が姿を現すのですが・・・無惨によって、多くの隊員たちが殺されていきます。
また後半では、炭治郎や柱と言った、無惨を倒すための戦力になり得る人たちを生き残らせるために、たくさんの隊員たちが、その身を挺して無惨の攻撃から炭治郎や柱たちを守り、散っていきます。
彼ら、彼女らと言うのは、これまでの物語では決して表に出てくることがなかった、いわば名もなき隊員たちです。
ただそれでも、当然のことながら彼ら、彼女らにも名前があり、大切な人があり、日々、生きてきた歴史と言うものがあり、炭治郎もそこに思いを馳せるから、とにかく本当に読み進めていて辛いし、しんどい、なんかこー、胸にどーん、と重りを乗せられたかのような気分にさせられます。
そんな中で炭治郎たちと対峙した無惨は、こう、言葉を吐きます。
身内が殺されたからなんだと言うのか。自分たちは生き残ったんだからそれでいいだろう。私に殺されたのは天変地異に遭ったのだと思えばいい。天変地異に遭い命を落としても天変地異に復讐をしようとする者はいない。死んだ人間は生き返らない。ならばそこにいつまでもこだわっておらず日銭を稼いで静かな生活を続けていれば良い。なのになぜ、おまえたちは私に復讐をしようとするのか。それはおまえたち、鬼狩りが異常者だからだ、と。
それに対して炭治郎はこう、言葉を返します。
無惨、おまえは存在していてはいけない生き物だ、と。
鬼、と言うのは『鬼』と言う生き物であって、人間ではありません。
ただ、現実に照らし合わせて考えてみると、人間であっても『鬼』のような所業を行う、まさに鬼畜のような人間と言うのは存在しています。
そうした人間の、鬼のような人間の、あまりにも理不尽な身勝手極まりない所業によって、筆舌に尽くしがたいような思いを強いられている人と言うのは、たくさん、たくさんいらっしゃいます。
何と言うか、無惨と炭治郎とのこのやり取りを読んだ時に、そんなことをふと思い、『鬼滅の刃』と言う作品は、『鬼』と『人』との戦いの物語ではあるけれど、実は『人であって人であらざるを生きもの』と『人』との戦いの物語なんじゃないだろうか、とも思ったのであります。はい。
この巻ではまた、縁壱さんの過去と言うものも描かれているのですが、その中で縁壱さんは身ごもっていた妻を、赤子ごと鬼に殺されています。その惨劇に打ちのめされた彼は、こう口にします。
自分が命より大切に思っているものでも、他人は容易く踏みつけるものだ、と。
そしてまた、この美しい世界に鬼と言う存在、それが存在しているがために、家族と静かに暮らすと言う、ただそれだけの願いすら叶わないのだ、と。
『鬼』を『人ならざる、鬼畜のような所業をいとも簡単に行う人』だと考えれば、縁壱さんの言葉、あるいは『鬼滅の刃』で描かれている理不尽と言うのは、現実にも当てはまることであって、なんか、そのリアルさが本当に胸に突き刺さるようだったし、だからこそ、ここにもまた『鬼滅の刃』がとてつもない人気を得ている理由があるのではないかなぁ、とも思ったりしたのですが。はい。
日々のささやかな生活を願い、それをつつましくも一生懸命に生きている『人』
けれどその願いをいとも簡単に踏みにじり、理不尽に奪い尽くしていく『鬼』
色々な事情と言うものがあるのだろうけれど。
それでも私は、炭治郎の『無惨、おまえは存在してはいけない生き物だ』と言う言葉には、なんか、とても強い吾峠先生のメッセージのようなものを感じたのですが。はい。
とまぁ、重苦しい展開の21巻ですが、一方で伊黒さんや甘露寺さんの本格参戦もあったり、悲鳴嶼さんと実弥が加勢したり。
あと村田さんです。
村田さん。『え?誰それ?』とお思いの方も、特にアニメ勢だといらっしゃるかもしれませんが、アニメでは宮田幸季さんがCVを担当されている、さらさらヘアが特徴の炭治郎たちの先輩にあたる隊員です。
彼とね、富岡さんの、一瞬のやり取りがね。
うん。ほんと。
なんか泣けるんですわ。
ってか、富岡さんのあの一声がなければ、多分、村田さんはここで死んでいただろうし、炭治郎も助かっていなかっただろうし。
うん。なんかほんと、村田さん、あの後に涙ぐんでいたけれど、私も涙ぐんだ。
人には、どんなに全力を尽くしても、向き、不向き、できる、できないことと言うのがある。村田さんは、無惨を前にし亡き家族の復讐を思うあまりに冷静さを失いかけていて、でも、富岡さんの一言が、村田さんに冷静さを取り戻した。そして村田さんに、村田さんが向いていて、村田さんができる行動をとらせた。その時、多分、いちばん大切で、必要で、村田さんにできる行動をとらせた。
泣けた(泣いた)
はい。そんな具合で21巻の感想はここまでですが・・・まぁ、本と。
辛く悲しい巻でしたな・・・うん。
そしてだからこそ、よけいに無惨と言うキャラクターの異常性が際立ち、そこに対して恐怖と共にふつふつとした怒りがわいてくる巻でもありました。はい。
あぁ、あとな。ほんと、これはもう、毎度、言っていることなんですが。
アニメ化、最後までして欲しい・・・。
ほんと、今回の話も、たとえば無一郎くんと有一郎くんのシーンとか、不死川兄弟の別れとそれを見守る悲鳴嶼さんとか。前田さんと富岡さんの、あの短い、だけどとても大切なやり取りとか・・・ほーんと、声優さんの演技が見た過ぎる・・・。
やって。
『鬼滅の刃』、原作最後まで、アニメ化やって。
やって。
やれ(どーん)
次回22巻は10月発売予定、そして12月の23巻をもって最終巻と言う感じなのかな。
ってか23巻で終わりか・・・いや、ここまでぎゅっ、と濃縮して物語をまとめ上げ、潔く完結させたのは、本当に素晴らしいことだと個人的には思うのであります。はい。
ちなみに、これは何の他意もありませんよ!
純粋に『ONE PIECEの23巻って、物語としてはどのくらいだったんだろう・・・』と興味を持ったので調べてみましたら・・・うふふ。
23巻、物語のどのあたりだったと思いますか?
はい。調べてみたらですね、23巻の表紙を飾るのは、アラバスタ王国の王女、ビビちゃんの満面の笑顔でございました、と言うわけで、23巻では、ルフィとクロコダイルの戦いの決着、そしてあの、名シーンとして名高い、ビビちゃんと麦わら一味の別れのシーンが描かれていたのでございました。
そうか・・・いや、こう振り返ってみると、『ONE PIECE』の歴史もこれ、すごいな。
はい。最後の方は少し話がずれてしまいましたが(ほんとだよ)、そんな具合で『鬼滅の刃』21巻の感想でございました。
と言うわけで今回はここまでです。
読んで下さり、ありがとうございました~。